遅くなりました。
次の便利屋と先生とエンジニア部は全員分まとめて出します。
よろしくお願いします。
「……こんなものでしょうか」
シロコ先輩とレイヴンさんの戦闘の跡、傷ついた壁面の修復と、学校設備の点検を終えて私は一息をついた。
レイヴンさんと勝負するのはよいのですが、せめて学校ではなく別のところでやってほしかったというのが正直なところです。
『勝負するなとは言いませんがせめて場所を考えて……』
『ごめんなさい……』
『まあまあアヤネちゃん、設備の修繕はおじさんもするし……』
『そもそも壊さないでくださいと言ってるんですよ?』
『……ごめんなさい』
正座した先輩二人を相手にそんな説教をしたのはもうずいぶん前になる。
あと少しあと少しと引き延ばしてしまったのもあり、空はもう真っ暗になってしまいました。
説教の後手伝ってもらっていた先輩二人も一時間ほど前に帰ってもらったし、もう学校には私、メットさん、先生、それから……レイヴンさんだけのはず。
服が破けたということでノノミ先輩と買い物に行っていると聞いていたレイヴンさん。
ノノミ先輩に買ってもらった新しい服を着て、少し弾む足取りでラーメンを食べに行ったと聞いた彼女のことを考えて、私は自分の顔を覆う。
先輩の手前私は避けて通れなくなってしまったある事をしないといけない。
つまり────
「レイヴンさんだけお説教無しって……だめだよね……」
先輩二人にお説教をして、しばらくして冷静になって気づいた。
このままいくならレイヴンさんにもしっかり注意、もといお説教をしないといけない。
ただ─────
「緊張するのにできるかなぁ……?」
顔を覆って自問する。
ドローン越しのあの武器を手放したのを見てすら、緊張自体はそのままというのが私の実情で、メットさんに言われて怖いままでもいいんだなんて思えているから、普段は良いというだけだ。
話が通じるとはいえ『獣』は『獣』であるわけで、レイヴンさんがただで手を出さないのは知っていてもじゃあお説教できますとはいかない。
けれど、いけないことをしたのは事実なわけで、いけないことはいけないと言っておかないとレイヴンさんはシロコ先輩でなくとも誰かにつられることになりそうな気がするのも事実。
今度は一緒にカイザーの悪徳現金輸送車を襲ってみましたなんて言われたら目も当てられない。
『ん、大量』
『証拠も消した、良い臨時輸入になる』
ホシノ先輩は止めるかもしれないけれど、いなかったら?
二人でぐっと手を握って突き上げる二人が想像できて……
「ありそう」
否定できないのがとても悔しい。
事前にさせる釘は刺さないと……なんだけど……
「どう声かけよう……」
今からお説教しますなんてレイヴンさんにうかつに言い出せない。
あの顔で、あの目で、まっすぐ見られただけで口からは気の抜けた声しか出ないだろう。
一番最初の会議の時、私はどんな気持ちでレイヴンさんに怒ったのかもう遠い彼方の記憶になっていた。
先生にお願いというのも、レイヴンさんには腰が引けて説教は先生にお願いしましたなんて良いわけない。
先輩たちの手前、不公平なのは紛れもない事で……
「行くだけ……とりあえずレイヴンさんのところまで行くだけ……」
行く間に考えよう、そうしようなんて私は後回しする自分に頷く。
きりっと表情を作って、胸を張って歩けば、レイヴンさんの部屋につく頃には覚悟も決まるはずなんて、絶対にありえない想像をする。
メットさんも言ってくれていた通りだ、後悔の無いように!
