よろしくお願いします!
レイヴンのヘイローの詳細は黒服さんがまた近々登場する……予定です
「エア……?」
「え、あ、その……」
私の問い返しにレイヴンさんはしどろもどろといった感じで言葉を濁し、
そして、気まずそうにしながら私に応えてくましれた。
「以前の知り合いなんです。これは……彼女が乗っていた機体でした」
レイヴンさんはそう言ってもう一度機械を見ました。
その目はとても懐かしいものを見るようで、私も合わせるように格納されていた機械をもう一度見る。
人型のそれは一見ずんぐりした印象があるが、その実装甲や装備によってそう見えているだけで、人が入れるような場所はないように見える。
本当に、人がこれに乗っていたのだろうかと私はレイヴンさんをもう一度見る。
「そのエアさんは……ずいぶん小柄だったんですか?」
「小柄……小柄でした。確かに」
キヴォトスでも彼女ほどの小柄な人はいないでしょう。と答えるレイヴンさん。
そこまで言われてしまうほど小柄だったなら、きっとこの機体にも収まってしまうのでしょう。
答えてくれたレイヴンさんはそのまままっすぐ端末まで移動して、操作を始めました。
けれど、そんな不用意に端末を触ってよいとは思えなくて、私はレイヴンさんに声をかける。
「あ、あの、いきなり端末を触るのはやめておいた方が……」
「でしょうね、でも、ここは吹っ飛ばすので今から気づかれようとかまいません」
端末を操作しながらそうレイヴンさんは迷いなく答えた。
目の前にお知り合いの乗っていた機体を見てあんなに懐かしそうにされていたのにと思ってしまう。
「え、エアさんの乗っていたものを爆発させちゃうんですか? 大切なものなんじゃ……」
「はい、大切です。だから、爆破します。これはあっちゃいけません」
爆弾持ってますよねと確認されて私は頷く。
確かに爆薬はこの地下くらいなら置き場所によっては吹き飛ばせるものを持ってきている。
けれど……本当に良いのだろうかと思ってしまう。
「あ、あの……どうしてなくさないといけないんですか?
レイヴンさんがご存じなら、動かせるかもしれないですし、持って帰ったりしても」
私の言葉に、レイヴンさんは振り返って私を見た。
まっすぐ私を見る目に私は何かまずいことを言ったのだと感じる。
「ご、ごめんなさ「ありがとうございます」……へえ?」
私は思わず下げかけた顔をあげる。
そこには微笑みを浮かべるレイヴンさんの顔がありました。
「私の大事なものを気遣っていただいて、ありがとうございます。ハルカさん」
その微笑みを前にして私が何も言えないでいると、ですがとレイヴンさんは続けました。
「これはやっぱり無くします。キヴォトスに無いはずのものですし、技術的にもありますが何よりこの機械に使われているであろう物質がいけないんです」
「物質……ですか?」
レイヴンさんは私の問いかけに反応しつつもまた端末の操作に戻る。
「はい、それがあると、最悪キヴォトスを滅ぼす原因になってしまいます。
既にカイザーの施設にあることを見るとある程度技術の流用が始まっているかもしれませんし、
それの元を残しておくのは看過できません、ここで見逃すのは自分の選択と彼女の死に背くことになります」
そう言って、レイヴンさんは画面に集中する。
私はそこで手持無沙汰になってしまったので周りを見る。
部屋の端に、台座が置かれていて記録媒体と小さい盾のような何かのようなものが置いてありました。
私が近づいてみると、何か一枚の紙が立てかけられているのを見つけました。
黒地に白い雷みたいな線の入ったハガキくらいの紙……白い文字で「レイヴンへ」と書かれている。
どう見てもレイヴンさんあての物品に見えるが……こんな地下に置いてあるのは不自然だと思い、
私はレイヴンさんに確認するほうが良いかと彼女の方を向こうとして……
ぶーぶー
「え、あ!」
私の携帯が震え出したのを慌てて取ります。
画面にはアル様の文字、私はアル様を置いてレイヴンさんについて来たのを怒られないかと心配しながら電話に出る。
「ハルカ!? 無事!?」
アル様の私を心配してくださる声が聞こえたことで電話を取る時に考えていた後悔があふれて私は思わず頭を下げる。
「ア、アル様!! 申し訳ありません! こんな勝手に動いて!」
「い、いいのよハルカ、無事でよかった。レイヴンとは一緒にいる?」
「は、はい! レイヴンさんは今端末を操作されてます。危険なものがあるから全部吹き飛ばすそうで」
「へ? 吹き飛ばす?」
アル様が、そう聞き返してくださったあたりで、アル様の後ろから爆発音がする。
「ア、アル様、もしかして地上では誰かが襲ってきているのですか?」
「え、ああ! そうなのだけれど、大丈夫よハルカ」
そう言ってくださったアル様でしたが、後ろからヘルメットさんの声がちらりと聞こえました。
「アル! 二人が戻るまで持たせたいとか言ってたのはわかるが、増援来てるぞ!」
その言葉と共に、アル様の言葉もなく突然電話が切れる。
これは……アル様が危ない!!!!
