【本編完結】呪術高専伝タフ(続編投稿済み)   作:魚の肝

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一話から読み返してみるとタフ未読なのもあってか語録のキレが悪いっスね 忌憚のない意見ってヤツっス



BATTLE.44 しゃあっ 怪物

 

 ◇◇◇

 

 ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ

 

 「………はっ!!!」

 

 「気がついたのタフ君?!」

 

タフはハイパー・ゴリラを視認した瞬間視界が真っ暗になり、何かを打ち付ける音で気が付いたら気絶して地面に横たわっていた。ただ此処が病院ではなく未だに戦場であることは血生臭い臭いや空気感から伝わってきた。声を聞いて必死に自分の胸を打ち付けていた乙骨はホッと胸を撫で下ろした。心臓が動いてなかったらしく、心臓マッサージをして意識を取り戻させてくれたのだ。

 

 (良かった……!本当に……顔半分と右胸が抉れてたから助かるかどうか不安だったから)

 

 タフは未だに朦朧とした意識の中、ふと自分の服に目をやると、右胸の部分の布がいつの間にかポッカリと穴が開いて破れていることに気がつく。そして周りを見渡すと真希やパンダ、狗巻も自分同様横に並べられている。狗巻の服の布は心臓部分がポッカリと破けている。三人共に意識を取り戻していない。

 

 ゴリラに遭遇した瞬間途切れた意識、心底安堵している乙骨、血生臭い匂い、未だ意識を取り戻さない三人、所々のポッカリ開いた服の穴、タフは信じがたくもある一つの結論に至る。

 

 「も……もしかして…………ワシらは夏油との闘いで死にかけてて……乙骨が反転術式を使って治したんじゃない……スか……?」

 

「うん……そうだよ…無事で良かった……本当に…………!!!」

 

 この時タフは乙骨に助けてもらい安心したと同時に戦慄した。ゴリラが視界に入ったと思ったら次の瞬間横たわっているのだ。ゴリラにものの数秒で失神されたという事実が嫌と言うほど痛感する。プラシーボ効果なのか朦朧としていた意識がはっきりしたのかは分からないが顔半分と右胸が何やらスースーする。

 

 (それにしても……何故ゴリラがあの場所におったんや……ワシはあいつに首を一回転へし折られて荼毘に伏して、この世界に転生した筈や……ん?首をへし折られたはともかく、なんでへし折られた本人が一回転首が回ってへし折られたなんて分かるんや?)

 

タフの頭で駆け巡る数々の謎も乙骨から聞かされた言葉で消し飛ぶ。

 

 「タフ君お願いだ……狗巻君の…狗巻君の心臓が動かないんだ……」

 

「なにっ??!!」

タフはまじまじと狗巻を見る。真希とパンダは息を吹き返しているが狗巻の口から気体が放出される様子がない。顔色も段々と悪くなっている。

 

 タフはすかさず狗巻の方にかけより、腕を伸ばしきり、腕と手甲が直角になるように構えて、狗巻の心臓マッサージを行う。胸を五センチ沈ませ、一分間で100〜120回のテンポで速く絶え間なく打ち付けていく。こうしている間にも此処に夏油とゴリラが侵入してくるかもしれない。焦りながらもリズムは崩さずに心臓マッサージを行う。30回心臓マッサージを行っては狗巻の顎の先を持ち上げて鼻の穴を塞ぎ、人工呼吸を二回行い再度マッサージを行う。

 

 (まずい……狗巻の心臓が動く気配がまるでないっ……AEDを乙骨に持ってくる様促すっスか?……ああいやっ この状況で乙骨と里香ちゃん二人きりにするのは危険だし何より心臓マッサージをしているワシの元に来たら助けられない……だがこのままこのマッサージをしていても助かる可能性は低い………()()()を使うっスか…?しかし……)

 

タフは心の中で葛藤するもそんな悠長なことはする暇はないと我に返ると、顔を歪ませながらあの技を使う覚悟を決めた。

 

 「しゃあっ 灘・神・影流 "破心掌"!!!」

 

破心掌は本来、相手の胸部を打ち付けて心臓に強力な圧力をかけて心停止させるというもの。それをタフはAEDの代用として使用した。それでも意識は戻らずに再度心臓マッサージを続ける。

 

 

 「棘………ワシはお前にあの路地裏呪霊に殺されかけた時呪言で助けてくれた………今度はワシが棘の命を救う番なんや!!ワシら今まで苦しいこと、楽しいこと、面白いこと…色んな思いしてきたやろ けどなワシらの人生はここからなんやで……もっともっとこれからもええことが一杯あるんやで!! だから戻ってこい! 戻ってくるんだ棘!!お前だけやない!! パンダ兄ィや真希姉、憂太だってそうや!!もうワシの目の前で人は死んで欲しくないんじゃあっ!!!!」

 

(もう……大切な人とお別れしたくないんや………)

 

タフは亡き母の姿を脳裏に浮かべて心臓マッサージを延々と狗巻に早く起きろと問いかける様に続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ

 

ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ

 

「………カッ………ガッファッ!!」

 

「しゃあっ! 御復活だッ!!!」

 

 「ニ……ニゲ……逃   げ   ろ

 

ドカガガガがガガガァァァァァァァソソ

 

 

 

 

 「ホ ギ ュ ア ア ア ア ア ア 」

 

 

 ピチャッ……ピチャッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ」

 

 

 

狗巻は意識を取り戻した瞬間に視界に入ったのはダブルフレッジハンマーでタフの脳天をかち割ろうとした"ハイパー・コング"の姿だった。狗巻は周りに真希とパンダがいると考えている暇もなく、タフを呪言で逃して庇う。

 

 

