猟犬烏の青春   作:面無し

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2-16 砂漠越え

 

 

「ジャガーノートか」

 

レイヴンがそうつぶやくのを聞きながら、私はマーケット組の管制をしているアヤネの通信を聞いていた。

 

『できるだけ細い道へ誘導します! マーケットの主要道は戦車で覆われますが、細い道なら!』

 

アヤネの選択は間違ってない。聞いた限り4車線を覆う巨大戦車だ、マーケットの主要道以外ではまともに走れない。

けれど、マーケットガードは随伴の歩兵もいる。メインの追い込みは戦車で細い道に入ったのを歩兵で追い詰める。

そもそも、マーケットから脱出するには主要道を通らないといけない。

アビドスメンバーは実力があるとはいえ……じり貧は必至だ。

私はレイヴンに目を向ける。

 

「レイヴン、このままじゃあいつらやばいぞ」

 

「わかってる、でも施設の侵入には気づかれてる。今日の内に施設は回りきらないと」

 

私の声にレイヴンは操縦桿を握りながら答えた。

何か手を出したいのはやまやまだが、マーケットからアビドス砂漠はかなり離れてる、

それに施設の調査も残っているのは事実……こちらから手は出せない。

 

「さっさと終わらせましょう、救援はその後よ」

 

そうアル社長が言うのに私は頷く。今は前の前に集中しなければ。

見えてきた次の施設は一つ目よりも明らかに警備が多い、レイヴンの予想通り侵入はもう伝わっている。

 

「素直に攻略する?」

 

カヨコが施設を見てそう言ったのに、レイヴンは首を振る。

 

「救援に行きたいので。さっきと同じで地上はブラフで考えます」

 

カタフラクトがあるから、全部ぶっ壊す。

そう言ってレイヴンはエンジンを強く吹かす。

 

「ハルカさん、頼みました」

 

「は、はい!!!」

 

そう言ってレイヴンに声をかけられたハルカさんが俯いていた顔をあげる。

そのままわたわたと火器管制用の座席に移動して、操縦桿を握る。

便利屋と私は来るであろう衝撃やらに備えて構える。

 

「ハルカさん! 撃って!」

 

「は、はい!! 死んでください死んでください死んでください!!!」

 

備え付けられた、ガトリングとグレネードが発射されて目の前の施設の壁が破壊される。

そして、カタフラクトはその穴めがけて突っ込んで、その強靭さと巨体に任せて施設の地上部分を大きく破壊する。

周囲に群がる警備も武装での追加攻撃と旋回攻撃で蹴散らして、文字通り力押しで地上部分は無理矢理攻略した。

 

「地下はどうする!?」

 

「私がわかります! おそらく」

 

カタフラクトから降りながら聞いた質問にレイヴンはそう言いながら走り出す。

 

「レ、レイヴンさん、扉の位置がわかるそうなんです」

 

そう言ってハルカが答えたのでそんなのことがあり得るのかと思いながらレイヴンを見れば、

いつか犬耳を見た時のごとくアイツの頭上には赤いヘイローがあった。

赤い雷みたいな光輪は、私が以前見た時の赤い光輪と惑星のようなヘイローとは全く別物に見える。

 

(なんだあれ……)

 

そう疑問には思うが、わかるなら話は早い。

走るレイヴンを追いかけて、施設内の残党を対応しながら突き進む。

 

「ここ」

 

そして、レイヴンが立ち止まって本当に開いた隠し扉を抜けてまた地下に入る。

 

「まさか、本命とかなく、全部こんな感じか!?」

 

地下の警備も対応しながら施設につけば、そこは広い、広い格納庫だった。

見たこともない兵器たち、サイズとしては3m程度の大きさに見える。

 

「MT!! 兵装ならわかるけど、エアからの技術転用じゃ説明できない。ジャガーノートもカタフラクトもどこから……」

 

レイヴンが格納庫を見て苦々しく呟く。

爆破した地下施設にあったものでは今目の前にある兵器たちは説明ができないらしい。

レイヴンは顔をしかめながら便利屋メンバーに告げる。

 

「ここも爆破します。MTは通常兵器の範疇ですが、そもそも別世界の技術です。

マーケットよろしくもう出されているものもありますから効果は薄いかもしれませんが……」

 

その言葉に便利屋メンバーは頷いて、地下を走り抜けながら走り抜ける。

そのうち私は走っている私たちの座標がもう一つの施設の方に動いているのを見た。

 

「レイヴン、この施設かなり大きいぞ、多分残り一つにつながってる!!」

 

「生産工場も兼ねてるとかかな?」

 

「かもね、探索は早く終わらせたいし、その方が都合がいい」

 

