ポケットモンスター 覇者への道   作:鴨凹

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はっきり言いましょう。今回で記念すべき50話目にもかかわらず導入の導入なので物語がまったく進みません。




そして50話まで続けられてきたのは間違いなく読んでくださる皆様のおかげです!
これからも頑張っていきますので応援よろしくお願いいたします!


「これからも僕たちの物語をよろしくお願いします!」


テラパゴスのかがやき 編
できたこと、できなかったこと...........やるべきこと


時はダイアナがフリードと合流する前にまで遡る

 

「経過は良好」

 

ルアンとサーナイトは高台から暴走するノエルとリザードンの観察を行っていた。そんな彼女の背後からある人影が近づく

 

「...どういうことだい」

「久しぶりですね、ダイアナ。ハンベルといい貴方といい、随分老けましたね」

 

ダイアナはルアンの姿を見て面食らっていた。それも無理はないルアンの元から離れたのはもう30年以上前だ。にもかかわらず目の前にいる恩師は

 

(歳を取っていない。いや、むしろ若返っている)

「なぜ、歳をとっていないか....ですよね。ふふっ、あれから何十年も経っているのに貴方は相も変わらずわかりやすい」

「それは”素直”という誉め言葉として受け取ってもいいのかねぇ、先生?」

「どうぞ、お好きに」

 

一見なんともない雑談に見えるが二人の間には確かな緊張感が漂っていた

 

「色々聞きたいことがあるがそれはひとまず置いておこう。単刀直入に聞く、アンタはエクスプローラーズなのかい?」

「ええ」

「....ッ」

 

聞きたくなかった答えが本人の口から告げられたことにダイアナはショックを受けてしまう

 

「そうかい...!見損なったよ、アンタがアイツ等に加担して年端もいかないリコを狙いテラパゴスを奪おうとしていたなんてね」

「そんなものに興味はありませんよ」

「なに?」

「あのペンダント、もといテラパゴスに私は一切興味ありません。私にとってあのポケモンは餌、もしくはきっかけにすぎないので」

 

ルアンの言葉にダイアナは動揺する

 

「餌、アンタ何言って...」

これから先、第三特異点である私の息子であるノエル、第四特異点アメジオ、そして貴方の孫、第五特異点リコ。この3人を中心に世界は動いていくことでしょう

「待て!」

 

ルアンはそう言い残しダイアナの元から消える

 

「特異点、ノエルが先生の息子....?クソ、肝心なことを言わない癖まだ直ってないのかい...!」

「グオオオオオオオ!」

「いや、今はそれよりも」

「ダイアナさん!」

 

ダイアナが一人考えているとそこにフリードが合流する。そしてリコたちの救出に向かうのだった

 

 

 

 

 

 

 

そして現在にいたる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライジングボルテッカーズのミーティングルーム。そこにノエル以外のメンバー全員とダイアナが揃っていた

 

「...........」

「モリー、ノエルは」

「はっきり言ってまずい状態だね」

 

モリーの言葉にここにいる全員の顔が曇る。特に、リコ、ロイ、ドット、オリオの四人は明らかに居ても立っても居られない様子だった

 

「モリー、まずいってどういうこと?」

「外傷の方は軽い痣があるだけだった。でも心臓の拍動がとても弱ってる」

「「「「「「「...........!」」」」」」」

「そしてあの子の服のポケットとバッグからこれが見つかった」

 

モリーは机の上に白い錠剤を置く

 

「これって...」

「ああ、心臓病の薬だね。それにこの薬は相当強くステージ4の人に渡されるものだ」

「そんな...!お兄ちゃんは今までそんな状態で」

「..........ッ」

 

ノエルはそんな状態で自分たちを守ってくれていたことを知りリコとロイはショックを受け、それと同時に罪悪感が彼女たちを襲う

 

「やっぱり止めるべきだった」

「ドット...?」

「古城に行く前、見たんだ。ノエルが血を吐いてるところ」

 

ドットは小さな声で告白していく

 

「なんでそのことを言わなかったの!?そしたら兄ちゃんは....!」

 

ロイは声を荒げドットに迫る

 

「ロイ、やめて!」

「だって、」

ロイ!

