転生と狐と魔法少女   作:隣乃芝生

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人生初の小説の投稿です。よろしければご覧ください。


プロローグ

 

『神様転生』という言葉をご存知だろうか?

 

生前の功績や境遇を神様が考慮して、はたまた神々の戯れで現世の魂を別の世界に転生させる・・・というものだ。

 

何故そんな二次創作系小説のテンプレートな事を説明しているのか?と思った貴方(貴女?)良い質問です。

 

 

だって今私の前には・・・

 

『転生特典ルーレット』

 

なるものが回転していて

 

「さあさあ!景気よく決めちゃって下さい!」

 

とか囃し立てる神様がいるのですよ。

 

 

 

何故こうなったのか・・・それは私が仕事の帰り道に事故に巻き込まれた事から始まりました。直ぐに救急車で運ばれたものの搬送先にて治療の甲斐なく私は人生に幕を下ろすことになりました。

 

さて、このまま三途の川を渡って閻魔様にお会いするのか、はたまた地獄行きか天国行きかと死後の世界を思っていたところ思わぬお誘いがあったのです。

 それは、私が子供の頃からお世話になっていた近所の神社に奉られていた神様でした。

 子供の頃から私を見ていた神様は、私の死を不憫に思われたらしくご自分の力で私を別の世界に転生させることにしたそうです。

 

さてこの神様、神主さんの家によく入り浸っているそうでその際に現代日本のサブカルチャーを『学んでいた』との事で他の神様方とも東京の某電気街や年二回の聖戦にも『勉強会』に行かれているらしく ・・・そうした関係上私の転生も、

「こういう事は様式美に従わなくちゃ!」

といった理由で二次創作系小説のお約束『創作の世界に転生』と相成ったのでした。

 

なんでさ。

 

「いや~でもよく読んでたじゃないですか、携帯小説とか漫画とか。好きでしたよね二次創作?」

 

でもまさか自分が経験するとか思わないじゃないですか。

 

「まあ現実問題貴方(貴女)がここに居て、今こうして転生の儀式を受ける訳なんですから。」

 

まあそうなんですが。

 

「さあ!このルーレットにダーツを3つ投げてくださいな。」

 

つまり自分の特典は3つだと?

 

「正しくは特典を3つ手に入れる『可能性がある』ですね。まあ3つとも外したら特典は無しで転生ですが。」

 

――死ぬ気であてます。

 

「死んでますけどね。まあ頑張って下さい。今回は王道的に型月系の特典になってます。上手くいけば『王の財宝』『無限の剣製』『直死の魔眼』『約束された勝利の剣』とかを行く世界に合わせた形で手に入れる事ができます。因みに真ん中は全部です。」

 

ナニソレチート?逆に真ん中当たったら恐いわ。

 

「あとお約束でたわしと某ワゴン車も入れてます。」

 

いや何故入れた!?

 

「様式美は全てにおいて優先されるのですよ♪」

 

ドヤ顔が腹立つがまあいいです。やりますか。

 

「パージe」

 

様式美はもういいですから!

 

―――主人公投擲中―――

 

 

・・・そんなこんなで無事3つ当てることができたんですが・・・

 

①「空の境界」より蒼崎橙子の人形作製に関するスキル

②スキル「黄金率A」

 

まあ我ながら中々の特典だと思います。封印指定クラスの技術に黄金率。かなり来世に期待が持てるというものです。

 

③サーヴァントセット「キャスター:※※※※」

 

・・・サーヴァントセット?

 

「お♪当たりですね。これは文字通り型月作品に登場したそのサーヴァントのスキルや容姿・技術に宝具をまとめて手に入れる事ができるんですよ~。」

 

何かご都合主義というかなんというか・・・

 

「まあ欠点としてはその特典を得た場合は『人ではなくサーヴァントとして転生する』ことぐらいですかね。」

 

はい!?

