とても幸せな朝食を食った後、俺は茶々丸の片付けを手伝おうと思った。
しかし茶々丸とエヴァがそれを止めた。
「もうそろそろ、学校に行く準備をしないと間に合いません。
私とマスターは、制服に着替えていますので大丈夫ですが、京さんはまだ着替えていません」
「おまえは学校に行きたいんだろ?
朝食の片付けをして遅れるのは嫌だろ?」
と言われ、俺は渋々止めた。
ただ俺はここで一つ疑問に思った。
「私の制服ってないよね?」
「ああ、それなら大丈夫だ」
なぜ?と質問する前にインターホンがなった。
「郵便ですね」
「あのジジイが、こういうことで遅く行動するはずがないからな」
なるほど。
俺はこのあと学園長に会ってそのときに貰うのかと思ったけど。
まぁ、直接貰ってもどこで着替えろって話になるけどね。
「予想通り、京さん宛てですね」
「ありがとう。茶々丸。
部屋に戻って着替えてくるわ」
俺の代わりに受け取ってくれた茶々丸に、お礼を言って着替えるために自分の部屋に戻った。
箱を開けると、制服と何故か知らないけど白い下着が入っていた。
「…ええ、そうね。
私は女ですもの」
服を脱いで制服を着てみた。
途中下着のサイズが合っていることに驚いたり、どうやって着るのかわからなくて時間がかかったが、なんとか着替えることができた。
スカートだからすっごい足がスースーするけど、慣れれば大丈夫だろ。
慣れたくないけどね…
着替え終わって、俺はリビングに戻った。
「どう?似合ってる?」
「ああ、なかなか似合ってるぞ」
「とても似合ってますよ、京さん」
よかった。
ていうか今の俺、自分で言うのもなんだけどすっごい俺好み。
顔は大河内に似ていて、目は釣り目で、深い青色のロン毛で、身長や体の形は大河内とほぼ一緒。
ああ、これが自分じゃなかったらよかったのに。
「あのジジィの所にいくぞ」
「呼ばれたの?」
「おまえが着替えている間にな。
恐らく、おまえに渡す物があるからだろう」
確かに、教科書も何もないまま授業を受けても意味ないしな。
「わかったわ。
それじゃ、行きましょうか」
学校に向かう途中に、誰かに出会うのかと思ったけど、誰にも会うことなく着いてしまった。
多分、エヴァ自身クラスメイトに会いたくないから、会わない道を通っていたのだろう。
「「失礼します」」
「入るぞジジィ」
扉をノックして、それぞれの挨拶で入った。
入ると学園長とタカミチがいた。
「おはよう。
うむ、よく似合っておるぞ」
「ありがとうございます」
「さて、棚町君。今日から登校するわけじゃが、どうかな?」
「ええ、とりあえず早く行きたいですね。
とても楽しみにしてます」
「うむ。そう思ってくれると嬉しい限りじゃ」
「それで、用件は何でしょうか?」
「うむ、昨日能力を確認したと思うのじゃがどうじゃった?」
「そうですね、百パーセント使えることはできませんが、なんとか使うことはできますね」
「なるほどのう。
エヴァはどう思ったかのう?」
「現時点ではタカミチといい勝負ができるぐらいだ。
能力を使いこなすことができれば、封印前の私と同じぐらいか、それ以上だろうな」
「ほう…能力を使いこなせないでタカミチ君と勝負出来るとは。
素晴らしいもんじゃ」
いやいや、そんなに強くないから。
確かに負けはない。
ただ、戦闘経験がなくまだ魔法が使えない今の状態では、勝つのは無理だろう。
「それでのう、いきなりで悪いのじゃが、夜の警備を手伝ってくれぬかのう?」
警備か。
経験を積むにはもってこいだけど…
「どう?エヴァ」
「別に構わん。おまえの為にもなるしな」
「わかったわ。
やります」
「そうか。それじゃあ悪いが、わしらも棚町君の力を見てみたいのでな。
今日の夜十時に、世界樹広場前に来てもらえないかのう?」
恐らく、模擬戦をやるとういう意味だろう。
相手は、多分タカミチだと思う。
行く前に、別荘で少し鍛えようっと。
「わかりました」
「あとエヴァよ」
「なんだ?ジジィ」
「程々に、のう」
「…ちっ」
多分桜通りのことだと思う。
満月の時にしかできないから、十月現在からやらないと力が足りないと思う。
「先に教室に行ってくる。
また後でな、京」
「失礼しました」
もう話すこともないと決めたエヴァは、茶々丸を連れて学園長室を出た。
先程予鈴が鳴ったので、そろそろ行かないと行けないだろう。
「それじゃ、僕らも行こうか」
「はい」
「棚町君」
「はい?」
「お主が、これからの人生楽しく幸せだと感じられることを願っておる。
こちらも色々お願いすることはあるかもしれんが、変わりにお主の願いも聞く。
その願いのためなら、わしは存分に協力するぞい。以上じゃ」
「…はい!!」
学園長の話が心に響く。
ここまで俺のことを思ってくれた人は、両親と友達を除いていなかった。
だから余計嬉しく感じた。
学園長から話をを聞いて、俺とタカミチは2-Aに向かっていた。
「さっきの学園長の話、僕もそう思っているから。
何か困ったことがあったら相談してね。担任としても話を聞くから」
「ありがとうございます。高畑先生」
「どういたしまして。
…さて着いたか」
2-Aの教室の前。
教室の外にいるのに話し声が聞こえる。
原作通り、とっても元気な人達だな。
「すごく元気な人達ですね」
「まぁ、元気が取り柄だからね。
ちょっと待ってて。紹介するとき呼ぶから」
「わかりました」
いよいよだ。
俺は今、猛烈に緊張している。
これがまだ男女共学の学校ならまだいいのだが、ここは女子中。
相手がすべて女子の中で自己紹介するのは、当たり前だがしたことがない。
だから、なにをしたらどう反応されるのか検討もつかない。
ああ、やばい。まじでやばい。
「入ってもいいよ」
キターーーーーーーーー!!