「.......ッ」

 

そんなロイにフリードが一喝する

 

「頭、冷やせ」

「...ごめん」

 

ロイはフリードの言葉で冷静になり謝罪を述べた後、部屋から出ていく

 

「...ごめんなさい」

「いいんだ。ドット、教えてくれてありがとな」

 

涙を浮かべるドットにフリードは優しく言葉をかける

 

「とりあえずノエルの回復を最優先にする。一度ナックルシティに戻る。そしてノエルが回復してから冒険再開。それでいいな?」

「待った」

 

フリードの言葉に皆頷く。だがある者がその提案に待ったをかける

 

「おばあちゃん...?」

 

ダイアナは席を立ち、待ったをかける

 

「ナックルシティに行くのはいい。だが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの子とはそこで別れた方がいい

「...は?」

「おばあちゃん、何を言って...!」

 

ダイアナの発言に皆一様に動揺する

 

「待ってください、一体なぜ!?」

「このままでは危険だ。これいじょう被害を被らないためにもノエルはエンジンシティで置いていった方がいい」

「そんな理由であの子を船から追い出せってことですか......?」

「....危険は遠ざける。当然のことだ」

「ッ、この...!」

 

モリーの怒りを孕んだ言葉にダイアナは淡々と答える。それを見たオリオはダイアナの胸ぐらをつかむ

 

「黙って聞いていれば...危険は遠ざける?ふざけんな!」

 

オリオはダイアナに吼える

 

「ノエルはウチらライジングボルテッカーズの仲間だ!そんなあの子を置いてくなんてできるわけないでしょ!」

「俺もオリオに賛成です」

「私も。リコのおばあさんにこんなこと言うのはあれだけど、そんな提案ありえないですよ」

 

オリオの言葉にマードックとモリーも続いていく。それを見ていたランドウ、リコ、ドットもその言葉に頷く

 

「仲間....はっ、笑わせてくれるね」

「くっ...」

 

そう言いダイアナはオリオの手を払う

 

「おばあちゃん、今のは私も許せない。お兄ちゃんはライジングボルテッカーズの仲間で、私の大切な人なの。そんな人を危険扱いしてこの船から追い出すなんて」

なに勘違いしてんだい?

 

ダイアナの圧の籠った声に部屋の雰囲気が一気に重くなる

 

「私はノエルは危険扱いなんて一度もしていない。むしろその逆だよ」

「逆...?」

「はぁ、わかっているのはリーダーだけかい」

「.............」

「フリード?」

 

先ほどから黙っているフリードに皆の視線がいく

 

「はっきり言ってやる。アンタらはノエルの負担でしかない

「「「「「「..........!」」」」」」

 

フリード以外のメンバーが全員唖然とする

 

「仲間ってのは互いに支えあい、痛みを分かち合う存在だ。だがアンタらはどうだい?一度でもあの子を支えられたことは?いや支えようとしたことがあるかい?」

「それは....」

 

ダイアナの言葉に皆、顔を俯かせ思い出す。これまでの冒険を、これまでの戦いを、そして昨夜の戦いを。

 

「あの子は強い。だがそれにかまけてアンタたちはこう思うようになったんじゃないかい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”ノエルなら大丈夫”

 

その言葉にここにいる全員が反応する

 

「忘れるな。いくらあの子が世界四位のトレーナーであってもまだ子供だ」

「.....そのとおりです」

 

フリードはダイアナの言葉を受け止め肯定する

 

「俺たちは仲間であるにも関わらずノエルに背負わせすぎてしまった」

「フリード...」

「アイツは強い。でもノエルはまだ子供だ。そんなことを俺は...!」

 

フリードは拳を力強く握り涙の代わりなのか手から赤いものが流れていた

 