「頑張れ私!」
そう気合を自分に入れる。
ビビりの私に勢いあれというように。
ガチャン
しっかり点検口を閉じて、背筋を伸ばす。
さあ行くぞと勢いよく廊下の先を見て───────
「え…………」
真っ暗な廊下の先に人がいるのを見つけた。
ひらひらとした布地の多い服を大きくはためかせ、顔に張り付けたような笑顔を浮かべた人。
それは夜の暗い廊下の中で、座った姿勢のままゆっくりと音もなく動いていた。
私に向かって、真っすぐに───
「………………」
固まる。
さっきまでの気合なんて吹き飛んで、目の前にいる正体不明の人型に目を奪われる。
ゆっくりと近づくそれから目をそらしたいのに、逸らせない。
息もできない緊張の中、私の思考を戻したのは、手に持っていた工具が落ちる音でした。
体を反転させて、荷物も放って、私は走り出していた。
「うそうそうそ! なになになになに!?」
ホシノ先輩から幽霊がいるみたい多うわさは聞いたことがない。
私はいつかカタフラクトの中であった出来事を思い出していた。
いつからアビドスは怪談のようなことが起こるようになったのか。
廊下を駆けながら、私は携帯を取り出す。
メットさん、メットさんが学校にいるはずと私は携帯を引き抜こうとして───
シューーーーーーー
滑るようなひらひら幽霊の音を聞いて携帯を取り落とした。
拾おうとする私の視界に、廊下で見た何かの姿が映る。
「ひいいいいいいい!!!」
私は携帯も放って駆けだしていた。
聞いてない! 私こんな目に合うなんて聞いてない!
「逃げなきゃ逃げなきゃ!」
どこに!?
後ろからは変わらずすべる音がする。
もう顔も向けることができずに私は走る。
そうだ! 先生! 先生の所にと思って足に力を込めようとして───
ヒュ
顔の横を、風が駆け抜ける。
張り付けたみたいな笑顔が私を追い越して、目の前にあった。
私は尻もちを搗く。
目の前のその絵に描いたみたいな、ラクガキのような顔がどんどん近づく。
私は立つこともできず、後ずさりもできず、思わず叫びそうになって─────
『だいじょうぶ?』
幽霊が私に向けて掲げたノートの言葉にあっけにとられた。
「え?」
ああ、とても恥ずかしいことだ。
間抜けな私の目の前で、私が緊張することも、どうお説教するか悩むだろうことも、全部全部見透かしていたその子は、不自由な手を動かして紙に自分の言葉を書いて見せてくれた。
『しろこせんぱいとのしょうぶ、あやまろうとおもって』
力の入らないであろう手を一生懸命に動かして、
『こっちのがあやねはこわくないとおもった』
握力の無い手に、ペンを括りつけて、彼女は自分からしっかりと私に伝えてくれる。
『ごめんなさい』
ノノミ先輩に買ってもらったであろうひらひらの可愛い服を着て、笑顔の似顔絵を顔に張り付けて、車椅子のレイヴンさんは私にしっかりと頭を下げた。
私は、何も返せない。
幽霊だったものがレイヴンさんだったとか、私の緊張がどうとか、お説教とか、そんな細かい事とかそんなのも頭には出てこない。
ただ、走った疲れと、恐怖からの解放と、目の前のレイヴンさんの素直な謝罪に気が抜けて───
「あああ~~~~~~」
何か頭の中の全部が抜けて行くような感覚と共に声を出していた。
私の緊張はどこかへ家出をしたのでしょう。
「いいですか? レイヴンさんが私を気遣ってくれたのはわかっています。それについては感謝しているつもりです。
ですが、一般常識として、急に誰かが現れたり、知らない顔の相手だったりすればびっくりするのはレイヴンさんもご存知のはずですよね?」
短く頷く車椅子のレイヴンさんを前に、私は恐怖も何もなくつらつらと言葉を並べることが出来ていた。
「勝負をしたことは百歩譲って構いません。ですが、戦闘の際には物は飛び散りますし、設備が破壊された場合は修理が必要なのはレイヴンさんはよくご存じのはずですよね?」
また包帯の頭が振られる。
そのまっすぐな眼に、今は何の緊張もなく私は声を掛けられる。
なんというか、さっきの恐怖のおいかけっこが魔法かけてくれたみたいに。
「レイヴンさんの事情は分かりますが、戦闘のお誘いに軽々しく乗ってはレイヴンさんの今後のためにもならないと私は思います」
流れ出る自分のお説教に自分でも半ば驚きつつ、レイヴンさんを見る。
