ポケットモンスター 覇者への道   作:鴨凹

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投稿頻度をあげるといいながら下がっている男、鴨凹です。今回の話はほぼ原作通りです。
...........信じてください




できれば今日中にもう一話投稿したいな~


修行!修行!!修行!!!

バトルを終えノエルとカブの二人はバトルカフェの入り口まで歩いてきた

 

「さあ、着いたよ」

「ここがバトルカフェ。店の外からでもいい匂いが...ってあれ」

 

ノエルは店の外にまで香る匂いに包まれているとテラス席から嗅ぎ覚えのある匂いに気づく

 

「どうやらテラスの方で面白いことが起きているようだね。行ってみようか」

「はい」

 

二人は店内に入りそのままテラス席に進んでいく。そこでは一人のパティシエと仲間のマードックがスイーツを作っていた。これだけでもノエルは驚いていたのに二人の近くにはリコとロイがいた

 

「リコにロイ、それにマードックさん?なぜこんなところに」

「知り合いかい?」

「いま一緒に旅をしている仲間たちです」

 

二人の料理人は次第に自分のスイーツを完成させていきノエルたち含めたお客全員がスイーツに釘付けになってしまっていた。しかも幸運にも二人が作ったスイーツは無料で人々に振舞われることになりカフェ全体に笑顔が溢れることになった

 

「やった」

「いいバトルができて無料で美味しいスイーツを食べることができる。どうやら今日はツイているみたいだ」

「そうですね」

 

二人の机には抹茶のロールケーキとイチゴのショートケーキが置かれた

 

「おおこれは....!」

「どっちもすごい美味しそうですね!」

「ノエル君、よかったら半分ずつシェアしないかい?恥ずかしい話どちらも美味しそうで」

「ぜひ。僕も決めきれなかったので」

 

ノエルたちは差し出されたケーキと別で頼んだコーヒーの味を楽しみながらマードック達4人を見ていた。するとマードックと涙の抱擁を交わしていたパティシエの一人がこちらに気づいたのか二人に声をかける

 

「カブさん、いらしてたんですか!それともしかして隣にいるのはノエル君!?」

「え、ジムリーダーのカブさんに!?ノエル兄ちゃん!?」

「いかにも。二人とも、今日は美味しいケーキをどうもありがとう」

「ごちそうさまでした。どちらもすごくおいしかったです!」

「ありがとうございます!二人にそう言っていただけるなんて光栄です!」

「ありがとうござます!ノエルもありがとな!」

「カブさん!休憩中ですか!?」

「ノエル君!どうしてここに!?」

 

すると突然カブとノエルの周りにたくさんのギャラリーが集まってくる。それどころか店内の人たちもテラスに出てきて二人を囲み始める

 

「さっきノエル君とバトルをしていてね。休憩がてらに彼を誘ってスイーツを堪能しに来たんだ」

「ノエル君、サインもらってもいい!?」

「僕のなんかのでよければ」

「カブさん、後でスタジアムに遊びに行っていい?」

「もちろんだよ。それまでには修復を終わらせるから

 

あまりの人の集まりようにリコとロイは固まってしまう

 

「ロイ、ファイヤーのこと聞かなくてもいいのか?」

「ああ、そうだ!すみませーん!」

「...すみません、カブさん。この後少しここに残ってくださいませんか?」

「ああ、構わないよ」

 

各々のファン対応を終え、カブはリコ達に近づく

 

「やあ、お待たせしたね。改めて僕はここエンジンシティのジムリーダー、カブだ。よろしく」

「リコです!こっちはニャオハ」

「二ャ!」

「ロイです!こっちは相棒のホゲータ」

「ホゲ!」

「マードックです」

「それでノエル君、用と言うのは?」

「ロイ、聞きたいことがあるんだよね?」

「う、うん!カブさん、実は聞きたいことがあって」

「聞きたいこと?」

 

ロイはガラル鉱山付近に出現するファイヤーについて質問していく

 

