ダークマイト伝説の始まりだァ!!   作:やはり…次は、俺だな!

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「1つ問おう! 新時代を作るには何が必要だと思うかね? そう、若人のイチャイチャだ!」

 

 

 「ゴリーニ・ファミリー」、それはヨーロッパ圏最大の犯罪組織の名だ。

 

 

 いや、正確に言えばヨーロッパ圏最大の犯罪組織に()()()組織の名というのが正しいだろう。

 

 

 「ゴリーニ・ファミリー」の現ボスである男は思い返す。

 彼がボスへと就任した時代から既に「ゴリーニ・ファミリー」は大きな組織ではあったが、それでもヨーロッパ圏最大と呼ばれる組織にまではなっていなかった。

 

 

 全ては彼の息子――バルド・ゴリーニの力だと彼は確信している。

 

 

 息子はとても優秀だった。

 勤勉で自らを磨くことに余念がなく、そして犯罪組織のボスの後継者として生まれたにも関わらず悪徳に堕落せず、律する心を持っていた。

 

 マフィアの子に生まれたのだ、罪を起こしたことが無いとは言わない。

 清廉潔白であるなどと口が裂けても言えないが、それでも息子には息子なりの信念があったのだろう。

 

 仮にファミリーの一員であったとしても不義を行えば自ら裁いた。

 それ故に「ゴリーニ・ファミリー」はただの犯罪組織として堕落することなく悪として悪なりの秩序を重んじる「マフィア」としての姿勢を貫くことが出来たのだ。

 

 

 そして、何よりも息子の個性は凄かった。

 「錬金」は触媒を必要とするものの様々なものを自在に作り出せる個性だった。

 

 たゆまぬ努力と鍛錬によって成長を続けた個性は精密機械すら当然のように作り出し、ゴーレムじみた兵士すらも作り出せる。

 

 その力によって「ゴリーニ・ファミリー」はますます飛躍した。

 抗争の際には自ら先陣を切って戦い、他の犯罪組織を壊滅に追いやり吸収し、また別の犯罪組織に抗争仕掛け壊滅させて吸収……それを繰り返していく内に「ゴリーニ・ファミリー」は今のヨーロッパ圏最大の犯罪組織へと成り上がった。

 

 

 なんてことはない。

 他に比するような規模のヴィラン組織を片っ端から潰した結果、「ゴリーニ・ファミリー」だけが残った――だからこそ「ヨーロッパ圏最大の犯罪組織」なのだ。

 

 

 

 その大型組織の片っ端から潰し具合はさながら日本のオールマイトを彷彿とさせたものだ。

 

 

(そうだ、お前はオールマイトが昔から好きだったからな……)

 

 

 思い返す。

 立場を考え、秘密にしていたのだろうが父親である彼は知っている。

 

 

 息子はオールマイトファンというべき人間だった。

 彼の私室はオールマイトグッズに占拠され、部屋中に写真が貼られており――それは重度の、ちょっとやばい域のファンじゃないかと心配していた。

 

 

 ただ、まあそこは所詮は趣味の範疇。

 「ゴリーニ・ファミリー」を拡大させ、自身の後継者として相応しい自慢の息子の欠点に目を瞑る親心が彼にもあった。

 

 

 執拗に抗争を引き起こして商売敵とでもいうべき犯罪組織を壊滅していたのはオールマイトの強さを意識してかも知れないな、と思いつつも息子の自由にさせていた。

 彼はその全てに勝利し、その勝利を血肉へと変えて更なる高みへと肉体を個性を進化させていたのだから。

 

 

 

(だが、それは間違いだったのかもしれない……)

 

 

 

 組織の躍進に目が眩んで大事なことを見落としていたのではないか、と男は自問自答を繰り返した。

 

 

 もっと早くに止めるべきではなかったか。

 

 

 あるいはちょっと休ませるべきだったかもしれない。

 

 

 だって――

 

 

 

 

「1つ問おう! 新時代を作るには何が必要だと思うかね? そう、アオハルだ!」

 

 

 

「お、おう……」

 

 

 

 オールマイトのコスプレをしている息子の姿を見ながら男は深々とため息をついた。

 

 

 

 