その顔は包帯で見えずとも、いつもに比べて若干俯いているようで、見ていれば『しょんぼり』の擬音が付きそうで。
『「言葉を解す獣」ってのもいるってことだ』
その言葉が、私の頭の中でもう一度響いていた。
言葉を理解する、その様をまじまじといま改めてみているみたいに思える。
「備品一つにもお金はかかります。壊したりっていうのは無限にあるわけでない物をどんどん使ってしまう行為なんですよ」
その光景が、どこかあの膝をついたカメラ越しの彼女をもう一度見ているようで、
『今回の件、お説教、私はしてよかったのかな?』
説教を述べる私を眺めるようにもう一人の私の思考が流れていくような気がした。
それは、そもそも今自分がしていることへの疑問。
「いいですか? レイヴンさんがキヴォトスでの生活を進めるうえで、法律の順守というのはとても重要なことなんですよ」
『私が追いかけられた原因って、私が怖がってるせいでは?』
いまだに恐れを拭いきれない私への自戒。
私はレイヴンさんが車椅子だってことを知ってるはずなのに。
「レイヴンさんは今後便利屋さんとお仕事をされるんですから、法律というのの重要性は知っていて損はないはずです」
『この行動も私を想ってくれたものなら、そもそも私がしっかりレイヴンさんと関係性を持っていれば大丈夫だったのでは?』
過去の私への後悔。
ただ恐れていただけと今との違いは?
「シロコ先輩の想いに応えるという意図があったことは先輩からも伺っていますが、だからと言って何をしても良いわけではありません」
『緊張しているからと言って、暗くなるまで先延ばしにってしていた可能性がないと言える?』
突き刺さる思考に口が止まる。
もう一度、過去のメットさんの言葉が流れていく。
『「言葉を解す獣」ってのもいるってことだ』
言葉を解すから私のお説教も聞いてくれて、言葉を解すからペンで私に言葉を伝えてくれて、言葉を解すから今こうやって落ち込んでいて、言葉を解すからこうやって私が怒ることに反応して、言葉を解すから──────
自分の中で流れていたもう一つの考えの方に思考が寄っていく。
バカなんじゃないでしょうか────私は
メットさんに実際どれくらい怖いのかを改めて聞かないといけない。
緊張していた自分が恥ずかしく思えてきた気もする。
多分レイヴンさん自身にも見抜かれていた自分の緊張を思い返して顔をまた覆いたくなる。
なんでこう後から怒ったり、お説教したり、後悔したり、ああしてればって、後から私は気づくのか。
もしかしていっつも手遅れになってから動いてるのはないかと、緊張するのはいいにしても緊張するにも場面があるってことに、今理解が及んでしまった。
今も、レイヴンさんがこうやって私の所に来る前に私から学校でシロコ先輩と戦闘しない様に言ってれば今お説教する必要のあるようなことはしなかったわけで─────
そんな風に思ってしまえば、この私のためにもってきてくれたであろうお土産とか、今のこのしょんぼりした様子とか、この目の前の俯く包帯の頭に、今はない犬耳のようなものが見えた気がして────────
───ワンちゃんみたい。
「ああ~~~」
いつかネットで見た失敗した犬の映像が頭に流れた瞬間、大きく吐き出すような声がまた出ていました。
*****
思えば、ルビコンではこれをしてはいけないと言った叱られかたをした覚えがない。
私と話してくれる人は皆優しかったと記憶している。
『621、よくやった』
『やるじゃないか、ビジター』
『流石だな、戦友』
『G13! おまけにしては悪くない働きだ』
それどころか、みんなよく褒めてくれたと思う。
……私がCOMの定型文以外で話せないからヘマしなかっただけという可能性もあるけれど。
だから、ホシノやシロコ先輩からの連絡を見たこと────
『レイヴンちゃん、アヤネちゃんに、しっかり謝るようにしてね』
『レイヴン、ごめん……覚悟して』
その話を聞いたノノミとセリカの態度─────
『あら~これは……』
『……うん、骨は拾うわ』
アヤネのお説教というものの凄まじさをそこに見て……ちょっと、というかかなり……行ってしまえば腰が引けたのだ。
いまだにちょっと緊張の見える彼女が実際怒ったら怖いとなれば、どうなるかということに。
穏やかな人の方が怒ったら凄く怖いらしいというのはルビコン出身で常識のない私でも想像が着く。
今日からお掃除当番連続ひと月とか?
