ではスタートです
リコside
「アーク」
「ゼル」
「ありがとう、え~とこのポケモンたちは」
『ゾロアーク。ばけぎつねポケモン。 ゾロアの進化系。何かに化けるだけでなく何百人もの人に幻を見せる力をもつ。』
「ゾロアークっていうんだ。こっちのポケモンは」
『ゴチルゼル。てんたいポケモン。ゴチムの最終進化系。星の動きから未来を見る。すさまじいサイコパワーを持つが争いは好まない気質』
「ゴチルゼル...二人とも守ってくれてありがとう。」
リコがお礼を言うと二人は首を縦に振りその言葉に応えた。
「...先生大丈夫かな」
ノエルの強さはリコも理解している。だが相手は大人であり、もう一方のアメジオ達3人は明らかに犯罪者と呼ばれる部類の人だった。そんな人たちをたった一人で食い止めていることにリコは心配していた。そんなリコの様子を見たゾロアーク達はリコの肩に手を置きリコの目をまっすぐ見た。まるでそれは心配ないと伝えようとしているようだった
「アーク」
「ゼル」
「...そうだよね。先生は大丈夫だよね」
リコはそうつぶやきながら自分のペンダントを強く握るのだった
ノエルside
「ソウブレイズ、”サイコカッター”!」
「”ドラゴンクロー”で相殺そしてそのままリザードンに突っ込め!」
「リザードン、こっちも”ドラゴンクロー”!」
ノエルのリザードンはソウブレイズの”サイコカッター”を”ドラゴンクロー”で防ぎそのままフリードのリザードンを切り裂こうとした。その攻撃を迎え撃つべくフリードもリザードンに”ドラゴンクロー”を指示しお互いの龍のエネルギーが纏った爪が衝突し拮抗状態になる
「くっ、同じ技、同じポケモンでもこんなに差があるのか...!」
「決めろ、リザードン!」
だがその状態もすぐに敗れることになりノエルのリザードンとフリードのリザードンでは大きな差がありフリードのリザードンは力負けしそのまま技を食らってしまう
「”むねんのつるぎ”!」
「受け止めろ!」
「なに!?」
「そのままリザードンの方へ投げ飛ばすんだ!」
アメジオは微かにできた隙を見逃さずノエルのリザードンに追撃をかけるがリザードンはその攻撃を片手で受け止めそのままフリードのリザードンの方に投げ飛ばし二体のポケモンはそのまま衝突してしまった
「く...!」
「やっぱ一筋縄にはいかないか」
「そうだ!ジル行くわよ!」
「は...?」
「エアームドよ!エアームドに乗ってターゲットを追うのよ!」
「あ、ああ!そうかその手があったか!」
ジルとコニアはエアームドを繰り出しそのまま飛んでターゲットであるリコ追おうとした
「逃がさない!リザードン、”かえん」(ダメだ、もしいま”かえんほうしゃ”を打ったらこの学校が!)
一個ノエルはある予想外問題に直面していた。それはこの学園がリザードンにとってものすごく脆いということ。先ほどフリードのリザードンに”ドラゴンクロー”を放った時下の校舎からパリンと嫌な音を耳にした。恐らく”ドラゴンクロー”の余波で窓ガラスが割れてしまったとノエルは予想した。”ドラゴンクロー”の余波でこの被害ということはもしリザードン十八番の”かえんほうしゃ”を放とうものなら被害は窓ガラスだけでなく校舎そのものにまで及んでしまう。そのためノエルは”かえんほうしゃ”を指示することをためらってしまった
「リザードン、エアームドに”ドラゴンクロー”!」
「行かせるか!”サイコカッター”!」
リザードンはエアームド目掛けて飛ぼうとするがソウブレイズの”サイコカッター”に妨害されてしまう。
「今度は俺がお前の足止めをする番だ」
(仕方ない。今はゾロアークたちを信じよう。僕はこっちの二人を)
「まったくこうなるんだったらキャップも連れてくるんだったぜ」
