猟犬烏の青春   作:面無し

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アンケート回答ありがとうございます!!
サブタイどうしようかと思ってたんですよね。
半分くらいの方があったほうが良いと答えてくださっていますので、
可能な限り最初からまたつけていきたいと思います!

感想等いつもありがとうございます!
今回もよろしくお願いします!


2-14 地下

 

 

 

近づいた施設はそこそこ厳重な警備を敷いているようだったが、

私が見つけて、レイヴンが音もなく近づいて倒すという作業を繰り返していけばあっさり入ることができた。

施設は外の警備の割には入り口は物理鍵のみ、中の警備はなし、おかしな違和感を感じながら私たちは施設を進んでいた。

 

「なあ、アル社長」

 

ヘルメットさんが入った施設の事務室らしき場所に置かれてあった資料を見て私に声をかけた。

私が見せてもらったそれにはヘルメットさんが付けた目的地と全く同じ印がついており、施設ごとで相互に物資を送るようなことが書いてある。

 

「なんでこんな送り方してるのかしら……」

 

「えー気になる! 私にもみーせーてー!」

 

「私も、どんな感じなの?」

 

そう言って、ムツキとカヨコが資料を覗き込む。

 

「うーん、送りあいっこって事は、ほんとの目的地を隠してるってことだよね」

 

「まあ、そうだね。こうされると本命が何処かの特定は難しいかな……」

 

二人がそうつぶやく、つまるところ資金洗浄の手法を物品でやっているらしい。

 

「どの物品がどこで消えたかを細かく見ればいいかもしれないが、そんな時間はないな」

 

そう言ってヘルメットさんが悩むように手を顎に当てた当たりで私は気づく。

 

「……レイヴンとハルカは?」

 

 

*****

 

 

 

「あの、レイヴンさん……どこに行くんですか?」

 

アル様を置いてずんずんと施設を迷いなく進むレイヴンさんに私は後ろから問いかけました。

つい昨日アル様に銃を向けたレイヴンさんを最初はどうしても許せなかったのですが、ここに来るまでのレイヴンさんのお話を聞いていると許せないと思い続ける気持ちも持ち続けられず、かといって銃を向けたこと自体は気になってしまって、私は彼女の後ろを歩いています。

 

「すいません。ハルカさん、私もまだわかってません、ですが……」

 

引かれるような感じがするんです。とレイヴンさんはそう答えて変わらず道を進んでいきます。

そして、ぴたりと止まったかと思えば何もない壁を見つめて頷きました。

 

「ここに扉があります」

 

「え、でも、どう見てもただの壁しか……」

 

レイヴンさんの言い分に疑問をいう私の前でレイヴンさんは何もないはずの壁をまさぐっていました。

私はそれを見ながらレイヴンさんに合わせるように壁に手を当てる。

軽くたたいてみるが、壁はどう音を聞いても中身が詰まっているような音がしていて、ここの先があるようには見えませんでした。

 

「レイヴンさんやっぱり……「これか?」」

 

レイヴンさんに戻ろうと言いかけたその時、彼女の手が壁に沈むのを見ました。

私が驚く間にレイヴンさんがその奥にあった何かを動かすような動作をしたのと同時に、何もなかったはずの壁が自動ドアのように開き始めました。

 

「行こう」

 

「え、あ……は、はい」

 

その開いた扉に向けてレイヴンさんはまた迷いなく進み、私もアル様をと思いつつもレイヴンさんに流されて扉の先へ足を進めてしまう。

下り坂になっていた扉の先は地下室へ向けての秘密の通路のようになっていって、私は前を歩くレイヴンさんのヘイローにジリジリとノイズが入っているのに気づきました。

 

「レ、レイヴンさん、ヘイローが」

 

そう私が声をかけると、彼女は私の言葉に従って頭のヘイローを見ました。

ノイズの走っている今のヘイローはただのホログラムで、機械で映しているものだと聞きました。

レイヴンさんが機械を止めると彼女の頭上にあったホログラムの三重円が消え、いびつな赤い稲妻のようなものが円形となって浮かんでいました。

 

「これは……私のヘイローとか?」

 

「す、すいません……ヘイローには詳しくなくて」

 

キヴォトスにおいてヘイローは当たり前のもの過ぎて私は詳しく知らない。

少し悩んだそぶりをレイヴンさんはされるけど、しばらくしてまた地下へと進んでいきます。

 

「今は、考えても仕方がない、このままヘイローの装置は消しておくので何かあれば教えてください」

 

「あ、は、はい」

 

彼女の言葉はよどみない……前を歩く彼女のその自信が個人的に羨ましく思いました。

そして、しばらく歩いた後、廊下の先の部屋が見えてきたので身をかがめて中を除けくと、地上にいなかった巡回する警備と職員らしき白衣の人たちがいることも見えます。

 

