「先生!」
「リコさん、よかった無事で。」
「二ャ!」
「もちろん、ニャオハもね」
ニャオハはノエルの肩に乗り顔を舐め始めた。そこにホゲータを抱えたロイとリザードンをボールに戻したフリードが集まってきた。見たところ二人とホゲータには大きなけがなどなかったためノエルはほっと一息ついた
「ありがとうなノエル。お前たちのおかげで俺たちや船、村に被害がでることはなかった」
「よかった~。でもこっちで一体何があったんですか?いきなり光が上がったと思ったら黒いレックウザが現れて」
「俺もお前に聞きたいことがあったんだ。お前と戦っていたはずのアメジオがこっちに来てお前は戻ってこなかった。正直俺はお前が負けてしまったのかと思ったよ」
「実は...」
ノエルはポケモンハンターJと遭遇し戦い後から来た国際警察のレオンに身柄を引き渡したこと、リコたちはペンダントといにしえのモンスターボールが光りはじめたらボールの中からレックウザが現れたことをそれぞれ報告し始めた
「ポケモンハンターJか...それは大変だったな。」
「ええ、Jの存在に突如現れた黒いレックウザ。まさかこの数時間でこんなにも驚きの展開が続くとは思いもしませんでした」
「まったくだ」
「ねぇねぇ!国際警察ってなに?」
「国際警察は簡単に言うと警察官の中でもエリートと呼ばれている人たちが集まっている組織だ」
「ええ!?レオン兄ちゃんってそんなにすごい人だったんだ!」
ロイは普段仲良くしている青年の正体に手を大きく上げ驚いた
「ロイ君、そのレックウザが入っていたボールは君のおじいさまから貰ったって言ってたよね?」
「うん、そうだよ」
「もし迷惑じゃなかったら今からおじいさまの所へ案内してくれないかな?もしかしたらそのボールのことも知っているかもしれない。それにリコさんのそのペンダントについての手がかりを掴めるかもしれないしね」
「やった!僕、爺ちゃんにノエル兄ちゃんのこと紹介したかったんだ!」
「あ、ペンダントと言えばアメジオ達は?」
「ああ、アイツ等ならお前がレックウザと戦っている間にどこかへ飛んでいった」
「そうですか。」
「ほらほら!はやく行こ!」
「ちよ、ちょっと待ってロイ君!」
ノエルの提案にロイは大喜びし彼はノエルの手を引いて村の方へ走ろうとするがその前にノエルたちは負傷したニャオハ、ホゲータ、リザードンを船に預けることにした。そしてすぐにロイはノエルの腕を引っ張り再度走り出していく
(いいなぁ、ロイ。私もあのぐらい積極的だったらな~)
だがその光景を見てリコは自身の消極的な性格とロイの明るい性格を比べ小さくため息をつくのだった
「しかしおぬしらエライ目にあったの」
「うん!すごい冒険しちゃった。でも」
「「「..........」」」
「爺ちゃん、なんで皆ここに集まってるの?」
現在ノエルたち一行はロイの祖父である長老の家にいた。だがここに来る途中村の人々がある人物の存在に気づき村中に広めた結果家の周りにはたくさんの人々が集まってしまっていた
「そりゃお前、サイン待ちじゃろう」
「サイン待ちって?」
「お前の隣におる青年のじゃよ」
「ノエル兄ちゃんの?」
「お前...まさか知らないで一緒にいたのか?」
「え?」
「はぁあ、ほれこれを見ろ」
長老はスマホロトムである記事の一面をロイに見せた。するとロイはスマホロトムとノエルの顔をものすごいスピードで交互に見やる
「も、もしかしてこの画面に写ってるのって」
「一応僕だね」
「どひゃあああああああああああああ!?」
ロイは驚きのあまり椅子から転げ落ちてしまった
「ロイ君!?大丈夫かい!?」
「だ、大丈夫~」
「むしろこの子の顔を見てピンとこない方がおかしいがな」
ロイが改めて周りの人を見てみるとみんなノエルの名前が書かれている団扇や黒いリザードンの人形を持っていた。そんな様子を見てノエルは照れているのか顔を赤くしていた
「でもこれじゃあ話に集中できないな...ほら、お前たち今はここから離れてくれ。大事な話がある」
長老は村人たちを説得しその場から撤退させた
「それで話というのはあの黒いレックウザとそのボールのことだな」
