今後も頑張って書いてまいります!!
「大将、今日もおいしいです」
「おう、いっぱい食べな!」
嬉しそうに大将さんにそう告げたレイヴンはチャーハンと特盛ラーメンをモグモグと食べながらレイヴンは改めて教えてくれる。
「依頼をこなすような仕事がしたくて」
業務形態としては今の私たちと変わらない。彼女個人としては戦闘しない仕事を優先して経験してみたいらしい。
「戦うのは得意ですが……それ以外も見なければ」
とは彼女の言葉。先日の砂漠で聞かせてもらった話も含めれば、確かに彼女はひたすらに戦ってきたのだと思う。
ウォルターさんから普通の人生を望まれていたっても聞いたし……会議の前に皆に相談してよかった。
「レイヴン、うちの便利屋のお仕事は戦う以外のものもあるのよ」
「そうなんですか? 初対面が襲撃だったのでてっきり戦闘専門なのかと思っていました」
「お金を貰えれば何でもやる、が便利屋だから戦闘以外ももちろん請け負うよ」
そう言われると少しショックだけれど、初対面があれでは仕方ないのかもしれない。
私の隣に座るムツキが訂正してくれたのを見ながら最近受けた依頼出してくれる? とカヨコに頼む。
「これとか、荷物の運搬だから戦闘がメインではないよ」
「本当ですね」
そう言ってレイヴンが依頼の内容を見ている横でメットさんが手をあげる。
「でも、大きい企業じゃなくて個人事業への運搬依頼って違法系だったり多くないか?」
「そういうのもある。ただ、中身が貴重だから護衛もできる私たちに頼むってのが多いかも」
「なるほどな。便利屋は名前も売れてるし、違法なら尻尾切りしやすいゴロツキに頼む方が当然か」
そう言ってメットさんは納得したように頷いて自分の手元の端末に何やら入力を続けている。
「メットさんは何を入力しているの?」
「これか? 私が今までやったことある依頼を思い出して入れてるんだよ。
個人で受けたのは、修理とか、さっき言ってた運搬、何かしらの細かい雑用なんかかな。
ただ……実は犯罪の片棒でしたってやつが多くてな。身から出た錆だ。しゃーない」
そう言ってメットさんは肩をすくめた……なに、最近の私こういう子に縁があるのかしら。
そう思って私が口を出せずにいると、メットさんはそれはいいんだと言いつつ続きを話してくれる。
「今の状態じゃ便利屋が仕事を回してくれても、レイヴンがやれるのは戦闘が一緒についてくる依頼がメインになるってことだ」
それはその通りよね。とびぬけた戦闘能力を持つレイヴンだけれど、それ以外でとなれば他の技能も当然必要だ。
いつでも私たちがレイヴンにお手伝いを頼めるかは保証がしづらいし、レイヴンに他のいろんなものも見せてあげたい。
どうやって学ぶかの方法を考える私に、レイヴンはおずおずと手をあげる。
「依頼を受けるには他の技術も必要ですよね……技術関連は伝手があるにはあるんです」
「そうなの?」
「はい、ミレニアムのユウカとエンジニア部の方と知り合いなんです」
聞いたことのない名前、他の学園の生徒について詳しいわけではないけれど、
エンジニア部となれば名前からして技術を学ぶにはよさそうに聞こえる。
そう思っていると、メットさんが驚いたように声を出した。
「ミレニアムのユウカって……セミナーの役職持ちじゃないか」
それを聞いてカヨコとムツキが口を開く。
「セミナーってミレニアムの生徒会だよね」
「へー! レイヴンちゃんそんな人と知り合いだったんだね」
技術問題はそれで解決かな? とムツキが言う。
確かにミレニアムで学べるなら最初の内は私たちからの依頼を回して、ミレニアムの人から教えてもらいつつメットさんと修理なんかの案件をこなせば、技術者としての案件も取れるはず。
戦闘の案件は最初は多いだろうがそれは後から振り分ければいい。
「いいんじゃないかしら。ハルカはどう思う?」
そう私は私の隣にいてくれたはずのハルカに目を向けるが……そこにハルカはいない。
「あら、ハルカは?」
そう言って困惑する私にやっと気づいたと笑うムツキが答えてくれた。
「アルちゃんレイヴンちゃんのことで夢中だったんだね。
ハルカちゃんなら、さっきメットちゃんからお話聞いて、お外に出てるよ」
メットさんがそんなことをしてたなんて気づかなかった。
けれど、なぜ出て行ったのかがわからないと私が思っていると、お店の戸が開いて出ていたと聞くハルカが帰って来る。
「た、ただいま戻りました!」
「おかえり、悪かったな、仕掛けてきてもらっちゃって」
「い、いえ! アル様のお役に立てるなら!」
メットさんにそう迎えてもらうハルカは私に向けて笑顔で教えてくれる。
「あ、アル様、このお店に向かう風紀委員迎撃用の爆弾仕掛け終わりました!!!」
「ふ、風紀委員!?」
突然ゲヘナの治安維持部隊の名前が出てきたことに困惑する。
「風紀委員って?」
「ゲヘナの治安維持部隊だよ。悪い奴を捕まえる組織って感じ」
「封鎖機構みたいなものかな……」
そんな風にムツキにレイヴンが教えてもらっている横からメットさんは私に教えてくれる。
「マーケットの一件でレイヴンが噂になったろ? 探ってくる奴がいると思ってな。
大きく動くような団体がいたらわかるようにしてんだ。アビドスは人が少ないからすぐ目立つ……ほれ」
そうしてメットさんから見せられた携帯の画面には確かに大人数の風紀委員。
私は砂漠でのあの時と同じような感覚になる。けれど、あの時とは違う、冷静に冷静によ!