とりあえず深呼吸をして、タカミチが開けてくれた扉をくぐった。
そして、教壇の前にきて、俺は平常心を保つように言った。
「今日から2-Aに転入することになりました、棚町京です。
どうぞ、よろしくお願いします」
・・・・・・
・・・・
・・
え?何この沈黙。
俺、別に滑るようなギャグを言った覚えはないのだが…
『き…』
「き?」
『綺麗!!!』
…はい?
「どこから来たの?!」
「なんでこの時期に?!」
「身長はいくつ?!」
などなど、一斉に質問されて答えたくても答えられない状況になった。
これが女子中学生のパワーかぁー…
やっていけるだろうか?
「はい、皆ストップ!!
皆で一斉に質問したら答えられないでしょ。
ここは報道部所属の私が代表して聞くわ」
と、ここでパパラッチこと、朝倉がこの状況を打破してくれた。
「高畑先生。よろしいですか?」
「まぁ、最初の授業は僕の授業だから別に構わないよ」
「ありがとうございます!!」
ええ~~
一時間ずっとかよ…
まぁ、別にいいけどさ。
「私の名前は朝倉和美です。
どうぞ、よろしくおねがいします。棚町さん」
「お手柔らかに」
「出身地は?」
「山口県」
「なぜこの時期に転校を?」
「ここの学園長からお呼び出しがありましたので」
嘘だけどね。
悪いけど、ここは学園長をつかわさせてもらう。
普通なら信じないけど、大丈夫だろう。
「ああ、なるほどね…」
現に、パパラッチが励ましの目で俺を見てるからね。
「好きな食べ物と、嫌いな食べ物は?」
「好きなものは納豆。
嫌いなものはチョコレートかな」
ええ~!!なんで?!などなど。
悪いな!!チョコレートは大っ嫌いなんだよ。
「趣味は?」
「趣味は執筆とゲームね」
「執筆?何を書いているの?」
「ファンタジー小説を少々」
別に間違ってはいない。
ジャンルはファンタジーだからね。
「へぇー。
あ、忘れてた。身長と体重は?あとできればバストサイズも」
これって、タカミチの前で言っていいのだろうか?
別に俺は構わないけどさ…
タカミチの方を向くと、タカミチは耳栓をしていた。
さすが英国紳士。なのかな?
そこら辺はわかっていたね。
「身長は167くらいで体重は…まぁ秘密ということで。
バストはDくらいかな」
体重はぶっちゃけこの状態で測ったことがないからわからない。
バストは下着に書いてあった。
「なるほどね。ちなみにいまどこに住んでいるの?」
「後ろでニヤニヤしてる金髪の人」
「え?ってエヴァンジェリンさん!!」
「私を巻き込むな…」
だって、質問に答えるときに笑っているのがむかつくんだもん。
「次はぶっちゃけ好きなタイプは?」
でたよ…
質問内容で一番して欲しくない質問だ。
ここで男の時と同じことを言ったら同性愛者になるし、かといって男の好きなところを答えるのは無理。
だって俺、ゲイやホモじゃねえし。
「ククク…」
エヴァは、俺の本当の性別を知っているから、必死に笑いを堪えている。
「ははは…」
タカミチも知っているためか、遠い目をしながら苦笑いをしていた。
「ささ、タイプは何?」
ここは、なんとかして答えるしかないだろう。
「そ、そうね、優しい性格の持ち主かしら」
「ほうほう」
なんとか切り抜けることができた。
ああ嫌だ嫌だ。
あの神め。あいつのせいで、こんなめんどくさい答え方をしなければいけないなんて。
「さて、ドンドン行こう!!」
まだまだ続く質問タイム。
心の中ではめんどくさい気持ちもあったが。
同時に、夢が叶って嬉しい気持ちで一杯だった。