――Side 夢見朧
5歳になってある程度した土曜日の昼。
オレはなんとなく近くの山林にある深い大池に来ていた。
森林浴も良し、水辺での瞑想も良し。
池には人に攻撃するような生物もいない(まあ居たとしても本体である神の一柱の部分を負傷させられるわけもないが)ので泳ぐのも乙な場所だ。
魚もいるので釣りをするのも、またいい場所だったりする。
それはさておき
「ふむ……リアンヌ先輩が趣味で始めた占いがあたったのう……」
「明日は槍……とかいうと本当に槍ふらせるからな、あの人」
ワンパンマンに出てきたシルバーファングそっくりな老人と、白髪と滝髭の老人が釣りをしながらこちらを一瞥した。
「……」
オレはオレで適当な切り株に座り、静かに呼吸を始める。
意識を一度自分の中心に収束させ、呼吸と鼓動を確かめる。
そして意識を広げていき、髪の一本一本まで意識を張り巡らす。
「ほう……リアンヌ先輩の活性化と同等……いや、それ以上か?」
「見た目は子ども、されど……」
なんか外野が煩いが放置。
意識を自分の中に満たしたあと、ソナーのように定期的に意識を拡散させ、世界を視覚に頼らない形で観る。
「……ご老人方、少々近くありませんかね?」
無音で近づいてくる老人2名に困惑しながらツッコむと左右に分かれてオレを挟み撃ちできるポジに動き始める。
「いや、個別にしようと気配遮断しようとわかるからな!?」
「薄目すら開けず純粋な気配察知で儂らの圏境を見破るとは……」
「その内に秘めた力もきっかけさえあれば理に至るところまで来ておるな、コレ」
正反対の位置からオレをジロジロ見る2人の爺さん。
「どうじゃ? 儂が編み出した流水岩砕拳を学ばぬか?」
「いやいや、ここは後継者が決まっておらん八葉一刀流をだな……」
片方は異世界同位体と思わしき推定シルバーファングで、もう片方の八葉一刀流も別世界の剣術と同じ気がしたので少し悩む。
「……とりあえず自分夢見朧と言うんですが、お二人の名前から聞いてもいいですかね? 師弟になる前に人となりもへったくれもないので」
「「それもそうじゃな」」
「流水岩砕拳のシルバーファング殿に八葉一刀流の剣仙八坂御剣殿……!?」
「ドーモ」
「ヨロピク」
自宅兼夢見プロダクションの事務所である夢見ビルの事務所エリアの応接室の1つでオレは先程の2人をもてなしていた。
そして父親がその二人見て顎が外した。
ココに来る間に2人が言ってた知名度それなりにある、とかの言葉は事実のようだ。
「……正直剣術はオレの力も考えると、いずれ学ぼうと思っていたので渡りに船です」
「ほう……?」
向かいに座り、お茶で口を湿らせてから告げたオレの言葉に、片眉を器用に少し動かす剣仙。
実際、オレの『縁切りの権能』は推定オリジンの『コトワリ様』の赤い裁ちばさみ以外にも刃物、あるいはそれに類するものに付与できる(轟燈矢の火事の一件の火を切ってたのも権能様々である)ので、八葉一刀流とも相性がいいのだ。
「個人的に無手にも興味があるので、欲を言えば両方学びたいところです」
コレは純粋に流水岩砕拳を学びたいからである。
「本当に欲張りじゃな」
シルバーファングがからからと笑いながらオレの言葉に同意する。
「まあ、八葉一刀流の八の型は儂の代から流水岩砕拳の一部を取り入れている。本家本元の技を知っていればそのあたり教える手間が省けて助かるわい」
「腹立つ言い方じゃなぁ。まあ八葉一刀流の無手の型に組み込んだというても流水岩砕拳の『受け流し』の基礎だけじゃからな。液体を触れずに受け流すレベルをやりたければ儂に師事したほうが良いじゃろう」
「……なるほど。やはりお二人からそれぞれの技術を学びたいですね」
「それならあーちゃんは八葉一刀流を学びたいかなーって」
「私は流水岩砕拳を学びたく」
しれっと現れる妹2人。
「ほう……なかなかに見どころあるのう」
「弟子が増えるのは歓迎じゃわい。道場はガロウ……流水岩砕拳の後継者おるし、半年はここで世話になりながら見るとしようかの」
「ひぇっ、武術界隈の大御所2人が泊まり込みで子どもたちの世話を!? 近くのホテルのスイート用意しなくちゃ……」
父が慌てふためいていると老人2人はカラカラ笑う。
「儂らは雨風凌げるなら適当なところで雑魚寝で構わん。一部の修行は野山でサバイバルじゃし」
「あ、トイレはウォシュレットだと有り難いかのぅ」
「「はっはっは」」
その後父と爺たちの謎の攻防の末、プロダクションのビルの客室の1つにツインベッドを用意することで話がまとまった。
滞在に関する費用は総て父が出すとのこと。
……まあ……父が言い出したことだし、放置でいいか……。
コレがシルバーファングと八坂御剣との出会いであり、バトルスタイルが決まったきっかけである。
――Side 夢見綾
「これより、第1回円卓会議を始める」
サングラスを掛けた私は前世で見た髭面のサングラスのオッサンのポーズしながらそう宣言した。
「せんせー、上にある『えんたく』の字が『猿卓』なんですけどこの会議大丈夫です?」
奏のスタンドの一人である黒髪サイドテール貧乳ちんちくりん娘(コレで一つの星の皇帝をしてたりしてるから不思議なものだ)ことネイがそう言うので上を見上げる。
……たしかに垂れ幕の字が猿卓になってる。
「習字を始めた世羅に書かせたんだけどなんでこうなったかなぁ……まあいいや」
私は思考を放棄した。
「……猿卓って、感情吊りしたり内訳破綻してて確定人狼なやつガン無視で確定白吊ったりする言葉の通じない連中で構成された人狼卓のスラングって聞いたことあるんだけど……」
「もしかして私達後の義弟の世羅さんから日本語通じてないヤバい連中って思われてます??」
用語解説する焦凍ちゃんと何処ぞの便利屋の社長みたいな白目向いてるヤオモモを横目に話を続ける。
というかかまってたら話が終わらないからね!
