芋者奮闘録   作:舞い降りるズゴック

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 芋者とデスティニーどちらが好きかと聞かれるならデスティニー……と即答できないぐらいには芋者に愛着湧いています。
 まぁデスティニーの方が好きなのですが(台無し)
 


候補その7:対艦刀なら、零落白夜なんかにぃ!!

 フェイス社を訪れてから数日。俺は今日も今日とて零落白夜対策に勤しんでいた。ここ最近疎かになっていたし、タッグマッチ参加できないのを逆手に一気に対策を詰めてやろう。

 というわけで、前回セイバーシルエットでやらかしたこともあり、自分の機体を見直すことから始めた。具体的には、イモータル・ジャスティスの原点である第一世代IS『デスティニー』の性能を詳しく見ていく。

 

 一応、転生特典としてイモータル・ジャスティスを使っているのだが、その開発経緯は割としっかりしていたのだ。まず第一世代の『デスティニー』から始まり、次に第二世代の『ジャスティス』と『フリーダム』へと繋がる。

 そして現在、第三世代のISとして『イモータル・ジャスティス』と『ライジング・フリーダム』が作られたというわけだ。

 なぜデスティニーが最初期のISとして存在しているのかはわからない。開発元も不明だし。

 

 デスティニーの武装構成だが、そこは本家とあまり変わっていない。背部ウェポンラックのビームソード『アロンダイト』と高エネルギー長射程ビーム砲。肩部のビームブーメラン『フラッシュエッジ2』。そして腕部のビームシールド発生装置『ソリドゥス・フルゴール』に掌部ビーム砲『パルマフィオキーナ』。また、高エネルギービームライフルや対ビームシールドもあるが、古いモデルであるため芋者やライフリの物とは形状も性能も異なる。

 武器だけでも第一世代とは思えないほどの積載量だが、デスティニーの特筆すべき点はこれだけではない。背部ウイングスラスターの『ヴォワチュール・リュミエール』、いわゆる光の翼というやつだ。これによってデスティニーの機動力はISの中でもトップクラスを誇り、速度だけなら第三世代ISすら敵わぬものが出てくるだろう。

 

 さて、ではなぜ表舞台で使われなかったかの解説に移ろう。デスティニーの明確な弱点、それは致命的なまでの燃費の悪さ。圧倒的な機動力と多彩な武装、これらを活かす前にエネルギーが尽きてしまうのだ。聞いた話では、光の翼を使ってアロンダイトとパルマ一発ずつ叩き込んだだけで動けなくなったとか。

 コズミック・イラ基準で例えるなら、パワーエクステンダーすらないバッテリーで動いてるようなもの。デスティニーインパルスの方がまだマシである。

 

 そんなものがISの世界大会(モンド・グロッソ)に出ても結果は明白。相手が倒れる前に動けなくなって即敗退だ。それに当時の高機動・高火力の機体といえば明確な競合がいる。

 そう、織斑千冬の専用IS『暮桜(くれざくら)』だ。機動力はデスティニーが上だと思うが、火力は負ける……というか比べるのも筋違いだ。なんせ零落白夜あるし。俺も未だに攻略しきれてはいないが、当時モンドグロッソに出ていた選手よりはまだ恵まれてる立場であることは確かだ。

 第一世代のISはまず兵器としての完成を目指して作られた。対して暮桜はISの生みの親である篠ノ之束お手製であるため、同じ第一世代というにはステージが違いすぎた。おまけに肝心の操縦者もトップクラス、負ける要素なんてない。

 

 ……話が逸れたが、こういった経緯もあってこの世界の『デスティニー』は日の目を見ることなく歴史の闇に取り残されたのだ。

 エネルギー問題とか動力周り解決すれば戦えるだろうって?いや、その試行錯誤の結果が『ジャスティス』と『フリーダム』への派生なんだよ。もし映画の様な暴れっぷりを再現したいなら、それこそ紅椿の単一仕様『絢爛舞踏』が必要不可欠だ。なんなら展開装甲にも頑張って変形してもらえば、紅椿単体でデスティニー再現できるかもしれない。篠ノ之束ヒロイン√狙うべきだったか?(無理ゲー)

 

