◇戦慄の46秒……!
◇◇◇
C.D.T.K前夜……
寮のリビングにて、乙骨が唇を噛み締めて座っている。
「……………………………」
「憂太駄目だろ こんな夜遅くまで起きてちゃ」
「タフ君…………」
そこに髪をポリポリと掻きながらタフが入ってきて、少し乙骨の瞳に光が宿った。
「いや……あのさ……もう明日でC.D.T.Kが始まるなんてさ……とても実感出来なくて…僕は参加しないんだけどなんか……緊張しちゃって…もしかしたら……この闘いを堺に……たくさんの人が死んじゃうんじゃないかなぁって………」
乙骨の身体が恐怖と緊張と冬の寒さで異様に小刻みに震える。親指の爪をガジガジと噛み続ける。不安とストレスで少し病んでいる様子であった。
「………………」
乙骨にタフが近づいてくる。
………ガバッ
「どうしたの? 顔色悪いよ まるで電気椅子に座る前の死刑囚みたいだよ」
タフはガッシリと大胸筋で乙骨を包み込むと次第に心と身体が温まっていき、震えが治る。
「あぁ…タフ君……ごめん……交流会の時も僕を慰めてくれたよね…初めて任務に行った時も……僕や真希さん…子供たちを助けてくれた……!ハハハ…情け無いなぁ…何も恩返し出来てないや……」
乙骨はタフのガッシリとした腕に掴みながら今にも消えそうな掠れな声で呟く。
「欺瞞だ すべてが欺瞞に満ちている」
「え……嘘って……?」
それをタフは聞き取るやいなや左手の指輪を見せながら反論してくる。
「ワシ…真依ちゃんと付き合い結婚して愛の尊さを知ったンダァ……
可愛らしくて…楽しくて……面白くて……とっても幸せだったのん……!
だから憂太の凄さが深まるんだ。普通だったら恋人が荼毘に伏して…醜悪な怨霊になって長年取り憑くなんて……ワシだったら自殺しちゃうね……
しかも里香ちゃんが怨霊になっても絶望したままでいずに里香ちゃんの呪いを解こうとかそんなんあり?里香ちゃんへの愛が素晴らしすぎるんとちゃう?
ワシ……憂太のこと……尊敬するでっ!」(ニコッ
乙骨は無表情になったかと思えば片手で口を抑えて吹き出す。
「アハハッ!何それ…!皮肉のつもり?」
「あっ…も…申し訳ありませんd」
「冗談冗談!ありがとうねタフ君!おかげですっごい元気貰ったよ!!
……タフ君……絶対に生き残ってよ!」スッ
そう言うと、乙骨は小指をタフに差し向ける。指きりの合図である。
「マイ・ペンライ!」スッ
ガシッ
乙骨は自分の小指とタフの小指をしっかりと握らせた。
「お互い愛すべきものがあると厄介なものだね」
「何言ってやがる 愛が"最強"だろ」
◇◇◇
寝る前にタフは真依に電話をかける。明日のC.D.T.Kに真依も参入する為、最後に出来るだけ戦闘の際のアドバイスを告げておく。
「真依ちゃん…
関節技は無闇に相手には使ってはいけないんだ相手の術式にやっては相手のテリトリーに自分から入り込むことに等しいんだだからバトル・スタイルは普段からの銃を使っていざって時に蹴り技かパンチを相手に放てっ!」
「うん……うん……分かったわ……ねぇ……タフ君…?」
「なんスか?」
「タフ君はこの闘いで……死なないよね?」
「お前なぁワシを誰だと思ってるんだ "悪魔を超えた悪魔"と呼ばれた男だぜ?」
「いやそれは初耳だけど…… 絶対に生き残ってよ!私まだタフ君としたいこと沢山あるんだから!」
禁断の生き残ってくれ発言"二度打ち"
自分はこんなにも周りから愛されているという事実に深く感動して噛み締めながらもただただ「うん!」と電話越しにうなづいた。
「ウム…真依ちゃんを始めて抱きしめた時もこの時間だったんダナァ
ククククありがたく思いな絶対に五体満足の状態で真依のことを愛してやるのさ」
「ふふふ…期待したげる!頑張ってね"お兄ちゃん"!」
「えっ…お…お兄ちゃん?!」
「ええ…だってタフ君私より数ヶ月年上でしょ?だからお兄ちゃん!や…で…でもやっぱりお嫁さんが夫にお兄ちゃんってやっぱり変よね…?ごめんなさいねおかしなこと口走っちゃっt
『は───っ みなぎるっ 元気がみなぎるぞっ』
エヘヘヘ…嬉しい…」
生まれた時から真希の妹の真依による精一杯の応援でタフの気力は最高潮にまで達した。
◇◇◇
ワーッ
ワーッ
そして12月24日の夜、夏油傑による1000体の呪霊を呪詛師引き連れて東京と京都に大量出没した。
「俺の名は祢木利久!夏油様の名の下に!非術師の猿共は全員排z
パァソ
はうっ」
祢木が名乗り終わるより早く彼のコメカミをゴム弾が正確に撃ち抜きその場にドサリと倒れる。
「なにが影の特級呪詛師 夏油傑の部下だあっ 弱いじゃん! こいつめっちゃ弱いじゃん!!」
タフは真依に正確な狙撃方法を教えてもらい、ある程度なら銃を扱えるようになっていた。
(おかしい………傑がこの場にいない……ハッ……ま…まさか……!)
