ダークマイト伝説の始まりだァ!!   作:やはり…次は、俺だな!

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「注意事項」

・劇場版ネタバレがあるので気になる人はバック推奨

・難産だった……

・ダークマイトって何だろう?(哲学



「1つ問おう! 新時代を作るには何が必要だと思うかね? そう、ライジングだ!」

 

 

 燃えている。

 辺り一面の建物が燃え、遠くからは銃声のようなものが鳴り響く中――アンナ・シェルビーノは逃げていた。

 

 

「逃がすな! シェルビーノの娘を捕まえろ!」

 

「娘の個性さえあれば……っ!」

 

 

 その日、シェルビーノ家はヴィランによる襲撃を受けていた。

 

 

 その目的は一人娘であるアンナ――いや、正確に言えば彼女の持つ個性を狙っての犯行だった。

 

 

 彼女の個性は「過剰変容」。

 変容性個性因子を送り込むことで個性を強化するという力を持っていた。

 

 

 シェルビーノ家はそのアンナの個性を隠していたのだがどうやらその能力の詳細が漏れてしまったらしい。

 

 

「「ゴリーニ・ファミリー」が娘の個性を手に入れてしまえばもう俺たちに勝ち目はねぇ」

 

「だが、俺たちが先に手に入れてしまえば……」

 

「ああ、「ゴリーニ・ファミリー」への復讐も――」

 

 

 襲撃してきたヴィラン達は対「ゴリーニ・ファミリー」のために連合を組んだ言わば「反ゴリーニ連合」というべき存在だった。

 破竹の勢いでヨーロッパ圏の裏社会の勢力図を塗り替える「ゴリーニ・ファミリー」に敗北した落伍者、その生き残りが打倒「ゴリーニ・ファミリー」を目標に手を結んだ勢力だった。

 

 

 とはいえ、「ゴリーニ・ファミリー」は強大だ。

 次期後継者であるバルド・ゴリーニを始め、強力な個性を持った幹部たち、そして敵対勢力を壊滅させ、吸収を繰り返した結果増えに増えた鉄の規律による結束に従う二万人を超える構成員。

 

 

 個人レベルではともかく、組織レベルでは悉く打倒されている「反ゴリーニ連合」では手を組んだところで抗える術はなかった。

 

 

 そんなときに舞い込んできたのがアンナの存在だった。

 彼女を持つシェルビーノ家が傘下に加わるという話を聞いた時にはただでさえ強力な「ゴリーニ・ファミリー」がさらに強くなる――と絶望したものだが、「そんな個性があるならば奪ってしまえばいいのではないか」という話が出た結果がこれだ。

 

 

 

 

 「反ゴリーニ連合」は本格的にシェルビーノ家が「ゴリーニ・ファミリー」の傘下に入る前にアンナ・シェルビーノを強奪することを決意。

 

 

 

 

 そして、今日を迎えた。

 

 

 

「わ、私の……私のせいで……こんな個性……凄いものじゃないのに」

 

 

 不意の襲撃を受けてシェルビーノ家は混乱に見舞われた。

 シェルビーノ家は確かに有数の資産家の家ではあったが流石に組織的なヴィランの襲撃を受けて平気なほどではない。

 

 

 アンナを逃がすことが精一杯でこうして彼女は一人で燃える屋敷の中を彷徨うことになっていた。

 

 

「私の……私のせいだ。こんな、こんな力さえなければ……」

 

 

 今にも胸が張り裂けそうな申し訳なさがアンナの胸を焦がした。

 自身の個性を目的にヴィランが襲撃し、離れ離れになってしまった自身の父の安否もわからない。

 

 

 彼女を逃がすために犠牲になった人達もいた。

 彼らに報いるために逃げなければならないと思うのに、脚はもつれて思うように動かない。

 

 

 

「誰か――」

 

 

 

 アンナがそう呟いた瞬間、火事の影響か脆くなったのだろう床が崩れ僅かな浮遊感に落ちることを悟った彼女は目を瞑り――

 

 

 

「もう大丈夫! 何故って?」

 

 そんな声と共に誰かの逞しい腕に抱かれ助け出された。

 

 

 

 

 

 

「――俺が来た」

 

 

 

 

 

 恐る恐るアンナが目を見開くとそこには

 

 

 

 

 黒の高級なイタリアンスーツを身に纏い

 