カヨコとムツキがそう言いつつ爆弾を放り投げて設置していく、

無暗に出てくる敵はレイヴンとハルカが前衛で何とかしてくれているし、しんがりと遠い奴はアル社長が何とかしてくれてる。

私は……今のところ何もできないのが少し悔しい。戦えないとは思っているが、ここまで何もないとは。

 

(元ヘルメットだし今の戦力外は普通だろ……)

 

そう思いながら私は地下施設を観察する。

今の私にできるとすればそれくらいだと、そう思って眺めて……私は見つける。

 

(なんだあれ)

 

さっき見つけた兵器には見えない、車輪のついた見たことない形の貨物コンテナを。

 

 

 

 

 

 

「先生もうマーケットの端だし主要道にもどらないと!」

 

後追いのマーケットガードを撃ちながら覆面を被ったセリカがそう叫ぶ。

それは理解していたが、先生やヒフミ他のアビドスメンバーも、そしてセリカ自身もあの戦車のことを気にしている。

 

「走って逃げるには……戦車の速度がありすぎるからね」

 

いつになく真面目な顔のホシノはそう言う。

彼女の中では最後には自分がおとりになることまで考えていた。

 

先生は決断を迫られる。そして、生徒に指示を出す。

 

「主要道に出よう、あまりしたくないけど足をいただいて逃げよう」

 

その言葉に皆が主要道へ駆けだす。

足となる車両をうまく奪えるのかとかそう言う話は全て後にして、全員が駆けていく。

 

そして、主要道に飛び出す。

 

「撃たれたくなければ、車から降りて!」

 

そして、飛び出した先にいたトラックに銃を向けて拝借し、先生とヒフミが運転席に、他が荷台に乗ったところで、今いる主要道に向けて新型の巨大戦車が突っ込んできた。

 

「来たよ!! ヒフミちゃん!! 出して!!」

 

「は、はい!!!」

 

ホシノにそう言われヒフミは思い切りアクセルを踏む。

急発進したトラックの荷台につかまりながら牽制の手りゅう弾をアビドス側がいくつか投げるが、

全くものともせずに戦車はおってくる。

 

「新型とは聞いてたけどこんなにしつこいとは思いませんでしたね」

 

トラックの対向車線やトラックに追い越された車を全く意に介さず、新型戦車はすべてひき潰して突っ込んできていた。

まだ最近出たばかりの兵器と聞いているし、今の自分たちを見せしめにでもしようと考えているのだろうとノノミは考えていた。

 

「この調子じゃマーケットを出る前に追いつかれるか主砲でどうにかなっちゃいます!」

 

その言葉に合わせるように、主砲から砲撃が飛ぶ。

 

「あわわわ!!!」

 

ヒフミが慌てて舵を取って何とかかわすが、何度もそう躱せるものでもない。

 

「おじさんが行くよ」

 

ホシノがそう提案する。

だが、それをやすやすとは先生もアビドスメンバーは許さない。

 

「ダメよ! ホシノ先輩」

 

「ん、皆で脱出するのが絶対」

 

けれど、それを全部放ってでも、後輩を守りたいのがホシノの思いだった。

嘗ての先輩なら後輩を絶対に学校に帰らせるはずだから、誰かが犠牲になるならまずは私から。

それがホシノの絶対条件。

 

「ごめんね皆……でもこのままじゃ」

 

そう言いかけた時アヤネから通信が入る。

 

『みなさん! 砂漠組のメットさんからの通信繋ぎます!』

 

アヤネの言葉と共に、元ヘルメットの彼女から通信が入る。

 

『よう、追い詰められてるらしいな。いい知らせがあるぜ』

 

「いいお知らせ? 申し訳ないけど、あんまり乗ってあげられないかも」

 

そう答えるホシノに、通信越しの彼女は大丈夫だと言う。

 

『もうすぐ着くよ、アル社長曰くこういうのは格好つけなきゃって事らしくてな』

 

そう言った彼女の通信の後に、アヤネからの言葉も届く。

 

『皆さん! 上空から何か飛来物が来ます!!』

 

その言葉に運転中のヒフミも含めて全員が上空に目を向ける。

飛来する物体が見える。貨物コンテナのようなものとそれに乗った少女が見えた。

 

『来たぞ、烏が』

 

 

 

 

 

 

目の前にいた戦車が飛んできた彼女が真上に着地する衝撃で大きく揺らぐのを見た。

戦車を踏みつけた少女はそのまま私たちのトラックに飛び乗って声を出した。

 

「やあ、アビドス、久しぶりだな」

 

見慣れない犬耳と赤い光輪、そして燃える惑星を頭上に着けて彼女は言う。

 

「ああいう手合いは得意でね、任せてもらえるかな?」

 




やってみたかったんですよね。ラスティ構文。
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