芋者奮闘録   作:舞い降りるズゴック

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 やってみせろよ芋者、なんとでもなるはずだ(無茶振り)

 


候補その10:人呼んで……!!

「……まさか模擬戦でMA(飛行)形態使うことになるとは思わなかった。中々手強いじゃないか、簪」

 

 

「それが瞬殺した相手に言うことかよ……」

 

 

 ここ最近はタッグマッチやワールドパージなどもあったため、久々となる1vs1の模擬戦。本日の相手は、日本代表候補生の更織簪。その専用機『打鉄弐式』との初対決だ。

 ……とは言っても、すでに模擬戦は終了しており、その試合内容から簪はすごく落ち込んでいた。それはもう、たまたま見学に来てた一夏や鈴、シャルロットが慰めに行くほど。

 

 

「……別に、勝てるとは思ってなかった、けど……こんな簡単にやられるなんて…………」

 

 

「安心していいわよ。あの変態挙動、あたしたちも初めて見たから」

 

 

「飛鳥は模擬戦やる度に予想つかないことするからね。でも、アレはちょっと……」

 

 

 なんかドン引きされてるような気がする。まぁ、自分でも今日やった技術は頭おかしいと思ってる。そもそも変態が使ってた技だし。

 

 時は少し遡り、俺は打鉄弐式のミサイル群を振り切るため、芋者をMA形態に移行させて全力で逃げ回っていた。

 

 

「うおぉぉ!?ミサイルの置き方がイヤらしいッ……!!」

 

 

それ(飛行形態)使ってくるのは予想外だったけど、飛鳥の動きは記録で確認済み。このまま堕とす……!」

 

 

 ミサイルの弾幕に荷電粒子砲が混じり始める。避けようにも、あらゆる方向から迫ってくるミサイルのせいで大きな動きはできない。身体を傾けるなど、最小限の動きでなんとか躱していく。

 

 

(あのミサイル、当たった時点でアウトだな。衝撃までは殺せないから、その隙に追撃が飛んでくる……!)

 

 

 打鉄弐式の『山嵐』は、ただ数の多いミサイルではない。その一発一発が高火力であり、並のISなら一度に何機も片付けられるだろう。

 俺の芋者にはVPS装甲があるため、ミサイルの一つや二つ食らったところでシールドエネルギーは減らないのだが、今口にしたように衝撃までは殺せない。

 そして、打鉄弐式の遠距離武装には荷電粒子砲『春雷』が二門装備されている。もちろんVPSでは防げないし、追撃のタイミングによってはシールドによる防御も間に合わない。以前シャルロットのパイルバンカーでも似たようなことをやられたので、その教訓が今活かされている。

 

 

「だったら……!」

 

 

「動きが変わった?……ッ!こっちに来る!」

 

 

 俺は勝負に出るため、急旋回してミサイル群を避けながら簪目掛けて突撃を仕掛ける。簪も即座に迎撃体制を取るが、芋者背部のビーム砲が放たれたことで回避行動を余儀なくされた。

 

 このまま攻撃に移るなら、以前銀の福音戦で行ったビームブーメランによる通り魔攻撃か、某木星帰りにトドメを刺したスイカバーアタックの二択になるだろう。

 しかし、俺はそのどちらかでは決定打にはならない。打鉄弐式は防御よりも機動性を重視した機体なので、一度逃してしまえばミサイル群を対処しながら近づくのは困難になる。格闘戦に持ち込んでも、超振動薙刀『夢現』の存在もあってリーチを活かされると離脱を許しかねない。

 

 なので、俺は第三の選択肢を敢行することにした。

 

 

「っ!?うそ、このタイミングで……変形(・・)!」

 

 

「切り捨て御免!!」

 

 

 あと少しで激突するであろうタイミングで、俺は芋者を変形させた。その次の瞬間にはカルキトラが勢いそのままに振り抜かれ、簪は大きく飛ばされた。

 一方、俺は突撃した際のスピードに逆らわず、高速移動したまま再度MA形態へ移行。ミサイル群を避けながら体制を崩したままの簪の元へ突撃。先程と同じように勢いを殺さず、変形と同時にカルキトラを振り抜いたことで打鉄弐式のシールドエネルギーは全て削り取られた。

 

 以上、模擬戦のハイライトだ。一撃離脱を繰り返して敵を倒す動きはデスティニーガンダムにも通ずるところがあるが、敢えて言おう。

 

 

「名付けるなら……そう、芋者スペシャル!」

 

 

「ダサッ!?ていうか、イモジャってなんだ!?」

 

 

「……まさか、イモータル・ジャスティスの略じゃないでしょうねぇ?もっとマシな略し方なかったわけ?」

 

 

「飛鳥って、ネーミングセンスないんだね……」

 

 

 いやだって、元になった名前グラハム・スペシャルだし。この技編み出した本人差し置いて俺の名前使うぐらいなら芋者の名前付けるぞ。それ込みで不評なようだが。

 

 グラハム・スペシャルについて軽く解説すると、飛行形態から瞬時に変形することで回避や攻撃を行う規格外の動きを可能とする、変態(グラハム)による変態(グラハム)のための変態技巧(グラハムスペシャル)だ。

 芋者も変形機構持ちではあるが、以前までの俺なら上手く決まる保証はなかったかもしれない。戸高さんによる芋者の調整によって、軽い変化ではあるがやはり芋者が動かしやすく感じる。

 

 

「い、芋者スペシャ……プフッ」

 

 

「見ろお前ら、簪には好評だぞ。芋者スペシャル」

 

 

「お前がそれでいいなら俺からはもう何も言わないぞ」

 

 

「……そこまで言うなら、スタンド・マニューバとかどうだ?」

 

 

「他にも考えてたんだ……」

 

 

「初めっからそう呼びなさいよ!」

 

 

 まぁ、片方は少し名称変えたけど、どっちもグラハム関連だし……。こうして俺の見せた芋者版グラハム・スペシャルはスタンド・マニューバとして定着することとなった。




 そもそもフラッグが空中変形を想定されてないからこそグラハム・スペシャルの異質さが際立つので、元々空中で変形できる芋者ならスタンド・マニューバの方があってる気はする。

 武装回というかたまに技術的なもの混ざってるシリーズですが、しばらくは原作の運動会イベントも巻き込みながら続いてきます。
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