はたまた自由な体への移動しばらく禁止とか?
今から無抵抗で銃に撃たれろとか?
まさか、暫くラーメン抜きにされるとか!?
それは地獄だ、絶対避けたい。
流石にアーキバスの施設で受けた再教育云々よりはマシと思いたかった。
いや、今の私にはラーメン抜きの方が効く気がする……絶対避けたい。
あれが今のところキヴォトスで最も日常的に得られる幸福の一つだから。
そんなわけで、自らの想像内の刑罰をできるだけ軽くするために、計画したのだ。
セリカからアヤネの好みのお土産を聞いて、車椅子の体なら多少は緊張もなくて許してくれやすいかなとか、ノノミにかわいいと言ってもらえた服装にして、包帯の顔は愛想がないだろうからと似顔絵をくっつけて。
『これでよし』
我ながらに上手く飾れた自分をみて頷き、貢物をもってアヤネの元に走ったのだ。
ふりふりの服に不自由で無抵抗な私、しかも顔はニコニコ笑顔となれば───
『謝ったうえにお土産まで……仕方ないですね!』
なんていうのを想像していた。
せめても、そのお説教というのは短く終わるのではないかなんて。
私に踊りを教えてくれた奴も言ってた、喜んでもらえたら……素敵だ、あいつもこういう気持ちだったのだろう。
私は心なしか鼻息荒くアヤネの元へと車椅子を走らせる。
忘れていたっけ、私の達成感の後は────
「レイヴンさん」
不意打ちが常だ────
「覚悟はいいですね?」
うん。これは人生で最も死に近い。
この怖さは初めてのものだった。
頭上からポコポコと回避不能のダメージが永遠と続くような感覚だった。
痛くなんかないはずなのに、突き刺される言葉に俯く。
これがお説教、これが叱りというものかと、私は反省をする。
ウォルターなんかにされた日には多分私は一生忘れられないに違いない。
多分コーラルに焼かれる方が温いだろう。
アヤネみたいな気弱で優しい子を怒らせるとこういうことになるのだと、私は今しっかり学んでいた。
私に緊張していたのに、こんなにも言葉を出せるなんて、怒りというものはすごいものだ。
シロコ先輩との勝負は楽しかったけれど、それはそれとして物を壊すのはいけなかったと反省する。
きっと、今後も戦闘をするその時は─────
────他の物を壊さないように、倒す様にしようと。
よくわかった。
ACの時は周りを気にしたことがなかったから知らなかったのだ。
申し訳がない。
反省の意を示す様に俯いている。
時々チラチラと顔をあげてはみるが、その眼光に押されてまた頭を下げる。
これはどうしよう。どうすればお怒りというのは収まるのだろうか。
今までとりあえず怒ってようが何だろうがぶった押してきた記憶しか私にはない。
そんな私の人生経験の無さを物語るような浅い思考をしていると……ピタリとアヤネの声が止まったのに私は顔をあげる。
何なのだろうか、まさか、今度はもっとすごいお説教なのだろうか。
そう覚悟をして私が彼女の顔を覗いた数舜後だった。
「ああ~~~~~」
突然に、アヤネが叫び始めた。
まさかお説教とは叫ぶ儀式でもあるのだろうか。
それは、確かにこれは怖いと皆が言うのも頷ける様相で、私は慌てる。
さっき危惧したより強烈なお説教がと想像をしたのだ。
だから、私は膝の上に置いた貢物の袋に手を伸ばす。
力の入らない腕で、それを探し当て、叫ぶアヤネにそっと差し出す。
包帯巻きの私の腕の先、ちょうど今日、セリカと帰る直前に大将から貰ったとっておき───────