こうして3人は再び戦いに身を投じるのだった
リコside
「...先生」
「見つけたわよ!」
「...うそ!?」
コニアとジルは上空からリコの前に降り立った。その二人を前にしてゾロアークとゴチルゼルは臨戦態勢を取る
「邪魔するな!ゴルダック、”みずのはどう”!」
「エアームド、”ドリルくちばし”!」
コニアはボールからゴルダックを繰り出しそのまま”みずのはどう”を指示し、ジルもエアームドに”ドリルくちばし”を指示しそれぞれの攻撃がゾロアーク、ゴチルゼルに命中し二体とも地面に倒れてしまった
「ふん、リザードン以外案外たいしたことないのね」
「もう逃がさねぇぞ!」
「ザーアアアク!!!」
「クッソ!」
「くっ、ほんっと頭にくる!でもバレバレよ!」
ゾロアークは地面に”あくのはどう”を放ち土煙を上げその隙にリコに逃げるよう促しリコはそれに従い土煙に紛れそのまま駆けていく。だがコニア達はリコとニャオハのシルエットを捕らえており二人をそのまま追跡していく
「なんだアイツら、足が速くなってやがる!」
「火事場の馬鹿力ってやつでしょ。でもそれもこれで終わりよ」
リコたちが逃げた先はいきどまりだった
「......」
「さぁ、大人しくペンダントを渡しなさい。そうすれば痛い目はあわせないわ」
「待て、コニア。俺はあのニャオハに借りがあるんだ。ペンダントをもらう前にアイツに」
「そんなのダメよ!!!!私たちの目的はあくまでペンダント!私情をもちこまないで!!!!!」
「お、おう....そうだな。わかった悪かった。」
コニアの豹変っぷりにジルは驚いたが彼女の言っていることは正しいため彼は何も言わずリコのペンダントを奪い取ろうとした。だが彼は目の前にいる少女に違和感を覚えていた
「おい、コニア。コイツってこんな無口だったか。なんか妙に落ち着いているっていうか」
「どうせビビッて声が出なくなっているだけでしょ。そんなことどうでもいいから早くペンダント奪っちゃってよ」
「まぁ、それもそうだな。悪く思うなよこれも任務だからよ」
ジルはペンダントを奪うべくリコの腕を掴もうとすると彼女はジルの腕を掴みそのまま背負い投げを決めジルを組み伏せてしまった
「ジル!?アンタなにやってんの!?」
「ぐう、コイツこんな強かったのかよ!」
「ククッ」
リコは二人の慌てふためいた様子を見るとニヒルな笑みを浮かべた
「全く世話が焼けるんだから。そこまで抵抗をするんだったら少し痛い目にあってもらうわよ!ゴルダック、みずの...!」
「ダッ~ク」
「これは”サイコキネシス”!?」
コニアがゴルダックに指示を出そうとするとゴルダックはニャオハの”サイコキネシス”に押さえつけられていた。しかし本来だったらニャオハは”サイコキネシス”を覚えない。ではなぜニャオハは”サイコキネシス”を使うことができるのか。その答えはとても簡単だった。リコが指を鳴らすとニャオハの姿がゴチルゼルに変わった
「な、ゴチルゼル!?じゃあ」
「クククッ」
「コイツはゾロアーク!」
ジルを拘束したリコの正体はゾロアークだった。つまりふたりはゾロアークが作り出した幻影に引っ掛かり追い詰めたはずが逆に追い詰められてしまっていた。一方リコは自分が待機していたところから少し移動し時計塔の後ろにいた。そしてリコはある問題に直面していた
(で、これを飛ばなきゃいけないってことなんだけど....)
リコは逃げるために向こうの建物に移動しようとするがそこには道がなく飛び越えて渡るしか方法がなかった。だが今いる場所から向かいの建物はかなりの距離とかなりの高さがあり中々踏み出せないでいた。
「二ャ二ャ!」
「わ、分かってるって!」(踏み出さなきゃ見つからない!)