「これで分かったろ。ナックルシティでノエルを船から降ろす、これがあの子のためにも、アンタたちのためにもなる」

「で、でも」

 

リコはダイアナに抗議の声をあげようとするが表情はとても憂いていた。だがそれはリコだけではなく周りのメンバーも同じような様子だった。納得はもちろんしていない、だが理解はしてしまったのだ。ダイアナの言うことが正しいのだと。このままノエルと別れるべきなのかもしれないとそう考えていた。

 

「それでも僕はこのままノエルと一緒に冒険したい」

「............」

 

一人を除いて

 

「ドット...」

「今の話を聞いてまだそんなことが言うのかい。だだっ子」

「皆、なんでそんな表情してるの?もしかして本当にノエルを船からおろそうとしてる?」

「だが...」

「ナンセンス。つまりそれってあの状態のノエルを一人にさせるってことじゃん。それが仲間のすること?」

「「「「「「............!」」」」」」

 

ドットの言葉に全員が顔をあげる

 

「もし僕たちの存在がノエルの負担になっているんだったらそれを少しでも軽くしてやるのが仲間なんじゃないの?」

「できんのかい?アンタらはあの子の横に立つには弱すぎる。かえって」

だったら支えられるよう強くなるだけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、全然のびない...」

 

もう50本ぐらい投稿してるのに全然伸びない。いいねもたったの11。たった一個のコメントも「面白くない」と書かれているだけだった

 

「もうやめようかな...」

『選手入場!』

「あ、始まる」

 

今日はカントー地方の大きなポケモン大会が行われる日。僕はこういった大会を見ていつも動画のネタ集めやクレバーな戦い方を見て勉強している

 

『第一試合、ホドモエシティのノエル選手、タマムシシティのコウスケ選手のバトルを行います!』

「ノエル...始めて見る。でも運がないなこの人。コウスケってこの大会でいつも上位を取ってる人じゃん」

 

初参戦のノエルと上位常連者であるコウスケでは結果は見えていた

 

『まだまだ、リザードン!』

「...まるで相手になってない」

 

ノエルの手持ちはリザードンだけ、一方コウスケは3体残っておりしかもほとんどダメージを受けていない。誰がどう見たってもうノエルに勝ち目なんてない。でも.....

 

『グオオオオオオ!』

『まだまだぁ!』

「なんで諦めないんだろう?」

 

こんな最悪な状況なのにノエルとリザードンは諦める気配がない。どれだけ倒れても立ち上がるリザードン、どれだけ力の差を見せつけられてもフィールドから目を離さないノエル。そんな二人に僕は見入ってしまっていた

 

『必殺の”はかいこうせん”がリザードンに迫る!』

「...............」

『リザードン、”はかいこうせん”に”ちきゅうなげ”!』

「は!?」

『”はかいこうせん”が返ってきた!これにはコウスケ選手も驚きを隠せない!』

 

なんて無茶苦茶な戦法...でも

 

「すごい...!」

『コウスケ選手、2体目ペルシアンを繰り出した!』

『グオ...オオオ...』

「あ......」

 

コウスケが2体目のペルシアンを出した瞬間、リザードンは倒れてしまった。結果としてノエルはコウスケに惨敗、予選第一試合で彼の挑戦は終わってしまった。でも僕はこの二人を

 

「かっこいい...」

 

二人の決して諦めない姿を見て僕は勇気をもらった。そこからぐるみんの活動もどれだけアンチコメントが来ようと続けた。挫折しそうになったときもあったけど、その時はこのバトルの映像を見て元気をもらう。そして

 

「よーっす!今日はめでたい日だ!なにがあったって~?じゃじゃーん!」

 

ブレイブアサギ号に乗ってしばらく経った時、ぐるみんチャンネルの登録者が10万人を超えた。10万という数字を見た時僕は泣いた。諦めずに頑張ってきたことが報われた気がしたから

 

「ノエル、やったよ」

「クワッ!」

 