「レイヴンさん、外にアル様を助けに行かないといけないです!!」
私はとりあえずレイヴンさんあての何かをしまい込んで、
端末を操作し続けているレイヴンさんに近づいて声をかける。
レイヴンさんは私をちらりと見てから答えてくれた。
「了解です。私も大体調べ終わりました。助けにですよね、いいのがありますよ」
そう言ってくれたレイヴンさんは私にいたずらっぽく笑って問いかけます。
「ハルカさん、大きい戦車での報復はお好きですか?」
その頭上にはまた赤い雷のヘイローがともっていました。
*****
「携帯の分割残ってるのにー!!」
私がそう叫びながら敵を打ち抜くが、あとからあとからわらわらと後続がやって来ていて、キリがない。
敵の弾に当たった携帯は動かなくなっていた。
ハルカたちに最後に連絡してから数分、持ちこたえてはいるが本当にギリギリだ。
引きこもっていた施設は相手の砲撃なんかでほぼ吹き飛んで瓦礫の山を盾にしているような状態だ。
正直自分でも二人をいつまでも待ち続けるなんて難しいことはわかっているが、見捨てるなんて薄情なことはできない。
「ムツキ!!」
「おっけーー!! 吹っ飛ばすね!」
メットさんの指示に従ってできる限り敵の集団にムツキの爆弾を放り投げる。
爆発の黒煙を眺めながら、メットさんに声をかける。
「メットさん、二人は!?」
「あんたの連絡からすぐ動いたよ! けど……これはどこ向かってるんだ?」
「まっすぐ戻ってるんじゃないの?」
メットさんの返答にカヨコが問いかけると、メットさんは頷いてそれからまたなんだと声をあげた。
「おい、なんかすごい勢いでこっち来てるぞ、乗り物に乗ってる!」
そう言われてみれば、ガタガタと何かが揺れるような音がする。
そして……
「アル様に……よくも、よくも!!! 死んでください死んでください死んでください死んでください死んでください!!!!」
ハルカの声を大音量で周囲に放送しながら爆走する戦車のような兵器が
敵の軍団をガトリングとグレネードで吹き飛ばし、残りもまとめてその車体で吹き飛ばしていった。
「アル社長、皆も生きてる?」
レイヴンの声がメットさんの携帯から聞こえる。
「ええ! 助かったわ!」
「びっくりしたよー! でも、かっこよかったよ、二人とも!」
「本当にね、助かった」
「でも、その戦車みたいのなんだよ、見たことないぞ」
メットさんの問いかけにレイヴンはこいつはカタフラクトと紹介してくれた。
「私の世界に在った兵器。大きさがだいぶサイズダウンしてるしほぼガワだけの劣化コピー品みたいだけど」
そう言って聞こえた声は思い出しているのか楽しそうに聞こえて。
私は施設に来るまでの会話を思い出して納得する、この子の過去の重さがそのまま今の感情として出力されているんだろうなと。
教えてくれたレイヴンにお疲れ様を言いつつ、ゆっくり戻ってらっしゃいと答えた。
*****
カタフラクトの操縦席となっていたMT部分から降りて息を吐く。
乗って来たカタフラクト、乗れたことで切り抜けられたため良いことだったが、疑問が残ることがいくつもあったのだ。
MTなんて乗ったこともない私が本来なら操縦できないカタフラクト、そもそも生体接続で普段は操縦しているからACすらおぼつかない。
けれど、さっきは違った。自分の内からどう動かせば動くんだという知らない知識が沸く感覚を私は不思議に思っていた。
けれど、それは後にしようと考え直す。
私とハルカさんに向けてアル社長がにこやかに手を振ってくれていた。
「お疲れ様、レイヴン、ハルカ」
「あ、アル様! お疲れ様です!」
「ありがとうございます。アル社長」
アル社長はそう言って私とハルカさんの頭に手を置いた。甘やかされているのだろうが、すごく心地がいい。
けれど、それにほだされてはいけない、さて、と私はアル社長たちに目を向ける。
「アル社長、施設の処分をしないといけません」
その言葉にアル社長が一度止まって、私に確認を取った。
「ハルカが言ってた吹き飛ばすってやつよね。本気なの?」
「はい」
私は迷いなく頷く。
あそこにあった彼女の亡骸はしっかりと燃やし尽くさなければいけない。
カイザーであれば、彼女の体を悪用されることは必然だろう。私にはそれも我慢ならなかった。
私はアル社長にハルカさんから受け取ったボタンを見せる。
地下の警報の作動と合わせてカタフラクトに移動するまでにこれでもかとセットしてきた爆弾のボタンだ。
