決して、刹那が嫌いなわけではありません。
「はぁ~、疲れたな~」
一時間全部を質問に使った後、何事も無く授業をこなし現在、全ての疲れを一言で表すように、独り言を呟きながら一人歩いている。
質問攻めをしているときは、色々大変だった。
エヴァはずっとニヤニヤしているし、タカミチは椅子に座ってドンマイオーラを出しながらこっちを見てるし、刹那は警戒しているしなどカオスなことになっていた。
その後学校に行ってはないが、独学で勉強していたのですっごく簡単だった。
そして今、放課後なのだが委員長が後で教室に来てくださいと言っていたので、約束の時間まで時間があるので適当に歩いている。
ただ、あまり人気のないところを歩いている。
それは何故か?
後ろから警戒オーラを感じるからだ。
取り敢えず人気のないところまで歩いた。
はぁ、ほんとめんどくさい。
「さっきから感じるのだけど、何?さっさと出てきたら?」
挑発するような感じで、独り言を言うと二人出てきた。
「気づいていたとはね。だからこんな場所を歩いていたのかい?」
「…」
出てきたのは、真名と刹那だった。
恐らく、刹那が頼んで一緒に来たのだろう。
「で?何のようかしら?」
「この時期に転校するなど、普通に考えてありえないことだ。
貴様、いったい何者だ?」
「学園長から、許可をもらって登校しているのだけど?」
「ふん、そんな事ありえないことだ。どうせ言っただけで、本当は許可などもらっていないのだろう?」
…開いた口が塞がらない。
刹那ってこんなにアホな奴だっけ?
「何を根拠にそんな事をいっているのかしら?
まさか、確認をとらずにただ憶測を言っているわけじゃ、ないよね?」
「そ、そんなわけ」
「もういいわ。龍宮さんでしたっけ?」
「話しを聞け!!」
うるさいなぁ…
確認もしない奴がギャアギャア騒ぐんじゃねぇよ。
「落ち着け。で、何をすればいい?」
「学園長に、今電話をしてくれないかしら?
こいつじゃ話にならないから」
「な!!き、貴様!!」
「落ち着けと言っているだろう。わかった、今連絡するよ」
「助かるわ」
このかのことになるとここまでバカになるのか。
…恐ろしいわぁ。
「もしもし、龍宮です。少し質問したいのですが…ええ、そのことです。
…わかりました。今夜十時ですね。わかりました」
終わったか。
恐らく今日の夜、顔見せの時に全員に説明するつもりなのだろう。
「刹那、こいつのことは今日の夜十時に全員に説明するだってさ」
「な!それじゃ、それまでこいつを放っておけというのか?!」
「そうだ。それと、こいつの力を皆に見せるために模擬戦をするらしい」
「…そうか。わかった」
ふう。なんとかなった。
本当にめんどくさい。
「貴様」
「なにかしら?石頭」
「やめないか、二人とも」
「もし、お嬢様「木乃香だ」に手を出してみろ。
その時は、貴様の首がないと思え」
「相手から近づいてきたらどうすればいいのかしら?」
「近づくな。自分から離れろ」
「…ねぇ、龍宮。この石頭、どうにかして欲しいのだけど」
「すまない。今刹那は頭に血が上っていてね。
まぁ、私が何とかしておくよ」
「助かるわ」
刹那が何か言う前に、回れ右をして逃げた。
本当に、勘弁してくれ…
ウザいことが起きたけど、散歩をしていたら約束の時間になったので、教室に戻った。
すると、教室の前に委員長が立っていた。
「お待たせしましたわ。
どうぞお入りになって」
そう言うと、委員長は扉を開けるよう促した。
俺は言う通りに開けた。
開けた途端、
『ようこそ!!2-Aへ!!』
と言いながら、俺に向けて皆がクラッカーを鳴らした。
…まぁ、原作を読んでいた俺は、ネギが来たときに歓迎会をしていたから、俺のときにもするというのは予想できていたよ?