「確かに最近噂になっているね、実際僕もこの目で見た。それももう一体のある伝説のポケモンとともに飛んでいた姿を」

「もう一体の伝説のポケモン?」

「それってもしかして黒いレックウザですか?」

「ああ、その通りだよ」

「「「「.......!」」」」

 

カブの言葉を聞き4人はファイヤーこそがレックウザやオリーヴァ、そして古の冒険者とともに道を歩んだ六英雄の一体であること確信する

 

「僕、その黒いレックウザをゲットしたいんです!だからその手がかりであるファイヤーを追ってこのガラル地方まで来ました!」

「なるほど...リコ君、君は?」

 

ロイの真っすぐな思いを受け止めたカブはリコに視線を向け、彼女の目的を訪ねる

 

「わ、私は、そのレックウザが特別で仲間と出会った事とか、私がここにいる事とか、全部繋がってる気がしてて...だから知りたいんです!」

 

二人の思いを聞きカブは笑みを浮かべながらうなずく

 

「君たちの熱い思い、確かに伝わったよ。だがレックウザをゲットするとなるとバトルは避けて通れない。...........勝てる自信はあるのかい?」

「絶対ゲットします!100回でも1000回でも何度でも勝てるまで挑戦します!な、ホゲータ?」

「ホンゲェエエエ!」

 

ホゲータは自分とロイの気合を表すかのように上空に向かって炎を吐く

 

「いい答え、いい”かえんほうしゃ”だ。若いトレーナーの背中を押すのもジムリーダーの務めだ。君たちのバトルの力が今よりも向上するように協力しよう」

「それってカブさんが」

「バトルの相手を!?」

「ふっ...」

 

カブは意味深な笑みを浮かべリコ達に背を向ける

 

「1時間後、エンジンスタジアムに来るといい。それではまた後で」

 

そういいカブはリコたちの元を去りランニングでエンジンスタジアムの方へと向かっていった

 

「行っちゃった...」

(1時間か...多分その時間でスタジアムの修繕を行うんだろうな。結構ボロボロにしちゃったし)

 

ノエルはカブのポケットの中に入っていたボールが少し震えていることに気づいていた。..............ガンバレ、バシャーモ

 

「ところで二人はどうしてここに?電車でガラル鉱山に向かったんじゃ」

「それが今日一日は車両整備の影響で電車が動かないんだって。だから今日一日はみんな自由に過ごすことになったんだ」

「そうだったんだ」

「でもそのおかげでカブさんの特訓を受けることができるんだ!くぅ~、はやく一時間たたないかな~!」

 

ロイはカブとの修行が待ちきれない様子だった

 

「そういえばさっきカブさんがノエルとバトルしたって言ってたが...」

「あ、そういえば!もしかしてノエル兄ちゃんが言ってた”炎蹴”ってカブさんのことだったの?」

「そうだよ。いや~楽しかったな~」

 

ノエルは先ほどのバトルの詳細をロイ達に話した

 

「いいなぁ!僕、そのバトル見たかった!」

「お兄ちゃんとリザードンをそこまで追い詰めるなんて...カブさんって本当に強いんだ」

「さっき一瞬だけ熱気を感じると思ったが二人のバトルの余波がここまで届いていたってことか。とんでもないな」

「なるほどだからカブさん、いつもよりスッキリした表情をしていたんだね」

「カブさんとのバトルは色々なことを得ることができました。だからリコ、ロイ。カブさんとの特訓は必ず二人を大きく成長させてくれるはずだよ」

 

その言葉を聞いて二人はより一層カブとの特訓にむけて気合を入れるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間が経ち、ノエル、リコ、ロイの3人はエンジンスタジアムの入り口まで足を運んでいた。一方マードックは買い出しで買った食材などを船まで運びそのまま夕飯の献立を考えるといいバトルカフェで別れた。本来ノエルも食材運搬を手伝おうとしたのだがマードックから二人を見守って欲しいと頼まれ二人に付き添うという形でスタジアムまで赴いていた

