さて、少々時間を遡る。
「離しなさいライダー!フェイトが!」
「だから、落ち着けって言ってんだろ。」
硫酸の霧に包まれた森に、今にも飛び出さんとするリニスの首根っこを押さえながらライダーはもう片方の腕で酒瓶を呷る。
「これが落ち着いていられますか!?このままではあの子が殺されるかもしれないじゃないですか!」
「だからってなぁ・・・そもそも、先に仕掛けたのはあんたの教え子じゃないか?」
「だけど殺す必要は無いでしょう!?」
「なんつーかそういう所が甘いよなぁリニス。お上品な試合やってる訳じゃないんだ。返り討ちに殺されたって文句は言えないよ。」
「ですが!!」
睨み付けるリニスからの視線もどこ吹く風、というようにラムを呑みながら目先の戦いを見守るライダーだったが、
「それにだ。あたしらはスズカのサーヴァントと使い魔だ。・・・立ち位置を間違えんじゃないよ。」
「っ!」
視線に殺気を交え、リニスを一瞥し黙らせる。
「とは言え、一応上官殿に報告はしようかね。」
「・・・そう・・・ですね・・・」
躊躇うリニスを横目にライダーはすずかへと念話を繋いだ。
『スズカ。ちょっと良いかい?』
『ちょっと待ってライダー!・・・よし、後は・・・』
『・・・何してんだいスズカ?』
『アリサちゃんが、森に行こうとしたから眠らせてたんだよ。・・・ってそれよりライダー!何が起こってるの!?何か霧が出て来てるんだけど、これってもしかして・・・』
どうやらすずかの場所からも異常が見えているらしく、大いに慌てている。
『眠らせ・・・まぁいいさ。霧はシノブから話に聞いたアサシンの宝具だろうよ。状況としては、何故かリニスの昔の教え子がジュエルシード目的で参戦。んで、アサシンに襲われてるみたいだね。』
『襲っ!?ジルちゃん何してるの!?』
『知らないよ。スズカの友達の・・・ナノハだっけ?に攻撃したみたいだから、返り討ちにしようとしてるみたいだね。』
『ええ!?な、なのはちゃんは大丈夫なの?』
『無事だよ。』
念話の向こう側でホッと安心した様子が伝わってくる。
『よかった・・・それでリニスの教え子って子は?』
『まだ大丈夫だろうけど、アサシンに狙われてるからなぁ・・・このままなら死ぬね。』
『ッ!』
『それは大丈夫とは言わないよ!?』
そんな話を向こうで聞いていたすずかとリニスが焦っているのを感じたライダーだが、報告だけして再び瓶の酒を呷る。
(リニスの元教え子とジュエルシード・・・これが偶然な訳無い・・・何かしら関係が有るんだろうけどねぇ。)
暫くした後、すずかから意を決した様な声で話しかけられた。
『あのねライダー・・・その子、助けれないかな?』
『すずか・・・!』
『構わないけど・・・良いのかい?少なくともあたしの姿は晒すことになるよ?目立たないようにナノハお嬢ちゃんを助けるってのが方針じゃ無かったかい?』
ライダーの言葉に少し躊躇うすずかだが、
『う、うん。それくらいなら多分大丈夫・・・だと思う。それにその子の命が危ないなら仕方ないよ。』
『了解だ上官殿、報酬はたっぷりと用意しときな。んじゃ、どうせなら派手に行くとするかね。』
『うん!・・・・・・・・・派手に?』
瓶を放り捨て、表情を切り替えたライダーは両手にクラシックな二丁拳銃を、背後を水面のように揺らしカルバリン砲を幾つも出現させる。
いつもより多く魔力を持っていかれ、すずかが慌て始めた。
『・・・え?ちょっ!?待っ!?何する気ライダー!?話し合い!話し合いとかもっとこう穏便に・・・!!』
「待ちなさいライダー!?この霧の中何処に居るか分からない相手に・・・!!」
二人の声を聞き流し、アサシンの声を便りに当てないように砲門を向ける。
「・・・撃ち方始め・・・そこまでだ、悪ガキ。」
かくして、放たれた砲弾はアサシンの霧を吹き飛ばし、同時にライダーの両手に出現した拳銃は此方に向いて驚愕した顔をしたアサシンの四肢を撃ち貫いた。
その時の事を、今でも覚えている。
突然の轟音。
響く銃声。
血溜まりに沈むジルちゃん。
そして、額に突き付けられた冷たい銃口。
突如として現れたサーヴァント、ライダー。森に全くそぐわない赤い姿の女性は、不敵な笑みを浮かべたまま口を開いた。
「おや?聞こえてなかったかねお嬢ちゃん?」
「え、あ・・・」
「んー?やり過ぎちまったかねっ!?・・・っと悪いね、さっきからうちの上官殿達からの念話がうるさくてねぇ。」
答えられる訳が無い。もしそうだと言ってしまえば、次の瞬間には頭を撃たれるかもしれないのだから。
「それと、余計な真似すんじゃないよ、そこのフェレット?自分とお嬢ちゃんの頭の風通しを良くしたいなら別だがね?」
「くっ!?」
何か行動しようとしたらしいユーノ君が、動きを止めたのを感じた。
・・・どうしよう・・・
「とりあえず武器を捨てて、頭の後ろに手を置きな。」
私はレイジングハートを待機状態に戻そうとし・・・
「・・・おねーちゃんを離せBBA。」
突如罵声が飛んだのはその時だ。
「ジルさん!?」
「・・・もう一発ぶち込んでやろうかクソガキ?」
地面に転がったまま、何故かケンカ売り始めたジルちゃん。さっきまで大怪我して泣いてなかった!?
