芋者奮闘録   作:舞い降りるズゴック

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 どっかで操作ミスったのか、同じ内容の文章が文字通り2倍に増えたので添削作業に時間めっちゃ吸われました(投稿遅めになった言い訳)
 あと、とある話の導入にネオ・ジオングか赤いガンダムどっち採用しようかも悩んでました(今やることじゃない)

 


振り切れぬ過去

「織斑先生、なんで出撃許可を出してくれないんです!このままじゃ……!」

 

 

「フリーダムは姿を見せていない。お前の出番はまだだ」

 

 

 アーリィさんを筆頭とした強襲部隊。その相手はスコール、レイン、フォルテの三人に、俺が今日目撃したルドラが二体。スコールとアーリィさんがタイマンになったことで、箒たちは数的不利となる。とはいっても、その差は一機分で無人機も混ざっている。下手な動きをしなければ、負けることはないだろう。

 その期待は、ルドラによって呆気なく打ち砕かれた。俺と戦った時とは動きが違いすぎる。その上、まるで知っているかのように箒たちの攻撃を対処する始末だ。

 

 ……そんな状況でも、千冬さんは俺が出撃することを許さない。確かに、まだ出るには早すぎるかもしれない。だが、融通が効かない人でもないはずだ。

 

 

「……やっぱり、何か俺に言えない事情でもあるんですか?」

 

 

「…………黙って待機していろ」

 

 

「答えてくださいッ!」

 

 

 千冬さんの目が、やっとこちらに向けられる。いつにも増して鋭い眼光だが、それに恐怖を覚えて怯むほど俺は冷静ではなかった。

 

 

「お前が席を外している間に捕虜が情報を吐いた。亡国機業が狙っているのはISだけではない。……進藤、お前だ」

 

 

「俺が、亡国機業に……?い、いや、それも敵からの情報でしょう!!そんなの鵜呑みにして……!

 

 

「お前は勘のいいヤツだ。その情報が虚偽であるかは、判断できるだろう」

 

 

「ッ…………!」

 

 

 ……思い当たる節はある。京都での亡国機業側の動向もそうだが、今までの行動にも納得がいく。特にキャノンボールファストのあった日は、マドカの単独襲撃から命を救われている。ただの慈善とは考えられない以上、その時からすでに狙いが定まっていたと考えられる。あのブラックナイトスコードもそのために用意されていたのだろう。

 

 

「だったら、なおさら俺が出るべきです!俺が囮になれば、他のヤツらも動きやすく……!」

 

 

「飛鳥くん」

 

 

「楯無さんまで!一体どういうつもりで」

 

 

 パンッ、と短く乾いた音が鳴る。俺の頬に楯無さんの平手打ちが炸裂したのだ。

 首を戻すと、楯無さんの怒り顔が目に映る。

 

 

「いい加減になさい。一番危険な状況あるのはアナタよ。そんな勝手は許さないわ」

 

 

「……危険っていうなら、他のヤツらだって同じじゃないですか!?俺と違って命の保障だってない!」

 

 

「それでも戦うことを選んだわ。亡国機業を倒すためだけじゃない、飛鳥くんを守るために。わかる?今アナタが出て行ったら、みんなの思いを踏み躙ることになるのよ。身勝手な自己犠牲で動くのはやめなさい!」

 

 

「っ…………」

 

 

 楯無さんの言うことは間違ってない。俺が逆の立場だったとしても、わざわざ狙われている人間を駆り出して、いいように使うなどできるわけがない。

 ……自分で思っている以上に、俺は周りから大事な存在になってたらしい。

 

 だが、それで留まれるなら……こんな苦痛を感じることもなかった。

 

 

「……………………そうやって」

 

 

「飛鳥くん?」

 

 

「そうやって何もしないまま手遅れになってからじゃ遅いんだ!!相手がどう出るかなんて知りようもないだろ……!俺は、俺はイヤだ。あの時(・・・)みたいに何もできないままなんて、俺はッ!!!」

