芋者奮闘録 作:舞い降りるズゴック
「いやぁ、あの時はマジでヤバかった!」
「おう飛鳥、そこまでにしとけ。箒のライフはもうゼロだ」
「すまない…………その節は、本当に………」
笑い話として語る俺とは対照的に、精神的ダメージを負う箒。MA形態について振り返るなら共闘したこの二人だろうと呼び出させてもらったのだ。
「まぁまぁ、殿やっといて落とされたのは俺のミスだし、背中のリフター外せたおかげで大怪我は免れたからさ」
「だからあの時走ってきたのかよ。必死だったから気にしてなかったけど、かなりホラーだったぞ」
そう、背中のリフターは本家ファトゥムの様に着脱可能であったため、福音のエネルギー弾が放出される前に接続を解除することで脱出。爆風は受けたものの、大した怪我もなくシールドエネルギーも残ったままだったので海へ落下しても無事だったのだ。
その後はなんとか近くの島へと辿り着き、頃合いを見て助けに来て貰うつもりだったが、その前に島に福音と負傷から復活した一夏が落ちてきたのだ。どちらもセカンドシフトして機体の見た目も性能も変わってはいたが、確かに福音と白式だった。
もうすでに零落白夜を叩き込んで決着まであと数秒といったところであるが、福音は負けじと一夏の顔目掛けて手を伸ばしていたのだ。
万が一ということもあるので、とりあえず走りながらビームブーメラン投げて、上手く食い込んだので勢いそのままにビーム刃の上からカルキトラで押し込んだ。切断には完全に成功したが、福音は有人機であるため中の人に配慮してアーマーのみ落とすよう位置には気をつけた。
さて、そろそろ本題に入ろうか。
「当たり前だけど、MA形態と普段の状態とじゃ勝手が違うんだよな」
「そういえば、あのビーム砲とか初めて見たぞ。なんで今まで使わなかったんだ?」
「使わなかったんじゃなくて使えないんだよ。あのビーム砲、スラスターと一体化してるからさ」
そう、あのビーム砲は背部スラスターと一体化しているため可動域が狭く、MA形態でなければまともに運用できないのだ。燃費もビームライフルよりはマシなので、こちらとしても普段使いできるようにしてほしい。
「逆にMA形態だと近接武装ほとんど使えないんだよな。目標地点までの高速移動が主だから仕方ないんだけど」
「ど、道理で射撃ばかりしていたのか……」
「そういうこと。一応ビームブーメラン使ったけど、アレ負担ヤバい。使わないに越したことはないね」
復活した箒が会話に入ってくる。福音との戦いで編み出した技であったが、何度もやってたら腕が変な方向に曲がる。そう断言できるほどにはムリがあった。まぁ設計には無い使い方してるからなのだが。
「とりあえず戦闘時にはMA形態に拘る必要はないな。支援重視ならともかく、前張って戦うならブーメランやカルキトラ使えた方が断然良い」
「カルキトラ……あぁ、足か!確かにビームばかり撃つの飛鳥らしくなかったもんな。いつもはブーメランなのに」
「前のタッグトーナメントでラウラ巻き込んでたこともあって、集団戦で使うの不安だったんだよ」
射撃であればその攻撃は当然直線上なのだが、ブーメランは曲線を描く。ある程度の範囲を通過するため、敵と味方が密集していれば双方に命中するリスクがあるのだ。
ラウラの時は一夏との決着に固執して連携もなしに突っ込んでいたから、よりブーメランに巻き込みやすかった。
ちなみにタッグトーナメントの件だが、原作通りなら箒とラウラがペアになる予定だった。ただ、ランダム抽選なのが災いして俺がラウラと組むことになってしまい、しれっと原作ブレイク起こしてしまったのだ。運要素ではあったが、これは相方見つけなかった俺にも落ち度がある。幸い影響薄そうなのでセーフ判定にしている。
「……そういえば、海に落ちる前に背中の武装を分離したと言っていたな」
「あぁ……それが何か?」
「いや、
「ごめんちょっと席外すわ」
俺ですら気にしてなかった点を箒が取り上げてくれたおかげで、ある仮説ができた。早速確認するべく、俺はある番号へと電話をかけた。直接本人は流石に迷惑なので窓口から要件を伝え、そう待たないうちにお目当ての人物がこちらに掛けてきた。
『やぁ、飛鳥くん。こうして話すのは専用機を受領した時以来かな?』
「そうなりますね。お忙しい中申し訳ありません、吉良さん」
俺が通話しているのは、『イモータル・ジャスティス』の開発元『コンパス』に所属している技術者兼副社長の
もう色々アウトな気がするが、気にしてたらやってられないので流すしかない。
「要件伝わっていると思うので早速本題入りますけど、『ファトゥム零式』が分離できるのって何か理由あるんですか?」
『あぁ、特に無いよ』
「なるほど、特に無いと…………えっ、無いんです!?」
『ごめん、冗談だよ。まだ公にしてないから詳しくは言えないだけなんだ』
まじでビックリした。これだけ隠し要素ありますよー、な雰囲気出しといて何もないとか拍子抜けがすぎる。芋者って、一応SEEDのガンダムよ?背中が外れるならもしかしたらって思うじゃん。
『知っての通り、今の第三世代機は特異性を重視している。でも最終的には量産化を目標としているからね。少しでも汎用性を高めるためにパッケージを導入しているのは臨海学校でも見ただろう?』
「まぁ、少しだけではありましたけど…………ってことは、もしかして!」
『フフッ、まぁ進展あったらこちらからまた連絡させてもらうよ。そろそろ戻らないといけないから、これで失礼するよ』
通話が終了する。最後までぼかしてはいたが、これは間違いないだろう。
「おっ、飛鳥。どうしたんだよ、急に出てったりして」
「ちょっとした問い合わせだよ。そしたらかなり嬉しいニュースがあってさ」
「へぇ、一体どんな?」
「教えねぇ」
「なんでだよ!?」
まさかの強化フラグに喜びを隠し切れないが、今の芋者のままで戦う機会が無くなるわけではないと思うので、まだコイツには世話になりそうだ。そのためにもまずは目標を明確にしよう。
一つ目、芋者に新たな装備を追加する。これは最初から宣言していた通り、零落白夜を始めビーム攻撃になんらかの耐性を持つ相手へのカウンターが欲しいためだ。
二つ目、IS操縦者としての技術向上。芋者にとって明確な不利相性こそあれど、スペック上では勝てない相手ばかりではない。武装の扱いだってカタチになってるだけだし、IS自体の操縦テクニックもまだ習得可能なものはあるので伸びしろはある。
とりあえずIS戦で有効に働く要素はこんなところだろう。無論それ以外にも広げたらキリがないので、当面の課題はこれでいい。
「そうだ!せっかくだし、このまま三人で模擬戦しようぜ!まだ雪羅使うのに慣れてない……って、毎度のことだけどめっちゃ嫌そうな顔するな」
「当たり前だろ。何が悲しくてビーム無効とワンミス即死のクソゲーに付き合わなきゃならねぇんだ」
というわけで、俺の芋者による奮闘はまだまだ続いていくのであった。
少し強引ではありますが、ここまでの話はキリ良くまとめられたと思います。思いつき9割の作品にしては頑張ったかもしれない。
ここから追加武装やらの話に入ってきますが、ベースはあくまでイモータルジャスティスガンダムなので、大きな変化は極力ない方向で話を進めていくつもりです(訳:ギャグ回では容赦なくふざけます)