「べーだ。オバサンみたいなのを『BBAと言うので御座るよ。』ってネットで『黒☆髭』さんとか『ペロロンチーノ』さんとかが言ってたもん。・・・所でユーノBBAってどんな意味?」
意味判ってなかった!?しかもそこでユーノ君に振るの!?
「え!?えっと多分、ババ・・・ああああ!?ジルさん駄目ですよ!スミマセンこの子には悪気は無いんです!・・・たぶん・・・きっと?」
「よーしソイツ共々縛り首にしてやるからそこ動くな。」
更に舌を出して挑発をするジルちゃんを擁護するユーノ君。・・・ジルちゃんは悪気たっぷりだと思うの。
そんな二人に青筋立てたライダーさんは、私から目を離し、
その一瞬
森の奥から放たれた閃光のような矢が、私に向けられた銃を弾き飛ばすと、同時にライダーさんの頭を砕かんとばかりに振り下ろされた鏡。そしてばら撒かれたお札。
「チッ!?」
振り下ろされた鏡を、虚空から引き抜いたサーベルで迎え撃ったライダーさんは、大きくその場から飛び退いたのです。
「しくじりましたか!ってそれより・・・なのは様なのは様なのは様ぁ!御無事ですかぁ!?」
「キャスターさん!って待って待って!?くるし・・・ムグゥ!?」
私の目の前に着地したキャスターさんは、そのまま私を豊かな胸に抱き締めながらキッとライダーさんを睨みつけ、
「コンの蛮族が!よくも私の超絶的に可愛いなのは様の御尊顔に銃口突き付けやがりましたね!?森ごと灰燼に帰してやりますからマジ覚悟しやがれ!」
そう宣ったのでした。
確かに来てくれたのは嬉しいし、安心したけど・・・
恥ずかしいし苦しいから離して欲しいの!
・・・
・・・・・・
・・・あっ、でも柔らかい・・・
「よーどー作戦大成功。」
「作戦だったんですかアレ!?」
なのはに抱き着くキャスターさんを眺め、地面に転がりながら、ちょっとドヤ顔でそんな事を言うジルさんに頼まれ、腰のポーチからメスと針と縫合糸を運ぶ。
「イタタ・・・だってそろそろキャスターが来るかなって思ってたから。」
「な、成る程。それで敢えて自身を危険にさらしてライダーの注意を引いたと・・・」
「因みに間に合わなかったら、ユーノに頑張って貰う予定だった。」
「無理ですから!?」
僕の抗議を可愛らしく首を傾げて誤魔化そうと・・・いや、本当に無理ですからね?何処にサーヴァントを何とか出来る魔導師がいると言うのですか。噂に聞く古代ベルカの騎士達でも無理でしょう。
「何とかすれば良いと思う。」
「いやいや、今フェレットですしね?万全でも無理だと言うのにどうしろと・・・?」
「何かこう・・・アニメみたいにピンチに目覚めて、サーヴァント召喚したり?」
「何処の主人公ですかソレ・・・」
そんな都合の良い事が・・・
『ウフフ・・・お待ちしてますね安珍様?』
「うわああああああ!!!?」
「いきなりどーしたのユーノ!?」
いきなり声が聞こえたような気がして周りを見回したけど・・・気のせい?・・・気のせいですね。疲れてるのかなぁ・・・主に目の前の子が原因で。
「い、いえ、何でも無いです。それより、身体は大丈夫ですか?」
「持っててよかった外科手術スキル。」
メスや針を使って、何とか怪我した箇所を縫合するジルさん。『医者だったかもしれない』という彼女の逸話から得たスキルらしいですが、手足をやられているため時間が掛かっています。
「むずかしい・・・」
「そりゃあそうですよ!早く下がって回復しましょう。」
そうこうしている内に、ある程度治したらしいジルさんは、起き上がり腰のナイフと肉切り包丁を引き抜いた・・・って、怪我したばかりなのに!