────ラーメンの超大盛無料券。
私にとって他人に譲れるものの中で最高に価値のあるそれを差し出せば。
ぽかんとした顔でアヤネは私の顔を見て……
「すいません……」
しょぼくれた顔でそう謝って来たのだった。
*****
「あの……レイヴンさん」
私の声に、レイヴンさんの包帯に覆われた顔が私の方を見る。
何か話さないとと思って声を掛けた私はその目を見て─────
「なんでもないです……ごめんなさい」
また顔を逸らした。
恥ずかしいにもほどがある。
叫んだり、走ったり、怒ったり、また叫んだり、謝ったり、どんな情緒なのか。
車椅子のレイヴンさんの隣、私は自分の行動が恥ずかしすぎて気まずくなっていました。
しかも、しかも─────緊張が復活してる……!!!
どうして、なんで、と自分に問いただしたくなる気分でした。
もうさっきのように言葉を並べ立てるような真似ができる気は全くしません。
私は大きくため息をつきました。
どうすればいいんでしょうこの雰囲気。
会話と思っても、私が何か話せるわけでもない、そもそもレイヴンさんは声が出せないですし。
私が何かしないといけない。でも、何をすればいいのかわからない。
そう考えればまた自分のどうしようもなさにため息をつきそうになる。
ただ、今度のため息は吐く前に差し出された紙に止められる。
目の前に掲げられた紙、それを持つレイヴンさんを見れば、彼女は私の顔をじっと覗き込んでいて、私は目の前に掲げられた紙を見る。
私の様子を見て、彼女が考えて差し出したであろう紙、
ため息を吐きまくり、説教をした私に差し出されたそれには、どういう意味なのか端的に分かる文字。
『いらいむりょうけん』
元気づけてくれている……と思っていいのでしょうか。
無料券……なんでもお願いを聞いてくれる券……それを手に取って、私はそれでもやっぱりため息をつく。
今度は、気を使わせているという罪悪感で。
その私に何を見たのだろうか、レイヴンさんはまたしょんぼりと顔を俯ける。
その様子に私はまたワンちゃんの絵が頭によぎる。
腹をくくるしかなかった。
本当に、ここで動けなければ一生気を使われたままな気がしたから。
「レイヴンさん!」
私の声にレイヴンさんが顔をあげる。
無表情すぎて何を言いたいのか私にはわからないその顔、私をまっすぐ見つめる目に向けて、私は貰った依頼券を胸に抱いて声を出す。
「お友達になってください!!」
緊張しながら言うべきことではないことを、それでもしっかり声に出した。
彼女にとっては私が言う前から友達だと思っているだろう。
けれど、これはある意味彼女を全く見ていなかった私へのけじめとして、これから彼女をしっかり知ろうと思う私の決意として、緊張はいまだにあるけれど、怖くもあるけれど、私もメットさんのようにしっかりと貴方を見てみたくて、そう告げる。
それは、伝わっただろうか。
声のない彼女を私は見つめる。
それは私の言葉への返事だと思っている。
確かに、確かに包帯の下の顔が変わったのを私は見たし、出ないはずの声を聞いたのだ。
ニッコリ笑って、いつもより少し低い女の人の声を。
『よろしく、アヤネ』
聞き直した時の二度目はなかったけれど。
アヤネはレイヴンの声が聞こえました。
これは本当です。
ウォルターに怒られたら弊社レイヴンは定期的に見る悪夢になる。
これも事実です。命の恩人かつ人生の恩人だからね、怒らせたらそうなるよね。