そこから軌道が乗ってぐるみんは人気コンテンツの一つになったんだ

 

『わ、我々はいま驚きの光景を目の当たりにしている!!!!』

「勝った....!」

 

イッシュ地方で開かれたポケモン大会。そこでノエルは優勝しそのエキシビションマッチでチャンピオンであるアデクさんに勝ちPWTの参戦を決めた

 

「本当にすごいなぁ...!」

うわあああああん

「オリオ、すごい泣き声...」

 

ノエルは僕のヒーローなんだ。別に直接何かをしてもらったわけじゃないけど彼の諦めない行動に僕は確かに助けられたんだ。だったら今度は僕が.........!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「守られるだけじゃない。ノエルを支えられるぐらい強くなってやる」

「ドット...」

「............そうかい」

 

ダイアナは呆れたようにため息をつく。だがそれとは裏腹にどこか安心したような笑みを浮かべていた

 

「そのための準備があるから先に戻る」

 

そういいドットはミーティングルームから出ていく

 

「私も行く。お兄ちゃんと一緒に冒険したいのは私も同じ。今度はあの人の背中を追うんじゃなくて、隣に立って一緒に歩いていきたいから」

 

リコもミーティングルームを出てドットを追いかけていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、僕なにやってんだろう...」

 

ミーティングルームから出たロイは一人ウィングデッキで横になり空を見上げていた

 

「ドットにひどいこと言っちゃったな」

 

ロイは絶賛自己嫌悪に陥っており先ほどの自分の行いを悔いていた。そんな中ロイの頭上に大きな雲が現れる。それを見たロイは昨日戦った強敵たちを思い出していた

 

「カブさんとの特訓で僕たちは確かに強くなった。それでもアイツ等には届かなかった...........レオン兄ちゃんの足元にも及ばなかった」

 

カブとの特訓でロイは強くなった。だがそれでもエクスプローラーズには及ばずフラダリには惨敗してしまった。この事実にロイは打ちのめされてしまっていた。特に慕っていたフラダリの言葉がロイの心に深く突き刺さっていた

 

『これは戦いだ、子供がやっているごっこ遊びではない!にもかかわらずお前はなんの覚悟も持たずここに立つ!失う覚悟、傷つく覚悟、相手を潰す覚悟、お前には何もない!そんなお前がどうしてポケモントレーナーを名乗っている?どうして夢を語る!?』

「僕にポケモントレーナーの資格も、夢を見る資格もない......」

「そんなことないよ」

「え....」

 

背後から声が聞こえ振り向いてみるとそこにはノエルの姿があった

 

「兄ちゃん!もう起きて大丈夫なの!?」

「もう大丈夫だよ。ごめんね、心配かけて」

「ううん!」

 

ノエルはロイの頭を撫で隣に座る。その瞬間彼の口から謝罪の言葉が述べられる

 

「ごめん、ロイ」

「どうして謝るの?」

「実はレオンのこと、僕知ってたんだ」

「そうだったんだ...」

 

ノエルの言葉にロイは驚いた様子もなく答える

 

「怒らないの?」

「怒らないよ。だってずっと黙ってたのって僕が悲しむと思ってたからでしょ?」

「...うん」

 

ノエルは力なくうなずく

 

「多分兄ちゃんからそのことを言われても僕は信じなかったと思う。というより今もちょっと信じられないでいるんだ、レオン兄ちゃんがエクスプローラーズで僕たちの敵だなんて」

「...そうだよね。だって本当に大好きだったんだよね」

「...うん。あの島でいっぱい喋って、いっぱい笑って、たまに怒られて.....すごく楽しかったんだ。でもレオン兄ちゃんにとっては僕との時間はどうでもいいものだったんだよね。それがすごく悲しい...」

「ロイ...」

 

ロイは帽子を深くかぶり目を擦る

 

「でも一番悲しかったのはレオン兄ちゃんがホゲータをたくさん傷つけたこと。でも僕はなにもできないでただレオン兄ちゃんに頭を下げることしかできなかったんだ」

 