「ジルさん無理は・・・」
「ヤダ!リベンジする!あのオバサン絶っ対ゆるさないんだから!」
「彼の言う通りです。下がりなさいアサシン。」
その声に駄々をこねるジルさんも振り向くと、そこには弓矢を手にしたアーチャーさんが立っていました。
先程、ライダーの拳銃を弾き飛ばして助けてくれたのはどうやらアーチャーさんの様です。
「アーチャー、邪魔するの?」
「今の貴女では彼女相手は厳しいでしょう?怪我の影響もあって魔力不足の筈です。」
「へーきだもん。」
膨れっ面で抗議するジルさんにアーチャーさんは、呆れたような顔をしました。
「・・・所であそこで怪我をしていた少女ですが、あれは貴女の仕業ですかアサシン?」
「だって、あの金髪が先に掛かってきたんだから。えっと、せいとうぼうえい?だもん。」
「とは言え、やり過ぎです。」
「そんな事無いもん。それに偶にはアサシンらしいことしたいんだもん。」
ジルさんの我が儘っぷりに頭を抱えたアーチャーさんでしたが、ジルさんに再度下がっているように伝え、僕にジルさんを見ているように言ってライダーのもとへと向かい・・・あれ?僕ジルさんの世話係にされてる?
「む~~」
「まぁジルさん、今は下がりましょう。」
ジルさんは平気だと言ってますが、目の前に居る他の三騎と比べて不利なステータス。加えて今は怪我の治療に魔力を回している筈で、戦闘なんて出来る筈がありません。
「キャスターさんもアーチャーさんも居ますし、きっと大丈夫ですよ。休んで魔力を少しでも回復しないと。」
「そうだけど・・・ん?」
その時、ふと何か思い付いたように僕を見るジルさん・・・何か嫌な予感が・・・
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・じゅるり」
に、逃げ・・・アッ!?ムグッ―――――!?
「おやアーチャーさん、もう良いんですか?」
「~~~~!」
「ええ、彼女はユーノ君に任せて来ました。・・・それより・・・」
キャスターの胸に(強制的に)顔を埋められたなのはを見てアーチャーは、呆れたような顔をした。
「キャスター。苦しそうにしてますからその辺で。」
「~~~~~~~!~~~~~~!」
「チッ。アーチャーまで居やがんのかい。」
「ええ。お初に。」
苦しそうにバタバタしているなのはを、抱き締めながらライダーと対峙するキャスターの隣にアーチャーが並び立つと、ライダーは舌を鳴らす。
(キャスターだけでも面倒だってのに・・・)
一見隙だらけでいちゃついているように見えるキャスターだが、視線を決してライダーから離しておらず、一挙手一投足に対応し、なのはと共に離脱出来るようにしていた。
「それで、何時まで抱き締めているのですかキャスター?」
「私が居ない間にナニされてたか解ったもんじゃ無いでしょう!?ですからこうして確かめて・・・ハッ!?もしや服の下にお怪我を!?」
「~~ぷはっ!何もされてないから降ろして!あとそれ以上やったら令呪つかうの!」
キャスターが名残惜しそうに地面になのはを降ろした。
「おねーちゃん、後で私たちも!」
「ジルちゃん!?無事だったんだ!」
地面に降ろされたなのはに抱き付くジルにキャスターが首を傾げる。
「アサシン・・・何か魔力かなり回復してませんか?肌もツヤツヤしてますし・・・」
「あっ!ステータスも元に戻ってるの!」
「裏技使ったの。」
「すごい!そんなのあるんだ!」
〈流石サブマスター。我々に出来ないことを平然とやってのけましたね。そこに痺れる憧れる!〉
その『裏技』により・・・向こうでさめざめと泣く魔力空っぽのフェレットが居たのを何とも言えない表情でキャスターとアーチャー、そしてライダーが眺めた。