「おい棘!パンダ!タフ!お前ちょっとこっち来i
『待て 面白い奴が現れた "ビッグ・ハンド"と"バルカン・ボビー"だ!』
なにっ?!」
「待ちなさぁぁあい!」「待チヤガレ──ッ!」
五条が狗巻とパンダとタフを連れ出そうとしたところ夏油一派のミゲル・オドゥオールとラルゥが応戦してきた。
「アイツ祢木ヲ高専に連行スルツモリダゾ!」
「そんなの許さないわ!」
ギュアッ ボッ
ラルゥが手をかざすとラルゥの後ろから超巨大な手が出現し、タフの身柄を拘束して壁に叩きつけられる。
「ウアアアア巨大ナ手ニ捕マッタ──ッ助ケテクレ───ッ!」
「あ…あれはラルゥの術式"
「誰だよお前?!なんでそんな詳しいこと知ってんだよ!?」
「タフ!クッソォ!おいテメェさっさとそこどきやがれ!ボビー・オロゴンみてぇな面しやがって!」
「糞ッテナンダ?ボビーッテナンダ?」
「術式反転"赫"!!」
キュウウウウウソ
ボッ
ドカァアアアアアアァァァァァアソ
「今ノハ危ナカッタ」
「術式順転"蒼"!!」
ギュアァァアァアアアアアアッ
「今ノハ危ナカッタ」
「虚式"茈"!!」
ズアァアアアァァァァッッッッ
「ハァ…ハァ…イ…今ノハ……オエッ……危ナ…カッタ……」
「や…厄介な野郎だ………」
ミゲルが五条の時間稼ぎをしている間に狗巻の「緩 め ろ」と呪言を使用してタフは無事ミゲルの巨大な手から脱出していた。
「あざーっす」ガシッ
(ウフッ…私の術式の本領はここからよ…!)
「や…やばい……ラルゥの術式の手の影響は、肉体だけでなく『心』にまで及ぶ。一度掴まれた相手は『心』を鷲掴みされ、意識がラルゥに惹きつけられてしまうんだあっ」
(えっ 誰? なんで私の術式の詳細知ってんの?!いや今はそんな事はどうでもいい!とにかくこれでキー坊は十数秒間私に釘付けになって動けn…… な なにっ)
「「しゃあっ
ボボッ
「ぐはあっっっ?!」
パンダとタフの渾身の"激震掌"がラルゥの腹部を打ち抜き吐血させる。
(な…なんでキー坊が…動け…私の術式で…十数秒は動けない筈……)
タフは謹慎最終日に真依と同じベッドにいた際、「タフは真依しか愛せなくなる」という縛りを設けられていた。
「キー坊オラァ!!ココでぶっ飛ばしてやるわぁ!!」
「誰にモノを言ってるんだァ ああっ!? オカマ野郎が!!」
ギュアッ
ドソッ
ボボボッ パソパソパソ
再びラルゥの背後に巨大な手が出現し、タフ目掛けて高速で飛来し、タフは地面を踏み鳴らして"幻突"で応戦する。その間を掻い潜りパンダがラルゥに攻撃を仕掛けるもラルゥはパンダの防御不能の技を可能な限り受けない様に距離をとる。
「おおっ ラルゥの術式の手とタフの"幻突"が空気中で膨大な音を立てて拮抗しているっ これぞまさにリアル・スタンド・バトルだあっ」
「だからお前は何でそんな双方の能力に詳しいんだよ?!」
タフがラルゥと交戦中の最中、瞑想して意識を集中していた。
(イメージするんだ 周りに空気が漂っている その空気が"面"となって硬くなる 安定する もっと硬くなる 完全に"壁"となる)
「しゃあっ! 灘・真・神影流オリジナル "壁走り幻突"だあっ!!」
ドドドドドドドドドド
ボボボボボボボボボボッッ
「ぐはああああああああああっっっ??!!」