「ま、まあ? ハルカが迎撃用の仕掛けをしてくれたなら後は迎え撃つだけよね!」
「レイヴンの噂からは来るにしては早いし、多分私たちを追ってきたのかな」
そう話しながら大将さんへお会計をしようと立ち上がったその時だった。
「おい、あいつら攻撃してくるぞ!!」
「──伏せて!!!」
メットさんの声と声をあげながら駆けだすレイヴンに何かを言うよりも早く、目の前は爆撃に包まれていた。
******
キヴォトスにいて今まで戦いに行く側で、襲われた時も爆撃なんてなくて、平和ボケをしていたんだろう。
お会計したらゆっくり迎え撃って、迎撃用の爆弾で混乱したところをすぐ逃げよう。
大将のお店にもすぐいなくなれば迷惑は掛からないはずなんていうのがメットの作戦だったし私もそれで納得していた。
でも、封鎖機構の攻撃もいきなりだったし、治安維持部隊なんてどこも同じなのかもしれない。
爆発の直前、大将に怪我はさせたくないと思って覆いかぶさったは良かったが、爆撃をもろに食らってしまった。
皆にも伏せるようには言ったが、皆は無事だっただろうか。
そう思って体を起こそうとして気づいた。
いつか見たあの赤い雷が取り巻く夢をまた私は見ていた。
『今度は何の用?』
ホシノの声がする。
『そう警戒なさらないでください、レイヴンさんはお元気ですか?』
『あんたに答える義理はない、何の用?』
黒服がクックと笑う声がする。
これは二人が今話していることか。
『再度、アビドス最高の神秘をお持ちのホシノさんにご提案をしようと思いまして』
『ふざけるな! その話はもう──!!』
黒服の言葉に強く反発するホシノの声が聞こえる。
最初に黒服と会った時、久しぶりと言っていたのは以前の提案があったからだったのかと一人で納得する。
『落ち着いてください、以前の話とは別のお話ですよ』
そう言って黒服はホシノへお気に入りらしい映画の言葉を続ける。
『あなたに、決して拒めないであろう提案を一つ』
その声と共に私の意識が浮上する感覚がする。
目覚めた車椅子の私はもう一度目を閉じて柴関へ移動しながら決意する。
『ホシノへ、キヴォトスでの私の恩人の一人に問いただそう。どんな提案を受けたか』
────カシャン
目覚めた私の前にはもう大将の姿があった。
「目覚めたか、嬢ちゃん!」
「はい。怪我はありませんか、大将」
私の問いかけに大丈夫だと大将は答えてくれる。
私はそれに安心しつつ、ゆっくりと立ち上がる。
やはりキヴォトスの体はすごい爆発を受けたにしては体の痛みはほぼなく、
店先で戦う社長たちと、彼女たちに何やら指示を飛ばすメットが見えた。
メットは私に気づくと大きく声をかけてくれる。
「大丈夫か?」
「うん。状況は?」
私の返答にメットが状況を教えてくれる。
迎撃用の爆弾が、最初の問答無用の一撃でスイッチが飛んで行方不明らしく今のところは拮抗中らしい。
便利屋は手練れだから対応は大丈夫だろうが、戦力はあって損がないとのことらしい。
「参加できそうか?」
メットからインカムを投げ渡されて問われたその言葉に頷いて、私は駆けだす。
店先でスナイパーライフルを構えるアル社長を飛び越えて、
ムツキさんとカヨコさんとハルカさんを見つつインカムに告げる。
『遅れてごめんなさい……手早く済ませよう』
便利屋業務日誌を読んでいますが、みんないい子ですね。
アウトロームーブをもうちょっとさせたいですが……発揮されるのはもっと後になりそうな気がしてます。