「まさか、この場で魔力供給して戦線復帰して来るとはね。・・・大丈夫なのかいアレ?」
「ええ、私も予想外でした。普段どういう教育をしてるのですかキャスター?」
「・・・知りませんよ、大方マンガとかアニメで得た知識でしょうけどね。後で自分のマスターにアサシンがしこたま怒られるのは確定でしょうけど・・・それよりも」
3人の視線が倒れた金髪の少女へと向いた。
「さて、どうしたもんかねぇ。こっちとしちゃあ、サッサとあそこで伸びてる金髪のお嬢ちゃん回収して帰りたいんだがね?」
「そうですか。ですが、こちらとしてもこの街で起きている一連の事件に関わっていると思われる少女を簡単に渡すわけにはいきません。」
「ええ、それに其方も何やら訳ありみたいですし・・・貴女のマスターから何から洗い浚いしゃべってもらいましょうか?そうすれば、主従共々半殺しで済ませて上げます。」
「・・・ボコボコにする。」
アーチャーとキャスターそしてアサシン、サーヴァント三人からの鋭い眼光を、ライダーは笑って受け流す。
「おやおや、面白い冗談だねぇ?上官殿を売れと?悪いが、アタシは雇われ海賊とは言え、報酬分の仕事はきっちり果たすのさ。」
「海賊?」
「キャスターさん!アーチャーさん!あの人ライダーのサーヴァントなの!」
〈『女海賊』で検索・・・該当有り・・・『アン・ボニー』『メアリ・リード』『シャーロッテ・デ・ベリー』『アルビダ』『チン・シー』等の可能性が有り。〉
キャスターの後ろから、なのはとレイジングハートが情報を渡す。
「ライダー?流石はなのは様!お見事です!さすなの!相手の真名に繋がるヒントになりますから、しっかりと情報を集めて整理することはサーヴァント戦では大事ですよマスター。」
『後、稀にですが伝えられた性別が違う人も居ますからご注意を。』
『ジルちゃんみたいに?』
『まぁ、アサシンは特殊な例ですが似たような感じです。』
『つまり私たちはとてもレア。要課金。』
『ジルちゃん何の話?』
念話も交えて話し合う高町家組の横でアーチャーも考察を続ける。
「そうですね。武装、服装から観て近代・・・大航海時代頃の英雄でしょう。それにライダーとして現界したと言うことは恐らく宝具は『船』・・・船が逸話となるような大規模な海戦か航海を為した英雄・・・」
アーチャーからの指摘に、ライダーは笑みを深める。
「流石は神世の英雄様だねぇ。とは言えそちらも大分分かり易いね。ギリシャ式の軽装・・・何より人と馬の尾を持った弓兵の適性持ちと来りゃあ大分絞れるがね。」
アーチャーから視線をずらす。
「それに、アサシンとキャスターに関しちゃ直ぐ判るさ。霧の街の連続殺人鬼に・・・悪名高い九尾の狐、何で一本しか無いのかは知らないがね。」
ライダーの言葉にも表情を変えないアーチャーとアサシン。ライダーを睨み付けるキャスター。
「その三騎を相手にするつもりですかライダーさん?それはいささか無謀でしょう。」
「ハッ!そっちこそアタシを舐めてんのかい?」
キャスターの台詞を鼻で笑い飛ばし、サーベルと拳銃を構える。
「アタシは元々、軍艦専門の海賊でねぇ。弱い者イジメは性に合わないのさ。三人がかりなら丁度良いだろ。」
三対一を問題無いと言い切るライダーになのはは驚愕した。三騎とも決して弱いサーヴァントでは無いにも関わらずこの余裕。
そしてそれを裏付けするように、ライダーの魔力が膨れ上がる。
(この人、一体―――!?)
「チッ!やっぱりこうなりますか!マスター下がって!!」
「さあ!あの金髪賭けて派手に殺り合うとするかねぇ!」
直後、ライダーの背後を歪ませて現れた砲門が一斉に火を噴いた。
(ほ、本当に何してるの・・・というか何してくれてるのライダー!?)