ただ、原作よりも凄かった。
食べ物は立食パーティーレベルの量で、原作にはなかった垂れ幕やら折り紙で作った飾りなど装飾も凄かった。
俺はそれに驚いて立ち止まった。
「?どうしました?」
「…なんで?なんで、こんなに派手に歓迎してくれるの?
別に、こんなに豪華にやらなくてもいいんじゃないかな?」
「?何をおっしゃってるのですか?」
「え?」
「この歓迎会は、私たちとあなたが親睦を深めるために、そして2-A全員であなたを歓迎するためのものですわ。
なら、派手にするのは当たり前のことですわ」
…俺は、委員長が言った言葉に感激した。
前の世界では、俺のためのパーティーなんかされたことがなかった。
そういうこともあって、泣きそうになった。
やばい、涙がでそうだ。
「どうしました?」
「いや、ちょっとホコリが目に入って」
と苦し紛れに言ってみたが委員長は
「ふふ。そんなに喜んでもらえて、準備をしたかいがありましたわ」
「!!!べ、別にそんな…」
「ふふふ」
こんな感じに、泣きそうになっているのがばれてしまった。
「委員長独占しすぎー!!」
「そうだそうだ!!」
委員長と二人で話しをしていると、待ちきれなくなったのか騒ぎ始めた。
「皆が騒ぎ始めましたので、主役の棚町さんは真ん中の席へどうぞ」
委員長が、皆の真ん中に開いている席に案内してもらった。
「さて、それではみなさん。堅い挨拶は嫌いということですので、とりあえずこれが乾杯の挨拶とさせていただきますわ」
『いえ~い!!』
「それではみなさん、」
『かんぱ~~い!!!』
簡単な挨拶をした後、俺はジュースを飲もうとしたら
「なぁなぁ、ちょっとええかな」
木乃香が話しかけてきた。
同時に、教室の端っこにいる石頭が俺に向けて殺気を放ってきた。
いい加減にしてくれ…
「なにかしら。近衛さん」
「名前でええよ」
「それなら木乃香さん、どうしました?」
「いきなりで悪いんやけど、ここに来る前何かあったん?
おじいちゃんが理由なしに呼ぶわけあらへんから、何かあったんかなと思ってな」
ああ、なるほどね。
さすが学園長の孫。
勘がいいねぇ。
ただ、本当のことを言うわけにはいかないからはぐらかせてもらうよ。
「ごめんなさい。今、この楽しい雰囲気の中で話せることじゃないから話せないわ」
「そうなん?ならええで。
気軽に言えない様な理由なら、無理に話さんでもええで」
「ごめんなさい、いつか言えたら言うわ」
そういうと、あまり深く聞く必要はなかったのだろう。
笑顔でアスナのところに戻っていった。
それを見送っていると
「あ、あの~」
「ん?」
声が聞こえたので、その方向に顔を向けると宮崎のどかがいた。
「なにかしら?ええと…」
「み、宮崎のどかです。どうぞ、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくね」
「あ、あの、これどうぞ」
「?」
とのどかちゃんが、俺にプレゼントしてくれた。
これってもしかして…
「図書カード?」
「は、はい。ぜひお使いになってくたさい」
「…」
なんて、なんていい子なんだ。
「あの、どうしました?」
「い、いえ、その、プレゼントを貰ったことがなくてちょっと嬉しくて…」
そう、俺は親や親戚の人からは貰ったことはあるが同年代の人からは貰ったことがない。
だから今、嬉しくて涙が出てきた。
「っ…」
「え?」
「いや、その、ありがとね」
「あ、はい。どういたしまして」
泣きながら感謝の言葉を言うと、のどかちゃんは笑顔で応えてくれた。
周りの皆はこの状況を見て微笑んでいた。
若干、一名未だに殺気を放ってくる奴はいるが。
俺は少し恥ずかしかったが、それ以上にとても嬉しかった。
俺はこの時、心の中である決心をした。
自分の力の使い道を…