 遠くに吹き飛ばされたタフの顔面に赤く染まった綿と血と臓物が飛び散る。一瞬意味が分からず硬直するもののやがて意味を理解するに連れて呼吸は乱れて息苦しくなり、少しずつ流れ溢れる涙は戦友の残骸を流れ落としていく。

 

 「そ………そんなワケないっス…………こんな時にゴリラが来るワケないっ う……うぁ……う a

 

 

 

「ホ ギ ュ ア ア ア ア ア ア」

 

怪物はタフに現実逃避をすることも、その場で泣き崩れることも許してはくれない。熱を失ったタフに無慈悲にも高速の拳が近づk

 

 

 

「タフ君!!!!!!!!!」

 

 

乙骨はタフを里香で掴み取り、遠くに移動して距離を取る。ハイパー・コングの近くには呪霊を放出しながら特級呪具"遊雲"をもち自らも戦闘を行っている夏油傑の姿がある。ハイパー・コングがタフを襲っていると同時に夏油もまた乙骨を襲っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 「狗巻君………パンダ君…………真希さん………みんな死んだ……僕のせいだ……僕が夏油が襲って来たあの時にみんなを連れて退避しておけば……こんなことにh『いやっ 違っ…うっ……だ憂太……ワsっ…や……全tiっ……元凶っっ……ワs……なnっっ…や』」

 

 憂太は血涙を流して自分を責めようとするもそれをタフは静止する。瞼は痙攣し、完全過呼吸状態になっている。完全に精神が鬱の状態になってしまっている。

 

 「そもそもっ……あの呪霊はワシが最初から標的だっ……たんっ……やっ…ワシを執着っっ……しとっ…るんやっ…

 

 数ヶ月前からずっっ……とっ……ワシが呪術師にならなければ……みんなしっっ……なず……にすんだん……やっ……ワシや……全部ワシのせいや………全部ワシや!!!!全部ワシが殺したじゃああああああ」ガリガリガリガリガリガリガリガリガンッガンッガンッ

 

 

 タフは指で髪を掻きむしり壁に頭を打ち付ける。いっそこの場で死んでしまって、皆んなに詫び入れたかったのだ。

 

 ガッ

 

 「やめてよタフ君……やめて!!!」

 

乙骨は頭を打ち付けるタフを必死に辞めさせる。

 

 「タフ君……君は何者?姿形はタフ君に似てるけど……君はニセモンだ!!」

 

「ッッッ!!!!!????」

 

 "ニセモン"仲間を失ってヒステリックになりつい放たれてしまった乙骨のその言葉がタフの心に大きなショックを与えた。乙骨も我に返り言い過ぎたと謝るも、タフはその言葉を耳に取り入れていなかった。

 

 

 (ニセモン………ハハ……そうや……ワシはニセモンや……

 

 何が『ワシの名前は 灘・真・神影流十五代目当主 宮沢熹一じゃあっ!!』や……

 

 ワシは花沢喜一………響きが似てるってだけで……全くのパチモンや……そうや……ワシはキー坊に成りすまして皆んなを騙しとったんや……

 

 おとんはワシやのーてキー坊が養子なんや、五条先生もワシやのーてキー坊が生徒なんや、真依ちゃんもワシやのーてキー坊を愛してる筈や……憂太やって…パンダ兄ィや棘や真希姉やって…ワシやのーて…………)

 

 

 

 

 ドゴオォオオオオン

 

 

 

 「ホ ギ ュ ア ア ア ア ア ア」

 

 「君達を殺す」

 

 ハイパー・ゴリラと夏油二人の追跡を終えて鏖殺を開始せんとする。

 

 

 

 

 

 「ホ ギ ュ ア ア ア ア a

 

ガッ

 

 ア?」

 

「憂太に触るナァアアアあァァァア!!!!!」

 

ドゴオォオォオン

 

  「 ギ ヤ ア ア ア ア ア」

 

折本里香がハイパー・ゴリラを爪で切り裂きながら彼方へと投げ飛ばして乙骨のアシストに周り、乙骨は夏油に刀で鬼の形相で切り掛かるも呪力を過剰にこめてしまい刀が割れてしまう。

 

 「憂太だめだろ そんなに呪力を籠めty

 

 

バチィィィイン

 

 はうっ」

 

乙骨はそのまま殴り込み、黒閃を発動させる。

 

 「もういい……高専以外の術師がどうとか非術師がどうとかもうどうでもいい………!!!!

 

 お前らは僕の大切な友達を殺し、傷つけた!!!もう僕にはタフ君しか友達が残っていない……

 

 でも僕がタフ君の友達でいるために、僕が!!僕をこれからも生きてていいって思えるように!!!ぐっちゃぐっちゃにお前らを潰してやる!!!」

 

刹那タフが垣間見たものは底が見えないドス黒い眼差しで"視殺"を行い夏油を畏怖させる乙骨の姿だった。先程の乙骨の恫喝でタフの心にも熱が戻り始める。

 

 (そうや……ワシが…ワシを…おかんを殺したワシをこれからも生きていくことを許せるように……今まで過ごしてきたんや……こんなところで折れてちゃ皆んなに合わせる顔がないんや!!!)

 

 "呪術師は常に死と隣り合わせ 自分の死だけではない…呪いに殺された人を横目に呪霊の肉を裂かねばならんこともある"

 

(ウム……今が()()()なんだナァ……)

 

 ガラ……ガララ………

 

 

「ホ ギ ュ ア ア ア ア ア」

 

 ボアッ

 

彼は……()()は顔を拭い瓦礫から猛スピードで舞い戻る宿敵を見据えて、全身の末端に蒼く燃え盛る焔を宿していた。

 

 ◇花沢の目の色が変わった……いよいよ花沢が本気になる

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