 

「ここがエンジンスタジアム」

「カブさんとのバトル、楽しみだな~!」

「あれ、ノエルさん?」

「ワカバさん」

 

3人の元に先ほどあったジムトレーナー見習いのワカバが走ってきた

 

「そちらのお二人は初めまして!自分はジムトレーナー見習いのワカバっていいます。もしかして貴方達がカブさんのお客さんっスか?」

「はい!カブさんが私たちを鍛えてくれるって」

「なるほど、承知しました。ご案内するッス!」

 

3人はワカバの案内のもとスタジアムの中に足を進めていった。だがそこでノエルはある違和感に気づく

 

「あれ、ワカバさん。バトルフィールドの方には行かないんですか?」

 

先ほど案内された経路とはまるで違うのだ。そのことをワカバに聞くとカブ曰く、今回はバトルフィールドではなくトレーニングルームを使うらしい

 

「ねぇ、カブさんってどんな人なの?」

「カブさんはですね...一言で言うとアツくて、強くて、優しくて、頼れるジムリーダー。自分を高めるために雨の日も砂嵐の日も常に鍛え続ける孤高のトレーナーっす!」

 

全然一言ではないがこの発言からワカバがどれ程、カブの事を慕っているのかが伝わってきた

 

「へぇ、かっこいいなぁ!」

「そうなんすよ!自分はそんなカブさんに憧れてジムトレーナーを目指してるっす。けど試験のバトルはまだ一度も...でも何度でも挑戦するッす!人生死ぬまで修行っすから!」

「うんうん、頑張って!」

「あざっす!」

「お兄ちゃん、この二人」

「うん。少し似てるね」

 

リコとノエルはロイ達を見て微笑む。そしてしばらく歩いていると目的地であるトレーニングルームにたどり着いた。4人の目の前には円状にできた特殊なフィールドが広がっておりところどころに草が生い茂っていた

 

「カブさん、お客さんっす!」

「お待たせしたね。ようこそエンジンスタジアムへ」

「カブさん、今日はよろしくお願いいたします!」

「「お願いします!」」

「気合十分。特にロイ君は待ちきれないみたいだね、それじゃあさっそく始めようか」

 

カブはリコたちをフィールドの中央である赤いサークルまで案内する。すると”ろうそくポケモン”のヒトモシが20体草むらから出てきた

 

「かわいい!」

『ヒトモシ ”ろうそくポケモン” ゴースト・炎タイプ 炎は普段消えているが人やポケモンの生命力を吸い取ると燃えると言われている』

「こわっ!」

 

ロイはスマホロトムが読み上げた説明に冷や汗をかく

 

「カブさん?これは」

「君たちのトレーニングの相手はこの子たちだ」

「え、バトルじゃないの?」

「ロイ、強くなるためには一体何が大事か思い出してみて」

 

ノエルはカブがこれから何を行うかを察しロイを宥める

 

「強くなるために...」

「もしかして”基本”?」

「リコ君、正解だ。強くなるために大事になってくるのは基本。基本の技を磨きパワーをあげれば自ずとバトルのレベルもあがる」

「基本となる技...」

 

基本となる技、つまりニャオハであれば”このは”、ホゲータであれば”かえんほうしゃ”といったところだろうか。だがこの二つの技の威力と範囲に大きな差があるため今回、ハンデとしてホゲータが技を放ったらそこから3秒は制止することになった

 

「ルールは簡単。赤いサークルの中からホゲータ君は”かえんほうしゃ”、ニャオハ君は”このは”でヒトモシ君のたちの頭の上を狙う。”かえんほうしゃ”で全てのヒトモシ君の炎を灯せればロイ君の勝ち、”このは”で全ての炎を消すことができればリコ君の勝ち。なおもしロイ君がハンデを忘れ3秒経っていないうちに技を指示した瞬間ロイ君の反則負けとなる」

「競争か...!」

「面白そう!」

 

二人は今までにない形式の特訓に心を踊ろらせていた。ルール説明も終わりリコとロイ以外の面々はフィールドの外へと移動した

 

「二人とも準備はいいかい?」

「「はい!」」

「リコ、ロイ。どっちも頑張れ!」

(よ~し!ノエル兄ちゃんにいいとこ見せるぞ!)

