AIS-アンチ・インフィニット・ストラトス   作:夢現図書館

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国会議事堂攻略作戦概略

 

 

 

 

「……フフフ、実に面白い光景だったのね。是非ともその現場に居合わせたかったわ」

 

 司令官室を後にし、8組教室に戻って来た和奏は教官である鈴晶と他の第8の部隊員達に経緯を説明した。全員が支給された黒と赤の制服に身を包んでいるが個人の性質に合わせたのか形状は本当に様々であった。

 

「……通りで朝っぱらから阿婆擦れ共が鼻水を垂らしながら必死に逃げる光景が見えた訳だ。いやぁ、絶景だったな。何時も偉そうな奴が尻尾巻いて逃げ去る光景ってのは」

 

 黒と赤の制服の上に白衣を羽織ったレーキュはゲラゲラと笑っている。彼女以外にも女性権利団体や女尊主義者達が一目散に学園基地から逃げ出す光景を多々目撃していたのだろう。

 

「……むにー」

 

「黎華ちゃん、斬りたそうな顔をしてる」

 

 ブレザー型の制服のリデアの膝の上に座っている黎華が一振りの日本刀を抱きながら不満気に頬を膨らませる。黒衣に紅袴姿。巫女服のつもりなのだろうか、返り血が目立たないのでそれはそれで恐怖だ。

 それよりもどれだけ斬りたかったのだろーか。幼い部隊員程、シンプルに物騒な思考回路をしているのは如何なモノだろうか。

 

「そう不満な顔をするな。……何でも東京の国会議事堂を奪還だの言う作戦の立案を進めてんだとよ。師匠、後学の為に前回の作戦に関して御教授をお願いしても?」

 

「そうね。そうしましょう。敵を知り己を知れば百戦危うからず……情報は理解して然るべき事よ」

 

 和奏の発言に鈴晶は納得して前回の作戦内容の説明を行う事にした。

 

「元IS学園、現学園基地の人工島の位置は東京湾沿岸部。アクセス経路は東京都羽田空港、神奈川県横浜市の出島から大橋を介しての連絡橋の2ヶ所。

 でも、『無限革命』の戦闘の余波で羽田空港経路の橋は崩落した。物資及び人手不足、更にはISの脅威も重なり復旧の見込みは無い。

 よって、臨時政府が置かれている神奈川コミュニティから横浜市、川崎市を通過し大田区、港区を踏破して国会議事堂へと到達するルートが最短経路となっていた。此処までは良いわね?」

 

「先ず目標地点である国会議事堂。其処には司令塔の役割を持ち他のISに指令を出しているISが占有していた。そのISは遠距離から多数のミサイルを発射する遠距離型のISなのよ」

 

 コレまでの調査から国会議事堂を占拠している司令塔は多数のミサイルで武装した遠距離攻撃を有したISであるとの事。

 

「……そりゃあ、厄介極まりねぇな。ISにゃハイパーセンサーがあり360度の視界を有しているし、サーモグラフィーみてぇに人体を察知しやがる。人間の思考限界による処理能力の問題は恐らく無ぇだろーから、奇襲は難しいだろな」

 

 レーキュはそう分析する。

 

「ええ、その認識は概ね正解。そのISの攻撃範囲、そして指揮下にあるISの存在により東京都23区はISの支配下……ほぼほぼ死角が無いと考えて良いでしょうね」

 

「侵入しようにもハイパーセンサーにより感知され上空から正確な照準によるミサイルパーティか。無対策での接近は無謀だな」

 

 射程外から狙われる。ISの有するハイパーセンサーは2kmを優に超える。然も破壊力のある爆轟を伴うミサイルだとその被害は甚大と言える。

 

「斬れば良いだろ」

「斬れば大丈夫、多分」

 

 人斬り2名がそう断言して来た。黎華と同じく和装であるが上衣を片側だけ半脱ぎにした着方の目付きの悪い少女、霧嶌 錯矢だ。

 

「君らはそれで良いだろーが、その後に爆発すんだよ‼︎ 防腐処理があるとは言え、後が面倒なんだよ‼︎」

 

「はいはい。和奏がツッコミ中毒になる前に話を進めるわ」

 

「だからツッコミ中毒って何だよ⁉︎ フィーリリアの出任せかと思っていたけど、病名として実在するのか、ソレ⁉︎」

 

「和奏……話が進まないから黙っていなさい」

 

 鈴晶は和奏を黙らせて話を続ける。

 

「国会議事堂を奪還する理由は幾つかあるわ。

 先ず、ISは『フレイヤ』と名乗り人類へ宣戦布告した原初のISを頂点としてその下に一斉蜂起したISが並び、その下に『無限革命』後に増産されたISが存在するわ」

 

 鈴晶は説明しながら背後にある黒板に図面を表示させる。それは組織図の説明で良く使われるピラミッド型の図面であった。

 フレイヤが1番上であり、その下にかつて篠ノ之束が製造したISが置かれ、更にその下に新たに増加したISが配置されている。図で見れば正にISによる組織構図と言える。

 

 フレイヤ>束製ISコア(上位種)>自己増産IS(下位種)

 と言う社会構図を構築している事になる。

 

「司令部は便宜上、司令塔を担うISを上位種、その麾下にあるISを下位種と呼称しているわ。ただ、懸念事項はかの篠ノ之 束はISに『自己進化』の機能を組み込んでいたと言う事、つまり」

 

「……今、この瞬間にも自己進化を続けている」

 

「ええ。AIS部隊設立して以降、殆ど成果を上げる事が出来ていない事も相俟って現在のISの調査研究は殆ど進んでいないのが実情。……今現在全てのIS、特に今回の討伐目標である国会議事堂を占有している上位種がどの様な独自進化を遂げているのか分からないのが実情よ」

 

「…………」

 

「少し逸れたわね。国会議事堂を奪還する理由なのだけど、司令塔を担っている上位種のISを破壊する事が出来れば、統率が途絶えた下位種のISを各個撃破、最終的に掃討すれば、東京都をISから奪還する事が出来る。東京都には物資や放置された技術、備品、兵器がまだ残っている筈なのよ」

 

「確かに統率された上で群られて来られるより、孤立して各個撃破した方が楽だし、東京にゃ過去の異物と言われようが兵器類がある基地があるからな。あるモノは使わねぇと勝てるモンも勝てねぇしな」

 

「ええ、その通り……。特に軍用の輸送ヘリはあるのと無いのでは行動範囲や移動速度が大きく変わって来るわ。

 そして此処からは概ね貴方達の予想出来る展開になるわ。作戦内容は煽動、陽動、直接攻撃を仕掛ける形式を取ったわ。上位種ISのミサイルは非常に脅威、正面から乗り込むのはかなり危険だったわ……。でも、其処に女性権利団体が司令部の通信に割り込んで引っ掻き回してくれたわ。

 具体的には危険なので撤退指示を出そうとしたら撤退するなとか、作戦内容を無視して自分の資産を守らせようとしたり、作戦内容を捻じ曲げ現場を混乱させ犠牲者を出させたりと酷い有様だったわね……」

 

 

 

 

 

 

『各担当教官及び各部隊総員、講義堂に集合して下さい』

 

 

 

 

 

 

 その時、基地内放送による呼び出し指令が出された。指定では無く、全員である。

 

「……どうやら立案内容が纏まったみたいね。今後は女尊主義者による妨害工作も無為な犠牲も無くなる事でしょう。……本音を言えば追放と言わずともその場で駆除し切ってしまう方が有意義だけど、仕方ない事ね」

 

 

 

 

 

 

 

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