いつもな感想ここすきありがとうございます。
よろしくお願いします。
頑張って書きます。
私が学校についた時、校庭ではせっせと掃除をするホシノ先輩がいました。
「あ、おはよ~、ノノミちゃ~ん」
「おはようございます、ホシノ先輩。なにかあったんですか?」
そう問いかける私にホシノ先輩は頭を掻く。
「レイヴンちゃんとシロコちゃんが勝負をしてね」
「ああそれで……」
散乱した壊された銃の破片なんかがシロコちゃんお手製のトラップの残骸なんでしょう。
ただ、そうなればと私は当然いるはずの残りの二人が居ないことに首をかしげました。
「そういえば、肝心のお二人はどうしたんですか?」
「ああ、二人なら……あ、ちょうどいいね」
そう言ってホシノ先輩が目を向けた先には言葉通りタイミングよく出てきた二人。
ただ、私の目を引いたのはレイヴンちゃんの服装の方、良く似合っているその服装に私は思わず声を上げる。
「アビドスの制服! いいですね~!!」
アビドスの倉庫に余っている物から出してきたのであろう制服。
普段の連邦生徒会の服装も背中が良く見えてセクシーでいいですが、このアビドスの制服もよく似合っている。
私が手を振れば、いつもの顔でクールに振り返してくれる彼女を見ると、新しく後輩ができたみたいな気分で私は頬が吊り上がってしまっていた。
けれど、今までの服装から変えるというにはすぐに理由が思い浮かばず私はホシノ先輩に目を向ける。
「連邦生徒会の制服どうしたんですか?」
「ああ、それが……」
ちょっと気まずそうな顔をするホシノ先輩、その手元に取り出された連邦生徒会の制服だったものを見て私は納得する。
「勝負でってことですね」
「そうなんだよね……」
服として着ていくにはこれは確かに刺激的が過ぎるであろうデザインになってしまった制服がそこにはありました。
気まずそうな顔をするホシノ先輩がちょっと頼みにくそうな顔をして私を見る。
「それでさ、お願いがあるんだけど」
「どうしたんですか?」
その頼み事は制服のことを聞いた私からすれば予想の範疇のことでした。
けれど、その予想通りの提案はホシノ先輩から言われなければ私が言おうとしていたもの。
あの日、もう怖がらないと決めていた時から温めていた計画を進める時が来たのです。
「どれにしましょう~」
私は店舗に並べられた服を一つずつ見ながら選んでいく。
今のところ計画は順調、予定通りに進めることができていました。
大仰に計画と言っても、そんな大したものではありません。
地下駐車場のある店舗を丸ごと貸し切りにして、お会計も後にして、レイヴンちゃんを連れ出す。
ゆっくり選べる時間を確保しつつ、二人で一緒にお洋服なんかを選んで仲良く……という普通のお友達とやるようなことをしようと考えただけ。
私が服を選んでいるのはとりあえずこういうのに疎いであろうレイヴンちゃんに服を着たりというのを楽しんでほしかったから。
「これで、いいですかね」
私は選んだ服をもってレイヴンちゃんのいる試着室へと向かう。
出来うる限りで、キヴォトスでの彼女の生活を助けられたらと今の私は思っていました。
それは自己満足な、罪滅ぼしのようなものですけれど。
「レイヴンちゃ~ん、お洋服きれましたか?」
明るく私はカーテンの外から声を掛ける。
控えめに返された返答に入っていいかの確認をして中に入る。
「どうかな?」
「いい! いいです! 似合ってますよ!」
そこにはジーンズにシャツのカッコイイ系の服装のレイヴンちゃん。
そのクールな無表情にはこういう服装がよく似合っていました。
やはり、こういう服装が彼女には一番なのでしょう。
ですが、今日の目的は似合うものだけでなく、ファッション自体を楽しんでもらうこと。
私は手に持っていた服を広げてレイヴンちゃんへ押す。
「つぎ、次これ行きましょう!!」
「う、うん」
私の差し出した装飾いっぱいの服を手に取って、レイヴンちゃんは頷く。
私に押される表情は無表情ながらもどこか慌てるように見えて可愛らしい。
この慌てた感じを堪能しつつ、この調子でいろんな服を着てもらって、好きなのを選んでもらえば、一石二鳥。
私の趣味の服も、この調子でいっぱい着て貰えて、レイヴンちゃんの服も買えて、最高なんです。
シロコちゃんはともかくとして、一年生の二人はこういうことを恥ずかしがってしまうでしょうから。
「いい! いいですよ!」
「そう? なんか……ふりふり?」
そうして、ゴスロリ衣装のレイヴンちゃんにしたり。
「いい! セクシーも合います! いいですよ!」
「動きやすい……いいかんじ」
ちょっと大胆なお腹出し、肩出し、背中も空いてるようなのも着せたり。
「格好いい! 格好いいですレイヴンちゃん!」
