芋者奮闘録   作:舞い降りるズゴック

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 戦闘描写だけでクッソ長くなりました。この先の展開考えたら、今出すしかないネタが被ってしまった……。

 


無力な馬鹿にはなれない

 タッグマッチ当日、前日にタッグ一組があわよくば解散の危機に陥りかけたが、なんとか全員出場するようだ。形式はリーグ戦。全ての組み合わせの試合が行われるので、戦う側も観戦する側も良い経験となるだろう。

 なお、あの生徒会長は更に盛り上がるために擬似的な賭博要素をぶち込んできやがった。食券とはいえ、学生にそういうことさせるのはどうなのだろうか。

 あ、俺は安定重視で箒と生徒会長のペアに賭けました。

 

 

「つーわけで、俺の学食返せッ!!」

 

 

 脚部スラスターの勢いも乗せた渾身の蹴り。それを受け止めるだけの出力を持った侵入者と俺は戦っていた。

 

 タッグマッチ開始を目前に、突如としてIS学園に侵入してきた六機の無人IS『ゴーレムⅢ』。5組の専用機タッグがそれぞれ一機を相手にする中、俺はこの無人機とタイマンでやり合っていた。

 相手の主な武装は右腕に実体剣、背部と左手にはビーム砲が複数、そしてシールドビット。ビームはともかく、シールドビットは芋者なら簡単に対処できるし、実体剣であればVPS装甲で軽々受けれる。だからといって、一手間違えれば即死する危険はある。

 ISには、絶対防御というシールドエネルギーで防ぎ切れない攻撃から操縦者を守る安全機能がある。それが一切機能していない(・・・・・・・・・・・・)。恐らく、あの無人機がジャミングか何かで発動を阻害しているのだろう。

 

 とはいえ、当たったら終わりなんて状況、対零落白夜で幾度も味わってる。むしろ装甲で受けれる分イージーモードだ。

 

 

「そんな装備で俺が落ちるか!!来い、イージス!」

 

 

 背中のファトゥム零式を分離し、イージスシルエットが背中に取り付けられる。ファトゥム零式と連動しているシールドブーメランは盾以上の役割ができないので、その場に捨てて新たにアロンダイトを構える。

 クローアームとアロンダイト、カルキトラによる七刀流。普段より手数は抑えられているが、あの無人機相手には手数以上に火力が求められていた。

 いつもの芋者でも攻撃が通らなかったわけではないが、ゴーレムⅢの装甲はその細さに見合わず防御力が高い。装甲のそこら中に切り傷はあれど、決定打には程遠い。

 

 

「まずは、コイツだッ!!」

 

 

 距離が空いていたのもあって、俺はまず遠距離攻撃から入った。と言っても、イージスシルエットを装備した芋者『イモータル・ジャスティス・イージス』の飛び道具といっても、背部のスキュラや常備されているビームブーメランの二種類のみ。

 

 そこで俺は、床に捨てたシールドブーメランを蹴り飛ばすことにした。

 もちろん、ただ蹴っただけでシールド内蔵のスラスターも機能していない。ただの鉄塊として向かってくる盾をゴーレムⅢは難なく弾く。しかし、そこで一手使わせたなら、俺が距離を詰めるには十分な隙が生まれる。

 アロンダイトによる縦一直線の豪快な斬撃。兜割りでもするのかと言わんばかりの勢いで振り下ろされたその一撃に対して、ゴーレムⅢは回避を選択した。

 

 

「これも、囮だ!!」

 

 

 アロンダイトが地面に叩きつけられる。その勢いのまま、俺はアロンダイトから手を離し、空中で半回転。そのまま逃げたゴーレムⅢに背中を向けたまま激突、同時にクローアームで拘束する。

 

 

「消し飛べッ!!」

 

 

 クローアームに捉えられたゴーレムⅢだが、すぐに解放されることとなる。イージスに備えられたスキュラが、ゼロ距離で発射されたからだ。大きなダメージは与えられたようだが、形状の殆どが残ったままゴーレムⅢは大きく飛ばされる。

 

 

「最大出力じゃないとはいえ、硬すぎだろあの野郎……!」

 

 