そしてリコは意を決して隣の建物へジャンプする
ノエルside
「アイツ、一体何を!?」
「まさか...!」
ノエルは今まさにリコがジャンプしようとするところを目撃した。そして自分の横を”サイコカッター”が通り過ぎたのを確認しそしてその斬撃はジャンプしたリコに向かっていった
「まずい...!リザードン全速力で彼女たちの所へ飛べ!」
ノエルはすぐにリザードンに乗りリコたちを守ろうとするが既に放たれた斬撃に追いつけるはずもなくそのまま彼女たちにぶつかりそうになる
「ダメだ、間に合わない...!」
だがその時リコのペンダントが突然光り始めると彼女とニャオハを守る結界が形成され、サイコカッターはそのまま消失した。
「今のは一体...」
「うわぁああああああああ!!!!」
「リザードン、頼む」
だがその結界も消えリコたちは地面に激突しかけたが間一髪ノエルがキャッチし事なきを得た
「先生...」
「リコさんよく頑張ったね。」
「//////」
リコはノエルに頭を撫でられると顔から湯気があがりオクタンのように赤くなってしまった。そしてノエルは口笛を吹くとゾロアークたちが超スピードで彼の元へ戻ってきた
「二人もありがとう。そしてリコさん、これから君をジュンサーさんの元へ送り届ける。いいね?」
「は、はい」
「それとそのペンダントについて聞いていいかな」
「はい。これはおばあちゃんがくれた大事なお守りなんです。だから」
「そっか。じゃあそれはしっかり守らないとね」
「ちょっと待ってくれ」
「貴方、ちょっとしつこすぎませんか?」
リコと話していると先ほどのフリードという男が接近してきた。ノエルはリコを守るため彼女を自分の背に隠した
「警戒する気持ちはわかる。だが頼む一回何も聞かないで俺についてきてくれないか?」
「お断りします。残念ながら僕はまだ貴方のことを信用していません。むしろ夜中の学校に不法侵入してくる人をどう信用しろと?」
「ゔっ、それは確かにそうなんだが頼む!あっちに俺たちのアジトがあるんだ。そこに着いたら俺たちが彼女に近づいた理由も全部話すから」
「ならここで、いま、全部話してください。」
「そうしたいのは山々なんだが後ろ見てみろ」
ノエルが後ろを振り返ると1体のアーマーガアと2体のエアームドに乗って先ほどの3人がこちらに迫っていた
「あちらさんも相当しつこいらしいな。空中で奴らと戦うのは良いがそれだとその子を危険に晒すことになるぞ。俺たちのアジトは安全だ。だから頼む俺についてきてくれ」
「...わかりました。ただしそのアジトに着いても彼女の護衛兼貴方の見張りに一人付けます。いいですか?」
「サンキュー!じゃあ行くぞ!」
ノエルはまだ警戒しながらもフリードについていくことにした
「見えてきたぞ!」
「えっ?なにあれ!?」
「あれは飛行船?」
「あれが俺たちの船”ブレイブアサギ号”だ!」
しばらく飛び続けていると巨大な飛行船が見えてきた。その飛行船こそがフリードのアジトだった
「戻ったぞ。ウイングデッキ展開」
男性はスマホロトム越しに恐らくは飛行船内の彼の仲間に指示を出す。するとブレイブアサギ号の羽部分が折り畳み、バトルフィールドの様になっていく。
「到着!」
リザードンがそのバトルフィールドに着地する。そのあとにノエルたちも着地しリザードンから降りるのだった
「リザードン、ありがとう」
「二ャ!」
リコとニャオハはリザードンにお礼を言い、その言葉にリザードンも親指を立て応える。そんな和やかな場面を見ながらノエルは最悪を考えたここからの脱出方法を考えていた
「おかえり」
「随分、手こずったな」
そこに船内からピンク色の髪の女性と大柄な男性が現れる。その足元には彼らのポケモンと思われるイワンコもいた。白髪の男性と大柄な男性がグータッチ後に手を上下させる
「ていうかあの女の子はわかるけど、もう一人の子は誰?ものすごい剣幕でこっちを見てるんだけど」
