「どーもー、部隊長。リアも着いてって良いっスか?」
「……今度はフィーリリアか。何、君ら打ち合わせでもして、スタンバイしているのか?」
「まーまー、そんな細かい事は気にしなくても良いじゃないっスか」
フィーリリア・リアスタム
寝不足なのかエグめの隈が着いており、顔付きもかなり悪い。猫背気味で如何にも生活態度は不健康そうな少女である。ちゃんとすれば結構な美少女になりそうなのだが、彼女のグータラぶりがその全てを台無しにしてしまっている。
「……まぁ、好きにしたら良いさ」
レーキュ、リデアに続いて今度はフィーリリアが唐突に現れて同行(勝手に)する事となった。3回目にもなれば最早、諦めに近い感情が出て来る。本当にフリーダムな連中だ。
「よー、第4部隊長殿は居るか? 物資の分配の件で打ち合わせしたいんだわ」
フィーリリアを連れ、4組へと足を運ぶ。ISの解析を主任務にする為か教室内は多種多様の機材で埋め尽くされており、教室と言うよりもコンピューター室と言った方が良い様相を成していた。と言うか、教室の後ろは完全にサーバールームみたいな状態になっている。
「……此処。……物資の件?」
「ああ」
「……分かった」
やっぱり、教室の外の廊下で第4部隊の部隊長である更識 簪と話を纏める事となった。目に隈がある事から性格以外、フィーリリアとキャラ被りしていた。
「……拠点設営絡みの資材やら、各種医療品、だな」
「何スか? まるでアウトドアみたいっスね〜」
「……解析部隊と言っても、学園での後方支援に徹する訳じゃない……。場合によっては、現地で行う場合も……ある」
「成程、その為に設営資材が必要って訳か」
「うん……。必要とあれば私達も前線に立たなきゃ、行けないから……」
「そうか。じゃあ、それらを踏まえて第4の意見を聞かせて貰おうか」
「……意見?」
「AIS部隊の後方で居住区とかに陣取って足を引っ張りまくっている女性権利団体やら女尊主義者の処遇だよ」
「死刑」
その質問をした途端、簪はたった2文字で意見を言い終えた。正に即答であった。
「早いな……。何かしら個人的な恨みでもあったのか?」
「……人類にあのような存在は必要無いから」
「何つーか、並々ならぬ怨恨がありそうっスね〜」
「聞いてやるな。半数までの結果は……2:3、か。意外だな……師匠が言うには、8組以外は良い子ちゃんだから、反対多数になると考えていたんだが予想外だな……。
ISは女尊男卑の象徴だからか擁護する人間も現れても不思議では無いと思うのに」
「……宵咲部隊長、憧れだけで実力社会を生き残れると思う?」
「そりゃ、普通に考えりゃ無理だろうな」
「……貴方には想像付かないだろうけれど、代表候補生のみならずIS操縦者と言うのは、完全な実力主義。実力が伴わない人間は淘汰されていく世界。例えば代表候補生候補の中で代表候補生になれるのは一握り……その中で国家代表になれるのは1人だけ」
「そんなに難しいんスかね?」
「……難しい。才能と努力と根気が求められる。なった後でも、候補生同士で潰し合う蠱毒の環境だから……必然的に人数が多くなる中国代表候補生は、世界の中でも苛烈な争いが日夜行われていると聞いている」
「ふむ。それらを踏まえると」
「……うん。女尊男卑は自分の首のみならず、他者の首も道連れで締めていく。……実際、『無限革命』が起こる直前まで、IS業界から手を引く事を決めた企業が増加傾向にあった……。
他にも代表候補生と言った既に所属が決まっている人以外のIS学園の卒業生の最終就職率は1割にも満たなかったと言う話……。割合的に日本人が多かったから」
「ISも数が限られてて、IS関連の企業も然程多くは無く、尚且つ……一企業に付き、1人が2人で事足りちゃうっスからね〜。製造関連だと如何しても体力のある男性の方が有利な業種っスから」
「もはや社会病理か害悪的な存在だな……。女子化を促進させるだけに留まらず、犯罪率を増加させるか。……俺は各国を放浪していたからこの国に愛着心とかは持たないし詳細は把握しかねるが……コレだけは言える。インフラのシステムが破綻寸前に陥るのは容易に想像出来る」
「民主制の欠点が女尊男卑によって増長しちゃった結果ス。政府にも女尊男卑思想に染まっていたっスからね……」
「……うん。だから彼女達の造った泥舟に乗るつもりは無い。生かしていてもまた別の厄介事を引き起こす、ならば禍根を断つべき」
「成程。もうそれくらいで充分だ。その意見、確かに聞き受けた……‼︎ フィーリリア、どうする?俺は3組の方に行くが?」
「そうっスね。ちょっと、解析部隊に興味湧いたんでリリアは此処で離脱っス。結果を待っているっスよ」
「分かった、では、俺は行くぞ」