 

「それではよい来世を~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――変わっていく

 

――――組み込み、組み換え、組み合わせて『私』に特典が組み込まれていく。

 

――――同時に――

 

――――とある英雄の歩んだ道程を受け継ぐ。

 

――――その記憶を覚悟を後悔を痛みを経験する。

 

――――人に憧れ人に近付き人を知って人を愛し――

 

――――最期には反英雄として人に討たれたその人生

 

――――それこそが特典を得るという事。ただで英雄たる者達の特典は得られない。

 

――――「私」は「彼女」ではないけれど。

 

――――「サーヴァント・キャスター:※※※※」として生きる覚悟はできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――さみしい

 

―――おとうさんがじこでびょういんに、にゅういんして

 

―――おかあさんもおにいちゃんもおねえちゃんもお店やおとうさんのところに行ったりしていそがしくて

 

―――だからわたしは、なにもおてつだいができないから「いい子」でいないといけない

 

―――だけどさみしい・・・さみしいよ・・・

 

 

その日も少女、高町なのははここ最近と同じく辛い日々を過ごしていた。父は仕事で重傷を負い現在も意識が戻らない。家も喫茶店を始めたばかりで、母も兄も姉も家事に仕事に学業に病院への見舞いと忙しい毎日である。幼い娘にはさみしい思いをさせないようにと願えど、日々の疲れやストレスといった物は、次第に家庭にも暗い影響を与えていた。

幼いながらに聡明な少女は、せめて自分が邪魔にならないように必死で家族の為に、いい子でいようとしていた。しかし、未だ幼い彼女の心が耐えきれなくなるのはもはや時間の問題であった。

 

そんな日の夕方の事である。自分に与えられた部屋へ向かう途中にふと父の部屋に入ったのは。

今はいない父を思ってかはわからないが、何故かこの時ばかりは父の部屋が気になったのだ。

彼女からしてみればいつもは温かい雰囲気のある部屋もどこか寂しく思えた。暗い気持ちのまま部屋の外に出ようとした時、机の上に置いてあった小さな小さな桐箱に目が止まった。

 

「なんだろう?」

「どうしたんだなのは?父さんの部屋で?」

「にゃあ!」

 

突然後ろから声をかけられ、驚きながら振り返ると兄である高町恭也が立っていた。

 

「すまんな。気になったもんでな。」

「びっくりしたの・・・」

「ところでどうしたんだ?何かあったのか?」

 

取り敢えず気を取り直して気になった事を訪ねてみる。

「あの箱は何が入ってるの?」

「ん?ああ、あれか。」

 

恭也は箱を手に取り中の物を見せる。

 

「うわぁ・・・すごくキレイなの・・・」

「父さんが前に仕事先でもらった物らしくてな。かなり昔に貴族のお姫様が身に付けていたものらしい。」

「お姫様が着けてたの!?すごいの・・・」

なのはが箱の中身に目を輝かせているのを見て恭也は自然と顔を綻ばせた。思えば最近は忙しくてかまえていなかった。そんな表情を見たのも最後に見たのはいつだったか。だから、

 

「なのは。これを着けてみるか?」

 

そんな提案をしたのかもしれない。

 

「いいの!?」

「ああ。きっと父さんもそのつもりで出していたんだろう。」

 

妹の髪にそれを飾り付けると一層笑顔が増した。

「えへへ・・・」

「似合うぞなのは。」

「ありがとうなの!おにいちゃん!」

「さぁ、そろそろ夕飯だ。行こうか。」

「うん!お母さんとお姉ちゃんにも見てもらうの!」

 

そうして夕食に二人で向かおうとしたとき。

 

「?」

ふと、左手の甲に何か電気のようなものが走った感じがした。

「どうしたなのは?」

「ううん。なんでもなかったの。」

なのはは自分の左手を見たが何も変化はなかった。

 

そうして二人が出ていき、部屋には再び静寂が訪れる。

 

机の上には小さな桐箱が残されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高町恭也は知らない。これがかつてとある一人の反英雄が身に付けていた別の世界では「聖遺物」と呼ばれるものであり、触媒であることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久々に賑やかな食卓の声が遠くから聞こえる部屋で

 

小さな小さな桐箱の蓋には

 

『天女の鈴』

 

と書かれていた。

 




キャスターぼかした意味あったかしらと書いたあと不安になりました。最後の鈴は正式には聖遺物ではないかもですが、作中で彼女が落とすアイテムなので、彼女所縁の品→聖遺物としています。
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