芋者奮闘録 作:舞い降りるズゴック
「待てぇ一夏!」
「逃しませんわよ!」
「その王冠よこしなさい!」
「止まってよ一夏!」
「嫁は私の物だ!」
「うおぉぉ!取られてたまるかぁぁぁぁ!!!」
純白のドレスに身を包んだ五人の専用機持ちが、王冠まで付けた如何にもな王子様衣装の一夏を追いかけまわす。
生徒会の催し物、それは『廃被姫』。これだけ聞くとただの劇のように感じるが、某生徒会長のトンデモ発想によって複数のシンデレラが王冠を手にするまで終わらないサバイバルゲームと化していた。
ただ王冠を取るだけのゲームでなぜこんなにも必死なのか?それもそのはず、王冠を手にしたものは被っていた王子様と同じ部屋で過ごせる権利が与えられるのだ。
それを聞いた専用機持ちは我先にと殺到、対して一夏は王冠が頭から離れると電流が流れるという謎の罰ゲームを逃れるために誰一人として王冠に触らせまいと逃げる逃げる。
「ど、どこか逃げ道は……って、なんだぁ!?」
前方から全身真っ赤な甲冑に身を包んだ何者かが向かってくる。両刃剣と盾まで持っているのが完全に騎士のソレだ。
それに合わせてスピーカーから楯無の声が響く。
『おーっと、ここで王子様を守るべく近衛騎士が駆けつけました!守りを突破しなければ、王子以外はこのルートは通れない!さぁ、シンデレラはどう立ち向かうのか!』
「と、とりあえず味方……ってことでいいんだよな?」
一夏の問いかけにサムズアップで返す近衛騎士。一夏を後ろへ追いやると、五人のシンデレラに向けて構えを取る。
「…………ねぇ、アレってさぁ」
「うん、多分鈴が考えてる通りだと思う……」
「飛鳥さんですわね。100%間違いなく」
先程までの勢いはどこへ行ったのか、立ち止まって顔を見合わせるシンデレラ達。
推測通り、近衛騎士の正体は飛鳥である。ただ問題は、飛鳥相手にこの先へ進めるかどうか。
「……まさかとは思うが、あの格好で蹴りを出してくるのではないだろうな」
「おい見ろ、脚で素振りをし始めたぞ。いうまでもないが、正面突破はムリだな」
剣と盾、それに加えて甲冑を纏った殺人キック。比較的軽装なシンデレラ達ではまず打ち勝てないだろう。
「よし、これなら一気に距離を……!って、もう追いついてきてるのかよ!?」
ホッとしたのも束の間、足止めされていたハズの五人のシンデレラは一夏の追跡を再開していた。
『流石は熟練のシンデレラ達!その身体能力を活かし、あの手この手で近衛騎士をスルーしてしまいました!近衛騎士も追いかけますが、甲冑のせいで動きが鈍い!これは近衛騎士、無念の敗北か!!』
「なにやってんだ飛鳥ァァァァァッ!?」
ガシャガシャと音を立てながら必死に走る。いやこの衣装重いし動きづらいしで全然速度出せない。あの生徒会長から釘刺されてるから脱ぐこともできないからマジで舞台装置の一つでしかなかった。オノーレ。
……とはいえ、あの五人の足を止めれはしたので、一夏との距離は空いている。完全に捉えられる前に色んなルートで逃げていった。
こちらも最短ルートを探しながら合流しようとするが、しばらくして一夏を見失ってしまう。俺よりも早く一夏の元へ向かっていたシンデレラ達も同じようだ。
山田先生から通信が入ったのは、その数秒後の出来事だった。
「……8時方向クリア。そちらは?」
「こちらも異常ありませんわ」
現在の状況をまとめよう。姿を消した一夏は、6階で謎のISと交戦中。千冬さんの指示で箒、鈴、ラウラは援護へと向かい、セシリアとシャルロット、そして俺は哨戒に当たっていた。
単騎のみで襲撃してくるわけはない。必ず増援、もしくは伏兵がいるはず。その予想を裏付けるようにセンサーが新たな反応を知らせる。
『高速で接近するISを捕捉!』
『三人とも、油断するなよ!』
教師二人からの通信を聞いて敵からの攻撃に備える。その次の瞬間であった。
『
「なにっ!?……鈴、セシリア!そっちは頼む!」
先に現れた方に意識を向けていたため不意を突かれた。セシリアは遠距離特化、鈴は近〜中距離が得意なため、距離的にも俺が向かうべきだと判断した。
敵の姿はすぐに捉えられた。明日葉さんから事前に知らされてはいたものの、驚愕で一瞬固まってしまった。