「はい」
「黒いレックウザ。かつて《古の冒険者》が従えた伝説のポケモンじゃ」
「古の冒険者...」
「なんでそんなすごい奴のポケモンがロイのボールから出てくるんだ?」
「実はな...」
長老の言葉に4人は真剣に耳を傾けようとする
「わからん!」
「「「だぁああ!?」」」
「...アハハ」
だが次の長老の発言に3人は机に突っ伏し、ノエルは右肩が下がった
「そのボールはわしが子供の頃、この島の浜辺で拾ったものでな。ロイが欲しいと言うから譲ったが。まさか黒いレックウザが入っているとは思いもせんかった」
「つまり...」
「ああ、何も知らん!」
「おいおい」
「じゃあ、これについては心当たりありますか?」
リコは長老にペンダントを見せた。だが長老は先ほどと同じような反応で何も知らないということだった。するとフリードのスマホロトムが鳴り出す。相手はモリーからだった。
『お待たせ、ニャオハにホゲータ、そしてリザードンの治療が終わったよ』
「ありがとうございます、モリーさん」
「ホゲータ!」
「あ、おい!爺さんありがとうな!」
モリーの言葉を聞くと居ても立っても居られないのかロイはその場から船に向かって走り出していく。
「ありがとうございました!ロイ、待ってー!」
「貴重なお時間ありがとうございました。ではこれで失礼します」
「あ、ちょっと待ってくれ!」
長老は駆け足で家の中に入り色紙とペンを取り出してきた
「まぁあその、わしもお前さんのファンでのどうかこれにサインを書いてくれんか?」
「はい、僕なんかでよかったらぜひ!」
ノエルは長老から色紙とペンを受け取りサインを書いた。すると
「あ!長老、サインもらってる!」
「な!?お前たち一回帰れと言っただろうが!」
「長老だけズルい!ねぇノエル君、私たちにもサイン書いてー!」
「俺は一緒に写真を撮りたい!」
「僕はこのモンスターボールに!」
先ほどの村民たちが再びごった返してきた
「その~、ノエル、お前さんさえよければ」
「はい。よろこんで書かせていただきます」
「すまんな」
こうして長老の家で急遽プチノエルのサイン会と撮影会が行われた。そしてノエルは講師になるまでの一か月、リーグの皆とサインやファンサの練習(ゼイユとタロが主軸)を行っていたため中々に様になっていた。そのためこのプチサイン会は40分程度で終了することができた。ノエルは村の人々と別れブレイブアサギ号に向かおうとしたとき
「待ってくれ。最後に一つ聞きたいことがある」
「ロイ君のことですね?」
「ああ。ロイはポケモントレーナーになれると思うか?」
「...正直言って無理です。」
ノエルのロイへの評価は以外にも厳しいものだった。だが長老はこういわれるとわかっていたのか特に驚いた様子を見せなかった
「彼のポケモンが大好きという気持ちは痛いほど伝わってきます。ですがその気持ちだけではポケモントレーナーになることはできません。」
「...」
「例え彼がホゲータを相棒にしてもです。ポケモンと一緒にいることとポケモントレーナーになることは全く違いますから」
「なるほどのぉ」
「...ですがそれは昨日までのあの子だったらの話。もしかしたら今は変わっているかもしれない。できれば僕はあの子にポケモントレーナーになってほしいと思っています。それはおじい様も同じでしょう?」
ノエルは家の入り口に置いてある子供用のリュックを見てそう言う
「ああ、ワシもあの子にポケモントレーナーになって自分の夢を叶えてもらいたい。だがそれだけではダメなんじゃ」
「...おじい様、よかったら一緒に砂浜の方まで行ってみませんか?そこに僕たちが求めているものがあるかもしれません」
「そうじゃな。」
長老は小さなリュックを持ちノエルと共に浜辺へ歩いていくのだった
リコside
「ホゲータ!!!!お前の気持ちを教えてほしい!!!!!」
「はぁ、はぁ、ロイ...」
ロイ達3人はブレイブアサギ号が停泊している浜辺まで戻ってきた。ロイはブレイブアサギ号に着くとホゲータに大きな声で自身の気持ちを伝えていく
(僕の100%の気持ちをホゲータに...!)
