後今話でこの作品のバトルは終了なのん。
呪タフのベスト・バウトを教えてくれよ。
◇◇◇
花沢と甚爾は激闘の末、近くのラーメン屋でラーメンと餃子定食を食べていた。最初こそ二人の間の空気感は険悪であったが、一緒にラーメンを啜っている内に互いの警戒心と嫌悪感が薄まっていった。
(ウム…喜一の顔付きは俺だが目はあいつの目を受け継いでるな……眉毛は……誰の遺伝だ?俺をあいつもこんな太眉じゃa……あっ そうか!
甚爾は茶色い煮卵一個をレンゲの上に豚骨ベースの醤油スープと一緒に頬張って噛み割り、中から半固形化したドロっとした卵液と漬け汁が染みた白身が口の中でスープと渾然一体となることによって生まれる旨みの濁流を堪能し、それを飲み込んでしまう前にスープが絡みついた麺をズルルッと啜り込みながら、自分の息子の顔をまじまじと見つめていた。
「なんやおとん さっきからワシの顔チラチラみて…気色悪いぞ」
いくら嫌悪感が薄まったとはいえ、花沢は口の中で麺と一緒に啜ったもやしをシャキシャキ言わせながら甚爾を目を細めて威嚇する。
「まぁまぁ…落ち着けよ喜一遅めの反抗期かよ?おっ お前の食ってる塩ラーメン美味そうだな ちょっと俺にも食わせろ」ズルルルル
「ウアアアアアワシノラーメンノ器ニオトンガ箸ヲ突ッ込ンデキターッ助テケクレーッ!!」
「早いもん勝ちだ」チュルルルッ
そう言うと甚爾は目を細め花沢に啜い奪ったラーメンを徐に見せつけて挑発する。
「へっ 何が早いもん勝ちや…ワシに失神KOしたくせに」
「最初から勝負と思っていないから負けたとも思っていない」
「何を言ってるこのバカは?」
「何って……尊鷹のセリフだろ?」
「ワシの不意打ちをしっかり受け止めて且つ逃げずに立ち向かった時点でワシと勝負したと同義だと考えられる。毒蛭とか殺意高い技ばっか使ってきたしなっ ヌ ッ お前の負けや!」
「ククク…酷い言われようだな…まあ事実だからしょうがないがな」
「まぁ毒蛭観音開きのお陰で反転術式を習得できたからそこんとこ感謝するよパパ!」
「あざーっス『ズルルル…』
あっ 喜一てめっ 俺の豚骨ラーメン横取りしやがったな?!」
「すみませんこのラーメン元々ワシの金で買ったものなんです」チュルルルッ
「殺す」
「面白い!殺して貰おうか!!」
「お客
口喧嘩をしている内に僅かの警戒心も消え失せ、互いに思っていることをズバズバと言い合ったり、情報交換をしたりしている。周りからは親子仲良くじゃれあっているなぁと温かい目で見守られていた。
「なぁおとん……ワシらって生き返ることって出来へんのかな?」
「嘘か真か知らないが此処に来た人間はもう二度と元の場所へ戻れないという人間もいる」
「はうっ、あっ!じゃあ…………!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「お前はな……禪院家の人間なんだ」
「えっ そうなんですか?」
数多の情報交換していった結果、花沢は自分と禪院家の血筋であることを知る。最初こそ「欺瞞だ」と思っていた花沢だが、禪院家の人間がやたらと自分と同じ系統の剛脚を持っていたり、よくよく自分の顔を見てみたら真依や真希と同じ様な顔立ちをしているので割と直ぐに納得した。
「な……なぁ おとん 禪院家は呪術が使えない人間を人間扱いしないって本当か?」
「ああ毎日が監禁虐待のカーニバルだぜ」
「ぜ…禪院家って改めてクソみたいな場所だな……ワシ…呪力が0にも関わらず禪院家にいたおとんのこと少しだけ尊敬するでっ」ニカッ
◇◇◇
「……で!その禪院家の殆どの呪術師を失神KOしたのがワシ……!悪名高き花沢喜一よ!腸が飛び出てたけどそれでも必死に闘ったんだよねすごくない?」