「地上はわざと調べさせるため……ということでしょうか」

 

私がレイヴンさんに確認すると彼女は頷いてくれました。

 

「そうですね。わざとということは、地上の状態はすでに把握されているかもしれません」

 

「カメラやマイクも確認したはずですが……」

 

「そもそも探されること前提で隠してるとかでしょうね。詳しく調べたわけではないですから。

相手はカイザーなので、襲われた事実だけ持っておいて後から組織力で特定して捕まえても良い」

 

レイヴンさんは地下の施設に目をやる。

 

「ど、どうしましょう」

 

「うん、ここまで来たら引き返せませんし、見敵必殺で行きましょう。

見つけたやつを即座に黙らせれば見つかってないのと同じです」

 

レイヴンさんはそう言って立ち上がりました。

ぐっとよーいの構えをとった彼女が私を見る。

 

「準備はいいですか? ハルカさん」

 

「は、はい! よろしくお願いします」

 

レイヴンさんにそう答えて二人で駆けだします。

目前を歩いている警備の人が、私たちの足音に目を向けて、驚いたように銃を構える。

 

「し、侵入s「邪魔」」

 

言い切る前にレイヴンさんが蹴りを食らわせて倒し、また駆ける。

走りながら私はレイヴンさんに質問する。

 

「レ、レイヴンさん呼ばれてるってどれくらい先になりそうなんですか?」

 

曲がり角から出てきた獣人の大人を見て、私もレイヴンさんを真似してショットガンのストックで殴りつけて走る。

レイヴンさんは少し悩んだようにしてから答えてくれました。

 

「多分すぐです、引かれている感覚が強くなっているので」

 

 

 

*****

 

 

 

 

「どこ行ったのよー!!!」

 

「あ、アルちゃんついに限界みたいだね」

 

「だね……でも、どこ行ったんだろう」

 

施設の中を少し歩いてレイヴンとハルカは見つからないまましばらくたっていた。

足での捜索と別にレイヴンとハルカの携帯の反応を追っていた元ヘルメット団員が手をあげる。

 

「見つけたぞ、これは……地下だな」

 

「地下?」

 

「入口なんてなかったと思うけど」

 

カヨコとムツキの声に元ヘルメット団員は悩みながら答えた。

 

「どっかに入り口があるんだろうな、何かスイッチやらを押して入ったか」

 

「入口は……隠してあるんだろうね」

 

「当然だよねー。アルちゃんどうするー? 素直に入り口探す? それとも作っちゃう?」

 

「作るってどうやって?」

 

そういうアルにムツキはニコニコと笑いながら自分の鞄を掲げる。

 

「そ、それは最終手段にしましょう、今はまだ探し続ける方向で「あ」…今度はどうしたのメットさん」

 

元ヘルメットの彼女が挙げた声に、アルはもう何も起きないようにと祈りながら聞く。

しかし、それは届かない。

 

「敵に囲まれてるな。警備があっさりしてると思ったら、地下があるってことは地上はブラフだな」

 

「か、囲まれてる? それってどれくらいに……」

 

「たくさん?」

 

ヘルメット団員が端末の画面を見せる。

施設のカメラとつないだそれは外に展開する大量の敵を映していた。

 

「ななな、なによこれーーーー!!!」

 

 

 

 

*****

 

 

 

所は変わる。

ブラックマーケットにて、アビドス対策委員会一行は自分たちの返済した現金を乗せた現金輸送車を追っていた。

といっても、車を真面目に追いかけるわけにもいかないのでアヤネのドローンで遠くから追いかけたり、先生の手助けを受けてカメラ等で追いかけたりといった手法をもってである。

 

そして現在、途中で不良生徒に絡まれていたトリニティ総合学園の生徒阿慈谷ヒフミを加えたメンバーは現金輸送車の向かったであろうブラックマーケットの闇銀行を目指していた。

 

「そう言えば」

 

とみんなでたい焼きを頬張りながら食べていた時にヒフミが言い始める。

 

「マーケットガードが最近新しい戦車を導入したと聞きましたね」

 

そう言いだしたのもアビドスメンバーがブラックマーケットで変わったことがないかと聞いたことから始まった話題だった。

 

「新しい戦車?」

 

「はい、何でもすごく巨大でハイウェイの4車線をその一台で占拠しちゃうそうですよ」

 

「うへえー大きいねぇ、追いかけられないようにしなきゃ」

 

そう言いながらヒフミはブラックマーケットの近況について説明をする。

マーケットガード、いわゆるブラックマーケットの治安維持組織のようなものが最近新しい武器を導入することが多いとか、

既製品の改造ではなく、見たこともないような規格の武装をマーケットで見かけることが多くなったとか、

ブラックマーケットで幅を利かせているカイザーが技術開発に凝っているとの噂が立っているなど。

 