(見てて、お兄ちゃん!)

「では......はじめ!」

 

カブの掛け声とともにブザーが鳴りリコ対ロイの勝負が始まった

 

「ホゲータ、”かえんほうしゃ”!」

「ニャオハ、”このは”!」

 

ブザーが鳴った瞬間二人はそれぞれの相棒に指示をだし、葉と炎が一斉にヒトモシへと向かっていく。だが二人が思っていた以上にヒトモシたちはすばしっこくいとも簡単に避けそのまま草むらの中に身をひそめてしまう

 

「やばっアイツ等意外と素早い!」

「だったら、”このは”塊で鋭く!」

「二ャアア!」

 

ニャオハはリコの指示に従い葉を小さな塊にし弾丸のように飛ばす。その攻撃にヒトモシは反応できず頭の炎を消されてしまう

 

「ナイスっす、リコさん!」

「彼女、発想力に優れているね」

「はい。でもロイも負けていませんよ」

 

ノエルたちはロイに視線を移す

 

「モシッ」

「モーシ!」

「草の中から中々出てこないな。だったら!ホゲータ、草むらに向かって”かえんほうしゃ”!」

「ホンゲェエエ!」

 

ホゲータは草むらに炎を吐く。すると草にどんどん引火していき草むらに潜んでいた4匹のヒトモシの頭を灯すことに成功した

 

「ロイさんもすごいっす!」

「これは中々」

「いいぞ二人とも!」

 

リコとロイ、二人はこれまでたくさんの修羅場をくぐり戦ってきた。これらは確実に二人の糧になっておりここにきて大きな成長をみせていた

 

「ニャオハ、あの子たちに”このは”いっぱい!」

「ホゲータ、”かえんほうしゃ”塊で!」

「え、それって!」

「ごめん、リコ、ニャオハ!借りるよ!」

「だったらニャオハ、あっちの草むらに”このは”鋭くいっぱい!」

「ああぁ!それって僕たちの!」

 

二人の戦いはほぼ互角でありスコアもほぼ大差なかった。だが時間が経つとやはり技の性能の差と言うべきか着実にロイがリードしていく

 

「このままじゃ...あ」

 

リコは頭に火がついている7匹のヒトモシが一塊になっているのを確認する。彼女はすぐにニャオハに指示を送ろうとした。だが

 

「頑張れ、ホゲータ!」

「ホンゲ!」

(......ッ)

 

ロイとホゲータ、二人の夢の為に頑張る姿を見てリコは動きを止めてしまう。

 

「.....ノエル君」

「はい、わかっています」

 

その様子を見たカブとノエルはリコを静かに見つめる

 

「二ャー!」

「あ、ごめんね!えっと、鋭く。いや、いっぱいで!」

「いっけー!、”かえんほうしゃ”!」

「ホンゲェエエエエ!」

 

ホゲータ渾身の”かえんほうしゃ”が最後のヒトモシに命中する。よってこの勝負はロイの勝利となる

 

「やったーー!」

「ホンゲ!」

 

ロイとホゲータはお互いに抱きしめあい喜びを分かち合う

 

「負けた...ごめん、ニャオハ」

「二ャ...」

(これでいいんだよね...これでロイとホゲータは)

「惜しかったっすね、リコさん。でもすごかったっす!」

「ありがとう。応援してくれて....元気出たよ、ワカバさん」

 

リコは憂いていた表情を無理やり変えワカバと話し始める

 

「リコ...」

「どう見る?」

「前、バトルをしたときはあんな風にはならなかった。ロイとの絆の強さが裏目に出たのかもしれません」

「なるほど」

「でもリコ、君はひとつ見落としているぞ」

 

