カケラあつめ~癖の強い三人、異世界で無双す~   作:みけさんわーきゃっと

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一番最初のお話はたぶん20年以上前に書いたものです
発掘されたので手直ししつつ……


プロローグ「カケラ集め」

 

 

 

 

 

Fate view

 

 

 

 

 

一人の男がいた。

魔法銀(ミスリル)の小手と靴またそれらから作った糸を織り込んだ武道着を着込んだ男だ。

決して大きいとは言えないその体躯はしかし、あふれんばかりの覇気で一回りも二回りも大きく見せていた。

目つきは鋭く、獰猛な獣のようなその風貌を前に、たくさんの兵が整列していた。

その兵たちは装備も、人種も、いや種族すら違ってはいたが、統制が取れていた。

身じろぎ一つせず、眼前の言葉を皆が待っていた。

そしてようやく男が言葉を紡ぎだした。

 

「俺は……俺たちは正義じゃない! 正義を名乗るつもりもない!!」

 

深く低くそして胃の腑に落ちるようなよく響く声で男は叫んだ。

言葉の意味は兵にかけるにはありえない言葉であった。

士気高揚といえば自分たちを正義とし、相手を悪と断じるのが当たり前である。何千年たってもそれは変わりのない不変の真理である。

だが男は正義ではないという。さすがに統制が取れていた兵たちもざわめき始める。

しかし男は気にせずにもう一度繰り返し、そして続きを語り始めた。

 

「俺は……俺たちは正義じゃない! 正義を名乗るつもりもない! ただ隣人の不幸に、不幸を見ていられずに立ち上がったわがままな奴らだ!! 正義とか言うふざけた言葉のために戦うんじゃねえ! 自分の意志で!そうしたいと願って! 自己満足でわがままのために! ここに集い、そして戦うことを決意した! そんな馬鹿のあつまりだ!!」

 

そこで言葉をいったん止め、意味が浸透するまで待ってからさらに男は言葉を紡ぐ。

 

「友人を救いたいと思い! 家族を守りたいと思い! 未来を作り上げたいと思った! そんな純粋な気持ちを正義なんて言葉で濁らすんじゃねえ馬鹿どもが!!」

 

男の言葉に込められた熱がじりじりと蓄積していく。

 

「俺の昔いたところでは暴力を使わずに国を独立させた偉大な指導者もいた、差別をなくした偉大な牧師もいた! そういうのこそ正義なんだろう。だが……!」

 

男は周囲を睥睨し、そして叫んだ。

 

「それを待ってる余裕も頭も俺にはねえ! すぐにでも解決する方法は戦争(コレ)しか思いつかなかった! だからもう一度言う! 俺たちは正義じゃねえ!! そんな下らねえ言葉で自分らを正当化しねえ!! そして、戦争(コレ)で願いをかなえるにはどうすればいいか……委員長! わかるか!」

 

委員長なる役職でよばれた美麗な女騎士は抜剣して高らかに宣言する。

 

「勝利だ! それも完膚なきまでの!」

「そうだ! 中途半端な勝ちでは納得されない! 叩き潰してこそ俺らは認めさせることができる! ならお前らのやることはわかるな!!」

「勝利を!」

「勝利を! 栄光を!」

「我らの王よ! 勝利の栄光を!!」

「魔王トールに勝利の栄光を!」

「もう一度言う! 俺たちは正義じゃない! 正義を名乗るつもりもない! この戦いは私戦であり、そこに名誉の戦死など存在しねえ! やばかったら逃げろ! 命乞いしても、泥にまみれても、何としてでも逃げ延びろ!! なあに、俺がきっちりと仕返ししてやる!! まずは快速部隊、俺とともに出撃だ!!」

 

 

 

 うおおおおおおおおおおっ!!

 

 

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「あっちは盛り上がってるな」

「口より手を動かすんだよ?」

「エース様、アトラス様こちら持っていきますね」

 

小柄な少年と長身痩躯の若者が軽口をたたきながらも大量の料理を仕上げていく。

料理ができるとすぐに周囲の人間が持っていき、テーブルに補充していく。

 

「さあじゃんじゃん食べてくれ! うちのいたところには『腹が減っては戦ができぬ』という言葉があってな」

「食べ放題なんだよ。だけど死んだ人間は飯抜きなんだよ?」

 

――そいつは死ねないな!