「子どもとは思えない鋭い目だな...ってちょっと待て!あの子の顔よく見てみろ!」
「え~、は!?なんでここにノエルがいるの!?」
ピンク髪の女性と大柄の男性はノエルの存在に驚くがフリードが説明すると落ち着きを取り戻し、そして二人は彼を呆れた目で見る
「なるほど、あの子があんな剣幕になるのもわかる。」
「お前、その癖直さねぇと本当にまずいぞ」
「全くだ。コホン。え~と貴方がリコね」
「は、はい」
「そして貴方はノエルね」
「はい」
「あの、どうして私の事、というか皆さんは一体?」
リコの質問に女性は眉間に手を当て冷ややかな目でもう一度フリードを見つめる
「アンタがなんの説明もなし行動するから彼女は怖がってるし彼は今にも私たちを攻撃しそうなんだけど?」
「すみません。」
「お前も大人なんだからそこらへんしっかりしろ、フリード」
「...はい。」
「あの人、フリードって言うんだ。」
「そう。そしてポケモン博士でもあるらしいよ」
ノエルとリコが反していると二人の元に二体のポケモンがやってきた。そのうちの一体はフリードのリザードンとノエルのリザードンを見て目を輝かしている
「ホゲ!」
「パモパモ!」
「ホゲータとパモだ!」
ホゲータとパモはパルデア地方のポケモンであり、パルデア出身のリコにとって馴染みのあるポケモンだった
「あの?どうしてパルデア地方の子がここに?」
「ああ、そいつらか?旅してる間に住みついちまったんだ。パルデアのだけじゃないぞ、ほら」
大柄の男性が指を向けた先には、ヨルノズク、ユキワラシ、ツボツボなど、様々な地方のポケモンがいるのが確認できた
(個々のポケモンたち見る限りとても穏やかに過ごせている。もしかして僕が過剰に疑いすぎていたのか?)
ノエルが見る限りここにいるポケモンたちはみんな穏やかな様子を見せているつまりこのブレイブアサギ号の環境がいいと言えるのではないかとノエルは考えた。そのためブレイブアサギ号に乗っている人たちに対する疑念がノエルは薄れつつあった。
「自己紹介が遅くなった。私はモリーだ」
「マードックだ。そしてあいつが相棒のイワンコだ」
自己紹介をしている間に仲良くなったようでイワンコとニャオハはじゃれついていた。その様子を見て、ホゲータとパモも加わりノエルのリザードンの股下をグルグルと回って遊んでいた。そんな様子を見てリザードンも笑顔になっていた
(みんなかわいい...!…いやいやいや、そうじゃなくて、ちゃんと聞かなきゃ!)
「あの、すみません」
リコがこの状況について詳しく聞こうとする。しかし、突如、フリードのスマホロトムからアラームが鳴り始める。
「ちょっと、ごめん。1…2…3…まさか、奴らもう追いついてきたのか。操舵室に行く。船を出すぞ!ヨルノズク、周囲の警戒を頼む!奴らの執念は半端じゃない」
「フリード、奴らってなんだ?学校で何があった?」
「詳しい話は後だ。マードックは下を見てくれ!モリーはポケモン達とその子を頼む。君は」
「僕は空で奴らを迎撃します。皆さんは先に進んでください。ケリがつき次第すぐに向かいます」
「そうしたいのは山々だけど進路に嵐が発生しているって仲間から連絡が来た。これじゃ前進できないどうするフリード?」
「そうだな例え前進しても奴らを振り払うのは難しい。だったら一か八かだ。嵐に突っ込むぞ」
「待ってください!」
フリードの提案にノエルは思わず待ったをかける。それは仲間の二人も同様だった
「調べたところによると今発生している嵐はとんでもない強さです。もしこのまま突っ込んだらこの船は無事じゃ済みません。」
「勿論考えがないわけじゃない。この船は炎ポケモンたちの熱で動いている。そこに俺と君のリザードンの力が加われば」
「スピードが増し嵐をそのまま突っ切れると」
「そういうことだ。さっきからお願いばかりだが頼むどうか力を貸してくれ」
(確かに相手の手持ちがわからない以上むやみに空中戦を繰り広げるより相手との距離を取るほうが確実か...)