フラダリとカエンジシに痛めつけられたホゲータはすでに元気になりボールの中でゆっくり休んでいるがそれでもロイの心にはホゲータの苦し気な声とフラダリの自身へと向けた言葉が忘れられないでいた

 

「レオン兄ちゃんに勝つこともホゲータを助けることもできなかったんだ。強さも覚悟もない僕なんてポケモントレーナーになる資格なんて...」

「ロイ」

「......ッ」

 

ノエルのいつもと違う声色にロイは驚きつつも落ち着きを取り戻しノエルの顔を見る

 

「確かにロイにはまだ覚悟も強さも足りない。そこに関して今後の大きな課題だね。でも一つ忘れていないかい?」

「忘れてる...?」

「君はテラパゴスとリコの心を守ることができたんだよ」

「テラパゴスとリコの心...?」

 

ロイは確かにホゲータとテラパゴス、この2択を選ぶことができず頭を下がることしかできなかった。この行為にレオンは軽蔑の目を向けロイに罵詈雑言を放った。だがこの行為のおかげでリコの心であるペンダントだったテラパゴスを守ることができた。それにホゲータも無傷ではなかったが無事に船へと戻ることができたのだ

 

「大切ななにかを守る。これはバトルで勝つことより難しいことなんだよ。君の仲間を思った行動が3人を救ったんだ」

「僕が...」

「ロイ」

「.....!」

 

ノエルは笑みを浮かべ、ロイの頭に手を当てる

 

「よく頑張ったね」

「.......ッ」

 

その言葉を皮切りにロイのダムは決壊する

 

「ぼくっ.....僕...!兄ちゃんが来るまで結局何もできないで...僕が弱いから兄ちゃんに無理させちゃって....ドットにもやつあたりしちゃったんだ........!」

「僕のことはいいんだ。でもあとでドットさんには謝ろう」

「うん」

 

しばらく宥めているとロイは落ち着き涙を止める

 

「ごめん、僕また泣いて」

「そうだね泣き虫は直した方がいいかも。...........僕みたいに馬鹿にされるから」

 

ノエルは遠い目をしてブルーベリー学園にいた日々を思い出す

 

「映画で感動しただけで2週間はいじられるんだよ...ひどいと思わない?」

「アハハ、兄ちゃんも泣くことあるんだ」

「え、僕、血も涙もない奴だと思われてる?」

「違う違う!兄ちゃんみたいに強い人でも泣くことがあるんだなって」

「あるよ。それもつい最近ね」

「最近?」

 

ノエルは顔を伏せる

 

「いや、なんでもないよ」

「兄ちゃん?」

 

ここでノエルは嘘をつく。決してロイを信用していないからではない。ただ自分のことで誰も負担になって欲しくなかったのだ。自身の両親と同じように

 

(迷惑をかけたら僕はまた...)

 

迷惑をかけたら周りから人が離れていく

 

『え、君が入るの?』

『正直迷惑なんだよな...』

 

(それに今は僕のことよりも優先するべきことがある)

 

『アイツのせいで』

『せめて迷惑にならないように気を使ってくれよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『悪い、ノエル。俺はもうお前の父親ではいられない。』

僕の存在がみんなの負担になる。だから周りから

 

 

 

 

 

「兄ちゃん!」

「.......!」

「ねえ、本当に大丈夫?」

 

ロイが心配そうにノエルを顔を覗き込む

 

「大丈夫だよ。ほら、ロイにはやるべきことがあるだろ?」

「ドット...うん、行ってくる!」

 

ロイは走り出しウィングデッキから降りていく。その背中をノエルは見送る

 

「ロイは強いな。もう次の一歩を踏み出している。それに比べて僕は...」

 

先の道すら見えていない

 

 

 

 

ノエルはしばらくしたあとミーティングルームに入る。するとライジングボルテッカーズのメンバー全員からもみくちゃにされることになるのだった

 

病み上がりだって言ってんでしょうが....!