ノエルはリコの横で寂しそうな表情をしているニャオハを見る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二人とも、いいトレーニングになったようだね。じゃあその成果を試してみよう。僕とのバトルで」

「「え!?」」

「せっかくだ、タッグバトルにしよう。ワカバ君、僕とタッグを組んでくれるかい?」

「え、自分がカブさんと!?は、はい!ぜひお願いします!」

「ノエル君、審判をお願いしてもいいかな?」

「はい!」

 

突然のことでワカバは慌てるがすぐに気合をいれ、カブに返事をする。こうして決まったタッグバトル、5人はさっきノエルとカブが戦っていたバトルフィールドへと移動しすぐにノエル以外の4人はトレーナーゾーンに立ち準備をする

 

「これよりタッグバトルを行います。先行はリコ達からになります。では互いにポケモンを」

「いくよ、ホゲータ!」

「お願い、ニャオハ!」

 

ニャオハ達はリコたちの足元から移動しフィールドへと入る。それに続きワカバとカブがボールを投げる

 

「ガンバっす、タンドン!」

「燃え盛れ、マルヤクデ!」

 

ワカバは”せきたんポケモン”のタンドンを、カブは”はつねつポケモン”のマルヤクデを繰り出した

 

「出た!カブさんのマルヤクデ!」

「強そう...!」

 

リコとロイはマルヤクデの存在感に目を奪われてしまっていた。そして同時にその強さを感じ取った。だがロイは笑ってマルヤクデを見やる

 

「よし!いくよ、ホゲータ!」

「ホゲ!」

(いいぞ、ロイ。相手の強さに飲まれなかった)

「うん、いいね」

「お互い準備ができたということで.......ではバトルスタート!」

「先手必勝!”かえんほうしゃ”!」

 

開始合図と同時にホゲータはマルヤクデに向かって炎をぶつける。だがマルヤクデには全くダメージはなくそれどころかマルヤクデが放つ熱気の勢いが増してしまう

 

「効いてない...!」

「マルヤクデの特性は”もらいび”炎技は効かないよ」

「だったら”ハイパーボイス”!」

「来るよ、ワカバ君」

「は、はい!”こうそくスピン”でかわして!」

「マルヤクデ、”かえんぐるま”」

 

迫り来る衝撃波をタンドンは高速でスピンしながらかわし、マルヤクデは衝撃波をものともせず炎を纏いながらニャオハ達に接近する

 

「ニャオハ、かわして!」

「ホゲータ、かわすんだ!」

「二ャ!」

「ホゲ!....ッ!」

「ホゲータ!」

 

ニャオハはなんとかかわすことができたがホゲータは間に合わず真正面から食らいその場で倒れてしまう

 

「今だよ、”このは”鋭く!」

「二ャアアア!」

「........」

「効いてない!?」

 

ニャオハの技は確かに命中するがタイプ相性それにレベルの差もありマルヤクデにダメージを負わせることができなかった

 

「まだまだいくよ、”むしくい”」

「「危ない!」」

 

二人の声に反応しニャオハ達はすんでのところでなんとかわす。だがマルヤクデの”むしくい”は地面を砕いてしまう。その威力をみた二人は戦慄する

 

「すごすぎて入っていけないっす...」

 

ワカバもカブとマルヤクデを援護しようとするがかえって自分たちが足手まといになってしまうのではないかと恐れ行動できないでいた

 

「どうした?僕のマルヤクデに勝てないようではレックウザをゲットなどとても無理だよ」

 

カブの言葉を聞きロイの目が若干鋭くなる。だがすぐに冷静さを取り戻し作戦を立てる

 

「リコ、連携プレーで行こう。ホゲータが前に出る」

「うん、”このは”いっぱい!目隠し!」

 

ニャオハは大量の葉っぱをマルヤクデの顔にぶつけ視界を奪った。その隙にホゲータはマルヤクデに近づく

 