(少し働かせすぎたのかもしれない。そろそろ私もいい年だし、世代交代にいいかなと思って発破をかけたのがよくなかったのか? これまでの功績だけでも十分過ぎたのに……。それとファンだったオールマイトの引退も精神的にきつかったんだろうな……)

 

 日本の神野でのオールマイトが引退する切っ掛けとなった事件を見てから息子につけていた部下から「様子がおかしい」と報告は受けていたのだ。

 それで心配になった男は息子を呼び寄せて話を聞くことにした、ちょうど息子には聞きたいこともあったのでいい機会だと思ったのだ。

 

 

 

 

 そして、呼び寄せたら――こうだったのだ。

 

 

 

「その……なんだ、バル「ダークマイトだ」――ああ、うん。ダークマイトよ、お前がこの間あげてきた話なんだが」

 

 

 

 自身を「ダークマイト」と呼ぶように言ってくる息子を見ながら男は努めて感情を制御しながら話を続ける。

 

 

 

 えっ? 突っ込みは無いのかだって? 馬鹿かお前、もう一通り済ませたに決まってるじゃないか。

 

 

 

「この俺がオールマイトを…象徴を引き継ぐ」「今のオールマイトは力を失ったただの人間…」「この俺が…象徴となる!」「そう…これからは俺の時代」「ダークマイト…新しい象徴の名さ」etc

 

 

 

 つまりはそういうことだ。

 なるほどわからん。

 

 

 男は急速に胃が重たくなった気がした。

 自分はどこで育て方を間違えたのだろうか……。

 

 

 

 

 安心してほしい、ダークマイト(に転生した男)は生まれた時から既に間違えているので育て方の問題ではない。

 

 

 

 

 彼が「ゴリーニ・ファミリー」の組織の拡大に大いに寄与したことも単にダークマイトを極めるために行った行動によるもの。

 ダークマイトとしてダークマイト道を究めるにあたり、彼は自らに制約を課した。

 

 

 それは神野事件発生まではダークマイトを封印するというものだ。

 

 

 これはダークマイトがダークマイトとして活動するのは先代である(先代じゃない)オールマイトから「次は君だ」のバトンを受け取る(渡してない)必要があるからだ。

 二代目オールマイト(二代目じゃない)として象徴を引き継ぐため(引き渡してない)、そして次の世代にバトンを繋ぐ(勝手にパスカットをするな)役割を担うためにもそれは神聖な儀式。

 

 

 ダークマイトは神野事件を経て生まれる。

 それ故にそれまではただのバルド・ゴリーニである必要があった。

 

 

 とはいえ、ではその間ただ怠惰を貪ればいいのかというとそれは違う。

 二代目オールマイト、平和の象徴、ダークマイトとして相応しき力を得るために彼は鍛錬と自身にPLUS ULTRAを促してくれる強敵と出会うため。

 

 彼はヨーロッパ中のヴィランに喧嘩を売りまくったのである。

 「ゴリーニ・ファミリー」がヨーロッパ圏最大の犯罪組織になったのはその結果でしかなかった。

 

 別に「ゴリーニ・ファミリー」のことは好きだし、親に対する敬愛もある。

 だが、徹頭徹尾その行動の根幹はダークマイトとして相応しき力を得るための下準備としてのためだったのだ。

 

 

 

 

 そんな生活を続け、遂に神野事件が勃発。

 オールマイトは引退し、「次は君だ…」を行い――晴れてダークマイトが始動できるようになり、彼ははっちゃけた

 

 

 

 

 数十年に渡る禁欲生活から解放された状態のようなものだった。

 敬愛するべき父がとても痛そうに胃を押さえながら話していることにダークマイトは特に気付きもしなかった。

 

 

 

 できる限り、目の焦点をずらしダークマイトな恰好を見ないようにしながらバルドの父は話を続けた。

 

 

 

「お前が傘下に収める家について口を挟むなんて珍しいじゃないか。それについて少し疑問に思ってな」

 

 

 彼がバルドを呼びつけたのはとある疑問を解消するためだった。

 

 基本的にやることはやるが組織運営に関しては「ゴリーニ・ランド」以外のことだとそれほど口を挟んでこない息子が、とある家に関してあえて口を出してきたのが彼には不思議だったのだ。