「……『仕事の時間だ』」
「きゃー!!!」
ちょっと暗い色合いの服装を選んで闇に溶ける仕事人みたいな感じのとか。
クールなその表情のまま、慣れないながらもポーズをとってくれる姿が可愛らしくて、私はその姿に歓声を上げる。
「本当に、何でも似合っちゃいますね~」
コロコロと素直に着せ替えられてくれる彼女を見ながら私は本心からそう言いました。
ポーズや台詞を言ったりと、空気も見てくれる。
内面が感情豊かで、顔には出ないだけなのだと思う。
だから、もっともっと楽しんでほしい、その固い表情が、思わずほころんでしまうくらいに。
「レイヴンちゃん」
「どうしたの?」
私に向けて、必殺お仕事みたいな服装に着替えてくれたレイヴンちゃんが首をかしげる。
その顔を見て、元々の予定通りに、けれど、予定を決めた時より強く思いながら私は聞いてみる。
ここまでいろんな服を見た、どういう服を彼女は選ぶのでしょう。
「レイヴンちゃんの着てみたい服、ありましたか?」
思いを乗せてそう問いかける。
貴方のことを教えてくださいとそう願う。
着飾るものはある意味でその人を表すものでもあるはずだから。
貴方の着てみたい服を教えて、見てみたいと私は思う。
その私の顔をレイヴンちゃんはまっすぐ見ていました。
私を見通すような、貫かれるようなその瞳のままに彼女の口は教えてくれる。
その素直さのままに。
「着てみたい服があるの」
レイヴンちゃんと一緒に私は店舗を移動する。
掲示板を見ながらふんふんと何度も頷いて移動する彼女が向かう先を見て、私は確認した。
「レイヴンちゃん? こっちはメンズファッションですが……」
男の人向けの服装のフロアにずんずんとレイヴンちゃんは進んでいきます。
疑問を向ける私の声に、レイヴンちゃんの間違いないと言う断言が帰ってきました。
男物、女の子のレイヴンちゃんとは体型的に合いにくいそれを着る理由は私の想い当たる中では少ない。
そんな私の前でまっすぐ進むレイヴンちゃんが向かったのは男の人向けのジャケットなんかのコーナーでした。
ここにその着てみたいものがあるのかと思いながら、私はレイヴンちゃんに改めて問いかける。
「何を着てみたいんですか?」
男の人向けの服装は、肩幅の関係もありますし、彼女の体形にはどうしても広く感じるだろうと個人的には感じる。
けれど、それでも彼女に『着てみたい』と言わせるその服であるならば、理由はきっと過去の人たちのものなのだろうと私は思う。
私の中で多分と思い浮かぶその人のことを思い浮かべながらした問いかけ。
その問いかけに、レイヴンちゃんは男の人向けのコートを一枚手に取る。
「ウォルターと同じ色のコートが着たいんだ」
ウォルターさん……彼女の飼い主さん。
過去の音声に出ていた、あの淡々とした声を思い出しました。
『お前のような……脳を焼かれた独立傭兵でも、人生を買い戻すだけの大金を得られるはずだ』
どこか冷たくを感じる声を出していて、けれど、レイヴンちゃんにこんなにも慕われている人。
社長さんたちに聞くところ、彼の願いの通りに『普通の人生』を過ごしたいと言うほどに。
「コートはエンジニア部に作ってもらおうと思ってるんだけど……一緒に着る服が欲しいんだ」
私の前でレイヴンちゃんは手に持ったコートを羽織りながら私に言いました。
「こんな感じで……合うやつ、ノノミに選んでほしいな」
問いかける顔は小さく傾げられていて、本当にかわいらしかった。
それに、親しい誰かの着ていたものを着たいなんて、素敵だと私は思います。
だから、私はぐっとこぶしに力を込める。
彼女の仕事着にもなるのですからこれは責任重大な話。
そう思って、大きく宣言をしました。
「もちろんです! 任せてください!!」
そう唱えてから私はウキウキで服を選びました。
ごつい男もののコートを羽織ったレイヴンちゃんに似合うように、
体を動かす仕事をメインにするであろう彼女の邪魔しないようにと服を選ばなくてはなりません。
だから、ズボンはホットパンツにしました。
「うん、動きやすい」
なんてレイヴンちゃんからの言質もいただいて。
下着にホットパンツの恰好でくるりと宙返りをする彼女に慌てたりなんかもありましたが、まずはそれで決定。
上はウール生地のもこもこした奴と合わせてもいいかというのが最初の考えでした。
でも、ここで私は気づくのです。レイヴンちゃんには羽と耳が生えるという事実に。
そう、連邦生徒会の制服と同じく、背中が開いている方が良いはずなんです。
コートに関しては腰巻にするという手もありますが、上は脱ぐ選択肢なんてありません。
なので……
「いいですねー! セクシーな感じでとても似合ってます!!」
背中の開いたシャツを選択しました!