 

 逞しい肉体と二本の触角のような金の髪を持った

 

 

 世界的に有名なヒーローの顔――

 

 

 

 

 

「オールマイト……じゃなくて誰!?」

 

「ダークマイト…新しい象徴の名さ」

 

 

 

 

 ――に似せているけど明らかに違う顔(具体的に言うと鼻の高さ)の男、ダークマイトがそこにいた。

 

 

 

 

「……って、あれ? もしかしてその声ってバルドおじさま?」

 

 

「今の俺はダークマイトだ、アンナよ」

 

 

 一瞬、困惑したものの聞き覚えのある声にアンナは冷静さを取り戻した。

 何故ならその声は彼女にとって聞きなれたものだったからだ。

 

 

 アンナは個性にとある欠点を抱えており幼少のころから人と離れて暮らしていた。

 それ故に彼女の世界は狭く、シェルビーノ家の人間で完結した。

 

 

 そんな中でバルド・ゴリーニは特別な人間であったといえよう。

 彼は秘密にしていたはずのアンナの個性を何故か知っており、シェルビーノ家へと接近してきた。

 

 最初こそ、アンナの父はバルド・ゴリーニは彼女の個性を利用しようとしているのだと思い警戒をしていたのだが、彼は彼女の個性を知っているにもかかわらず特に興味を示した風もなく、ただアンナとしての彼女に興味を抱いている風であった。

 そのことに毒気を抜かれ、アンナの父が彼女と親交を深めることを許し、バルド・ゴリーニは偶にお茶会をする仲になった。

 

 

 特段、何か特別なことを話すわけでもなかった。

 映画の話、音楽の話、巷で話題になっている流行の話、そんな何でもない雑談をする執事のジュリオが淹れるお茶を飲みながら過ごす時間がアンナは好きだった。

 

 

 故にバルド・ゴリーニのことを「おじさま」と呼び慕うようになったのは自然なことだったのだろう。

 そんな彼女だから顔が変わってしまったバルド・ゴリーニのことを声だけで判断するのは難しいことではなかった。

 

 

「どうしてここに……」

 

 

「話を聞いてね。どうやらこちらの事情に巻き込んでしまったようだ。済まないアンナ」

 

 

「そんなこと――っていけない! おじさま、私に触れては……っ!」

 

 

 何故、彼がここにいるのか。

 

 というかその姿は何なのか。

 

 そんな疑問に頭がいっぱいになってしまい反応が遅れてしまったアンナだったが、彼が彼女を助けるために触れてしまっていることに気付きアンナは顔を青ざめた。

 

 

 

 「過剰変容」の個性には致命的な欠陥が存在する。

 

 それはアンナの送り込む変容性個性因子は確かに個性を強化する力があるがそれには適性も存在するということだ。

 アンナの変容性個性因子に上手く適合することが出来れば絶大な力の増幅を可能とするが、その反面適合しなかった場合拒絶反応を受けて気絶してしまうほどのフィードバックを受けてしまう。

 

 そして、この適合率は非常に低く大半の人間は適合せずにアンナに触れてしまうと拒絶反応で倒れてしまう。

 

 

 それがアンナ・シェルビーノが隔離されるように育てられていた理由だった。

 

 

 彼女に触れ、次の瞬間には倒れてしまうという人間を嫌というほどアンナは見てきた。

 だからこそ、彼女は親しいバルド・ゴリーニが自身を助けるために触れてしまったことに慌てふためき――

 

 

 

「いや、大丈夫だ。大丈夫なのだ。何故なら私は――ダークマイトなのだから」

 

 

「えっ、おじさま……?」

 

 

 

 バルド・ゴリーニ――いや、ダークマイトの胸に咲いた一輪の花の姿に目を見開いた。

 

 

 

 それは数少ない、適合者を表す光景だったからだ。

 

 

 

 

「俺がダークマイトである以上、これは必然だ。だが、やはり一抹の不安が俺にはあった。もしそうでなければ――俺はダークマイトではないという証明になってしまう。だからこそ、勇気が出なかったのだが……そうか、やはり……次は、俺だな!」

 

 

 

 しみじみとダークマイトは自身の胸に咲いた一凛の花に触れながら呟いた。

 

 

「???」

 

 

 アンナは何が何だかさっぱりだった。

 そんなことをしていると不意に扉が叩きつけるように開かれ一人の男が飛び込んできた。

 