「これを押せば、地下の施設は亡き者にできます」
そう言った私の手をハルカさんが手に取る。
「レイヴンさん、待ってください」
「ハルカ?」
アル社長がハルカさんを呼ぶが、ハルカさんは私をまっすぐ見つめる。
「た、大切なものを破壊するのは、わ、私はやめておいた方が良いと思います。
じ、事情を詳しく知らないのに出てくるなと言われるかもしれませんが……その……」
後半に行くほど、語気が弱まって行けどもそれでも私の手を握ったままだった。
私の答えは変わらない、けれどこれをどう説明したものかと考える。
「ハルカさん」
「は、はい!」
顔をあげたハルカさんにどうすれば私の気持ちが伝わるかを考えながら言う。
「ハルカさんは……アル社長と戦わないといけないとなれば戦えますか?」
私の言葉にハルカさんはぶんぶんと首を横に振る。
「彼女は、その戦う覚悟をしました。自分と自分の仲間のために」
その言葉にハルカさんは黙り込む。私は言葉を続けた。
「可能性を信じている人でした。手を取り合えばどんな危機だって乗り越えられると」
アル社長に目を向ける。彼女は視線を下げて俯いていた。
ウォルターに似て、けれどウォルターと違うこの人は彼女と手を取れるだろう。
けれど、私はそうはできなかった。私は……あの人の遺志を引き継いだから。
「私はそれを信じられませんでした……あの機体を残しておくことは私が否定した危険をこの世界にもたらします。
私にどれだけ未練があろうとも、あれは消さなければいけないものです」
私の世界でコーラルにまつわる全ては消えた。それを続けなければ私は妥協することになる。
私はハルカさんに笑いかけながら言う。
「ありがとうございます。大丈夫ですよ。私も彼女と同じ覚悟をしましたから」
ハルカさんは私の手からゆっくりと手を放してくれました。
私は頷いて、そばまで来ていた他のメンバーさんにも声を掛けます。
「カタフラクトに乗ってください、ある程度離れたら爆破します」
*****
施設に上る黒煙を背にしてカタフラクトと呼ばれた戦車のような兵器を運転するレイヴンの顔を見た。
さっき話された彼女の殺した人……いったいどんな気持ちで彼女はその人に銃を向けたのだろうか。
ハルカはさっきから少ししょんぼりした様子で、思いつめないでほしいと願わずにいられない。
話を聞く限り、ウォルターさんと彼女の殺した人は敵対関係だったのだろう。
そして、それとは別で、レイヴンは殺された人と仲が良く、レイヴンはおそらくウォルターか手を取るかの選択をしたのだろう。
………辛い、辛すぎる!!!
次の施設にも同じような地下があるかもしれないし一応見ておくかと移動をしているが、
毎回こんな感じの彼女の話を聞かせられるかもしれないと思うと辛くて、もういいのよって言いたくなってしまう気しか起きなかった。
ムツキとカヨコもいつも通り喋っているように見せかけてチラチラとレイヴンとハルカを見ているところを見る限り意識しているのが見えているし、
うぉ、ウォルターさん!! 私ってどう動いたらいいのかしら!?
私は見たこともない先人に教えを請いたい気分だった。
そこに、ヘルメットさんから声がかかる。
「おっマーケット側の動きがあったぞ、ちゃんと書類は手に入れたらしい」
よかった、良い知らせじゃない。
この新しい話を元に流れを変えるのよ!! 陸八魔アル!!
そう自分に活を入れるが、またそれはヘルメットさんが否定した。
「だが、悪い話があってな、デカい新型の戦車に追いかけられているらしい」
詳しく聞けば、4車線は覆いそうな見たこともないくらい大きな戦車に追いかけられているらしい。
そこまで聞いて、レイヴンは口を開いた。
「……もしかして、前面装甲が厚すぎて銃撃も爆発も全く効かないとか?」
「よくわかったな。後ろからならいけそうだが、如何せん車線を覆われてるからどうにもいかないらしい」
これは……またレイヴン関連の話の気配がする。
そう思った私の勘は当たったらしく、レイヴンはため息をついてぼそっと呟いた。
「ジャガーノートか」
ハルカに暴走突撃一回やらせてみたかったんですよね……
カタフラクトでとは思ってませんでしたが、今回のレイヴンの設定的に出来そうだったのでやりました!
あと、多分エアはレイヴンが唯一だからアルちゃんが一筋の光になったハルカと通じると考えてます。
レイヴンあっさり壊したなと個人的にも思いましたがこれくらいあっさり壊せないとエアちゃん壊せないと思うんですよね