そういうような声がどこからか上がり、ほんの少しだけ空気が弛緩する。

 

「マリリンさんはもう出発したのかな?」

「ああ、聖戦の奇跡を起こして、意気揚々と出かけて行ったぞ」

「前代未聞なんだっけ? 相変わらずちょっとおかしい人なんだよ?」

 

聖戦。

その神殿の最高司祭、及び聖騎士のみが使える奇跡。

ざっくりと概要を言えば、その信仰における重大な戦いにおいて信者の力を極限まで上昇させる奇跡である。

しかし、信仰にそぐわない状況で使うと天罰を受けたり呪われる。

 

前代未聞と言われているのがマリリンという人物が『恋愛神』の『聖騎士』な上に『聖戦』の奇跡を起こしたからである。

恋愛神の聖騎士は過去に数名は存在が確認されているが、聖戦を使うというのは前代未聞であり成功したことで歴史上初ではないかともいわれている。

 

「でも愛の前立ては悪ふざけしすぎだと思うぞ?」

「まさか気に入るとは思わなかったんだよ……」

 

愛の前立てとは彼らがいた場所の――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザッ……ザザッ……

 

 

 

 

 

 

おや?

 

君は?

 

ああ、名乗る必要はないよ、ここで自分を保てるモノのはそう多くない。

個を保てているだけでここに出入りする権利はあるよ。

 

え? 僕かい? 名前というようなものはないんだよ。

うーん、どういったらいいんだろうか。

アルファ(始まり)でありオメガ(終わり)である。 ()であり完全(無限大)である。そこに意味はなく(混沌であり)そこに意味がある(秩序である)

 

え? よくわからない? 僕にもよくわかってないのかもしれない。

あ、でもね、僕は運命ではなく宿命である。

これは間違いないよ。

 

え? フェイト? フェイト……君たちの言葉で宿命? うん、いいね、じゃあ僕のことはフェイトで。

 

ここ? ここは編纂室? なんで疑問形かって? いや僕にも正式な名前がわからないから。あとなんとなく?

説明? えーと、いろんな物語のかけらを集めて歴史を作る? いや疑問形なのは癖なんだよ?

 

なんなら君も、あれ? 君たちも? まあいいや。見ていくかい?

面白そうだって? いやいや面白くないよ。でも、退屈はしないかもね?

それが面白いってことだろうって? いやいや、なかなかどうして結構混乱すると思うんだよ?

 

じゃあ、さっきまで君たちが見ていたこの歴史、最初から見ていこうか。

僕も結構気に入っていて割と面白いと思うんだよ?

 

うん、乗り気で結構。僕もお気に入りを見せるのがちょっと楽しみになってきたんだ?

 

見る前にいくつか注意しておこうか、見てる最中に騒がれるのは好きじゃないからね?

 

ひとつめ。これはもう終わった物語のかけらをあつめているだけで内容の改変はできない。

僕だろうと君だろうとね?

 

ふたつめ。かけらの持ち主の主観で進行する。

どういうことかって? 例えば僕のお気に入りにエカテリーナって子がいる。この子が自分を認識するときはエカテリーナと認識する。当然だよね?

 

でもほかの人物から見た場合カーチャであったり、カチューシャであったり、名も知らないお嬢様であったり、キャサリンであったりする。

 

正義のために戦ってる男が別の人間から見たらとんでもない殺人鬼に見えることもある。

愛されてると思ってる人物が嫌われ者だったりもするかもしれない。

まあ、慣れるとこれも面白いんだけどね?

 

みっつめ。時間が前後することがある。まあ、僕もびっくりしたけどね。

まさかあんなタイミングであんなかけらがあるとは……

 

え? 気になる? ネタバレはしない主義なんだよ。

 

よっつめ。僕はもう新しいかけらを拾うことはないだろうけど、君――君たちはもしかしたら拾えるかもしれない。

見つけたら教えてくれると嬉しいかな?

 

大体はこんなところかな?

長丁場になるだろうから楽な姿勢で、のんびりとみてるといい。

 

じゃあ最初の方から再生しようかな

 

 

 

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