「ニャオハ、そのまま”このは”を出し続けて!」

「まっすぐ”かえんほうしゃ”!」

「いまだ、”かえんほうしゃダッシュ”!」

「...!」

 

マルヤクデの炎がホゲータにぶつかろうとしたその時、ホゲータは後ろに”かえんほうしゃ”を放出しその勢いを利用して攻撃をかわしながらマルヤクデに近づいた

 

「そのまま”あくび”!」

 

ホゲータはそのままマルヤクデにあくびを浴びせる。するとマルヤクデは眠気に襲われ目は細くなり体がフラフラになっていた

 

「いまだよ、リコ!」

「うん!”でんこうせっか”!」

「”たいあたり”!」

 

ニャオハとホゲータはチャンスと言わんばかりにマルヤクデに突撃する

 

「いい作戦、いい技のチョイス、なにより素晴らしいコンビネーションだね。でも一つ教えておこう」

 

カブは不敵な笑みを浮かべる

 

「状態異常前提の作戦は破綻しやすい。跳べ、マルヤクデ!」

「「......!」」

 

マルヤクデは尻尾を思い切り叩きつけ跳躍する

 

「そのまま”かえんぐるま”!」

「ニャオハ、離れて!」

「ホゲータ、かわすんだ!」

 

二体は迫りくる上空からの攻撃をかわしマルヤクデは思い切り地面に激突する。その影響でマルヤクデは多少のダメージを負ったが地面と激突した衝撃でマルヤクデを襲っていた眠気は完全に消えてしまった

 

「そ、そんな」

「地面に激突した衝撃で眠気が吹っ飛んじゃった...!こんな方法があるなんて」

「ロイ君、バトルにおいて作戦が潰れることはよくあること。そこからどのように切り返していくかが大事になってくるよ」

「はい!」

 

ロイは自身の作戦が潰れたことで動きを止めてしまう。だがバトルにおいて作戦が潰れることはざらだ。そのため作戦が潰されても動揺するのではなくどのように状況を切り返していくかを考えるのが大事だとカブは指摘する

 

「マルヤクデ、”かえんほうしゃ”!」

「こっちも”かえんほうしゃ”だ!」

 

マルヤクデとホゲータの炎がぶつかりあう。だがホゲータの炎はだんだんとしぼんでいきホゲータはとうとうマルヤクデの炎に飲まれてしまう

 

「ホゲータ!」

「ホ...ホゲェ」

「ホゲータ、すごかったよ。頑張った、だから...」

「ホゲェ!」

 

なんとか耐えたホゲータだったが体はもうボロボロで足元もフラフラになってしまっていた。その姿を見たロイはホゲータをボールに戻そうとするがホゲータはそれを大声で拒否した

 

「ホゲータ...そっかごめん。ホゲータはまだ諦めてないのに」

 

ロイはマルヤクデをまっすぐ見つめ大きく深呼吸をする

 

「ホ、ホ、ホホゲ!ホ、ホ、ホホゲ!立・ち上がれ!負けるなホゲータ、頑張れ~!お、も、いだせ~!負けるなホゲータ、頑張れ~!」

「ホ...ゲ!」

 

ロイは歌でホゲータを鼓舞していく。するとロイの鼓舞に反応したのかホゲータはオレンジ色のオーラを纏っていく

 

「ホ...ホゲェ!」

「”もうか”か。マルヤクデ、”かえんほうしゃ”!」

「ホゲータ、こっちも全力で”かえんほうしゃ”!」

「ホンゲェエエエエ!!!」

 

特性の”もうか”を発動させたホゲータは今まで一番の炎をマルヤクデに放った。

 

「すごい!すごいよ、ホゲータ!」

「技の威力が上がってるっす!」

 

その炎はマルヤクデの炎を押しのけ、マルヤクデに届く。だがマルヤクデの特性”もらいび”によりホゲータの炎は無効となりダメージを与えることができなかった

 