「リザードン、フリードさんについて行ってくれ。」
「ありがとう、助かるよ!」
「ないことを願いますが、もしやつらがこの船に乗り込んでもいいように僕はこのデッキにいます。頼む!ゴチルゼル。彼女をリコさんにつけます。構いませんね?」
「ああ、約束だからな。でも危険だぞこれから嵐に入る君も中に入れ」
「僕のことは気にしないでください。船とリコさんを第一優先でお願いします」
「わかった。でももし少しでも危険を感じたら中に入れ。いいな?」
フリードは操舵室に入っていきリコもモリーに案内され展望室まで避難するが突如あたりは真っ暗になってしまう
「停電!?」
「こんな時に…」
「ホー!ホー!」
停電が起きたと思えば次は見張りをしていたヨルノズクが大きな声で鳴きだした
「ついにお出ましか」
「すっごく怪しかったんです。ペンダントがどうとか聞いてきて」
「アイツら、エクスプローラーズじゃん!」
モリーが望遠鏡でアメジオたちを捉えるとそう叫んだ
『今から雷雲に突っ込むぞ!気を付けてくれ』
フリードから通信が入ると船のスピードがさっきよりも早くなり嵐の中に突入していった。だが
「あの、来てます!」
「あの嵐を突っ切てくるなんて...!あっちも相当無茶をする。フリード、奴らウィングデッキに」
『くっ、ウイングデッキを畳めるか?』
「無理、電源が死んでる。仕方ない。アンタたちはここに」
モリーは手動でウィングデッキを畳もうとするが次にモリーが見たのはエクスプローラーズの3人がウィングデッキに降り立ちノエルとにらみ合っているところだった
「遅かったか...!」
「モリーさん、貴方はリコさんとポケモンたちをお願いします。ここは僕に任せてください」
「大丈夫なの?」
「大丈夫です。一応これでも世界第四位ですから」
「そっか、じゃあ任せる」
「先生待って!」
リコの声にノエルは何も言わずただ親指を立ててそのまま歩いていく。その時のノエルの背中は自分たちと同じ十代とは思えないほど大きく感じその背中にリコは安心を与えられていた
「この嵐の中よく追いついて来れたな。正直その執念には尊敬するよ」
「先ほども言っただろう俺たちはどんなことがあったも任務を遂行すると」
「だとしても普通こんな嵐の中に入ってくる?ほら全身びしょびしょじゃん。そこのトサカの人もセット大変だろうに」
「余計なお世話だ!」
「しかもこの風ときた。このままだと確実に風邪ひくよ。だから今日のところは引き上げてそのまま家でぬくぬくした方がいい。そして金輪際彼女に近づくな」
「そうだな。あの少女とペンダントを引き渡せばお前の言う通り今日は帰ろう」
アメジオの言葉にノエルは違和感を覚えた。
「なぜリコさんまで」
「…最初はペンダントだけが目的だった。だが、どうやらあのペンダントには秘密があるようだ。そして、その秘密には彼女と関係がある。予定を変更して彼女にも来てもらうことにした」
「勝手なことばかり言うな。そんなこと言われて「はい、どうぞ」なんてできるわけないだろう」
「お前の意思など関係ない。我々は任務を遂行する」
「あっそ。なら僕もお前たちの意志なんてお構いなくリコさんを守るよ」
リコの大事なペンダントの次はリコ本人を引き渡せときた。その勝手な言い分と陰謀にノエルは怒りを抱いていた。絶対に負けられない。ノエルは改めて気合をいれるのだった。
「あくまで邪魔をするか。ならば今度こそバトルで決着をつける。手加減はしない」
「望むところだよ。」
ノエルとアメジオ。二人はボールを手に持ち同時にそれを投げる
「いけ!ソウブレイズ!」
「行くよ、ゾロアーク!」
アメジオはソウブレイズ、ノエルはゾロアークを繰り出した
「な、あのゾロアーク...!」
ジルはノエルのゾロアークを見ると額に青筋を立てる。そんなジルを見たゾロアークは馬鹿にするように鼻で笑う。それを見てジルは拳に血管が浮き出るのだった
「ゾロアーク、油断しない」
「ゾロアークか...なぜリザードンをださない?」
