フィーリリアの一声で如何にか、部屋割りに関しては1人一部屋と言う形に落ち着いた。
「……寮棟自体、豪華だったから予想は出来ては居たが、部屋自体も中々凄いな。コレが学生の寮部屋とは思えねぇな」
手前にはリビングとなっておりテーブルやソファがあり奥の部屋に勉強机とベッドが其々、2つ。更には洗面所にシャワールーム、簡易的なキッチンまで備わっている。
「……ん?」
部屋の内装に若干驚きつつある中で突如、眼前に小型で何も表示されていない空間投影ディスプレイが展開された。
『和奏。聞こえているかしら?』
「何だコレ? ビデオ通話って奴ですか?」
『フフ、貴方にとっては無縁だったモノね。ISには相互位置情報送信機能があったのよ。専ら公開通信と秘匿通信の2種類存在していたのよ』
「……ISによる無線通信って奴か」
『ええ。そう考えて貰って構わないわ。その機能のみ抽出して、ISが無くても使える様にしたのよ。基本的に全部隊員と繋がる様になっているから上手く活用してちょうだい』
「分かりました。作戦行動中に連絡を取り合う事は必要ですし。それで師匠、こんな時間に何かあったのですか?」
『翌朝に第8の制服でもある隊服を支給するわ。制服でもあり戦闘服でもあるのよ』
「そんなの、あったんスね。他の部隊は何かそれっぽいの身に付けては居ましたけど」
『女尊主義者によって物資の供給が滞っていたのよ。だから、他の部隊にも物資が行き渡らず耐久性が乏しい中で作戦に臨まなければならなかったわ』
「…………本当に何から何まで、足を引っ張る事しかしませんね。その連中は」
『心配しなくとも、近い内に魔女裁判が行われるわ』
「魔女裁判て……。まぁ、結果が見えているからそう言う呼び方になるんですね」
『司令部はどんな強硬姿勢を見せるか楽しみね。今伝える事は伝えたから、もう切るわね』
「分かりました。師匠、お休みなさい」
『ええ。お休みなさい……それから部屋の戸締まりはしっかりしておきなさい』
「ちょ⁉︎」
最後に不穏な言葉を残しつつ、小型の空間投影ディスプレイは消失した。
「……戸締まり、鍵はちゃんと掛かっているよな……?」
鈴晶に言われて自分の寮部屋の扉に対して二度見の確認をした。ちゃんと、鍵は掛かっている事を確認した後、シャワーを浴びてから寝る事にした。
翌朝。知らぬ間に事案が発生していた。
「……」
「……」
朝、眠りから醒めようとした時に左右から温もりを感じ、上半身を起こして布団を捲る。右側には黎華が、左側にはリデアの2人が左右から和奏の体にしがみつく形で静かな寝息を立てていたのだ。
「バカな……⁉︎ 昨夜、扉に鍵が掛かっている事を確認し……」
「ーー」ゲセヌ
視界の先、其処には綺麗過ぎる程の鋭利な断面でバラバラに斬り裂かれ未来永劫、扉の役目を果たせなくなった寮部屋の扉の成れの果てが散らばっていた。
如何やら皆が寝静まった頃合を見て黎華が扉を斬り裂いて侵入したようだ。リデアに関してはその後に潜り込んだか。
「ご主人様〜。ベッドメイキングに来たわよ。とっとと起きなさい。扉が無いけど、如何言う事かしら?」
そのタイミングで玄関口の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。と言うか、この状況はマズい‼︎
「あ、ご主人様。起きて……」
遠慮なくラーレが部屋の奥のベッドが置かれている場所に入って来た。そして、状況は和奏は起き抜け、同じベッドに黎華とリデアの2人が寝息を立てていると言う、明らかに同衾状況を目撃された。
「ご主人様。アンタがそのつもりなら、遠慮する必要は無いわね」
「って、さも当然の様に入って来ようとするな⁉︎」
ラーレは半目になってベッドの中に潜り込もうとして来るのを和奏は必死になって阻止する。
「良いじゃない、3人に増えた所で大した差は無いでしょ?」
『第2凰部隊長、第3衣笠部隊長、第4更識部隊長、第5デュノア部隊長、第6ボーデヴィッヒ部隊長、第7オルコット部隊長、第8宵咲部隊長。
以上の者は午前8時迄に各部隊担当教官より部隊制服を受け取り着替えた後、午前8時30分迄に司令官室に集合してください』
その時、呼び出し放送が鳴り響いた。内容から察すると各部隊の部隊長の呼び出しの様である。
「……だ、そうだ。ラーレ、俺は一足先に出るわ」
「行くなら私の作る朝食くらい摂ってからにしなさい。時間にまだ余裕あるでしょうが」
気不味い空間から逃亡したかったのだが、そう簡単には行かせてはくれない様である。その後、リデアと黎華が目覚めて一悶着が起こるのはまた別の話。
それからラーレが作ってくれた野菜サンドイッチは普通に美味しかった。