「いけ、ホゲータ!”たいあたり”!」

「ホゲホゲホゲホゲホンゲェエエエエ!」

「これは...」

 

ホゲータはさきほどの”たいあたり”とは比べ物にならないほどの勢いでマルヤクデに突進していく。そうホゲータはいまこの瞬間”たいあたり”を”とっしん”に進化させたのだ

 

「いけえええええ!」

「.........ヤクッ!」

 

マルヤクデはホゲータの突進をまともに食らい体をよろめかせた。だがそれでもダメージはあまり入っておらずマルヤクデはピンピンしていた

 

「ホゲ....」

 

そしてホゲータは”とっしん”の反動ダメージを受け、戦闘不能になってしまう

 

「ホゲータ戦闘不能!」

 

ノエルのコールと共にロイはホゲータの元に走り出しそのまま抱きしめる

 

「頑張ったな、ホゲータ!新しい技も覚えてすごかったよ!」

 

そんな二人を見てカブは微笑んだ後リコとワカバを見てマルヤクデをボールに戻す

 

「カブさん?」

「ワカバ君、リコ君とのバトル任せたよ」

「え...」

「ジムトレーナー試験だと思って頑張ってほしい」

「....!はい!」

 

突然の出来事にワカバは固まってしまうがすぐに気合を入れなおし臨戦態勢を取る

 

「リコさん、勝負っすよ!」

「う、うん!」

 

ワカバの気合にリコは一瞬押されてしまったがリコもワカバ同様気合を入れなおしてフィールドをみる

 

「いくっす!タンドン、”うちおとす”!」

「”うちおとす”を打ち落とす!”このは”!」

 

タンドンは空中に小さな岩を形成しニャオハにぶつけようとするがその前にニャオハが”このは”で岩を破壊しそのままタンドンに葉を浴びせていく

 

「くっ...”こうそくスピン”!」

「かわして、”このは”鋭く!」

「二ャアアア!」

「タンッ!?」

「タンドン!」

 

タンドンは高速でスピンをし葉を吹き飛ばしながらニャオハに迫る。だがそれもいとも簡単にかわされニャオハの反撃を受け後ろに吹き飛ばされてしまう。リコとワカバ、この二人の実力には大きな差がありバトルも一方的なものになってきた。そしてワカバ自身も自分とリコの実力差に気づいていた。だが彼女は

 

「よし、ニャオハもう一度...」

「負けられないっす!」

「.....ッ!」

勝ってジムトレーナーになるっす!絶対に!

 

勝負を諦めていなかった。目の前の実力差を見ても自分と相棒の勝利を信じて疑わなかった。そしてなにより全力でぶつかってきてくれるリコに勝ちカブを支えられるジムトレーナーになりたかったのだ。その必死さが伝わったのかリコはニャオハに指示するのをためらってしまった

 

「二ャ!二ャア二ャア!」

「あ...」

「”こうそくスピン”!」

 

迫りくる攻撃にニャオハは見事な身のこなしで回避する

 

「まだまだぁ!もう一度、”こうそく....」

「待って!..........私の負け」

「「え....?」」

 

リコの突然の降参にワカバとロイは戸惑いの声をあげる。そんな様子をカブとノエルは険しい表情を浮かべながら見ていた

 

「リコ....」

「やはりこうなってしまったね...」

 

だがリコは気づいていなかった。この自分の行為が優しさではなく侮辱と裏切りであることを

 

「どういう...ことっすか」

「えっと...さっきのトレーニングでニャオハも疲れてるだろうし、マルヤクデとのバトルもあってそれで」

「わざと負けるってことすか...!最後までバトルせず、負けてやるってことすか」

「そ、そんなつもりじゃ」

 

だがリコは言葉をの続きを言うことができなかった。なぜなら目の前にいるワカバは喜ぶどころか失望、悲しみゆえなのか目には涙が流れていたからだ。そして自身の相棒ニャオハもリコを非難する目で見ていた