 深刻なエネルギー不足に悩まされる欠陥機体なのだが、それはそれとしてデスティニーは使ってみたい。実戦はノーサンキューだが、ロマンの詰まった機体だ。雰囲気だけ味わおうとしてもバチは当たらないだろう。

 

 

「というわけで、借りてきましたアロンダイト」

 

 

「……ハァ、行動力があるのはいいことだが、書類を処理するこちらの身にもなれ」

 

 

 頭を抑えながら溜息をつく千冬さん。今まで外部から取り寄せたり自分で組み上げたりして武装を試してきたのだが、その度に申請書類とか色々書かないといけない分、千冬さんの仕事も増えているのである。

 ちなみにアロンダイトはダメ元でフェイス社に頭下げたら快く貸してくれました。ありがとうレバード社長、俺一生ついてくよ。

 

 

「しかし阿須澤に扱かれて間を置かずに訓練とは、精が出るな」

 

 

「すいません、アイツの名前出さないでもらえます?いやマジで」

 

 

 あの女版アスラン、指導の腕が壊滅的すぎる。できるようになるまで付き合うの精神は別に悪いことではないのだが、奴の場合はできるようになるまで殴るのをやめないのだ。頑張って食らいつこうにも、もっと上を目指せと檄を飛ばしてくる飴と鞭ならぬ鞭と鞭。

 なにがタチ悪いって、実力はしっかりと付くんだよ。理不尽が擬人化したようなヤツの扱きに適応したというか、せざるを得なかったというか。

 一つはっきり言えるのは、強くなるための手段は慎重に選んだ方がいい。俺の場合、強制イベントだったから避けられなかったけど。

 

 

「そ、そうか。……あの飛鳥がここまで拒否反応を示すとは、もはや才能だぞ阿須澤」

 

 

 ボソリと呟く千冬さんを他所に、俺はアロンダイトの使い心地を確かめるように素振りをしていた。

 

 

(リーチは雪平弐型より上、重さは当たり前だけど芋者のどの武装よりも重い。でも、これを攻撃に転用できるならお釣りは来るな。……取り回しは良くはないから、カルキトラが使いづらくなりそうだな)

 

 

「……進藤、少し来い」

 

 

 アロンダイトを使う際のメリット・デメリットを天秤にかけていると、千冬さんからお呼びの声が。

 

 

「なんでしょう、織斑せんs」

 

 

「貸せ。……ふむ、中々の重量と長さだ。第一世代の武装にしては良くできている」

 

 

 アロンダイト奪われたと思ったら、生身で振り回してるんですけどこの人……!?アロンダイトの重さは他の専用機に比べてもパワーよりな芋者がギリギリ片手で持てるほどなのだが、それをISのアシスト抜きで???

 以前にIS用の刀投げてたことあったし、やはり千冬さんの底は知れない。今でも世界最強扱いされるわけだ。

 

 

「なにを呆けている。織斑に勝ちたいのなら、せめて片手で軽く振れるようにしておけ。剣一筋の戦いならヤツに一日の長があるのだからな」

 

 

「は、はい……!」

 

 

 そうだ、何もデスティニーの戦い方はアロンダイトだけに頼っていない。幸いブーメランやビームライフルと共通している武装はある。

 そうなるとアロンダイト主軸の新しい戦闘スタイルを構築しなければならないのだが、そこは問題ない。今までも相手に応じて適した戦法を編み出し、食らいついてきたのだから。特に一夏やラウラが相手だと得意な間合いで戦いづらいし。

 

 

「ところで進藤、今日締め切りの提出物があるはずだが。こうしている暇があるなら、もちろん終わらせているな?」

 

 

「あ、やべ」

 

 

 いつもなら出席簿、なければ拳骨が飛んでくるところだが、今千冬さんの手にはご立派な大剣(アロンダイト)が握られている。俺は逃げた。秒で追いつかれてブッタ斬られた。もう一度食らいたくはないので提出物はしっかり今日中に出しました。

 

 そうそう、アロンダイトの件だが、データ取りに有用とのことなので、しばらく芋者の武装として使えるようになった。芋者の拡張領域そんなに多くないから、アロンダイト一本で容量のほとんどが埋まったけど。




 すまない、デスティニーは慎重に扱わないと(人気の差で)芋者が喰われかねないんだ。代わりといってはなんだけど、アロンダイト出張させるからしばらくの間はそれで勘弁願いたい……!
 
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