「このままお前とお別れなんて嫌だ!もっとホゲータと一緒にいたい!!!もっと一緒に歌いたいしバトルだったやりたい!!あんなに胸アツになったにはお前だけなんだ!!!」
ロイがそう叫ぶと船からニャオハとホゲータが降りてきた。リコは元気になったニャオハを見て安心し彼女ニャオハに抱き着くのだった。一方ホゲータはロイに近づいていき口の中に入れていたモンスターボールをロイに向かって吐き出した。
「このボールでゲットしていいってこと?」
「ホゲ」
「僕と一緒にいたいってこと?」
「ホンゲ!」
「ホゲータ!!!」
ロイの言葉にホゲータは笑顔で肯定する
「決まりだな。こんなの見せられたら」
「うん!」
ロイはボールを持って少し後ろに下がり大きく振りかぶった。だがその時の彼の表情には少し緊張が見て取れた
「行くよ、ホゲータ!」
深呼吸をした後ロイはそのままボールをホゲータに投げた。ホゲータがモンスターボールに入るとしばらくボールが揺れポンッという音が鳴った。そして、ロイはホゲータの入っているモンスターボールを手に取りそのままホゲータをボールから出した
「ホゲ!」
「ホゲータ~!!!」
モンスターボールからホゲータが出てきたことにより今の自分はホゲータのトレーナーであることを実感したロイは顔をほころばせホゲータに抱き着く。そしてリコはこの感動の場面に立ち会えたことに少し泣きそうになっていた。
「おめでとう、ロイ。今日からお前はポケモントレーナーだ」
「ポケモントレーナー...!」
「友達を超えて相棒になった。ロイ、ホゲータをよろしくな。」
「はい!」
「俺たちはこれからパルデア地方に行かなくちゃいけない。だからここでお別れだ、ロイ」
「.........」
この時ロイは昨日のノエルの言葉を思い返していた
『夢を大切にな』
(僕の夢...世界を巡った冒険者のようなトレーナーになりたい。そしてホゲータの...でも)
「ホゲ!ホゲホゲ!」
「ホゲータ?」
「ねぇ、ロイ」
リコが悩んでいるロイに声を掛ける
「言ってたよね、世界を巡って旅した冒険者に憧れてるって。ロイも一歩踏み出してみたら?」
「でも旅に出るなんてあの爺ちゃんが許してくれるわけないよ」
「ううん、ロイにはもうホゲータがいる。ポケモンが一緒なら大丈夫。新しい一歩を踏み出せるんだって私もニャオハとお兄ちゃんに教えてもらった!」
「...冒険にいきたい!」
「ロイ!」
「わかった。爺さんを説得出来たら一緒に行こう」
「ちゃんと話してくる!」
ロイが長老の家に向かおうとした時
「ワシがなんじゃって?」
「爺ちゃんそれにノエル兄ちゃん!」
まるで見計らったようなタイミングでノエルと長老が到着した。ロイは自分の祖父にホゲータを抱っこしながら近づいた
「爺ちゃん、僕ポケモントレーナーになったんだ」
「やはりその子を選んだか」
「うん!...だから...爺ちゃん、僕、ライジングボルテッカーズと冒険の旅に出たい!」
「なんじゃと?」
ロイの発言に長老は顔をしかめる。それにロイは少したじろいでしまう
「ゔっ...ポケモンが一緒なら大丈夫!古の冒険者は、本当にいたってずっと信じてた!いつか島を出て、伝説のポケモンに会うって夢みてた。あのレックウザを追いかけてゲットしたい!だから旅に出たいんだ!!!」
「それがお前の夢か?」
「もう1つある。ホゲータの夢だよ!」
「ホンゲェ?」
「ホゲータは、リザードンみたいに強く、かっこよくなりたいんだ!だから、僕がホゲータを育てる!トレーナーとして、僕がホゲータの夢を叶える!2人で一緒に!」
「おじい様...」
「ああ」
ノエルと長老はロイの言葉に笑みを浮かべ、互いに頷きあう
「...よかろう」
「え?いいの?」
「昨日までのお前は自分の夢しか語れなかった。だが今は違う、相棒の夢も語れた。ポケモンとトレーナーは一心同体、その子ためにも力を合わせて頑張るんじゃぞ」
「うん!やったな、ホゲータ!!!」
(成長したね、ロイ君...)