 

 

「お嬢様!? ご無事ですか?!」

 

 

「ジュリオ! 無事だったのね!」

 

 

 男の名はジュリオ・ガンディーニ、シェルビーノ家に仕えるアンナ付きの執事だ。

 

 

「ああっ、よくぞご無事で……ここは危険です。幸い、偶々来ていた「ゴリーニ・ファミリー」の方々の協力もあり応戦は出来ていますがここも危なくなりますので安全なところに――って何ですか、そこのオールマイトのパチモン!? 「反ゴリーニ連合」の手の者か!?」

 

「ハロー、エブリワンジュリオ。好きな紅茶の話で盛り上がったこともあるというにつれない反応だ。チョコ食べる?」

「何を言ってるのジュリオ。バルドおじさまよ」

 

「えっ? バルド様? 何を言っているのですかお嬢様。いや、確かに聞き覚えのある声のような「違うぞ、ジュリオ」――違うと言っていますよ、お嬢様?」

 

「今の俺はダークマイトだ。まあ、バルド・ゴリーニでもあるが」

 

「つまりダークマイトになっているバルドおじさまってことね。つまりはそういうことよ、ジュリオ」

 

 ダークマイトの訂正にアンナは素直に従った。

 アンナ・シェルビーノは素直な女の子なのでオールマイトの格好を何故かしているバルド・ゴリーニであると受け入れた。

 

 

 オールマイトの格好をしている理由についてはさっぱりわからなかったが。

 

 

 

「???」

 

 

 

 一方で真面目なジュリオは宇宙を背負った。

 「ゴリーニ・ファミリー」の正統後継者でありその飛躍に大いに関わったバルド・ゴリーニがオールマイトの格好をしているという事態に脳が理解を拒んだのだ。

 

 

 

「うむ、とりあえずジュリオが来たからにはもう安心だな。アンナのことは任せようではないか」

 

「バルドおじさ――「ダークマイトね」ダークマイト! お父様たちが……」

 

「わかっている、俺に任せなさい。「反ゴリーニ連合」など、こちらの事情に巻き込んでしまったようだ」

 

 

「えっと、あの……」

 

 

「いいえ、ダークマイト。悪いのは私よ、私の個性のせいでこんな……」

 

「アンナ……」

 

 

 あっさりとダークマイトの存在を受け入れたアンナとは対照的についていけないジュリオを尻目に彼の話は進んでいく。

 

 

「キミのせいではないし、キミの個性のせいでもない。悪いのはそれを利用しようとする者たちだ。それを間違えてはいけない」

 

「でも、ダークマイト……こんな触れただけで誰かを傷つけてしまう個性なんて」

 

「俺のように傷つかない人間だっているさ。それに……うーん、やっぱもう巻きにした方がいいよな。正直、いくらダークマイト道を貫くためとはいえやっぱダメだろって気持ちあったし」

 

「おじさま?」

 

 

 元々気が乗らなかったこともあるし、偶然の結果とはいえこうして確認も出来たのでこれでいいかとダークマイトは決めた。

 

 

 

 

 

「ほい」

 

 

 

 

 

「きゃっ!?」

 

「お嬢様っ!? 何を……」

 

 

 不意打ちのようにダークマイトはアンナを軽くジュリオの方に突き飛ばし、彼は慌てて咄嗟に彼女を抱きとめた。

 

 

「ジュリオ!? 私の身体に右手以外で触れては――って、アレ?」

 

「これは……まさか」

 

 

 ジュリオがアンナの執事をやっているのには一つの理由があった。

 それは彼が彼女の個性を抑え込める個性――「因子相殺」という個性を持っていたからだ。

 

 

 詳しい理屈は省くが端的に言えばジュリオはアンナの個性をおさえることが出来る。

 ただし、ジュリオが個性を発動できるのは右手だけなのでそれ以外の場所は……そのはずだった。

 

 

 

「ジュリオもなの?」

 

「どうやら……そのようです」

 

 

 ジュリオは確かにアンナの個性の対象になった。

 だというのにこうして拒絶反応もなく耐えられたということは――つまりはそういうことだった。

 

 

 

「私の個性が高まっている感覚がします」

 

「つまりは今のジュリオならばアンナの個性がいくら暴走しようとも抑えられるということだ」

 