「見事だな……(ニコッ」
花沢が禪院家を半壊させた話を聞いて甚爾は誇らしげな笑みを浮かべる。花沢も禪院家の術師を弄り倒して甚爾と爆笑し合っていたが、ふと何かに気づくと同時に、甚爾に対する視線が再び殺気を帯びる。
「…………………」
「ほーらまた喜一さんが人殺しの目になった!どうしたヤンケシバクヤンケ」
「………なんでワシのおかんを捨てたのかを教えてくれよ」
「あっ」
(そうか……喜一の奴だから俺にあの時殺しに掛かってきていたんだな…)
甚爾は話すべきかどうかを唇をとんがらせて躊躇するも花沢が「おっ 反応があった ってことは理由を知ってるってことやん! うーっ うーっ うーっ さっさと教えろよおとん おかしくなりそうだ」とせびるものだから甚爾は若干不本意ながらも、喜一に全て話した。
◇◇◇
初めて俺があいつに出会ったのは、ヒモとしてくっ付いてた女と喧嘩して別れて、新しい女をナンパする為にプラプラ街中を歩いていた時だ。
さらさらとした金髪で、生気のないマネキンの様な目をした筋肉美女だった。名前を花沢
あいつは兎に角過去を顧みずに未来しか見ていない異常な程に前向きな女で、漫画『タフ・シリーズ』を愛読していた。実を言うと俺も彼女を経由して初めてタフ・シリーズの存在を知り、どっぷりハマっちまった。
最初こそあいつのヒモになり、金を出来るだけ搾り取って捨てるか別れるかしようと思っていたんだが、可笑しいことにいつ金をねだってもあいつは嫌な顔一つせずに金を渡してきた。金を刷った時も『次勝てばいいからマイ・ペンライ!』つって笑って返してきた。俺は逆に変な気分になって、あいつから金をせびるのを辞めた。
……で、あいつと過ごしてる内に心の中のドス黒い部分、言わば今まで虐げられてきた劣等感、憎悪、反骨心があいつの存在で浄化されていった。気づけばあいつのことを本気で好きになっていった。
そこから俺と花沢は結婚して、子供も花沢の身体の中に宿していた時だ。
あいつは俺が寝込んでいる間に俺を殺そうとしてきやがった。
後から知ったんだが、あいつは"術師殺し"の俺を殺すべく上層部が送り込んだいわばスパイの呪術師だったのさ。"花沢"って姓名も欺瞞で、本当の姓名は"九十九"と言うらしい。
妊娠したのも"妊娠した女が戦える訳ない"っていう油断を誘うためだった。まさか子供を身籠った女に殺されかけるなんて思いもよらなかった。ナイフやピストル、"幻突"、ありとあらゆる方法で俺を仕留めにかかってきやがった。
◇◇◇
「ふぅんつまりおとんはおかんに殺されたということか」
「欺瞞だ。俺は命からがら逃げ出した。俺を殺したのは"五条悟"だ。」
「なにっ "ワシの担任"が"おとんを殺した"?!」
「えっ」
花沢は母親の話を一旦置いておいて、甚爾の死因に関して詳しく聞いた。五条が同期の夏油と共に天内の護衛の任務に当たっていたこと。甚爾が天内理子を殺そうとした張本人であること、夏油が天内を死んでいると思い込み甚爾を殺そうとするが、返り討ちにあったこと。頭を呪具で突き刺すも反転術式に覚醒した五条に殺されたこt
ダソッッッ
ギュウウウウウウッ
「はうっ あうっ」
「すべての元凶は
話の全容を甚爾が言い切る内に花沢が青筋を立てて甚爾にチョークスリーパーを仕掛けて潰そうとする。
「貴様らーっ ラーメン屋の前で暴れる気かあっ 消えろ」
「「申し訳ありませんでした」」
しかし、ラーメン屋の店主に止められ甚爾と花沢はその場で謝罪する。だがこれが気に花沢は余計父親に嫌悪感を抱く要因になってしまった。
(しっかし…ワシのおかんが呪術師とはなぁ……しゃあけどほいだらなんで上層部はワシのおかん助けてくれへんかったんねy………ん?)