「「「ごめんなさい」」」

 

特にべったりだったリコ、オリオそしてフリードはモリーに正座させられた話はまた今度ということで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にいいの?」

「はい。今はもう大丈夫ですので」

「けどアンタあの出血量は...」

「本当に大丈夫です。一人で旅をしているときも年に一回ぐらいはあってそのときは大抵薬を飲んで翌日になれば回復するので」

 

夜になりノエルはモリーの元で診察を受けていた。その前にフリードとモリーから一度街へ戻り病院へと向かった方がいいと提案したがノエルはそれをガラルにエクスプローラーズがまだ潜伏しているかもしれない、むしろ戻ったらかえって危険になるといった理由で首を横に振る。二人は何時間もノエルを説得しようとするが頑なにノエルは首を縦に振ることがなかったため結局次の街までバトルは極力しない、無茶をしない、一日3回必ずモリーに検診をしてもらうことを条件に二人は提案を下げた

 

「だから心配しないでください」

「それは無理」

「いたっ」

 

モリーはノエルの後頭部に軽くチョップする

 

「次からは辛くなったらちゃんと言って。頼りないかもしれないけどこれでも私は大人であり医者でありアンタの仲間でもあるんだから」

「...ありがとうございます」

「邪魔をするよ」

「ダイアナさん」

 

ダイアナは扉の前で声をかけたあとそのまま医務室に入る

 

「ダイアナさん、改めてこの度は本当に申し訳ありませんでした」

「まったくアンタもしつこいね。もういいって言ってるだろう」

 

今回ノエルはダイアナの隠れ家を焼き尽くし、孫であるリコを突き飛ばし、ダイアナが仲良くしていた古城のポケモンたちを傷つけてしまった。それ以外にもダイアナには多大なる迷惑をかけてしまったのでノエルはダイアナに頭が上がらないのだ

 

「まあ、リコのことを突き飛ばしたのは許せないけどね」

「うっ....!」

「冗談だよ。リコもアンタのことを許していたし私ももう気にしてないさ」

 

ダイアナは笑ってそう言う

 

「ところでもう検診は終わったのかい?」

「はい。今のところ特に問題はありませんでした」

「ならちょうどいい。モリー、悪いけど席を外してくれるかい?この子と話したいことがある」

「わかりました」

 

モリーは部屋を出てダイアナとノエルだけが医務室に残る

 

「ダイアナさん、聞きたいことって」

「その前にある昔話をしよう」

 

ダイアナはノエルの前に座り彼をじっと見る

 

「まだ私が10代の頃の話だ。私は旅の仲間と3年間ある人と師弟関係を結んでいたんだ。先生はとても聡明でバトルの腕も一級品、当時の私にとって先生は理想そのものだったんだ」

「すごい人ですね」

「ああ。先生のもとから離れても私はずっと尊敬していた。いつか今の自分を見てもらいたいと願っていたよ、だが...それは最悪な形で果たされた」

「え?」

 

ダイアナは机に肘をつき拳を強く握る

 

「あの古城で先生と再会してね、...........驚くべきことに彼女はエクスプローラーズとして動いていた」

「......!」

 

ノエルはダイアナの心中を察したのか悲し気な表情を浮かべる

 

「ショックだったさ、私の見間違いであってほしかった。だが尊敬していたからこそそんなことは起こりえなかった。私が先生のサーナイトを見間違えるはずなかった.....」

「は...サーナイト?....まさか...!」

「ああ。私の先生はアンタの母親、ルアンだよ」

 

ノエルは驚きを隠せないでいた

 

「待ってください。そんなありえない....」

「ああ。本来だったら彼女は私よりもしわくちゃのはずだ。にもかかわらずあの姿、私たちが知り合っていたときよりも若返ってる」

「母さん、貴方は一体何者なんだ...