 

 

「あ、飛鳥くん!!」

 

 

「あんな進藤くん、初めて見ました……」

 

 

「飛鳥、お前というヤツは……!」

 

 

 千冬さんに楯無さん、山田先生の前から去り、俺は急いで芋者を展開した。当然壊れたセイバーシルエットから元のパーツに換装しており、飛行形態であれば芋者の出せる最大速度で戦闘領域へ向かうことができる。

 自分勝手な行動なのは百も承知だ。でも、ただ見てるだけで取り返しのつかないことになるぐらいなら、俺に動く以外の選択肢はなかった。

 

 俺はもう、かつての俺のように誰かを見殺しにする人間にはなりたくない。

 

 

「!このビームは……来たかフリーダム!!」

 

 

 出撃してから一分も経たぬ内に、遠方から自分の持つ高エネルギービームライフルと同じビームが放たれた。同型のライフル、つまりはライジング・フリーダムだろう。射撃が行われた方角を見ると、フリーダムはビームサーベルを抜いており、光の翼(・・・)を広げてこちらへ急速接近していた。

 

 ……光の、翼?

 

 

「うおぉぉぉぉぉッ!?」

 

 

 それを見た瞬間、俺は飛行形態のまま各部のスラスターを不規則に稼働させる。回避行動にしては、あまりにも早すぎる判断。しかし、それが正しかったとわかるのはすぐだった。

 地上から放たれた八本のビームが一斉に遅いかかる。予め建物の影に隠されていたのであろうその全ての砲身が、こちらを狙ったものだ。数発分は紙一重だったが、事前に回避運動をしていたことで直撃は避けられた。

 その一瞬の出来事だけで、俺は勝手に出たことを後悔しかけた。機体のベースは間違いなくライジング・フリーダム。だが、その背部は全くの別物、光の翼もビームを放った八基のビームユニットも元々存在しない。むしろ、その前身に当たる機体(・・・・・・・・・・)の装備だ。

 

 

(スーパードラグーンだと!?無人機だけじゃなくて、機体の改修までしていたのか……!)

 

 

 ストライクフリーダムガンダムの武装を得たライフリ。名付けるのであれば、ストライクライジング・フリーダムというところか。背部の『スーパードラグーン』はドラグーンとヴォワチュール・リュミエールが合一化された兵装であり、広域制圧と高速機動を高い水準で可能とする。

 もちろん、それは双方の要素を使用できればの話であり、例えばドラグーンを飛ばさないのであれば、光の翼も運用できないため性能が大きく落ちるというデメリットも内包してしまっている。

 しかし、その弱点はもはやあってないようなもの。重力関係で地上でドラグーンが使えないというのは本家の話。このフリーダムがISである以上、PICを始めとした機能の数々により、無線式なドラグーンでも大気圏内下における運用が容易となっている。

 

 

「なんてもの用意してやがる……」

 

 

 正直、勝手に飛び出したことを後悔するレベルだ。無人機にばかり目がいって、フリーダムが強化されている可能性など微塵も思い至らなかった。……いや、むしろ望むところなのかもしれない。敵の性能が予想を上回っていた程度でやられるようなら、そこまでの人間だ。

 光の翼を広げたフリーダムがビームサーベルを払う。ドラグーンを避けるのに精一杯だった俺は変形が間に合わず、飛行形態のまま無防備な姿を晒していた。

 だが、打つ手がないわけではない。フリーダムの刃がこちらを捉えるタイミングで、バレルロールを行う。身体の高速回転と同時に脚部のカルキトラを起動させることで、ビームサーベルを相殺しながらフリーダムとの距離を離すことに成功した。状況は……不利のままだが。

 

 

「ッ!!……なんて精度だ。まさか、マルチロックオンシステムまであるんじゃないだろうな……!」

 

 

