芋者奮闘録   作:舞い降りるズゴック

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 過去回兼キャラ視点の話書こうとしたら行き詰まったので、普通に本編進めます。今回情報量多いかもしれない。

 


『フェイス』

「……マジで来ることになるとは思わなかったな」

 

 

 キャノンボールファストのあった日から色々あったが、俺は無事返ってきたイモータル・ジャスティスと共にある会社を訪れていた。

 ISサポートアイテム開発会社『フェイス』、学園祭の時にある人物からもらった名刺に記載されているのと同じ会社だ。

 ちなみに一夏含めいつもの専用機持ち6人も付き添いで来ている。

 

 

「へぇー、ここでジャスティスの新装備が作られてるのか」

 

 

「形にはなってたけど、次々に問題が発生してるから共同で作ることにしたんだと」

 

 

「そういえばアンタの所属先、今ヤバいらしいわね」

 

 

「比べるのもなんだけど、ウチ(デュノア社)より不味い状況じゃないかな……」

 

 

 コンパスから強奪され、襲撃事件を起こしてきたライジング・フリーダム。その被害は開発元のコンパスにも及び、テロ用の機体を作ったなどで経済的な制裁を受けているのだ。おかげで開発費も大幅削減、他企業と連携しようにも悪評のせいで候補が限られてしまっている状況。

 その中でもコンパスに協力する姿勢を見せたのが、このフェイスである。

 

 

「お疲れ様です、吉良さん」

 

 

「やぁ、飛鳥くん。それと、IS学園の生徒さんだね。コンパスの吉良泰人です」

 

 

 先にエントランスで待機していた吉良さんと合流する。一夏達は吉良さんとは初対面なので、それぞれ挨拶を返していた。しかし、整備長も来ていると聞いてるのだが、姿が見えない辺りどうやら作業に行っているのだろう。

 

 互いに挨拶を終えたタイミングで奥のエレベーターの扉が開き、一人の女性(・・)がこちらへと向かってくる。

 

 

「ご足労いただき感謝する。フェイス社代表取締役のキィノ・レバードだ」

 

 

「直接会うのは初めてですね、レバード社長。今回の案件を引き受けてくださりありがとうございます」

 

 

「いや、こちらとしても光栄だよ。世界に三人といない男性IS操縦者と縁を作る機会を頂けたのだから」

 

 

「……学園祭以来ですね、レバード社長。今日はよろしくお願いします」

 

 

 視線を合わせられたので応答する。……学園祭で会った時は急いでいたのもあってあまり気にしていなかったのだが、雰囲気に違和感があるような、既視感があるような…………。

 

 

「さて、想定よりも人数が多いようだ。いや、もちろん歓迎はするが…………ふむ」

 

 

 レバード社長が電子ファイルを操作する。恐らく今日のスケジュールを確認しているのだろう。

 

 

「吉良副社長、すまないが飛鳥くんを連れて先に行ってはくれないだろうか?何かあれば、係の者へ伝えてくれ」

 

 

「わかりました。君たちとは一旦お別れだね。飛鳥くん、こっちだ」

 

 

「あ、はい!じゃ、また後でな!」

 

 

「おう、頑張れよ!」

 

 

 一夏達と別行動になり、吉良さんと一緒に指定されたエリアへと向かう。その部屋の中心には、電子ケーブルに繋がれた二基の大型スラスターと四本のクローアームを持ったメカが鎮座していた。

 

 

「吉良さん、これが……!」

 

 

「そう、これが『イージスシルエット』。データ不足で中々進まなかったけど、ようやくここまでこじつけたよ」

 

 

「お?誰かと思えば、副社長に飛鳥のボウズじゃねぇか!元気してたかこのー?」

 

 

「マックのおっさん!久しぶりです!俺もジャスティスも、明日葉さんが届けてくれたセイバーも絶好調ですよ!」

 

 

 この色黒でガタイの良い中年男性はコンパス所属の整備長、マック・ヤードさんだ。根気・経験・体力の三拍子で働き回るその姿は、他の整備員のやる気を引き出させるとか。

 芋者だけでなく、コンパスで作られるIS関連のパーツ製造には全てマックさんが携わっているので結構すごい人である。

 