ス─────…………
「う あ あ あ あ あ あ(pc書き文字)」
「なっ なんだあっ?!」
突如、花沢の足元が消え掛かっていく。
「もしかして今にもワシは生き返れるんじゃないスか?」
「そうだなそう信じたいな!」
「しゃあっ!!」
甚爾の言葉に花沢がガッツポーズを取る。足元から膝、腹、胸と段々と消えかかっていく。別に死にそうな気分もしないので花沢はこれはよく漫画である様な『死後の世界で死ぬと消滅する』みたいなものではなく、蘇生であると確信していた。
「………………………………………なぁ…喜一……」
「はあっ なんスか?」
甚爾は今にも消え掛かる花沢に、ギロリと睨まれながらも口を開く。
「恵を………面倒みてくれねぇか?禪院家にいたら取り返せ。五条の所にいたら稽古つけてやれ。
「…………!!??」
花沢は甚爾に遠回りに大事な息子と言われ思わずドキッとしてしまう。本当は憎くて憎くて堪らないはずなのに、気づけば甚爾と離れる事を惜しく感じてしまう。
「………はい!いいですよ!」
その言葉に甚爾はホッと胸を撫で下ろす。
「………………………おとん!!」
「ん?何だ?」
「この次に会う時は全力で殺し合いましょう………父さん……!!」
「………!!??」
不意の父さん呼びに甚爾もまた、思わずドキッとしてしまう。この親にしてこの子ありである。
「………ッッッ!!!………喜一ッッッ!!!」
「消えるっ」
甚爾が声を掛けようとしたものの、既に喜一はおらず、前には空になったラーメン鉢と餃子用の皿が置かれていた。
「喜一…………俺は父親としてお前のことを………」
その言葉の先は………彼のみぞ知る……
「クソォ……ラーメンがしょっぺぇぞチクショー………」
◇◇◇
「ワシがあの世から甦r なにっ?!」
「ホ ギ ュ ア ア ア ア ア ア」
目覚めると、ハイパー・コングが花沢をぶち殺すべく急接近していた。花沢が気を失ってから取り戻すまで実に2秒。
(おおっ ワシの身体が元通りになっているっ あの世で使った反転術式が効いとるんやっ)
こうしている間にハイパー・コングは花沢に追いつき、幻突を浴びせようとする。
"死と直面しても決して心乱してはならない 慈しみ祈り全身全霊で受け止める……これ菩薩の境地なり"
ドソッ
「ホギュアッ??!!」
ハイパー・コングの幻突をいとも簡単に避けきった花沢はコングに"菩薩拳"をお見舞いする。そして、コングの身体には坐禅を組んだ菩薩印が刻まれた。
…………ブラック・フラッシュを経験した術師はアスリートでいうゾーンに入った状態となる。
もう一度言おう。コングの身体には
「しゃあっ 領域・展開」
シン・ブラックを経験した花沢は神の領域に達していた。
花沢は掌印を攻撃方法として転じ、領域を展開する。
同時に、五条でさえ認識出来なかった
「猿
渡
哲
也
空
間
!」
◇ 『それは…現在の呪術界において……習得できる者は一握り自身の生得領域に術式を付与し、相手を自分の土俵に引きずりこむ正に呪術の極地……結界術の技術と、呪術の核心を掴みさえすれば、後は掌印を結めば良い… 相手の前で掌印を結び…一瞬の間だけ隙を与えさえすれば良い……』
呪術師"花沢喜一"に一切の隙なし!!
九十九喜基は九十九由基の妹で考えが合わず決別して、姉は各地を転々とするもんだから息子のことを知らせられなかったらしいよ。