お待ちくださった方々申し訳ございません。
では七話です。
Side なのは
その後は大騒ぎでした。
お父さんが意識を取り戻してから病院のスタッフらしき人達が大慌てで部屋に来て、お父さんに色々説明したり、簡単な検査をしていきました。
殆ど怪我も治っていると聞いて、お父さんは退院したがっていましたが、長い間眠っていたこともあるので暫くリハビリと検査入院が必要と言われてたそうです。
これは後で聞いたのですが、この日病院に居た多くの方の病状が(お父さん程ではないが)回復したらしく、病院の先生方が頭を悩ませたそうです。
私はと言うとお父さんに抱き付いた後、魔力の使いすぎで疲れて寝てしまい、その後お父さんの診察が終わった後でキャスターさんも、お父さんに軽く自己紹介してから、宝具の使用による魔力の使いすぎで暫く現界出来ない事を伝えて消えたそうです。
どうやらキャスターさん自身の魔力をかなり使ってしまったらしく次の日は会うことが出来ませんでした。
その次の日の夜、キャスターさんが現界すると申し訳なさそうに耳と尻尾を垂れながら予想より多くの魔力を使ってしまった事を謝ってきました。
「すみませんマスター…もう少しご負担が、掛からないようにできればよかったですが…」
そうして、私の部屋でちょこんと正座しながら元気無く項垂れる姿は、一昨日までのキャスターさんのイメージとはまったくの真逆な姿でした。
「わ、私は大丈夫なの。ちょっと疲れたけどお父さんが助かったし・・・ありがとうキャスターさん。お父さんを助けてくれて。」
「とんでもございません。ですがサーヴァントとして失格です・・・如何にマスターの魔力が多いとはいえどまだマスターは幼児。それなのに宝具の真名解放をするには早すぎました。」
そう言って、益々耳を萎れさせるキャスターさん。
まだ出会って間もないけれどこの人は、いい人だと思う。
私を助けてくれて、今度はお父さんを助けてくれた遠い昔の英雄。まだ名前は教えてくれないけど、私を気づかってくれる優しいお姫様。
実際にお父さんもお母さんもキャスターさんには感謝しています。お父さんは少しキャスターさんの事やサーヴァントの事を聞いて何か考えていたけど、次に会ったときに感謝の気持ちを伝えたいと言っていました。
ときどきふざけて私を抱き締めたり、抱き上げたり・・・お、お嫁さんだって言ってるけど、きっと寂しがり屋な私を気にして元気付けてくれているんだと思います。・・・たぶん
そんなキャスターさんが、落ち込んでいる。私はこの人に何か出来ることはないのかな?私が弱いからキャスターさんが全力を出せないのかな?・・・あんなに凄いキャスターさんの足を私が引っ張っちゃっていいわけないのに。
「だ、だったら私が強くなるの。」
「御主人様?」
だから私は一つ決心しました。
「私が強くなって、もっと体が大きくなったらキャスターさんが宝具を使っても大丈夫だと思うの。だから体を鍛えて強くなるの。」
「御主人様・・・御主人様がそんな事されなくても・・・」
「だから、キャスターさんも私と一緒に居て色々教えてほしいの。魔力の事も魔法の事もキャスターさんの事も。」
そこまで言って私はキャスターさんと目を合わせました。その金色の目は私を真っ直ぐに見詰めていました。
「私はこどもだし、あんなに凄い力を持ったキャスターさんのマスターとして、未熟かもしれないけど。キャスターさんが、自分をサーヴァント失格だって言うのなら私が強くなって、今度は私がキャスターさんを助けてあげる。」
だから、とキャスターさんに決意を伝える。
「一緒に強くなろう?一人じゃだめでも二人ならきっと大丈夫なの」
そうして、しばらくたってから俯いていたキャスターさんは、
「・・・ありがとうございます。なのは様。」
そう言って、ぎゅっと私を抱き締めてくれました。
「本当に、本当に私には勿体ないくらい、素敵なマスターです。」
「・・・そんな事ないの・・・」
「いいえ、私は本来、なのは様に喚ばれていいモノじゃない。・・・英雄なんてモノじゃないんです。」
「え?」
「・・・私は英雄に『討たれる側』。反英雄と呼ばれる穢れた存在なんです。」
信じられない言葉を聞いた。反英雄?穢れた存在?
目の前のキャスターさんは、どこか泣きそうな顔で私を見詰めていました。
「そんな事ない・・・そんな事ないの!!キャスターさんは優しいもん。穢れてなんかないもん!!」
「いいえ。実際に私は、そうして人に疎まれ、最期に人々によって討たれたのです。」
「そんな事ないの!!」
キャスターさんは、私の頭を撫でてから、いつの間にか流れていた涙を拭ってくれました。
「ごめんなさい。なのは様。いつか、必ず私の事をお話したいと思います。ですが、きっと優しい貴女様は傷付く事になります。」
「・・・そんな事ないもん…」
この人が一体どうしてそんな事になってしまったのか、私には分かりません。だけど嫌いになるなんて事だけは絶対にないの!
「だけどそれまでは、必ずお側にいます。そんな穢れた私でもよろしければ、御主人様のお側に。」
「キャスターさん・・・」
「一緒に居てくださいますか?なのは様?」
そうして、私の顔を何処か哀しそうな顔で見詰めてきました。 そんな事決まってるの。
「もちろんなの。ずっと一緒なの。よろしくね。キャスターさん。」
「はい、よろしくお願いいたします。なのは様。」
そう言ってキャスターさんは私を抱き締め直すと、私のおでこに口を・・・え?
「えへへ、御主人様?素敵なプロポーズでしたよ?」
・・・・・・・・・え?・・・ええええええええええええ!?
「ち、違うの!!プロポーズじゃないの――!!」
その後、私の叫び声を聞いたお兄ちゃんが、鬼みたいな顔でキャスターさんに襲い掛かろうとしたのをお母さんに止められてどこかに連れていかれて。
次の日の朝ごはんに何故か、お赤飯が炊かれていました。キャスターさんが元気になったのはよかったけど・・・・・・
「もう、なのはったらプロポーズをするなんて、おませさんねぇ。」
「ええ♪御主人様ったら、本当にイケ魂なんですから♪ワタクシ感激です☆」
「お・・・俺は認めん。認めんぞなのは・・・」
「なのは・・・色を知る年なのね・・・」
・・・だから・・・違うの~~~~!!