タフは自身の驚異的な身体能力で空気を"面"として捉えてその面を"玄脚"で勢いよく蹴り上げラルゥの周囲を移動することでラルゥに四方八方から大量の"幻突"が降り注いだ。
「ぐはぁっっー!……はぁ…はぁ……っっっ!!……ええいっっっ!!」
その"幻突"になんとか耐え抜きラルゥはタフの背後から術式の手で張り手を喰らわせようとするも
「しゃあっ "ハート・キャッチ返し"!!」
「なにっ?!」
タフはラルゥの術式の手の甲を掴んで高速で操作してラルゥに術式を解かれる前にラルゥに術式の手の張り手を喰らわせられる。その際に吐き出された血液から自分の姿が反射して映し出され、ラルゥは動けなくなってしまう。
(な……なに……これ……身体が……動かない……じ…自分から目が離せない……!)
「大いに自分で自分を愛せ…正気を失ってこそ本物の愛よ
しゃあっ!灘・真・神影流"斧旋脚"!!」
ボッ バシィイイイイン
「かっはぁ………………」ガクッ…
タフのコメカミめがけてのハイキックでラルゥは白目を向いて倒れるが、その顔はとても穏やかで幸せそうだったという。
「でかしたぞタフ!パンダ!棘!時間がない!ボビーがあと少しで僕に追いついてくる!!今からお前達を憂太の方へ飛ばす!舌噛むなよ!」
そういうと五条はタフ達三人を一箇所に纏めてその周りに呪印をなぞっていく。
「えっ 何でだ悟?」
「筋子」
「細カイコトハ気ニスルナ!」
「この移動技全然無下限呪術と関係ない技だと思うんスけど……えっ なにっ ねーっ なんなのこの技!」
「細カイコトハ気ニスルナ!! 行ってこい!!」
グアッ
三人が集まった所の地面が吹き飛んで東京の高専の所へ全速力へ向かっていった。
◇◇◇
「こ…これは……タイガー・シュートだ……まさかこんな呪術も扱えん猿が扱えるとは思わなかったが………まぁいい……このまま死んでもらう」
「はぁ…はぁ…チッ…まだ終わってねぇぞ……!」
夏油は自身が繰り出した準一級呪霊を非術師の少女が…しかも虎腿か玄腿の持ち主でしか使えないタイガー・シュートで祓ったことに少々驚愕と興奮を見せるものの手のひらから大量のムカデ呪霊を繰り出して夏油の呪霊との連戦に継ぐ連戦で身体にガタがきている真希にトドメを刺そうとする。
「動 く な」
ビシッ
「なにっ?!」
「うおおらぁあっっっ!!」
ドゴォッ
「ぐはっ!」
「しゃあっ」
ドソッ
「ぐあああっっっ!?」
タフ達が駆けつけるやいなや狗巻が夏油を動けなくしてパンダが殴って吹き飛ばしてその吹き飛ばされた夏油にタフが"幻突"で追撃する…流れる様な連携で夏油を遠くへ吹き飛ばす
「パンダ!棘!タフ!」
「大丈夫か真希!」
「ツナ!」
「どうも タフです 夏油傑をぶっ飛ばしに来ました!!棘 パンダ 真希 そしてワシだ ルールはなんでもいい 影の特級呪詛師を潰すぞ」
「フフフ…乙骨をのぞく東京校の一年が揃い踏みとは……嬉しいねぇ」
夏油は身代わりの術式を持つ呪霊にダメージを肩代わりさせることで全くの無傷…服に落ちた土埃を手でパンパンとはたきながら嗤う夏油 冷徹な肉食獣が口角を上げて不気味に嗤う。
「陳腐な熱血少年漫画のノリだが…完膚なきまでにブチかますっ」
◇ゴングを鳴らせっ 戦闘開始だっ
もはや真依ちゃんの従来のキャラが微塵も残ってないんスけど…いいんすかコレ?