芋者奮闘録   作:舞い降りるズゴック

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 ほとんど立ち姿勢なのにあそこまでカッコいいの芸術だと思う。

 


MA形態(前編)

 芋者の武装を振り返りながら改善案を探る作業もいよいよ大詰め。最後に紹介するのは『イモータル・ジャスティス』の第三世代兵装。

 IS化するにあたり、芋者の特殊な機能が幾つか合一化されたのだが、それがこの『ファトゥム零式』に集約されている。

 

 ファトゥムとは、ジャスティスガンダムやその後継機が扱うリフターの名前である。状況に応じてバックパックとして機動力を底上げしたり、分離してジャスティス本体とは別に攻撃を仕掛けたり、空中戦の足場としても運用可能な万能兵装である。

 ただ、万能すぎてファトゥムを失うと機動力を始めジャスティスの性能が大幅に下がるため、イモータルジャスティスでは機動力を両立させるためにシールドブーメランが採用された。

 

 じゃあ芋者にファトゥムないだろって?ほら、付いてるじゃん。背中に。

 そう、本来の芋者では単なるリフターとしての扱いであったこのバックパック+αが、ISに落とし込まれるに当たり第三世代兵装として再現されているのだ。まぁ、ファトゥム-00とかある中で零式と名付けられているのは、俺自身がファトゥムになることだと言わんばかりの機能を要しているからだろう。

 

 さて、『ファトゥム零式』の内容としては、まず背中の高エネルギービーム砲付きのバックパック。それに接続されたメインスラスター付きの主翼。最後にシールドブーメラン『フラッシュエッジ4』と高エネルギービームライフルである。

 以前話したシールドブーメランが遠隔操作可能なのは、第三世代兵装の運用に必要なイメージ・インターフェースによるものだ。一応本家はドラグーン扱いだから、流石にそのままでは持ち込めなかったのだろう。

 

 まぁ、盾の遠隔操作はオマケのようなものである。本命はやはりMA形態への変形だ。変形機構を持ったガンダムはSEED系問わず数多くのものが存在するが、その中でも芋者はかなり簡素な変形でMA形態へと移行する。だって芋者本体はつま先曲げて姿勢まっすぐな寝そべりでOKだし。

 しかし、この簡素さがISのようなぱわーどすーつだとかなり重宝する。他の可変機だったら複雑すぎて一部アーマー外すか、人の可動域を超えた方向に曲がっていくことでしか再現できないだろう。

 

 さて、MA形態の長所・短所について述べたいところだが、実は実戦で使ったのは1回のみ。というわけで、今回はその時の記録を振り返る形式にしようと思う。

 

 

 〜記憶回想中〜

 

 

 気候は快晴、照りつける日差しが身体だけでなく足場の砂浜をも熱している。波の音が心地良いこの地に臨海学校という名目で訪れたが、今の雰囲気は緊張一色。とても遊びに来たとは思えぬ様相である。

 

 

「おっす、お二人さん。調子はどうだ?」

 

 

「あっ、飛鳥。どこ行ってたんだよ」

 

 

「ふん、これから作戦だと言うのに随分呑気だな」

 

 

 軽く手を振りながら一夏と箒に声を掛ける。二人が身にまとっているのは海らしく水着…………ではなく、ISであった。

 かくいう俺もISスーツを着用していることから、ただならぬ事態なのは感じ取れるだろう。

 

 

「ま、俺は後方支援役だからな。スピードは出せても一夏を運べないんじゃ意味ないし」

 

 

「来てくれるだけでも心強いよ。フォロー頼むぜ、飛鳥」

 

 

「何を言う一夏!進藤の力など借りなくても、私と紅椿さえいれば事足りる!」

 

 

 まぁその、手に入れたばかりの念願の専用機で二人の共同作業っていうシチュエーション邪魔したのは悪いと思ってる。だが、こちらからすればそうも言ってられないのである。今回の作戦色々と(・・・)ヤバい案件だし。

 

 

「まぁまぁ、とりあえず準備はしっかりな。時間も迫ってきてる」

 

 

「お、おう……」

 

 

 一夏と箒の元を離れながら準備を促す。箒には終始睨まれっぱなしだったが、憎まれ役で済むなら何度だって買ってやろうじゃないか。

 一夏が箒の、具体的には紅椿の上に乗った辺りで俺も専用機を起動させる。

 

 

「……スラスター動作正常。各種兵装エネルギー充填済み。変形シーケンス異常なし。進路クリア。進藤 飛鳥、『イモータル・ジャスティス』発進許可お願いします」

 

 

『発進を許可する。進藤、お前の役割はわかっているな?』

 

 

「はい。白式、紅椿両機に随伴。状況に応じて支援介入を行い、緊急時には……」

 

 

『結構だ。自ら志願しただけはあるな』

 

 

「…………流石に嫌な予感がしたもので」

 

 

 主に一夏関連の。

 

 

『そうか……無理だけはするなよ』

 

 

「了解」

 

 

 その言葉を最後に、俺は芋者の操作に専念する。イメージ・インターフェースを介することで、指先や口頭の操作ではなく俺の思考一つで芋者は変形を始める。

 バックパックの一部が頭を覆い隠し、翼は機体と並行になるよう固定されて広がる。足先のスラスターもより推進力に特化するため後方へと向き、高エネルギービームライフルをマウントしたシールドブーメランが芋者の胴体に付いた。この間僅か2秒足らず。

 

 

「MA形態、移行完了。『イモータル・ジャスティス』、行きます!」

 

 

 人型から戦闘機のような形状、モビルアーマーとなった芋者は十分な高度を稼いだ後、紅椿の後を追うように飛び立った。

 

 今回の作戦は暴走したシルバリオ・ゴスペル(銀の福音)、この芋者ですら素のスペックでは敵わない軍用ISの停止が目的である。




 いつもとは違った形式取ったからか長くなったので分けることにしました。
 あくまでMA形態メインだから、福音戦フルでは流さないと思います()
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