◇◇◇
パァソ
「な なんだあっ」
甚爾は困惑していた。パチンコでボロ負けしてぶつくさ言いながら店を出たらいきなり金髪の男に蹴られそうになったのだ。
(チイッ…ただでさえ今日パチンコでボロ負けだってのに自分の事をおとんって言ってくる知らん男にいきなり喧嘩ふっかけられるなんてクソみたいな一日だな!てか誰だよk……ん?いやちょっと待てよ……あっ コイツキー坊じゃねーか?!)
顔が自分に対する殺気で溢れまくっていて歪んでいて気づかなかったが、襲ってくる人間の顔が自分が愛読している格闘漫画タフ・シリーズの主人公"宮沢熹一"であることに気づく。しかし、その者は自分をおとんと呼んで襲ってくる。更に不審点はそれだけではない。
(可笑しい……じゃあ俺とアイツの脚が衝突した時のあの感覚はなんなんだ……?俺の細胞とアイツの細胞が共鳴したかのようなあの感覚は……?
タフ・シリーズでキー坊と日下部覚悟が蹴り合った時に親子だったから肉体同士の共鳴が発生したみたいなシーンがあったが……まさかコイツが俺の息子とでもいうのか……いやそんなはずは……俺の子は恵ただひとりのはz……はっ!ま……まさか……)
ヒュソッ
「なにっ」
「しゃあっ 灘・真・神影流 "回転潰し"!!」
甚爾が謎が解けそうになっているのも束の間、花沢は彼に呪力がないことを察知し、得意技の関節技で甚爾を潰しにかかろうとする。早速花沢は相手に正面から抱きついた状態で、 倒れ込み後頭部から地面に叩きつけるべく、タックルで甚爾のテイク・ダウンを計る。
(灘神影流と幽玄真影流の双方を併せ持つ流派、灘・真・神影流を使ってきやがったな………ククククありがたく思いなこっちは灘神影流マジックを見せてやるよ!!)
「しゃあっ 灘神影流"巨岩返し"!!」
「なにっ」
ブソッ
甚爾はタフの受け流しながら投げ飛ばす。
ガチイッ
「しゃあっ 灘神影流"大蛇固め"!!」
そして、甚爾は花沢をうつ伏せに倒した状態で、 背後から片腕で首をロックし、 両足を絡ませ相手の動きを封じ、 そこから背後の相手の急所に向かって空いた手で攻撃する"大蛇固め"を極めようとする。
「うおおおおっ」
ブオソッ
ガシッ
「なにっ」
ガァソ
……が首を極め、両足をまだ極めてない段階で花沢が相手に首を極められた状態のまま強引に投げ飛ばす灘・真・神影流"首旋投げ"を繰り出すが、甚爾は花沢に投げられながらも花沢の腕を極めつつ 地面に落ちる灘神影流の受身技"雪崩返し"で花沢の腕を極める。
ガシガシガシッッッ
ボコッ
甚爾は花沢の腕を極めたまま三角締めを行う灘神影流"魔人固め"を行おうとするも、花沢は脱骨術で極められている腕の関節を外して甚爾の両腕から逃れる。地面に倒れている状態の二人はこのまま寝技を仕掛ける。
「しゃあっ "百足固め"!!」
花沢は 甚爾と自分の足を互いに絡ませ関節を極める百足固めで甚爾の動きを完全にロック。その状態から甚爾の極められた関節にダメージを与えるべく地面をローリング回転で転がっていく"回転百足"を使用しようとするも、
コキッ………パキッ…パキコキッ
「なにっ?!」
「しゃあっ!! ボーン・コントロール!!」
"ボーン・コントロール"
タフ・シリーズの技術の一つで、"第三の筋肉"を使用することで骨の駆動域を通常では曲がらない範囲も曲げることが出来る。
甚爾は常人は特殊な鍛練や覚醒しない限り使用不可能な"第三の筋肉"を天与呪縛のフィジカル・ギフテッドで鍛錬を行わずとも"第三の筋肉"を使用することができたのだ。
「しゃあっ!! 幽玄真影流"塒固め"!!」