 近接をやり過ごしても、即座にドラグーンの追撃。隙のない立ち回りに、俺は攻める隙を見出せずにいた。以前は勝っていた機動力も、光の翼によって逆転されている。

 しかし、ここで打つ手がなくなるほど俺が積み上げてきたものは軽くない。

 

 

「ハァッ!!」

 

 

 ドラグーンによるビームの雨を掻い潜りながら、俺はビームブーメランを投擲する。フリーダムの攻撃に対してあまりにも単調なそれは難なく避けられる。……が、そのブーメラン目掛けて何かが飛ばされた。その何かはブーメランを捉え、更に不規則な軌道を描いてフリーダムのレールガンの一つは切断した。

 

 

「……!」

 

 

「ぶっつけ本番だけどうまく行ったな。ナイスだグレイプニール!」

 

 

 ビームブーメランを投げた直後、俺はトリケロスとグレイプニールを同時展開し、グレイプニールによるワイヤークローにビームブーメランを掴ませることで火力とリーチを併せ持つ擬似的な複合兵装を完成させた。

 負けじと高エネルギービームライフルと残りのレールガン、ドラグーンによる一斉射撃を放つフリーダム。だが、その攻撃の全てをトリケロス付属のシールド、グレイプニールのワイヤー振り回し、それでも防ぎきれないところはシールドブーメランに向かわせることで完全に対処した。

 

 

「今日こそはお前を倒す!フリーダムッ!!」

 

 

 飛び道具に対応したことでなんとか自分から動けるようにはなったが、ドラグーンに対応しながらでは光の翼を展開したフリーダムに追いつくことはできず、追っては逃げられの繰り返し。

 当初の目的地であるホテルは遠のいて行き、戦いの場は空港エリアへと移っていった。

 

 

 

 

 

「動きが甘ぇぞ一年共!そんなんじゃイージスを使うまでもねぇな!!」

 

 

「このっ、言わせておけば……!」

 

 

 同時刻、ホテル周辺市街地にて。レインとフォルテの連携によって劣勢となり、箒たちは必死の攻防を続けていた。……いや、箒だけは氷塊のダメージもあって上手く動けずにいたため、セシリアと鈴がそれをカバーしなければならない状態。極めて劣勢である。

 それ故に、違和感が強かった。そう、劣勢止まりなのである。今戦闘に参加しているのが、セシリアと鈴、レインとフォルテの二人ずつのみであったのだから。

 上空に浮いたまま、動きを見せないルドラの姿を見て、箒は事前に聞かされていた無人機にある機能が搭載されていたことを思い出した。

 

 

「セシリア、鈴!今上に見えているのは……!」

 

 

「わかってるわよ!セシリア、お願い!」

 

 

「すでに狙いは付けてますわ!」

 

 

 ブルー・ティアーズのビットから二つのレーザーが放たれる。フェムテク機にレーザーは通用しなかったことは先程の戦闘で直に思い知ったばかりだが、そのレーザーはセシリアの予想通り……フェムテク機を貫いた。

 だが、その結果は虚しいもの。確かに命中はしたが、それは残像。ルドラの残した分身だったのだ。わかりきってはいたが、意識を割き続けなければならないよりはマシだ。

 そうなると、一つの疑問が生まれる。

 

 

「やっぱ分身ッスかアレ。……ん?てことは、本体どこ行ったッスか!?」

 

 

 フォルテの言う通り、分身があるのなら本体はまた別の場所にいるはず。だが、少なくとも自分たちが繰り広げている戦闘には介入していないのだ。箒たちもどこかに隠れているのではと警戒するが、レインはある程度予想がついたようだ。

 それを裏付けるように、スコールから通信が入る。オープンチャンネルのため、箒たちにまで聞こえてしまっていたのだが。

 

 

『レイン、フォルテ。無人機にはもう期待できないわよ。獲物(・・)の狩りにご執心のようだから』

 

 