 

「ガッハッハ、そいつは何より!その調子なら、もう一体増えても面倒なさそうだな!……まぁ、今回はちょいとじゃじゃ馬だが」

 

 

「上等じゃないですか。あの地獄の研修に比べたら楽勝でしょう!」

 

 

「…………うん、あの件はホントにごめんね。一任させた僕が言うのもなんだけど」

 

 

「いやいや、吉良さんが謝ることないですって!俺も強くなるべきだって思ったのは確かですし。…………まぁ、加減してほしかったと言えばそうですけど」

 

 

 IS学園入学直前の地獄よりもマシな日々を振り返っていると、どうやらイージスシルエット側の準備が整ったようだ。

 

 

「よし飛鳥!イージスシルエット、いつでも行けるぜ!さっさと準備しな!」

 

 

「あっ、はい!ただいま!」

 

 

 マックさんに言われ、イモータル・ジャスティスを展開する。まだ背中にファトゥム零式が搭載されている状態なのでこの場で取り外し、クレーンアームに持ち上げられたイージスシルエットがゆっくりと装着されていく。

 

 言わずもがな、イージスシルエットのモチーフは『イージスガンダム』。MSとMA両方の形態を持つ点では芋者やセイバーと同じだが、その変形機構はかなり複雑なもの。

 見た目としてはMA形態時のイージスのクローアームと複列位相エネルギー砲『スキュラ』を丸ごと背中に付ける形となり、腰部のブースター付きバインダーはアンロックユニットとして芋者の両肩付近で浮く仕様となっている。

 

 一応このイージスシルエット装備の芋者もMA形態にはなれるが、本家に比べれば大分簡素……というかお粗末の域に達している。

 なんせ、アームの付け根に当たる部位が位置が少し移動したと思ったら四つのクローアームが頭を包み込んで終わりなのである。補助センサーの類いもないので視界も悪い。飛行形態とすら呼ぶのも烏滸がましいレベル。マジで何を想定した変形なんだよコレ。

 

 

「どうだ、フェイス側の技術協力もあってちょっと機能盛っちまったんだが、使いこなせそうか?」

 

 

「…………一部理解不能なギミックありますけど、それ以外は結構使えそうですね。まぁ、頑張ってみます!」

 

 

「飛鳥くん、今回のデータ収集は模擬戦形式なのは聞いてるね?」

 

 

「はい、確かコンパスから持ってきた武装テスト用のISを使うって話でしたけど……」

 

 

「うん、それなら先に謝っておくよ。ごめんね、フェイス側からの指名なんだ」

 

 

「え、ちょっと、それどういう……」

 

 

 たった今吉良さんから送られてきた今回行う模擬戦のデータを確認する。そこには今回の相手の情報が記載されており。

 

 

「ゲエェェェェェェェェッ!!??」

 

 

 その名前(・・・・)を見た俺は悲鳴を上げた。

 

 

 

 

 

「さて、君たちの大半はパイロット志望だとは思うが、我々の事業を知っておくのも後学となるだろう」

 

 

「……社会見学、ということですか?」

 

 

「その通りだ、シャルロット・デュノアくん。コンパス側の準備が整うまで、私の会社について説明させていただきたい。不満なら、他にも考えがあるが……」

 

 

「いえ、新進気鋭と名高い御社を視察できるなんて光栄ですわ。是非ご教授をお願い致します」

 

 

「……なぁ、箒、この会社ってそんなすごいのか?」

 

 

「ば、馬鹿者!ニュースを見ていないのか……!?」

 

 

「表向きは装甲や銃弾の制作などの委託業務が主だったが、ISの武装を開発していると公表したのは丁度一週間前の出来事だ。ただでさえコンパスとの繋がりが深いとされている会社なのだ。騒ぎにもなる」

 

 

「ま、飛鳥がチンタラしてる間の暇つぶしとしてはいいんじゃない?」

 