 

「それでジムトレーナーになれたってそんなの嬉しくないっす...夢は自分の力で叶えなきゃ意味ないっす!」

 

ワカバは耐え切れなくなったのかフィールドを走りながら去って行ってしまう

 

「タン...タン...」

 

突然のことにタンドンは理解が追いつかずその場でうろうろしていたがそれをカブが抱きかかえそのままノエルと共にリコに近づく

 

「リコ君、ロイ君とのトレーニングの時も躊躇いがあったね」

「え、そうだったの?」

「...........」

 

思い当たる節があったのかリコは顔を俯かせてしまう

 

「ロイやワカバさんの気持ちを大切にしたい。自分が勝つことよりも」

「お兄ちゃん...」

「相手の気持ちを大切にしたい、リコのその考えはとても尊い。ただその気持ちばかり先行して見なきゃいけないものを見落としてしまっているよ」

「見なきゃいけないもの...」

「ワカバさんの気持ち...」

「.......!」

 

リコはようやく自分の過ちを理解した

 

「ワカバさんは全力でリコに向かっていった。でもリコはそんな彼女の気持ちに向き合わなかった、いや向き合おうとしなかったんだ

「...ッ」

「もし自分が勝ってしまったらワカバさんの夢が途絶えてしまう、気持ちを傷つけてしまう......そればっかを考えて彼女と向き合おうとしなかった」

 

ノエルはリコの目をまっすぐ見て淡々と告げていく

 

「なにより....おいで」

「二ャ」

「あ.....」

「リコを信じ一緒に戦ってくれる相棒の気持ちにも向き合おうとしなかった」

「ニャオハ!」

 

リコはニャオハに近づく

 

「ごめん...ごめんね...!」

「リコ、これだけ覚えておいて。”優しさ”は時にどんなものよりも鋭くそして残酷に人を傷つけてしまうことがあるんだ」

「.........うん」

 

リコはノエルに言われたことを深く胸に刻みつけた

 

「お兄ちゃん、私」

「ああ。行っておいで」

 

リコはフィールドから出てワカバを追いかけていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワカバさん!」

「.......!」

 

フィールドから離れたリコはスタジアムを駆けまわりワカバを探していた。そしてしばらく走り回りようやく彼女を見つけると名前を大声で叫ぶ

 

「あの...」

「すんませんでした!」

 

リコはすぐに謝罪しようとするがその前にワカバが頭を下げてきた

 

「自分が未熟なのにリコさんに当たってしまって」

「ううん!私こそ、ワカバさんの気持ちに向き合おうとしなかった...本当にごめんなさい!」

 

リコもワカバに続き頭をさげる

 

「私怖かったの、私のせいでワカバさんの気持ちを傷つけてしまうんじゃないかって。でもそればかりに集中してワカバさんやタンドン、そしてニャオハの気持ちなんてこれっぽっちも考えてなかった」

「リコさん...」

 

リコの本音を聞きワカバは頭をあげる

 

「だから遅いかもしれないけど...ワカバさんの気持ちに向き合うチャンスを私にください!お願いします!」

「.....!もちろんっす!」

 

ワカバはリコに笑顔で応える

 

「私もお願いっす!リコさんの全てを私にぶつけてください!そして私の全てを見てほしいっす!」

「うん!」

 

こうして二人は駆け足でフィールドに戻っていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これよりリコ君とワカバ君によるバトルを行う。二人とも準備はいいね」

「「はい!」」

「二ャ!」

「タン!」

 

リコにはもう迷いなどなかった。ただワカバとバトルをする、これだけを考えていた

 

「では、バトルスタート!」

「いくよ、ニャオハ!」

「いくっすよ、タンドン!」

 

カブの合図とともに二体は走り出した。リコ対ワカバ。新芽同士の戦いがいま始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでくださりありがとうございます!

すみません、最後の方だけオリジナル展開になりました。
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