芋者奮闘録   作:舞い降りるズゴック

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 ジークアクスが終わったと思ったらハサウェイの続編来て椅子から転げ落ちた。ネタに困らないなぁ(白目)

 


壊れゆく世界

「いやはや、実に見事な手腕。流石はレバード社長だ」

 

 

「会長殿の日々の苦労に比べれば、どうということはありません」

 

 

 とあるビルの高層、豪華な内装が広がるその部屋は自らの権力の誇示のためか。二人では広すぎる場で、キィノ・レバードは国際IS委員会の長に招待されていた。

 

 

「全くだ。よりによってあのガキ(・・・・)が二人目の男性操縦者だったとは。おかけで冷や汗をかいた」

 

 

 六年前のある事故。多大な労力を払って葬ったはずの闇が、予想もせぬ形で明るみに出るかもしれなかった。それだけ飛鳥の存在は男にとって脅威だったのだ。

 無論、男は持てる権力を行使して、秘密裏に飛鳥を排除できないものかと試みた。その手段を模索する中で協力関係になったのがキィノ・レバードだ。

 

 

自爆システム(イージスシルエット)について一部虚偽の報告を行ったのは水に流すとして、まさかVTシステムに敢えて第一世代を再現させた上で捕えるとは!あとは適当な理由をつけてやれば、何の問題もなく処分できるというものだ」

 

 

 条約違反とされるVTシステムは、IS操縦者の安全を度外視すれば世界有数の機体と実力その両方を再現できるというもの。無論、過去のデータでしかない上に操縦者当人でない以上最大の力を発揮することはまず不可能。

 それでも、わざわざ型落ちレベルの機体を再現するというのは本来ありえない。織斑千冬と暮桜の例が異常なだけであり、そのコピーもIS学園の生徒だけで突破されるようであれば、そのシステムに欠陥の烙印が押されるのも当然の帰結だろう。

 

 側から見れば、意識を奪うことで飛鳥本来の実力を封殺し、機体性能も劣悪なデスティニーのコピーなど、恐るるに足らない。

 あとは亡国機業の仕業であることを大義名分に、世間の目を気にすることなくデスティニーごと飛鳥を葬り去るというのが筋書きだ。

 

 

「さて、報酬の話がまだだったな。これだけの働きをしてくれたのだ。大抵のことは聞いてやっても……」

 

 

「それについては少々お待ちを。まだ一つ報告すべきことがあるので」

 

 

「……なんだね?」

 

 

 レバードからの制止に若干不機嫌な様子になりながらも、男は耳を傾けることにする。

 しかし次に聞こえたのはレバードの声ではなく、男の携帯の着信音からだった。間の悪さに更に顔を歪ませるも、対面にいるレバードは気にすることなく通話に出るよう促した。

 

 

「なんだ、今は大事な話を」

 

 

『や、やっと繋がった!?大変です、会長!襲撃されています!敵はISが一機、デスティニー(・・・・・・)です!!こちらの戦力では対応できず、被害が広がる一方で……!』

 

 

「な、なんだとッ!?」

 

 

 部下からの必死な報告を受け、男はキィノ・レバードをすぐさま睨む。表情は変わらない。薄く微笑んだまま、ひどく冷めた目が男を捉えていた。

 

 

「どういうつもりだ!!何故デスティニーがここにいる!?」

 

 

「第一世代のISであれば何の問題もない、と仰られたのはそちらではないですか?今日この場でも戦力を集めてられていたようなので、手間を省かせてもらったまでです。もっとも、買い被りすぎたようですが」

 

 

「ッ……貴様ァ……!」

 

 

 キィノ・レバードと話していた数分の間で、男が手配した部隊は壊滅状態にあった。腕に覚えのあるIS操縦者も5人は招集することができた。

 だが、これは対デスティニーに用意されたのではない。キィノ・レバードに向けられていたものだ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 テロ組織の一員であり、女である。キィノ・レバードがISを所持していないと考える方が愚策だ。あわよくば、この場で始末してしまおうのが男にとっては安全な選択だったのだろう。

 

 実際は、キィノ・レバードの手の上で踊らされていたわけだが。

 

 

『そ、そんな!?話が違う!!国家代表クラスが複数人もいるんだぞ!?全然歯が立ってな……グワァッ!』

 

 

「お、おいっ、どうした!何が起こっているんだ!敵は一人だけなのだろう!?出来損ないの第一世代のはずだろう!?何故だ、何故こうなる!!?」

 

 

 通信が途切れる。用意されたISは全て量産機ではあったが、その分カスタム性に優れていた。それを扱いこなすだけの技量を持った人材も集めていた。

 にも関わらず、男の用意した布陣は呆気なく崩れ去ったのだ。たった一機の第一世代IS(デスティニー)によって。

 

 

「さて、報酬の話がまだでしたね?結果はどうあれ、見合ったものはいただきましょう」

 

 

「……ふん、テロリストどもめ。欲しいのは金か?権力か?だが、こんなことをして世間が黙っているとでも……ッ!?」

 

 

 男の喉元に刃が突きつけられる。カルラの腕を部分展開したキィノ・レバードは、無慈悲に宣告する。

 

 

「私が要求するのは……お前の命だ(・・・・・)

 

 

「……へ?」

 

 

 キィノ・レバードの非常な宣告に、間の抜けた声が出る。あまりにも直接的な物言いに男の頭は理解を拒んでいた。いや、したくなかった。たった今この場で、己の人生が終わろうとしているということを。

 

 

「ま、待ちたまえよレバードくん……!わ、私はIS委員会の会長だぞ!私の力を持ってすれば、君たちの今後の活動も優位に……!」

 

 