「なんでってポケモンの弱点を突くのは基本だろ?それともリザードンじゃないとそのソウブレイズには勝てないとでも?もしそう思っているなら今すぐにその認識を改めた方がいい」
「そうか。なら思い知らせてやる、お前のその選択が大きな間違いだということを」
ソウブレイズはアメジオのエース。そんな自分のポケモンに繰り出されたのはノエル最強の相棒のリザードンではなくゾロアークだった。アメジオはこの選択に少々憤りを感じていた。まるで「お前なんかコイツで十分だ。」言われているように感じたからだ。
「ソウブレイズ!”むねんのつるぎ”!」
「ゾロアーク、”つじぎり”!」
紫の炎を纏ったソウブレイズの剣と黒いオーラを纏ったゾロアークの爪がぶつかり合う。威力は互角のようで鍔迫り合いの状態になる
「ゾロアーク、”サイコキネシス”!」
「なに!?」
ゾロアークは超能力でソウブレイズの体を浮かせそのまま地面に叩きつけた
「そのまま”つじぎり”!」
「”ゴーストダイブ”!」
ソウブレイズは紫色のゲートを生成しそれに潜ることで迫りくるゾロアークの攻撃を回避した
「やれ!ソウブレイズ!」
「上から来るよ、”あくのはどう”」
「”むねんのつるぎ”!」
「まずい!ぐああ...!」
ソウブレイズはゾロアークの頭上に現れ剣を振るおうとするが逆に”あくのはどう”を食らいかけたがギリギリのところで”むねんのつるぎ”で弾き事なきを得た。だが弾かれた”あくのはどう”はノエルの後方のリコたちのいる展望台の方に向かっていた。ノエルは展望台にいるリコやポケモンを守るため自分の身を盾にした
「…自ら勝機を逃したな。”あくのはどう”の行先など気にせず攻撃をしていればゾロアークはソウブレイズの隙をつき大ダメージを与え勝利していたかもしれないというのに。あまつさえ自分の身を盾にするとは」
「へへ、隙ならまた作ればいいしこんなのとっくに慣れてるよ!ゾロアーク、”あくのはどう”!」
「先ほどよりも早く!」
ゾロアークが再度”あくのはどう”を放つとそれは先ほどのものよりも早くなっておりソウブレイズは反応することができずまともに食らってしまった
「これはさっきの分ね」
「”新星”の名は伊達ではないということか...ソウブレイズ!」
「これで決めるよ!ゾロアーク!」
「「”つじぎり”!!!」」
ソウブレイズの剣とゾロアークの爪が再び衝突する。だがその時
「もうやめて!!!」
リコの悲痛な叫びがウィングデッキに響き渡った。それによりバトルは中断されその場にいた全ての者がリコに視線を集めていた。するとリコはニャオハを抱えたまま展望室から外に出てウィングデッキに向かってくる。
「リコさん...?」
「ちょっとリコ!アンタ何してるの!」
「ゼル!?」
展望室からモリーとゴチルゼルがリコを制止しようとするが、リコは足を止めない
「これ以上先生や皆さんに迷惑かけたくない。これ以上みんなに傷ついてほしくない…」
「リコさん、僕は」
「聞いたか?余計な手出しは無用だそうだ」
「ニャオハだって…きっと…」
「ニャア!」
リコの言葉を聞いたニャオハは突然暴れだし、リコの腕の中から抜け出す。
「ニャオ!ニャオニャオ」
(なになに?どうしたの?ニャオハ、何をそんなに…)
(リコさん、君の相棒は気づいているぞ。君の気持ちに。だったら)
「スゥゥゥゥ」
ノエルは思いっきり深呼吸して
「リコさん!僕は別に迷惑なんて思ってない!むしろそう考えていたことにちょっとしたショックをおぼえてるよ!てか、ゾロアークは一回もダメージ受けてないしこのまま続けてたら多分いや絶対勝ってたよ!!!」
「え、え?」
「あの子一体何を?」
「アイツ急にどうした?」
「まぁ年頃だし?」
「.....」
突然のノエルの大声にウィングデッキにいる全員が唖然としていた。なかでもアメジオは唖然としすぎて目が点になってしまっていた
「できれば早くバトルを終わらせてあったかいお風呂に入ってあったかいほうじ茶飲みたい!!!雨風にさらされて正直めっちゃさむい!!!マジで早く帰って欲しいんだけど!!!ねぇ、今からでも撤退してくれない!?」
「なんだアイツ!?」
