――Side 夢見朧
あれから数カ月後。
オレは家の近くの山奥にて、全盛期(二十代)の姿で、眼の前にいるもう一人の自分相手に切り結んでいた。
「「壱の型 円環・螺旋撃!」」
回転を以て始まりとし
「「弐の型 秘技・裏疾風!」」
影を置き去りにする加速の連撃
「「惨の型 羅刹・業炎撃!」」
渾身の袈裟斬り
「「肆の型 散華・紅葉切り!」」
すれ違いざまの抜刀の一撃
「「伍の型 桜花・残月!」」
居合の構えから放つ逆撃の同時多重攻撃
「「陸の型 無間・緋空連斬!」」
燃え盛る斬撃を連続して飛ばす
「「漆の型 絶技・無想覇斬!!」」
互いの周囲に無数の斬撃を生み出し、それらがぶつかり合う。
「――八葉一刀流 奥義――」
オレはまたたく間にもう一人のオレの横を通り抜けていた。
「――終始七閃」
太刀を収めると同時に7つの型の斬撃が影へ殺到していた。
「――見事だ……師を超えたな……」
影は消え、そこには老師がおり――オレの攻撃をもろに受けたせいで虫の息だった。
「最後完全に要らなかったよね!? お兄ちゃんやり過ぎ!」
綾と奏が老師の回復をしてくれた。
「綾……朧が真の意味で剣聖になるにはコレが必要だったのだ許してやれ。――いや本当に死ぬかと思った」
傷が治ると先程の死にそうな声(ガチ)が嘘のような軽い雰囲気になる老師。
「綾は伍の型で剣聖と認められて閃の二つ名が与えられていましたけど、兄様は何の型で奥伝を?」
奏が夢幻回廊で手に入れた音の力で老師の肉体チェックしながら問いかける。
「……全部ではあるが、表向きはは壱の型と漆の型じゃな。そして与える二つ名は『零』……そして八葉一刀流、9代目の剣仙じゃ」
「……本当に大丈夫なのか? 他の剣聖たちとか、オレが本当に八葉一刀流を継いだあととか……」
「剣聖たちには儂が伝えておく。相応しいか見に来るものはおるじゃろうが、剣聖なら見ればわかるはずじゃ。……継いだ後のことはお主が決めていけ。お主が次を託すに相応しいと思う者が現れ、その者を次の剣仙と認めるまでな」
儂も八の型に流水岩砕拳の一部組み込んだし、といいながら伸びをする八坂の爺さん。
「八百万のお嬢さんは肆の型の中伝、轟のお嬢さんは壱の型の初伝。奏お嬢さんの化身も惨の型の中伝まで至った。あとは次の剣仙や剣聖である朧や綾が教えると良い」
優しい顔を見せる八坂の爺さん。
「……旅立つんですね」
「もとより着の身着のまま流浪の暮らしよ。あと今生の別れになるじゃろうが悲しむことはない。生まれ生きてそして死ぬという流れの死の段階に来ただけのことじゃからな」
「……ありがとうございます」
「八葉一刀流がどうなるか、先代たちと共に草葉の陰で見させてもらおうぞ」
「お父さんたちに挨拶しないの?」
「実は朝に別れの挨拶をしておる。問題なかろう」
「寂しくなりますね」
「ほっほっほ、出会いがあれば別れもある。道が交差、或いは重なり、そして別れるのが人生じゃよ」
そう言うと彼は老人とは思えぬ軽やかさで山を下りていった。
間もなくスマホが電話の着信表示を示す。
「――母さん、どうしたの?」
『朧、アリアさん……じゃわからないか。鋼のアリアンロードさんが菓子折り持ってやってきたわ。八坂御剣さんと朧ちゃんたちの顔が見たいって。早く戻ってきて』
興奮気味にそう告げる母さん。
「……八坂の爺さんは山駆け降りて何処かに行っちまったからそっちは無理だな。とりあえず3人で向かうわ」
『分かったわ。……本当に朝のお別れの言葉が最後になるなんて……』
本当にお別れの挨拶してたんだな……。
そう想いながら通話を終え、3人で自宅を目指した。
「どういう光景?」
途中で汚れとかないか互いにチェックし、オレと綾は奏と肉体年齢合わせた姿に戻る。
そして着替えなどを済ませて応接室の1つにやってきたオレたち。
そこで綾がオレの代わりに感想を零した。
そこには5人の客人がいたのだ。
1人はパールブロンドの腰まである髪を靡かせた何処かセレブ感ある黒い服に身を包んだ女性。
1人は女性をあすなろ抱きする青色着物なお狐系美女……5本の尻尾がある自称良妻な玉藻?
1人は傍らで静かに佇むが荘厳な金色の気配がにじみ出る黄金の獣、ラインハルト?
1人はラインハルトの反対側で静かに佇むオルレアンの聖女、ジャンヌ・ダルク?