 アロンダイトを回収し、飛ばしたゴーレムⅢがいるであろうアリーナの中央へと向かう。他のIS反応もいくつか確認できることから、乱戦になるだろう。

 そうして俺が辿り着いた頃には、かなり状況が悪くなっていた。この場にはゴーレムⅢが他にも二体存在していたようで、それを相手していたのは一夏と簪、箒と生徒会長の四人。その内の二人、一夏と生徒会長が倒れていたのだ。特に生徒会長はISがボロボロになっており、負傷箇所が幾つもある。恐らく、捨て身の一撃『ミストルテインの槍』でも使ったのか。

 

 

「一夏っ!?それに会長まで……!このぉ!!」

 

 

「飛鳥!?」

 

 

 残りゴーレムⅢと応戦していた箒に加勢する。アロンダイトの一振りで大きく飛ばされたゴーレムⅢは、他にやられていた二体のゴーレムⅢの近くで止まった。俺が相手していたゴーレムⅢはしっかり倒せていたのだろう。それに、もう一機も両腕が欠損していて動く気配はない。

 

 

「箒!今のうちに一夏と生徒会長を!!」

 

 

「わかった、任せたぞ!」

 

 

 紅椿が無事なら、絢爛舞踏で形勢逆転が狙える。俺がゴーレムⅢの相手を肩代わりしたことで、箒は後退し、一夏の安否確認に向かう。生徒会長の方は、すでに簪が向かっていたようだ。

 それを確認した俺は、残り一体となったゴーレムⅢへと注意を向ける。しかし、頓着状態に持ち込もうとしたのが凶と出たか。倒れていたゴーレムⅢの残骸、それが一人でに動き出し、まだ活動しているゴーレムⅢへと合体を始めたのだ。

 

 

「そんなのありか……!?」

 

 

 ゴーレムⅢ二体分の腕と、一体分の脚部が融合し、六腕四脚の異形が誕生した。

 その最初の標的となったのは、一人前線に出ていた俺だ。

 

 

「うっ、おぉぉぉぉッ!!」

 

 

 六つの腕による怒涛の攻撃、その激しい動きを制御する四つの脚。アロンダイトを振るう隙はなく防御に回し、クローアームでの攻撃に集中する。だが、打ち合えば打ち合うほど俺の動きは読まれていき、次第に押され始める。

 疲れ知らずの無人機の利点が、遺憾無く発揮されていた。

 

 

「くそっ、たれ……がっ!!」

 

 

 実体剣の攻撃に合わせ、クローアームではなくカルキトラを合わせる。咄嗟の判断だったこともあり威力は乗っていないが、相手の勢いを利用して後方に下がるのが目的だ。

 しかし、ゴーレムⅢの攻勢は止まない。すぐに距離を詰めて、先程の応酬が繰り返されるだけである。そうなれば、今度こそ痛手を負うことになるだろう。

 ……勝負に出るならここしかない。俺は、イージスシルエットのある機能(・・・・)の使用を決心した。

 

 

「オラァァァァァ!!」

 

 

 アロンダイトを横に大きく振るう。それをゴーレムⅢは片側の腕二本で受け止める。弾くまでもなく、そのまま止めておくだけで、残った腕は俺の肉を切り裂きにかかれる。

 だが、その行動を取ったが最後、四方から来るビームの刃は無人機の身体を貫くだろう。

 

 

「今だ、ドラグーン(・・・・・)!!」

 

 

 クローアームがワイヤーを伸ばしながらジャスティスの背中から放出され、不規則な軌道を描きながらゴーレムⅢへと迫る。

 間一髪、ゴーレムⅢはその攻撃に反応することができた。しかし、全てを対応することはできず、二つのクローアームから伸びるビームサーベルが、ゴーレムⅢの左腕の二本を挟む様にまとめて切り裂いた。

 しかし、防御ができないのはこちらも同じ。残った左腕の一つ、ビーム砲の光が胸部装甲へと押し当てられ、爆発を起こした。

 

 

「ガ、ハッ…………」

 

 

 胸部装甲は抉れ、爆発の反動で俺は受け身も取れずに地面を転がった。それに加え、本来高い空間認識能力が必要なドラグーンをムリに使ったことで、鼻血が出るほどの負荷が脳にかかっていた。

 深刻なのは俺自身の身体だけではない。今のダメージとドラグーン使用時の影響によって残存エネルギーがなくなり、VPS装甲から色が無くなった。

 

 

「飛鳥ッ!!」

 

 

 目を覚ましたのか、一夏が必死の形相でこちらに向かっていた。まぁ、叫びたくもなるか。俺の目の前には、今にも振り上げた剣を降ろさんとするゴーレムⅢがいるのだから。

 VPS装甲が落ちるほどのエネルギー残量だと言うなら、ビームブーメランやカルキトラなどのビーム兵器は使えない。当然イージスシルエットなどアームの一本すら動かせない。