月村邸の一室で、窓をびりびりと震わせる轟音を聴きながら、すずかは頭を抱えた。
もっと穏便に話し合いとかをしてくれるかと思いきや、真逆の武力行使。撃つわ銃口突き付けるわと、人の友人達に何してくれてるのかと思わずリニスと念話で抗議すれば、
『いや、何もしやしないけどさ。先ずはこの子とアサシンの武装解除させなきゃだろ?だから先ずは先手を打って攻撃して主導権を・・・つか宝具発動防がなきゃお嬢ちゃん死んでたよ?』
との返答。
(ノリノリで悪役やってたじゃない!?絶対自分が戦いたかっただけでしょ!?)
リニスと共に念話で抗議していた所でキャスターにアーチャーが襲来。そして今や敷地の森の木々を吹き飛ばし、轟音を響かせながらの大乱闘に発展。先程から魔力も削られて行く度に轟音が轟く。
・・・少なくともあの辺が更地になり、姉が後始末で数日徹夜は確定だろう。
その上、見覚えの有るピンク色のビームやら光弾やらが見える事も、彼女が頭を抱える原因である。
「何でなのはちゃんまで参戦してるの!?危ないから逃げようよ!?」
もう最初からリニスに行って貰った方が良かったかもと思うが後の祭である。
「・・・どうしてこうなるの・・・ライダーのばかぁ・・・」
自然と口から独り言が零れた。
「・・・『ライダー』だと?それはどういう事だ?」
――その声に、思わず固まり背筋に冷や汗が流れる。
「話を聞かせて貰うぞ、すずか。」
振り向いた先に鬼が居た。
オマケな番外編 なのは/えくすてりあ
※時間軸は未来だと思いねぇ。
とある休日。高町家はなのはの自室にて少女達が集まっていた。その手には携帯ゲーム機が握られていた。全員集まってプレイするのは発売したばかりのゲームソフト。
「『Fate/EXTELLA』ねぇ・・・」
「うん。気になったから買ったんだけど・・・皆もなんだね。」
「そりゃあ、見知った顔が出て来るゲームがあれば気になるわよ。つか今日は白野達は?」
「最近また出番で忙しいから無理って言ってたよ。今回こそザビエル実装されると思ってたのに・・・って何か二人とも嘆いてたけど。」
「何の話よ?というかこのゲームに何であの二人とサーヴァント出てんの?」
「判らないけど結構面白いよ。」
「まぁそうなんだけどさ。」
アリサが顔を向けた先には、揃ってカチャカチャプレイする中、一人だけ頬を膨らまして部屋の隅で拗ねていたジルことアサシン。
「それで?ジルはなんで拗ねてんの?」
「私たちだけ出て無い・・・」
「仕方ないよ・・・」
すずかがそう落ち着かせようとするが、アサシンは駄々を捏ね始めた。
「ズルイ!キャスターもセイバーもランサーもライダーもバーサーカーもルーラーも出てるのに!私たちだけ出て無い!」
「仕方ないやん。先生も出てないし・・・」
そう言ってはやても慰めようとするが、
「アーチャーは地味だから別に良いの!」
「上等やコラァ!表に出んかい!」
「落ち着いてはやて!」
「止めんといて!先生直伝のパンクラチオンを今こそぉぉぉぉぉぉ・・・!」
はやてをアリサが羽交い締めにして止め、皆でフォローする。
「た、多分DLCとかで二人ともチャンスが有るかも知れないし・・・落ち着いて~」
「そうだよ!地味でもチャンスが有るって!」
「いや、姉さん・・・それフォローになってない・・・」
「■■■■■■■■■■■!!」
「せめて普通に喋りなさいよ!?」
「ヤダヤダヤダ!出る!絶対出るの!うわーん!」
「ジルちゃんも暴れないで!?」
床でジタバタ駄々をこねるジルに、飛び掛かろうとするはやてを数人がかりで抑える中、
「おかしいなぁ?」
「どうしたのなのは?というか手伝って・・・」
頻りに首を傾げながらプレイするなのはにフェイトが尋ねる。
「うん。あのね?どんなに操作してもキャスターさんしか選べないの。バグかなぁ・・・?」
「「「「「「・・・・・・」」」」」」
不思議そうに首を傾げながら操作するなのはに、全員がケンカや駄々を止めて生温かい目を向ける。
「多分・・・」
「原因ってアレだよね?」
なのはの背中にこっそり貼られた妙な気配を放つ呪符を、何とも言えない気持ちで眺めるアリサ達であった。