コートを着れば背中もがっちりガードできますし。
羽が生えてもこれなら問題なありません。
レイヴンちゃんの真っ白な背中を大きく見せたその服装に少しだけ荒くなる鼻息を感じながら、
私はニッコリ笑顔でレイヴンちゃんへと仕上げのようにコートを着せました。
「さ、完成です!!」
そう言って私の宣言した先で、レイヴンちゃんは見せつけるように鏡の前に立っていました。
コートを格好つけるようにばさりとはためかせて、そしてなぜかショットガンを杖のように地面との支えのようにして、感慨深そうにその目を細める。
きっと、そのショットガンの置き方にもきっと意味があるのだと私は……思いました。
「え、こっちも?」
「はい、当然です☆」
問い返すレイヴンちゃんに私は強く頷く。
新しくわたしの選んだ服を着てくれたレイヴンちゃんが問い返すのに私は頷いた。
計画はさっきの服を選ぶので終わりではないのです。
当然ながら、レイヴンちゃんというのは二人いるのですから、二人分選ぶのが当然。
私は計画の最終段階、もう一人のレイヴンちゃんの車椅子を押しながら、にっこりと微笑みました。
「どんな格好でも、オシャレは大事ですよ、ね☆」
これは私の身勝手ですが、オシャレをするにあたって、この自由なレイヴンちゃんだけというのは違うと私は思ったから。
車椅子のレイヴンちゃんについても……どんな姿でも、オシャレは大事だと私は思うから。
そのためにお店は貸しきりにしたのです。
そのためにお会計は後にしたのです。
そのために地下駐車場のあるお店にしたんです。
「でも、どうやって移動を」
「先生にお願いしちゃいました☆」
レイヴンちゃんのために何でも協力してくれる先生を利用し、スモークのついている車を借りて移動させました。
このレイヴンちゃんをあまり表に出せないなんて私もわかっていましたから。
だから、これができたのはカードのある私だけ。
これは私に最適な役回りです。
「さあ、レイヴンちゃん教えてください。」
無表情ながら、あっけにとられたように少しだけ口の開いたレイヴンちゃんに私は微笑む。
「車椅子のレイヴンちゃんは、どんな服が着てみたいですか」
その私の顔を、どう受け取ってくれたのでしょうか。
少しだけ呆れたようなレイヴンちゃんが、小さく頷いて微笑みました。
*****
鏡の中の私を見る。
ぼやけた視界の中で、車椅子の私がふわふわ、ひらひらの服を着ている。
「いいですよ! 可愛いですよ!」
けれど、そんな私を見てもノノミは屈託なく笑ってそう大きく言った。
もう一度、鏡を見る。こんなちんちくりんがと思ってしまう。
「きっと、皆も似合ってるってそう言ってくれますよ」
けれど、見つめる私に、ノノミのそんな声が聞こえた。
似合っていると、みんな本当に言ってくれるだろうか。
こんなにも、アンバランスなのに。
皆……微妙な顔をするだろうか。
それともやっぱり彼らも優しいから同じ反応?
ああでも、きっと─────
『あっはっは! いいよビジター! 愉快な見た目になったじゃないか!』
──────カーラが一番楽しそうに笑うだろうとそう思って。
なら、着てみてもいいかなんて思えてしまった。
彼女が笑ってくれるなら、きっとこの服を選ぶのは良い事だ。
ノノミと、呼ぶように私は手を伸ばす。
手をゆっくり伸ばしてノノミの手を握る。
「どうしたんですか?」
私の方を微笑んでみた彼女の顔に私は顔を向ける。
この服はいい服だとそう思って、そのお礼を伝えるように。
伝わったのかはわからない。
けれど、その私の顔を見てもう一度微笑んだノノミと一緒に並んで鏡を見たのはすごく……楽しかった。
もこもこ車椅子レイヴン、アリだと思います。
ここのレイヴンはどっちのレイヴンもイベントごと別衣装が出る予定。
※ウォルターのコートは固定(これ絶対)