イモータル・ジャスティスと同じ戦闘機の形を持って迫る青い翼。白い艦首が起き上がると、現れたのは頭部を覆うバイザーと黄色いアンテナ。その姿は飛鳥がよく知るものに酷似していた。
「……
第三世代IS『ライジング・フリーダム』。以前コンパスから何者かによって強奪された、最新鋭の機体の一つ。
イモータルジャスティスガンダムと対となるライジングフリーダムガンダムが、敵として立ちはだかるのであった。
「くっ!コイツ、やるじゃない……!!」
「私達の攻撃をこうも簡単に…………!」
鈴とセシリアは、もう一人の襲撃者が駆るIS『サイレント・ゼフィルス』に苦戦を強いられていた。
特にセシリアはビットや
「飛鳥、そっちは……って、攻めすぎよ!相手を倒すことが目的じゃないんだから、エネルギー管理はしっかりしなさ「気にしてられるか!こうでもしないとまずい!!」
ブーメラン、ライフル、ビーム重斬脚。全てを総動員して攻め手を緩めない飛鳥。無論フリーダムも黙ってやられはせず、射撃兵装を使い分けることで迎撃し続けていた。
このまま攻防を続ければ、動きの激しい方……ジャスティスが先にエネルギー切れを起こす。しかし、飛鳥は攻撃を止めない。止められない。
「距離が空いたか……ならコイツでッ!!?」
ビームライフルを取り出した瞬間、死角から紫色のレーザーが横切る。サイレント・ゼフィルスから放たれたフレキシブルを使った攻撃は、見事にビームライフルを貫き、爆散させた。
「「飛鳥(さん)!!」」
「すぐに離れろ、今すぐッ!!」
鈴とセシリアに距離を取るよう指示する。フリーダムを再視認する。
高エネルギービームライフル、超高インパルス砲『シュトゥルムスヴァーハー』、レールガン『ヴァイパー3』、全ての砲門がこちらに向けて発射された。
「くっ、うおぉぉ……!!」
苦肉の策でバックパックを切り離し、その後ろでシールドを構える。
ライフルによる攻撃がバックパックを射抜き、爆発を起こす。続くインパルス砲によるビームは爆風による威力減衰とシールドによりなんとか防ぐが、脚部のスラスターのみでは衝撃に耐えきれず、吹き飛ばされてしまう。
鈴やセシリアも巻き込まれ、ビット二機、青龍刀一振りを撃ち落とされた。
圧倒的な瞬間火力、照準が合わさっていようがなかろうが、このフルバーストを撃たせてしまえば被害を抑えることなどできない。
「……なら。コイツの出番だ!」
スクリーンを広げてコードを入力する。少なくともIS学園内には運ばれているため、すぐに来るはずだ。
しかし、敵の攻撃が止んだわけではない。フルバーストによる攻撃は
「ぐぅっ!?し、しまった……!」
凄まじい速度で接近してきた物体に盾を弾き飛ばされてしまう。奇しくもその武器は弾かれた盾と同じシールドブーメラン『フラッシュエッジG-3』であった。
これで回避も防御もまともにできなくなった。トドメと言わんばかりにビームライフルの銃口を向けられる。
その瞬間、2本のビームがフリーダムを襲った。飛鳥の視界の端には、二つの砲塔を備えた戦闘機の姿が。これこそ、イモータル・ジャスティスの新たな装備『シルエット』の一つである。
ビームは回避されたものの攻撃は止み、こちらも空中で姿勢を立て直すことができた。
「よし、シルエットシステム起動!このまま装着する!!」
シルエットはジャスティスの背面に周り、赤外線による誘導が行われる。
接続が完了すると、新たに着いたメインスラスターによって一気にフリーダムのいる高度まで上昇し、背部の砲身を腰部に移動させて正面に向ける。
ジャスティスガンダムを失ったパイロットが、新たに授けられた専用の機体。
即ち『セイバーシルエット』。今の飛鳥の専用機の状態に名を付けるならば、『イモータル・ジャスティス・セイバー』といったところだろう。
今までのイモータル・ジャスティスからは考えられなかった遠距離への高火力砲撃がライジング・フリーダムを襲った。
というわけで、新シルエットの正体はセイバーガンダムモチーフでした。不遇機体だし予想できた人はいないと思う。なんせこちらも予定になかったからね(途中から浮かんだアイデア)。
返信も返してないから感想欄を話題にするのよくないと思って躊躇ってたけど、今回ばかりは一個だけ言わせてもらいます。
某キャラのcvは池○秀一です。