 まさに絶対絶命のピンチ。だが、それを受け入れるほど、俺は諦めが良くない。ビームが使えなくとも、まだ使える武器はある(・・・・・・・・・・)

 

 

「食らえビームメリケンサック!!!」

 

 

「なんで逆に突っ込んでんだよお前!!??エネルギーもうないんだよな!?それにビーム要素ないだろその攻撃ッ!」

 

 

 流れるようなツッコミを受けながら、俺はビームメリケンサック……もとい、ビームブーメランのナックルガードで殴りつけることにより、ゴーレムⅢに攻撃される前にその挙動を潰しまくる。一夏も言っていたが、ビームメリケンサックにビーム要素は一切ない。ノリで滅茶苦茶なこと言ってるだけである。身体に鞭を打つ意味でも、今は勢いのままに戦うしかない。

 もちろんイージスシルエットはお荷物なので外しており、身軽になったことで殴る蹴るの猛攻を成立させていた。

 

 

「うおぉぉ!!メリケンサック、メリケンサック、カルキトラ!メリケンサック、カルキトラ、アロンダイトォ!!」

 

 

 先程よりも激しいと錯覚するほどの物理攻撃ラッシュ。無謀にも程があるが、俺は攻め続けるしかない。

 アロンダイトもビームが使えないため、折りたたんで斧の様に振り回すという想定されてない使い方のオンパレードである。

 

 しかし、ゴーレムⅢは自分から身を引くことで、その猛攻から軽々と抜け出す。俺の攻撃はただの悪あがきに過ぎず、ゴーレムⅢへのダメージも微々たるものだ。それに遠距離の攻撃手段を全て失っているため、強引に一撃を叩き込むより、引かれる選択肢を取られてしまえば、俺からできることはもう何もない。

 ゴーレムⅢの掌からビームが放たれる。

 

 

「無茶苦茶なのはいつものことだけど、それ以上に無茶してんじゃねぇこのバカ!」

 

 

 剣の一振り、たったそれだけでゴーレムⅢのビームは消滅した。零落白夜によるエネルギー無効化、それが飛鳥の命を守ったのだ。

 

 

「しょうがないだろ。この状況を狙ってたんだ(・・・・・・・・・・・)。あとは、任せ、た……」

 

 

「あっ、おい飛鳥!しっかりしろ!!おいッ!!」

 

 

 糸が切れたように背中から倒れる。ダメージを負った状態で身体を酷使したんだ。限界なんて当に超えていたのだろう。

 だが、ゴーレムⅢが俺から距離を取った(・・・・・・・・・・・・・・・)。その時点で勝敗は決している。なんせ、味方を気にせずにありったけの遠距離武装を打ち込めるのだから。

 

 

「トドメ、頼んだぞ……!!」

 

 

「あぁ、行け!穿千ッ!!」

 

 

「お願い、山嵐!」

 

 

 紅椿の展開装甲によってたった今生成されたブラスターライフル『穿千(うがち)』と、打鉄弐式の最大の武装、四十八発のミサイル『山嵐(やまあらし)』が火を吹いた。

 圧倒的な火力制圧。だが、恐るべしゴーレムⅢ。ダメージを負った状態での更なる追い討ちを耐え切ったのだ。急所となるISコアは露出しているが、あと一押しが足りずに終わったのだ。

 ゴーレムⅢのコアに食い込んだ水色のクリスタル(・・・・・・・・)が、ただの飾りのままならば。

 

 

「お守りの出番ね」

 

 

 パチン、と鳴らされる指。それがこの戦いの幕を下ろした。山嵐のミサイル群に紛れていたアクア・クリスタルは、更織楯無の専用機『ミステリアス・レイディ』の第三世代兵装。その自爆によって、ゴーレムⅢのコアは砕け散った。




 描写上わかりづらいなと工夫した結果、フェイズシフトダウンを起こしながら、武器を乱暴に扱い、武装名を叫びながら攻撃する蛮族が生まれました。
 イージスシルエットのドラグーン攻撃については、ドレッドノートガンダムの様なものを想定しています。

 ゴーレムⅢの合体はアニメ見返してたらなんか腕くっつき始めたのを見たので、ちょっと盛りました。手数には手数で対抗、篠ノ之束謹製の無人機は賢いですね()
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