そんな物騒なうわさが並べられていくのを、先生とホシノは嫌な予感を感じながら聞いていた。

ホシノはレイヴンから聞いた恒星間航行可能な世界の話を聞いていたからであり、

先生はレイヴンの機械の肉体や彼女が乗っていたと考えているアビドスの校庭にある人型機械を目にしていたからである。

 

(関係あるって思っといたほうがいいよね。最近って言うとレイヴンちゃんが来てからっていうのでも説明がつくし)

 

そうホシノは考えて、先生の方を見る。

彼女は自分がレイヴンについて知っている事柄を彼には共有していないが、彼がレイヴンのことを保護した人物であることと、ここの所助けてもらっていることを考えればレイヴンに許可を取ったうえである程度共有しても良いのではないかと考えていた。

けれど、みんなの前でそれは話せない。ホシノはとりあえずはヒフミへの質問を続けてみる。

 

「何かと物騒だね~見たことない規格の武器って例えば?」

 

「そうですね……一番よく聞くのは銃器なんですが、何でも片手で持って撃つように設計されているライフルやショットガンが出ているそうで」

 

その話にシロコが首をかしげる。

 

「片手で撃つには難しいと思う」

 

「そうですよね、聞く限りはそう言った武器は正式な完成品ではなく試作品だそうで、

なので、種類は多いですが物品数自体はそこまで多くないそうです」

 

その話を聞いて先生は最初に銃を持った時のレイヴンを思い出す。

片腕で銃を持ち、曲げたり伸ばしたりして構えていた彼女の姿はヒフミのいう銃を使ってましたと言わんばかりである。

これは……該当する銃をレイヴンにも見て聞かないとかなと考えて彼女は自分の持つシッテムの箱へこそこそと喋りかける。

 

「アロナ、聞こえる?」

 

『はい先生! なんでしょう?』

 

シッテムの箱から顔をのぞかせた水色髪の少女が先生へと返事をする。

先生は彼女へ一つお願い事をした。

 

「ブラックマーケットのさっき言ってた規格不明の銃……カタログみたいにまとめられるかな?」

 

『はい、もちろんです。任せてください!』

 

そう言ってアロナはびしっと先生へ敬礼をする。

シッテムの箱へ戻っていく彼女を眺めながら、先生は考えた。

 

(レイヴンの世界……あまり無理に聞きたくはないけれど、影響が大きいなら教えてもらわないとかな)

 

「あ、あれがマーケットの闇銀行になります!」

 

ヒフミの声に先生は意識を引き戻す。

目の前のビルは自分たちがおっていた現金輸送車の目的地になっていた銀行で間違いなかった。

 

 

 

*****

 

 

 

 

「ここですが……どうしましょう」

 

レイヴンさんはそう言って目の前の大きな格納庫の扉を軽く叩きました。

地下を進んでしばらく、レイヴンさんの言う通りあまり長くは走らずに済みましたが、この重そうな扉が今度は私たちの前をふさいでいました。

電子ロック等に関しては私もレイヴンさんも手が出ないですし、どう開けようかと悩んでいました。

 

「は、破壊したりは……」

 

「警報等なく今の所行けてるということは施設側には見つかってないと考えていいでしょう。

爆破の音で気づかれるかもと考えると……」

 

「そ、そうですよね。ごめんなさい」

 

自分の短落差に謝った私にレイヴンさんは首を振っていいんですよと許してくれました。

そして、そのままもう一度扉に彼女は触れます。彼女のヘイローは赤い電の光輪が変わらず浮いていて……そう思った次の瞬間その光輪が消えました。

 

「へ」

 

私が驚きの声をあげると同時に、ガシャンと大きい音がして目の前の扉が開いていきます。

 

「え、え」

 

開いた扉とレイヴンさんを交互に見ていると、レイヴンさんが私の方に目を向けて声をかけてくれました。

 

「ハルカさん」

 

「は、はい!!」

 

「行きましょう」

 

彼女の声に頷いて私はレイヴンさんの後ろにつく。

 

(へ、ヘイローのこと、言いそびれてしまいました……)

 

そう思って私がどうしようかと歩いていると、目の前のレイヴンさんが急に立ち止まりました。

ぶつかりそうになったから慌てて一歩引いて、レイヴンさんの顔を覗いてみれば道中の無表情が嘘のように目を見開いたまま固まっていました。

 

彼女の視線の先に私も目を向けると、大きなモニターのついた端末とその向こうに人型の機械がいました。

機械はボロボロではありますが、機械自体の外観や装備等は綺麗に残っているように見えます。

 

私はその機械に目を戻してレイヴンさんに声をかけようとして、彼女から小さく漏れた声をハッキリ聞きました。

 

 

 

 

 

 

「エア……」

 

 

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