「――議題はお兄ちゃんの正妻を決める戦い――正妻戦争のルールや日取りとか諸々についてだよ」
「アホくさ、アタシ一抜けさせてもらぐえ」
ネイが立ち上がろうとしたが、奏が無形の力でねじ伏せた。
「参加条件満たしてるので駄目です」
「理不尽!」
円卓に伏せるネイ。
「ネイちゃん……」
「諦めも時には必要かと」
イオン――ライトブラウンの背まである髪と青い瞳の娘――とカノン――絹糸のような白く長い髪にデカい胸部装甲持ってる娘――がネイを慰める。
「……身も蓋もないこといいますけど、兄様が選んだ人が正妻で話終わりなような……」
奏が常識人ロールでそう告げるけど
「自分で色欲の縁を切ってるお兄ちゃんが欲情できる訳ないし、アレでめちゃくちゃ自己評価低いお兄ちゃんだから『自分が誰かを伴侶に……恐れ多すぎる』ってなるのが目に見えてる。というか前世そうだった。……イオンちゃんとのコミュで物理的に血反吐吐きながらケッコンしたのもあーちゃん知ってるからねぇ」
遠い目しながら私はぼやく。
「……前世で結婚してるならイオンでファイナルアンサーじゃない?」
「えっ!? えっと……その……えへへ」
ネイの言葉で照れ始めるイオン。
前個別で色々質問して『ごすずん』とコミュとって星を救ったイオン(とカノンとネイ)なのが確定してたので出会えてよかったね、までは言えるんだけど……。
「あーちゃん前世猫だったけど、生まれて間もなくから、死ぬまでごすずんと一緒だったし?死んだあともあーちゃん寄り添ってたから?」
ごすずんの隣は譲りたくない。
「前世持ち出してるあたりなりふりかまってないね……」
「朧さん愛されてますわね。……しかし流石に前世の分を今の時点で埋められるとは思えませんから……今は一歩引くしかありませんわ」
ジト目の焦凍ちゃんと呆れ顔のヤオモモ。
ふっ、勝ったな(確信)
「そんじゃ、綾が正妻ってことで(ひとまず)この話はおしまいで、終了!閉廷!解散!」
元気になったネイが解散宣言。
「そう言えば八葉一刀流の爺さんと流水岩砕拳の爺さんがいるって朧が言ってたけど、会えるか?」
ぶった切るように問いかけてきた焦凍ちゃん。
「まあ、会えるけど……?」
「もしかして焦凍さんも?」
ヤオモモの言葉に頷く焦凍ちゃん。
……あの2人本当に名前知られてるんだねぇ(雑)
このあと私達はお兄ちゃんと一緒にあのおじいちゃんたちの鍛錬に混ざり、ヤオモモも焦凍ちゃんも本格的に2人の弟子になったりしたけど、それはまた別のお話。
夢見コソコソ小話
シルバーファングと八坂御剣の2人に弟子入りした夢見たち。
どんな具合になるかというと以下の通り。
朧
一の型と七の型皆伝で八葉一刀流の次の剣仙に。
流水岩砕拳は『ガロウいなかったら八坂倒してでも後継者にしてた』と評価されるレベルで極めた。
綾
カウンター型の居合である五の型皆伝で八葉一刀流の剣聖になる。
奏
流水岩砕拳について免許皆伝。受け流しだけなら朧以上らしい。朧でも崩せない鉄壁の防御力を手に入れた。
イオン
運動音痴が際立っており、両老人は匙を投げた。
ネイ
流水岩砕拳をある程度習得したが性格と技相性により頭打ちに
カノン
八葉一刀流を学ぶが本人の得物が薙刀のため、中伝止まり
焦凍
八葉一刀流は中伝もらう前に爺さんが天寿全うしたので初伝止まり。炎と氷、それぞれを圧縮した双剣を使う剣術を編み出して試行錯誤。
流水岩砕拳は中伝くらいらしい。
ヤオモモ
八葉一刀流は八坂存命中に四の型でもうすぐ奥伝というところまで至る。
流水岩砕拳は反撃がダメダメだが、受け流しはほぼ皆伝クラスと太鼓判押された。
緑谷と麗日強化する代わりにティアキンガノンドロフが敵に参加するインフレは
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かまわん、やれ
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だめです
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お茶子に英傑の加護渡すならあり