 

「お決まりかな。では、ついてきたまえ」

 

 

 エレベーターに乗って地下へと向かう。薄暗い空間は幾つもの照明で照らされており、そこには何機ものISの姿が。

 

 

「私の会社はIS周りの物資を扱ってはいるが、肝心のISを作るだけの余裕がなくてね。何らかの理由で使えなくなった機体を引き取っているのだよ」

 

 

「へぇ………って、あのIS!飛鳥の(・・・)……!?」

 

 

 視線の先には赤いボディと白いトサカの様なアンテナ付きのバイザーが特徴的な機体。その姿はイモータル・ジャスティスと良く似ているが、別物である。

 

「第二世代IS『ジャスティス』。背部ユニットの換装により汎用性を持たせようとしたが、元が格闘戦に強い以外は特徴がなくてね。頑丈であったり、私達が保有しているISコアが一つだけなのもあって武装の性能テストには重宝しているよ」

 

 

「あちらは、もしかして『フリーダム』では?」

 

 

「あぁ、第二世代の『フリーダム』だ。こちらは機動力と射撃性能を軸にオールラウンダーに仕上げた機体となっている。先程のジャスティスもだが、この二機はコンパス結成当初に開発されたものなのだよ」

 

 

「ジャスティスとは違ったコンセプト……でも量産に至らなかったとなると、制作コストが原因ですか?」

 

 

「いや、それ以前にこの機体を扱い切れる者がいなかったのだよ。理論上はバランスが取れているのだが、実際に動かすのとは違うという良い教訓を得たよ」

 

 

 フェイスの地下格納庫は一種のIS博物館のようであった。当然ISコアは抜かれているため、ここにある機体は全て外装だけのオブジェと化しているが。

 

 

「ん?」

 

 

 一夏の目が何かを捉えた。格納庫の最奥、照明すらなくただシートがあるだけ。しかしシート下の方をよく見ると、確かに足の様なものが覗いているような…………。

 

 

「一夏?何を見ているんだ」

 

 

「あぁ、箒。ちょっとアレが気になって……」

 

 

「おや、まさかそれに興味を持つとは」

 

 

 一夏が一点を見つめていたのを不思議に思ったのは箒だけでなく、他の専用機持ちとキィノ・レバードも集まっていた。

 

 

「えっと……あれもISなんですか?」

 

 

「そうだ。それもただのISじゃない。君たちの友人、進藤飛鳥の専用機であるイモータル・ジャスティス。その原点となった機体だ(・・・・・・・・・・・)

 

 

『!?』

 

 

 先程紹介されたばかりの『ジャスティス』がオリジナルだと思い込んでいた一夏達は衝撃を受けた。それを汲み取ったのか、キィノ・レバードは話を続ける。

 

 

「元々『ジャスティス』と『フリーダム』両機の特徴であった格闘・射撃・機動性能は、元々一機のISに集約されたものだった。だが、ISが世に知れ渡っただけの当時の技術力では、その全てを活かしきることはできず、後進への課題を残して眠ったのだよ」

 

 

 タッチパネルを操作しながら解説を続けるキィノ・レバード。話が終わる頃にはクレーンがシートを持ち上げ、照明が格納庫の最奥に光を届けた。

 姿を晒したのは、現代では滅多に見ない全身装甲(フルスキン)のIS。

 

 

「さて、前置きが長くなったね。これが我々のIS技術の始まりとなった機体」

 

 

 第一世代IS『デスティニー』だ。




 専用機持ち強引に登場させちゃったけど、経緯としては飛鳥の付き添いに一夏が立候補、釣られるように他五人もついてきたという形になります。キャラ多すぎて扱い切れなくない?という不安もありましたが、ご都合主義の精神で強引に押し通しました()

 デスティニーの登場経緯ですが、普通に出したらこれ乗れば良くね?となるので、最初期の型落ち機とすることで実質使用不可のゲスト機体として扱うことにしました。まぁ、旧式も旧式なんでね。流石にこれ使って暴れるわけ…………。
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