ロイとホゲータが喜んでいる中、長老は子供用のカバンをロイに差し出した
「これは...」
「冒険に必要なものが今中には入っとる、お前の気持ちは最初からお見通しじゃ。ワシのことは気にせず行ってこい!」
「ありがとう、爺ちゃん!」
「よかったね、ロイ君」
「うん!」
ノエルとロイは互いにハイタッチをする。こうしてロイはライジングボルテッカーに正式加入することになったのだった
アメジオside
「報告は以上です」
あの戦いのあとアメジオはエクスプローラーズの本部に戻りセキエイ学園のことからロイの故郷で起こった出来事を報告していた
『なぜ単独行動を続けた』
「現場の判断です。責任は負います」
「フフフ、任務失敗とはあなたらしくもない。我々エクスプローラーズはギベオン様の願いをかなえる存在です。あまつさえ、ポケモンバトルにまで敗れるなんて」
そんなアメジオを緑髪の長身の男が嘲笑う
「........」
「しかも死んだはずのポケモンハンターJの乱入に黒いレックウザ...任務失敗の言い訳にしては少々無理がありすぎでは?」
「........」
「ダンマリですか。どうやら今回の任務失敗が相当心にきているようですね」
アメジオはこの発言を甘んじて受け入れた。なぜなら今回の任務でノエルとの力の差、そしてJの発言によって自分自身の無力さを痛感してしまったからだ。
『スピネル、彼らの行方を追え』
「必ずや、ペンダントをギベオン様の手に」
『アメジオは任務から外す』
「.....承知しました」
「フッ...お疲れ様です。後は私に任せて休んでください」
その言葉を聞きアメジオはこの場から退席した
『はっきり言うけど勝負にならないよ。』
『相手のポケモンにほとんど何もできずただ蹂躙される。これを無様以外に何を言う。』
「クソ...!」
アメジオはノエルとJの言葉を思い出していた。そして思い出すたびに自分の無力さを思い知り、その苛立ちからかアメジオは壁を殴りつける
「「アメジオ様!」」
そんな中ジルとコニアが迫ってくる
「あ、あの、本当なんですか?任務を横取りされたって」
「よろしいのですか?このままで」
「好都合だ。俺はレックウザを追う」
「「え?」」
アメジオには一切、取り乱したような様子が見られない。そんな彼に二人は戸惑っていた
「だが今の俺では力不足、だからお前たちの力を貸してくれ」
「それは構わないのですが具体的には?」
「今から訓練室に向かう。そこで十分な訓練を積んだ後出発する」
「「はっ!」」
「そして俺はノエルを....!」
「「?」」
アメジオは自分の今言おうとした言葉に気づき口を閉じた
(俺はいま、何を言おうとした...!私情を捨てろ、俺はお爺様の願いのために動くんだ)
「アメジオ様?」
「.....なんでもない。行くぞ」
こうして3人は訓練室に入っていくのであった。だがその背後には
「フフ、あともう少しですね」
ルアンが怪しげな笑みを浮かべて立っていた
読んでくださりありがとうございます!
やっぱり小説を両立させるのって難しいですねw
そしてやっとノエルの6匹目が決定しました。多分パルデアで初登場になると思います。
あと、ノエルの声優さんが決定しました。設定に書いてあるのでぜひご覧ください