 今や「ゴリーニ・ファミリー」はヨーロッパ有数の組織、そこに誼を通じたいと思うものは多く、そして傘下に入ってファミリーとなることで庇護下に入る勢力というのも大勢いる。

 

 なので傘下云々という話自体はそれほど珍しくもない。

 だが、普段は口を挟んでこない息子があえて――というのが気になったのだ。

 

 資産家の家ではあるとはいえ、今や有数となった「ゴリーニ・ファミリー」があえて特別扱いをするほどの規模ではない。

 では、何のために……と思い、配下に調べさせて分かったことが「シェルビーノ家」の令嬢――アンナの存在だ。

 

 

 伝聞のために詳細は定かではないが、どうやらその娘の個性は他者の個性を強化すること出来るらしい。

 

 

 その話を聞いた時、バルドの父は思ったのだ。

 あるいは息子はその個性を利用するために必ず傘下にするようにと言い出したのではないか、と。

 

 

 

 

 それを確かめるために呼びだして問いただしたところ、返ってきたのが……。

 

 

 

 

「それで……なんだっけ? あ、アオハル?」

 

 

「平和の象徴とは何か!! それ即ち、若い男女が気兼ねなくイチャイチャしている光景!」

 

 

「そうかな? そうかも……いや、ただのデバガメでは?」

 

 

「しかし、父上。執事とお嬢様の関係は鉄板CPなのです」

 

 

「つまり……そのシェルビーノ家のお嬢様と執事の関係を眺めたいから支援したいと?」

 

 

「平たく言えば!!」

 

 

「肯定して欲しくなかった」

 

 

 親だからこそわかる。

 わかりたくないけどわかってしまう。

 

 

 息子は真実を言っていると。

 だって目が輝いているんだもん。

 

 

 頭をかきむしりたくなったが辛うじて耐え男は口を開いた。

 

 

(まあ、誼を通じておいて損はない相手ではあるし……)

 

 

 というか既に息子は私的な交流を行い、傘下入りに関しては向こうも好意的であるという話だ。

 

 

 ならば、まあ無理にやめさせる理由もない。

 そう判断し、シェルビーノ家に関してはそのまま進めることにする。

 

 

 

 そう決断すると男は息子――ダークマイトと向き直った。

 向き合いたくはなかったが仕方ない、ここは覚悟を決めて腹を割って親子の会話を……としようとしたタイミングのことだった。

 

 

 

「ボス! 大変です!」

 

 

 

 配下の者が慌てて入ってきたのは。

 

 

 





「ゴリーニ・ファミリー」
・ヨーロッパ圏最大の勢力を誇る犯罪組織、マフィア。
・仁義を重んじる傾向がある古い体制のマフィアで自警団の系譜を汲む。
・バルド・ゴリーニ(ダークマイト)が殴り込み、「デボラ、ブルーノ、パウロ! ジェットストリームアタックをかけるぞ!」で大抵は死ぬ。
・ヨーロッパ圏の大きめのヴィラン組織はバルド(ダークマイト)経験値になった。

「バルド・ゴリーニ」
・主人公、ダークマイト(転生)になった男。
・ダークマイトを達成するために神野事件まではダークマイトを封印するという禁欲生活を行っていた。
・だが、やつは弾けた

「ゴリーニ・ランド」
・ファミリーの表向きのしのぎ、バルドが思いつきサイモンがトップになって運営されている。
・キャッチコピーとしては「世界一安全な遊園地」、手を出せば「ゴリーニ・ファミリー」が出てくるし、ついでに彼らのことを監視するために政府から派遣されたヒーローも巡回しているので事件を起こした場合、二つの勢力から狙われることが確定してしまうという。
・サイモンのアトラクションのせいもり、とても人気でヨーロッパでも大人気なほど知名度がある遊園地な模様で結構な利益を題している。
・ダークマイトになった暁には「ゴリーニ・ランド」をダークマイトで染め上げるという野望をダークマイトは持っている。
 なお、その場合、確実に訴訟が飛んでくる模様。
 そもそもオールマイトの姿形を利用しているので、著作権問題で突かれることはまずい。


 これが訴訟の力ァ!!



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