「てか、ほうじ茶って渋っ!アンタぐらいの歳ならミックスオレとか飲みなさいよ!」
ノエルの発言に思わずジルとコニアはツッコミを入れてしまう。さらにモリー、リコ、アメジオはさきほどまでのギャップにやられていて未だに固まっていた
「ふぅぅー。ああ、スッキリした!やっぱり本音を話すのって気持ちがいいね。そう思わない?リコさん、ニャオハ!」
「ニャオ!」
「...先生」
「リコさん、自分の気持ちに正直なることは決して悪いことじゃないんだ。確かに自分の気持ちを誤魔化すことで解決できる問題もある。でもそこには必ず後悔が残るよ。そしてその後悔は君の足を引っ張っていくことになって次第に次の一歩が踏み出せなくなる」
「...!」
「厳しいことを言うようだけどこれが現実なんだ。でも隣を見てごらん。」
「ニャオ」
「もし一人で踏み出すことが不安なら一緒に踏み出せばいいんだ。」
「ニャオハ...」
リコがニャオハを見つめるとニャオハは笑顔で頷き、アメジオ達の方に構えた。
「自分の気持ちに正直になるんだ。大丈夫、君の隣にはニャオハが、目の前には僕がいる。だから思いっきり踏み込め、僕たちが必ず支えるから」
「...!はい!行くよ、ニャオハ!!!」
「ニャー!」
(そっか、私が自分の気持ちに嘘をついてるってニャオハと先生は気づいてたんだ。そうだ私は一人じゃないんだ。私を支えてくれる仲間がいる!)
「”このは”!!!」
「ニャアアアア!!!!!」
「なに...!」
ニャオハはこの前の授業で見せた渾身の”このは”を放つ。その量はウィングデッキ全体を包むほどの量でフリードやアメジオたちもこの光景に驚きを隠せなかった。
(はは、本当すごいポテンシャルだ。相性が不利なソウブレイズとエアームドにダメージを与えるなんて」
だがその高出力の”このは”が今回は裏目に出てしまう。このウィングデッキはバリアで守られておりさきほどのアメジオ達の侵入の際出力が弱まったところにニャオハの”このは”が命中してしまい。とうとうバリアは消失してしまうのだった。その影響で体幹がまだ鍛えられていないリコとニャオハは船から落ちかけてしまう
「まずい...!ゾロアーク、サイコキネシスでリコさんとニャオハを!」
「アーク!!!」
(ダメだ、リコさんは間に合ってもニャオハは間に合わない!)
ゾロアークの”サイコキネシス”ではニャオハを助けるのに間に合わないと踏んだノエルは腕を精一杯伸ばすがほんの数センチ届かなかった
「クソッ!」
「ニャオハ!!」
「ニャアア」
そしてニャオハはウィングデッキから落ちていってしまった。だがニャオハはある者によって助けられた
「......」
(ニャオハを助けた?いや違うか...!)
それはアーマーガアに乗ったアメジオだった。だがこれは別の見方をすれば助けたのではなく人質、いやポケ質としてニャオハが確保されてしまった見れる
「アメジオ様!」
「このままでは、嵐に飲み込まれます」
「...新星、お前との勝負は預ける。...撤退だ!」
「「はっ!」」
アメジオは二人の部下に号令をかけるとニャオハを抱えその場から離脱していく
「ニャオハ!ニャオハーー!!!」
リコの叫びはむなしく、アメジオ達との距離はどんどんと広がっていく。
「行かせるか!くっ...」
「大丈夫ですか!?やっぱりさっきのが」
ノエルもアメジオ達を追いかけようとするがさきほどのダメージが響いており片膝をついてしまう。
「ゾロアークは戻れ。ゴチルゼルは引き続きリコさんを頼む!」
そう言ってノエルはウィングデッキを走り空に向かって大きくジャンプする。ノエルが口笛を鳴らすと船の中からリザードンが現れそのままノエルを乗せてアメジオ達の追跡していく
「リザードン、僕のことは気にしなくていい。マックススピードで頼む!」
「グオ!!!」
読んでくださりありがとうございました。
ノエルは基本的には礼儀正しいですが同年代と喋る時は結構話し方はフランクになります。一応ノエルはアメジオと同い年の設定にしています。てかアメジオってさすがに10代ですよね?