「……案の定か。命拾いしたな、小娘共」

 

 

「獲物って、まさか飛鳥が!?」

 

 

「何故そのようなことに……!」

 

 

 飛鳥が出撃した。この作戦においてもっとも起きてはならないことが起きてしまった。敵の襲撃や工作でやむなしか、あるいは内輪揉めでもあったのか。しかし、それを考える余裕はない。

 そもそも、目の前のレインとフォルテだけでも手一杯なのだ。加えて、まだダメージの残る箒を守らなければならない。その上、飛鳥が前線に出た以上、敵の増援も来ることは間違いない。

 もし飛鳥に援護が必要とあっても、セシリアと鈴は飛鳥を助けに行くことはできないのだ。

 

 

「そんなにお仲間が心配なら、見逃してやってもいいぜ?少なくともオレたちが手伝う義理はねぇしな」

 

 

「えっ、いいんスか?あとでスコールさんに怒られても知らないッスよ」

 

 

「心配いらねぇよ。叔母さんのお墨付きだからな」

 

 

『…………』

 

 

 セシリアと鈴は警戒を緩めない。もし言われるまま援護に向かおうとしても、相手は裏切り者。背中から撃つことなどわけはないだろう。

 そんなやりとりの中で十分に回復したのか、箒がセシリアと鈴に並び出る。

 

 

「ふっ、飛鳥も舐められたものだな」

 

 

「あん?なんだ、何が言いてぇ?」

 

 

「その程度でくたばるようなら、私たちも苦労はしていない。アイツの往生際の悪さは一夏にも勝るぞ」

 

 

「……そうでしたわね。飛鳥さんの強さはイヤというほど知っていますわ!」

 

 

「フリーダムやフェムテク装甲がなによ!追い詰められたアイツの方がよっぽど恐ろしいわ……!」

 

 

 飛鳥を心配する気持ちはある。だが、それ以上に箒たちには信頼があった。あの男は強い。これまで何度も手合わせしたからこそそう言い切れる。

 今から飛鳥の元に戦力が集まるとしても、ホテルにいなかったフリーダムやサイレント・ゼフィルス。そして今この場から去ったであろう二体のルドラ。最低でも四機……いや、空港の倉庫にも人員が割かれているならば、三機に落ち着く可能性もある。

 

 

「……そういえば対複数戦、結構やってたッスね」

 

 

「負け続きだったあのエロガキ(織斑一夏)にも勝ちやがったからな。こりゃあ番狂わせもあるか?」

 

 

 飛鳥の戦績を思い返す二人だったが、真面目に思案はしていなかった。フォルテはただ思い出を懐かしむかのように、レインはケタケタと気味悪く笑いながら、その場から離れようとしていた。

 

 

「待て、逃すかッ!」

 

 

「そう張り切るなよ。……そうだ、最後に良いこと教えてやるよ」

 

 

 レインの去り際に放たれた一言。それは箒たちが抱いた小さな希望を軽々と砕くほど、あまりにも絶望的なものだった。

 

 

「あの無人機、まだ倍近く(・・・)はいるらしいぜ?しかも一機は特別仕様だと。まっ、お前らの信じる進藤飛鳥なら、全部が相手でも余裕だろ?」




 飛鳥くんは妹を連れていかれた挙句、悪いようにはされないと思っていたら今度は行方不明……結果的に死なせてしまったと自責の念を抱いているので、不確定な状況(特に戦闘)で誰かを助けに行けないというのは無力感を刺激され、トラウマを呼び起こされてしまうのです。
 つまり飛鳥くんを出撃させても待機させても、結局はデュランダル側の罠にかかる詰み状況ができてしまっていたと。

 まだまだ続く京都編。果たして飛鳥はブラックナイトスコードと魔改造ライフリに勝てるのか。一夏とマドカもサラッと戦闘に巻き込まれるので、お互いに不確定要素マシマシです。
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