「だからこそ、だ。ISの発展と共に、お前の発言力は増していった。その一声がどのような形であれ、影響を及ばさないことはない。……六年前、とあるISの事故を隠蔽してまで縋り続けた地位そのものが、我々の計画にとって障害となりうる。理解いただけたかな?」

 

 

 ISという既存の兵器を凌駕する圧倒的な力。それを扱える女性が優遇されるのは当然だとして、動かせない側の男がその恩恵に肖るには国際IS委員会が一番手っ取り早かった。

 その選択は、男の人生を遥かに裕福なものへと変えた。ISが世に浸透するにつれ、男の立場もより強固になっていた。後ろ暗いことなど簡単に揉み消せるほどに。

 今の男にとっては、尾を引いているだけで些細な過ちのはずであったのに。その罪を罪として認識できなくなった時から、その末路は決まっていたのだろう。

 

 

「た、助け……!!」

 

 

 許しを乞う暇も与えられず、緑色の光が男の体を消滅させた。その場に立っていた床ごと溶かされ、大きく穴の空いた床を一瞥することもなく、キィノ・レバードは扉の向こうへと去っていく。

 

 

「……デスティニーはすでに事を終えたか。程度の低い相手とはいえ、この早さで無力化に成功するとはな。この調子であれば、例のモノの起動準備を早めても問題は……む?」

 

 

 カルラのチャンネルを通して、一報が届く。それを聞いたキィノ・レバードの目は大きく見開かれ、一筋の冷や汗が頬を伝った。

 

 

「バカな、侵入者だと!?それも『方舟(・・)』の在り処に……!?アレを破壊されれば計画に大きな遅れが出るか。小賢しい真似をしてくれる……!」

 

 

 数ある拠点の中でも、一番見つかってはならない場所に現れた曲者を排除すべく、キィノ・レバードは即座にカルラを展開して飛び去った。その様子を視認したデスティニーもその後を追って空に消えた。

 到着した現地の治安部隊は、凄惨な光景に息を飲みながらも、まだ息のあるIS操縦者や工作員を保護し、治療の後に勾留した。IS委員会の裏工作の生き証人だが、それによって問い詰められるはずの首魁はすでにこの世から消え去っていた。

 

 

 

 

 

試作二号機(ドラグナー)の起動を確認!識別信号は……ライジング・フリーダム!?」

 

 

「なっ!?その起動コードはウチの重要機密だぞ!なんで敵に漏れてる!」

 

 

「これも『デュランダル』の為せる技ということか……?どうします、アレにはここの座標が入力されている。特にこのタイミングで特定されるのは、我々にとって致命的です」

 

 

 緊急時にのみ用意された秘匿兵装。その一つが敵であるはずの者の手により動かされたのだ。パニックになるのも当然。

 それに対し、判断を仰がられた彼らの上司であろう女性は全く動じることなく、自らの意見を述べた。

 

 

「……いいえ、迎え入れましょう。今のデュランダルには、進藤飛鳥がいる。彼女が離反する要因もそう少なくはないと、私は思います」

 

 

「兄妹仲良く協力している可能性は?」

 

 

「ありえません。我々に危害を及ぼすつもりなら、きっとフリーダム一機に任せはしない。なにより、兄としての彼(・・・・・・)が許さないでしょう」

 

 

「そういうことなら、こちらとしては受け入れるしかないでしょう。……管制室より通達!ライジング・フリーダムの入港を許可する、ただちに準備に移れ!間違っても浸水(・・)させるなよ!!」

 

 

 とある海域、陽の光がかろうじて届く水中に沈む巨大な船。世間にも一切公表されていない、真の拠点がそこにはあった。

 国際IS技術統合機関。表向きは(・・・・)その看板を掲げている『コンパス』は秘密裏に行動を開始していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……時は流れ、翌日の朝。IS学園の地下にある一室には、更織楯無とが机越しにある人物と顔を付き合わせている。

 

 

「それじゃ、話を聞かせてもらいましょうか。……戸高(とだか)村雨(むらさめ)さん?」

 

 

 生徒会長や国家代表としてではなく、暗部の当主として。更織楯無は戸高村雨と呼ばれた……飛鳥の後見人であるはずの男に尋問をしていた。

 飛鳥が誘拐され、デュランダルの痕跡を辿る最中に楯無はある事実に行き着いた。それと時を同じくして戸高は接触を図ったのだ。そうして戸高は、その身柄を拘束されることになった。

 

 この場に飛鳥がいないのは不幸中の幸いだ、と楯無は安堵した。戸高の正体を知れば、きっと飛鳥は傷つくかもしれないのだから。

 

 

「……もちろん、伝えるべきことは全て話すつもりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 デュランダルに産み落とされた者としてね(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)




 今回モロに死人出たことで残酷な描写タグ付け忘れていたことに今更気づいた駄作者がいるらしい()
 ご退場となったIS委員会の会長は名前すら付けないモブ中のモブとして処理したわけですが、キィノさん視点としても下手に生かしてたら厄介なことしでかす輩なので、最初から排除の対象となっていたというわけです。トップが消えたことでIS委員会はしばらく機能不全となりますが、これでも序の口。デスティニーはまだまだ暴れます。

 さて、戸高さんがデュランダルの一員であったことが明らかになったわけですが、ここで学園祭編で言及したcvの話題を持ち出させていただきます。
 キィノ・レバードの初登場ということもあって、某声優を当てつける方もいましたし、実際こちらも否定はしませんでした。ですが、蓋を開けてみればキィノ・レバードは女性キャラ、流石に赤い彗星や議長と同じ声なのは無理があると思います。
 では誰のcvが池○秀一だったのか。cvについての言及がされたのはもちろんキィノ・レバードの初登場回。ですが、その話の中ではキィノ・レバードの他にも新しく姿を見せたキャラがいたのです。
 それが誰なのかは、もう察しがついたかと。
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