「私もそれを知りたいんだ。だから頼む些細なことでもいい、あの人のことを教えてほしい」

「わかりました」

 

ノエルはダイアナにルアンについて知っていることを全て話した

 

「これで全部です」

「そうか...それでアンタはあの人に緑色の液体を飲まされて気絶した。それが親子としての最後の時間だったわけかい。はあ、なんというか親としては最悪だったようだね」

「...ははは」

 

ノエルは乾いた笑い声をあげる

 

「でもあの薬?のおかげでここまで生きてこられたのは事実ですので感謝はしているんです。.....結局あれがなんなのか未だにわからないけど」

「だとしても自分の子どもを実験に使うなんてイカれてる」

「すみません。僕自身もあの人と過ごした時間は短かったので有益なものはなかったですよね」

「いや、話を聞いて少なくとも次会ったときは遠慮なくぶっ飛ばせる。それだけで十分さ」

 

ダイアナは拳を自身の手に平に叩きつける

 

「遅い時間まで悪かったね」

「いえ、僕としても母のことを知ることができて楽しかったです」

 

ただでさえ母との過ごした時間は少なくルアンのことをまったく知らなかったノエルにとってダイアナの話はとても実りのあるもので楽しかったのだ

 

「ふふ、そうかい。それじゃあ最後に一つだけ教えよう。アンタとリザードンのことについてだ」

「......!」

「アンタたちに起きたあの現象、あれは”きずなへんげ”またの名を”キズナ現象”という」

「キズナ現象...」

「トレーナーとポケモンの心が共鳴し新たな力を生み出すといわれている。だがこれは危険な力でもあるんだ。うまくコントロールしないとまたああなってしまう」

 

その言葉を聞いたノエルは燃える古城を思い出し体全体がこわばってしまう

 

「だから悪いことは言わない。しばらくリザードンは表に出さない方がいい」

 

そう言い残しダイアナは部屋から出ていく。そのあとノエルはリザードンが入ったボールを懐から出しじっとそれを眺めるのだった

 

「リザードン...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、早朝4時

 

「リザードン、”ドラゴンクロー”キャップ、”かみなりパンチ”!」

「グオオ!」

「ピッカァ!」

「キャップ、”ボルテッカー”!リザードン、かわして”かえんほうしゃ”!」

 

フリードはウィングデッキで特訓を行っていた

 

「ピッカァ!」

「グオオ!」

「よし、一回休憩だ!」

 

フリードは二体を止めその場で腰を下ろし共に休憩する

 

「リザードンの”カウンター”は正直相手に任せになりすぎる。だったらもっと他の.....」

「やっぱりいた」

「お前ら...!」

 

フリードが声が聞こえた方を振り向くとそこにはオリオ、マードック、モリー、ランドウの姿があった

 

「考えることは同じというわけじゃな」

「...そうらしいな」

「私たちもやる。これ以上ノエル一人に背負わせるわけにはいかないからね」

「それにドットたちも部屋で何かをしているみたいだしな。俺も伯父としてカッコ悪い姿をみせるわけにはいかない」

「お前らはともかくモリーは...」

「なに?バトルができる医者がいちゃいけないわけ?」

「...いや」

 

フリードは笑顔を浮かべ立ち上がり

 

「それじゃあいっちょ、ライジングボルテッカーズ強化計画、始めるか!」

 

5人はそれぞれの思いを拳に乗せいつものハンドサインを行うのだった

 

 

 

 

 

「いいチームだ」

 

そして5人を陰から見ていたダイアナは笑顔を浮かべそうつぶやくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

「うおおおおおおお!!!!!」

「さあ、見せてみなさい。貴方達の力を」

 

ノエルとリザードンは雄叫びを今にも攻撃をしかけようとしていた

 

「いくよ、リザードン!”かえん....」

「あ、すみません。一つ忘れてました」

「”ほう”....え?」

 

攻撃を指示ようとしたノエルにルアンは待ったをかける。まあ、それで待つノエルもノエルなのだが

 

「どうしても一つ聞いておきたいことがありまして」

「な、なに?」

「これは重要なことです心して答えなさい」

「...ッ、はい」

 