1人はとある世界で黄昏の女神と呼ばれた少女、マルグリット?
想定通りなら錚々たる顔ぶれだ。
「あ、朧たちが来ましたね」
接待してた母さんがハッとしてこちらを向いた。
「アリアさん、こちらが――」
「八葉一刀流 9代目剣仙 夢見朧です」
オレの言葉に女性は目を瞬かせた。
「八葉一刀流 伍の型奥伝。 閃の剣聖の夢見綾です」
「ほう……」
ラインハルト?が言葉を零した。
「流水岩砕拳師範代 夢見奏です」
「なるほど」
女性が言葉を零した。
「私は白銀アリアと申します。鋼のアリアンロードの方が通りが良いかもしれません」
彼女が立ち上がると同時に蒼い光りに包まれ、光が消えると鋼のアリアンロードの代名詞ともいえるフルアーマー姿がそこにあった。
指を鳴らすと再び光に包まれる。
鎧が消えて先程の服に戻った彼女は再び席に座った。
「そしてこちらにくっついてるのが玉藻の前、こちらの娘がジャンヌ・ダルク、こちらの男がラインハルト、そして彼女はマルグリットです」
「どうも〜」
「よろしくお願いします」
「良しなに頼むよ」
「はじめましてだね!」
各々が挨拶する。
「……別世界の英霊に神霊、黄昏の女神に修羅道至高天。そんな面子を束ねるのは身喰らう蛇の第七柱か……」
オレの言葉に該当者たちが驚きの顔でこちらを見る。
「……何故分かったので?」
アリアンロード……アリアさんが問いかけてきた。
「……前世で同じ姿の人物を見たことが合ったのでカマかけしただけです」
「……もしやあなたは……」
この世界の行く末などを知っているのでは?
そう問いかけられた気がした。
「……残念ながらオレはあるタイミングのほんの少しのコト以外わかりません。しかもソレの関係者に関わり、運命を変えてしまった。どうなるかはわかりません」
「そうですか……」
しばらく何かを飲む音や食べる音以外がしない、沈黙の時間が続く。
「……そういえば何故ココに?」
奏の言葉に少し間が空いてからああ、とアリアさんは頷いた。
「朧さんと綾さんに不要かもしれませんが忠告をと思いましてね」
「「忠告?」」
首を傾げるオレと綾。
「ええ。――人であり神であるあなたたちには神代の神秘という護りがありますが……それは同じ神だけでなく信仰……ヒトの想いを集めている存在なら相殺しうる、と忠告のためにやってきました」
「つまりオールマイトみたいな存在相手だと、私たちの神秘を相殺して攻撃をそのまま受けることになるかもしれないから、油断大敵ってことだね」
綾の結論に頷くアリアさん。
「本来なら私か私と契約した四柱から誰かと戦って実感してもらおうと思ってましたが……その様子では、不要なようですね」
「いや……八葉一刀流の剣仙として、武の極みに居る貴女に胸を貸してもらいたい。彼らも動員した本気ならオレより上ですよね?」
オレの言葉に5人は目を細めた。
「私たちでよろしければ相手になりましょう」
「戦うことはあまり得意ではありませんが……後進の育成のためです、がんばりますよ!」
「残滓とはいえ覇道神相手に強気な発言だな」
「私は居るだけの置物だから観てるだけだけどね!」
「本気とはいえ、殺さないようせねばなりませんがね」
オレが立ち上がり、アリアさんも立ち上がるが、綾の糸にオレは拘束された。
「いや、お兄ちゃんはさっき全力で試し受けたばっかでめちゃくちゃ消耗してるのに今から戦ったって負けるだけでしょ」
「……それはよろしくありませんね。明日以降、手合わせするとしましょう」
「……コレ、八坂さんと交代で白銀さんが居候になる感じ?」
母さんの言葉に謎の駆け引きが始まったが、他人事なのでさっさと退散した。
夢見コソコソ小話
八葉一刀流の剣聖、年齢、型、二つ名は以下の通り
※本編開始時点生存かつ認定されている一覧。年齢は本編開始時点に統一
山本元柳斎重國 98歳 惨の型、陸の型 焔の剣聖
九條弾正忠満宗(麿) 47歳 伍の型 影の剣聖
二瓶鉄心 53歳 壱の型、八の型 鉄の剣聖
アリオス・マクレイン 36歳 弐の型 風の剣聖
神裂火織 26歳 肆の型 蒼の剣聖
夢見綾 16歳 伍の型 閃の剣聖
夢見朧 16歳 壱の型、漆の型 零の剣聖
夢幻回廊解禁
前回の話の直後から夢幻回廊で鍛錬が許可されて三兄妹の化物ぶりに拍車がかかっている模様。
緑谷と麗日強化する代わりにティアキンガノンドロフが敵に参加するインフレは
-
かまわん、やれ
-
だめです
-
お茶子に英傑の加護渡すならあり