さあ、出産のお時間が近づいて参りました。ここのところ陣痛も酷いし予定日もかなり近くなってきたのでもうそろそろなんじゃないかと身構えていたけれど中々こない。
今か今かと待ち構え、ついに破水が始まる。
すぐさま大きい部屋へ連れていかれ色んな人に囲まれた。
正直自分は周りをみる余裕なんて無かったからどんな人が居たのかはよく分からない。
そんなことよりも凄い痛みに襲われて絶叫していた。発狂といったほうが近いかもしれない。
腹が破けるんじゃないかという痛みに襲われてつつ、早く終わらせたい一心でお腹に力を入れ続ける。
けれど一向に出る気配はない。痛み止めも飲んでいる筈なのだがあんまり効果がある気もしない。
やっぱり体に見合わない大きさの胎児だからだろうか?担当医からも『成長が早過ぎて胎児がかなり大きい。あなたの体じゃ安全に産むのは難しい』とは言われたけどさ。
体感時間はそこそこ経ったが、未だに頭のあの字も見えない。
一応運動したとはいえ妊娠悪阻のせいで体力はかなり落ちていたからか、もう全然お腹に力が入らない。
けれど陣痛は続く。現実は非情である。
体感時間はかなり経った。依然状況は変わらず。
痛み止めをどれだけ飲んでも壮絶な痛みは自分を苦しめる。ついに致死量寸前にまでいってしまった。
体力も尽き全く体に力が入らないどころか体に力がそもそも入らない。
痛みで叫び続けたせいか喉も枯れて掠れた声しか出せない。
それでもまだ、この地獄は続く。
どれだけ経ったかすらもうよく分からない。体に色々な管が繋がれている。
喉は枯れ果て、力は入らず。それでも出産は続く。
辛い。苦しい。意識が曖昧になる。
お母さんもこうやって苦労して産んだんだなぁ。ありがとう、産んでくれて。
そんなことをぼんやりとした頭で考える。
視界もどんどん掠れていく。周りの音も聞こえなくなっていく。
あぁ、眠い。もう、楽になれるなら何だって良いや。
そんな軽い気持ちで、逃げるように睡魔へ身を預けた。
ゆっくりと目が覚める。掠れた視界が少しづつ明瞭になる。
自分がいた場所は出産していた所ではなく、別の部屋へ移されていたようだ。
お腹の膨らみはない。なんとか産むことは出来ていたみたいだ。
体には意識を失う前よりも沢山管がついており、周りには点滴や輸血液だったり心電図もあって、自分が意識を失った後の大変さがよくわかる。
口にも呼吸器が付けられて、今にも死にそうな人の見た目をしていることだろう。
薄暗い部屋で一人ぼーっとしていたら、扉がゆっくりと開いた。
来客はさやか。目は泣き腫らしたのか真っ赤だ。
さやかは自分に意識があることが分かるとすぐさま涙を浮かべながら駆け寄る。
自分はそんなさやかを安心させるように全く動かない体に無理を言わせてその指を握った。
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ふたなりになるのは
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さやか
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先輩