ルアンの目がこれまでとは比べ物にならないくらい真剣なものになり、その眼差しでノエルを見る

 

「貴方は...」

「......ゴクリ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美乳と巨乳、どちらが好きですか?」

「そんなくだらないことを聞くために”太文字”と”拡大”を使うのやめてくれる!?」

「美乳と巨乳、どちらが好きですか?」

「元の文字で聞けばオッケーって意味じゃないんだけど!」

 

ノエルは顔を赤くして突っ込む

 

「そんなくだらないこと...」

「くだらないとは何事ですか?これは大事なことなのですよ」

「どこが...」

「タロさんとゼイユさん」

「......./////////」

「すべて見ていると言ったでしょう。貴方はあの二人からアプローチされていますよね」

「ぷ、プライバシーの侵害だ////////」

「犯罪者ですから」

 

ノエルは頭から湯気が出る

 

「貴方はあの二人のアプローチに気づいていながらなぁなぁにしていますね。あんなことまでされているというのに」

「やめて/////////」

「貴方ももう15、恋愛の一つや二つしてみては?」

「今は夢のために頑張ってるんだ。恋愛をする余裕なんて」

「はあ、我が息子ながら情けない...」

 

ルアンはわざとらしくため息をつく

 

「あんなにも一途な乙女二人がこんな愚息に惚れ、毎晩枕とシーツを濡らしていると考えると哀れでなりませんね...」

(枕とシーツ?こういうとき、普通”枕を濡らす”では...?)

「それに最近する回数も増えて学業にも支障をきたしている。はあ、」

「する回数?一体なんの話?」

「それは自.....いえ、これを答えてしまうと私も貴方もどちらも木端微塵になるので詮索しないでください」

「?」

 

ノエル、そんなに頭を傾けるな。これ通常作品だからさぁ答えられないのよ。あとこれ一応ポケモンの二次創作だから

 

「貴方、ジェイドに何も教わっていないのですか?」

「父さんに?」

「貴方の様子を見てわかりました、もう結構です」

「本当になんのこと?」

 

ルアンはこの瞬間、誓った。もしジェイドに再会したら必ずしばくと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっくしょん!!!!!!」

「大丈夫ですか?」

「きっと俺に惚れた誰か噂してるんだろ」

「はは、そうですね~」

「「置き手紙一つで自分の前から姿を消した父親に対しての恨み言では?」」

「頼む、殺してくれ」

「ダイキ君、シンジ!」

 

ジェイドは台所に立ち自分に包丁を突き刺そうとするがそれをレイジは全力で止める。レイジはすぐに今の言葉を取り消すように言うが二人はそんなジェイドを放って外に出て特訓を始めるのだった

 

「大体、まずなんでそんな別れ方しちゃったんです?別に息子さんのことを嫌いになったわけじゃないでしょ」

「当り前だ!ノエルは俺の自慢の息子だ、大好きだ!」

「だったらなぜ...」

「ダメなんだ。俺はもうアイツの傍にいちゃいけないんだ」

 

ジェイドはため息をつき俯く

 

「アイツにとって俺は忌々しい過去の存在、それでいい」

「...ジェイドさん、やはり実行されるつもりですか」

「ああ」

「それはあまりに酷です。貴方にとってもノエル君にとっても」

「だがやるしかないんだ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルアンを殺し、アイツと運命を共にする。世界を.....ノエルを守るために」

 

 

 

 

 

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございました。
正直、気合入れて書いた「破壊の炎編」の直後だったのでいま若干燃え尽きてます。
(50話記念のくせに)

ちなみに古城のポケモンたちはどこかの片目隠し紳士と騎士を連れた少年が全員助け出したみたいです。理由を聞いたところ

「やるべきことをやったまでです」

「助ける義理もないが放っておく理由もない」

だ、そうです。

「ブイッ!」

また助けられたポケモンの中にはそのまま白少年についていった者がいるとかいないとか
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