ボーン・コントロールを使用できる超柔軟人間にしか使えない技を甚爾はやってのけた。関節技なんていう小賢しい代物ではない。組みつけばどんな体勢からでも身体を巻きつけ、全身を締め上げ、圧殺する。花沢の指先一つの関節も動かすことすら出来ない。脱骨術を用いたとしてもそのまま締め上げられる。花沢の全身の骨がミシミシと悲鳴をあげる。
「しゃあああああっっっ!!!」
ドァソ ギュルソ バソッ
ズザザザ……
花沢は玄腿で蹴り上げ無理矢理塒を解いた。間も開けず花沢は甚爾にタックルし組みつく。
ギュルソ ガッ ガキッ
「しゃあっ 灘・真・神影流"真・大蛇捻り"!!!」
花沢は肘を支点に甚爾の首を捻る。しかしそれも首の関節の稼動域を広げる甚爾の首からくりによってへし折るには至らなかった。お互いがお互いの身体をガッチリと掴んでいる。ここから猛烈怒涛の寝技の応酬が繰り広げられる。
ガッ ガッ ヒュソヒュソ ガシッ スルッ ゴソッ ゴシガシッ ドオソッ ギュルソ ギャルルルッ
極めては外し、外しては極める。数秒コンマで相手の肉体の支配権が巡るましく変わっていく。まるで砂とアメーバの絡み合いのようだ。
ガシッ
「なにっ?!」
「しゃあっ!! "毒蛭"!!」
パキ………パキパキ……ベキッボキッ…………ボキキキ……
「う あ あ あ あ あ あ あ」
寝技の攻防の末、花沢の背後に回り込んだ甚爾が花沢の背中にしがみつき、親指で肋骨を一本づつ素早く折っていく。 肋骨を一本づつ折られる痛みで花沢は呼吸する事もままない。花沢は苦悶の表情を浮かべながらも"逆毒蛭"で応戦しようとするも時すでに遅し。
「しゃあっ!! "毒蛭 観音開き"!!!!」
ボソッッッ
背中にしがみついた状態から相手の肋骨を掴み、ムリヤリ肋骨を両開きにした。
モロ……ボトトト………
剥き出しにされた肋骨から血液や内臓が漏れ出る。甚爾はトドメと言わんばかりに花沢にしがみつき、手で片足の関節を極め、両足で首を固め、 その状態のまま体を反転させることで、 一気に相手の首と足を破壊する"ボーン・トルネード"を仕掛ける。
ゴ オ オ オ オ オ ォ ォ
竜巻の様な音が花沢の鼓膜を刺激している最中、花沢は走馬灯で秤金次と闘っていた時のことを振り返っていた。
(クソったれがーっワシおとんに負けるんスか? やばっ もう死んでるのに走馬灯が見えるっ おーっ ワシと金ちゃんとの思い出やん!
いやぁ……それにしても金ちゃんと戦った時反転術式で完璧に身体が治ったのを見た時一番戸惑っていたのがワシなんだよね……は───っ 思い返せばワシボロボロになっては家入さんや京都校の医者に反転術式でしょっちゅう……治して貰ってたなあっ 憂太にも反転術式を掛けられてたしなっ ヌ ッ ………ッッッ??!!)
ヌル……ヌルルルルル………
突如、花沢の視界に入っている臓物が逆再生の様に花沢の内部に収納され、剥き出しの肋骨も元の位置に戻っていく。タフの胴体は透明な呪力で包まれていた。
(ま……まさか………)ニターッ
「しゃあっ ボーン・トルネード返し!!」
「なにっ ドオソッはうっ」
勝ちを確信していた甚爾に不意の竜巻発生!!咄嗟に受けるも首と足に強烈なダメージを甚爾は負うことになってしまった。
禁断の相手の反転術式の覚醒"二度打ち"
「金ちゃん家入さん京都校の医者憂太あざ───っス!!皆のおかげで反転術式を会得出来たっス!!!」
◇親子の死闘は死後の世界で熾烈を極める……!!!
BATTLE.21と同じ質問なんやが……花沢が魅力的な主人公かどうか教えてくれよ。書いてる自分も魅力的かどうか分からない時があるんだよねヤバくない?