「おじさま……」

 

「キミの個性に傷つけられない人間がこうしてここに二人もいる。だから、そう自らを責めるなアンナ。ジュリオが側にいればキミは好きなものに触れていいし、何処に行ったっていい。そうだろう、ジュリオ?」

 

「バルドさ「ダークマイトね」……ダークマイト。そうです、お嬢様。貴方の個性が誰かを傷つけそうになっても私が必ず――だから……」

 

「ジュリオ」

 

 

 

 見つめ合う若き男女の二人。

 ダークマイトを息を殺し、気配を断ち雰囲気を壊さないように尽力するものの――不意に大きく響いた遠くの爆音にアンナとジュリオはハッと現状を思い出した。

 

 

「いけない! お父様!」

 

「そうでした、助けに行かなければ」

 

 

 

……いい感じだったのに。おじさんちょっと…怒っちゃうよぉ!? いや、いい。ジュリオ、アンナのことは任せた。あとはこのダークマイトに任せなさい」

 

 

「しかし、相手は数百人近くの動員をかけているという話です。いくらなんでも――」

 

 

 小声で呟きながらも仕方ないとスーツの上着を脱いだダークマイトに思わずジュリオは言った。

 「反ゴリーニ連合」はよほど今回の作戦に心血を注いでいるのかアンナの強奪の為に相当の数のヴィランを動員している。

 

 

 如何にバルド・ゴリ――ダークマイトといえど危ないのではないか、と心配したのだがそれをダークマイトは手で制した。

 

 

 

 

「1つ問おう! 新時代を作るには何が必要だと思うかね? そう、カップリングだ!」

 

 

 

「「????」」

 

 

 

「自身が体験できなかった青春の一ページ! あるいは未来に投影する素敵な将来の一ページ! それを堪能するために人は自らの心の中に推しカプを見出し! そのイチャイチャを堪能することで幸福を享受できる!」

 

 

 「錬金」の個性を使いオールマイトのヒーローコスになったダークマイトにアンナは目を輝かせた。

 引き籠って外に出ることがない彼女にとってヒーローっぽい光景を見るのは滅多にないからだ。

 

 

 まあ、コスプレなのだが。

 

 

「あのヒーロースーツを身に纏うのは戦いに行く前なのでわかるのですが、このドローンから流れる音楽いったい何の意味が?」

 

 

 ジュリオの言葉をスルーしながらダークマイトは続けた。

 

 

 

「それこそが平和の象徴……愚かなる「反ゴリーニ連合」よ、新たな象徴を前に己の脆弱さを思い知るがいい! ここからダークマイトが始まるのだ! 即ち――ライジング!!」

 

 

「これが、象徴の力ァ!」

 

 

 

 「反ゴリーニ連合」はこの日、壊滅した。

 

 





「ダークマイト」

・CP厨気ぶりおじさん、アンジュリ勢
 象徴とは即ち「CP厨気ぶり」
・アンナには前から目をつけていたが万が一彼女の個性に拒絶されてしまった場合
 ダークマイトじゃない可能性が出てきてしまうので試せなかったがライジングした。

「俺はもしかするとダークマイトじゃないのかもしれない。試してみればわかるかもしれないが怖い。俺はもしやダークマイトだと思い込んでいるただのおっさんではないのか? いや、いけたわ。やっぱり俺はダークマイトだった。やはり次は――俺だな! それはそうとアンジュリを推すか」

「アンナ」

・気ぶり勢のダークマイトを慕う女の子
 個性は失ってないが前向きになっている
・ダークマイトからのダークマーケティングを受けてジュリオに積極的になっている

「ジュリオ」

・腕も目も失っていない
・個性が強化されたのでアンナに負担をかけずにホッとしている
 それはそれとして最近アンナが積極的になって来て困っている
 周囲から生暖かい視線を感じることもあり居心地が悪い

「バルド父」

・息子がダークマイト化した心労で入院
 そのままファミリーのボスの座を明け渡し世代交代する羽目に
・ダークマイト化した息子がオールマイトに敬意を表し
 生涯不犯を誓っているため孫を抱けない悲しき運命が待っている

「ゴリーニ・ファミリー配下」

・「なんかボスがダークマイト化した……それはそれとしてお嬢様と執事っていいよね」
 「いい……」
・ダークマイト汚染が始まっている


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