空崎ヒナ(絆100)とオリキャラ先生がイチャイチャするだけ   作:水野 四十坂Q

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作者の願望垂れ流し小説


1:プロローグ

「先生、起きて」

 

 

 うーん……

 

 朝か……

 

 

 

 俺の朝は、『ヒナASMR〜甘えられる優しいひと時〜』本編および、二度寝用ボーナストラックを聴くことから始まる。

 

 

 寝室に設置されたPCにタイマーが設定されており、起きるべき時刻になると枕元のスピーカーからちょうど良い感じの音量で流れる仕組みだ。

 『ヒナASMR〜甘えられる優しいひと時〜』で意識を浮き上がらせ、ボーナストラックによる目覚まし音声で完全に覚醒する。PCタイマーと合わせたコンボを構築して以降、俺は毎朝コーヒーをポットで沸かすほどの時間の確保に成功している。

 

 今、こうしてボーナストラック後半の音声が聞こえているということは、そろそろ起きる時間なのだろう。

 

 

「起きて」

 

 

 それはそれとして。

 

 これは決して言い訳ではないのだが、眠気というものは時には抗い難くなるものである。

 

 

「……あと5分……いや5時間……」

「お昼になっちゃうわ。今日は朝から予定があるって言ってたでしょ」

 

 

 お仕事行きたくないっす……

 

 仕事に行くのは面倒臭い。平日はクソ。365日休みたい。給料3倍にする代わりに休みくれ。これは社会人に普遍的に存在する願望なので仕方がない。別に俺が悪いわけではないのだ。

 

 

「ヒナ〜……起こして〜……」

 

 

 こんな時にすることといえば決まっている。隣にある抱き枕を抱きしめてエネルギーをチャージするのだ。クソ汚いオタクが幼稚園児みたいなセリフを吐きながら美少女のプリントされた抱き枕をホールドするという、世が世なら即投獄のち打首獄門ものの光景が展開されているが、生憎とここは俺が個人的に借りているマンションの寝室である。クソキショい光景を作ろうが部屋中にブルアカグッズを置こうがそれを咎める人間はこの世に一人たりとも存在しないのだ。独身貴族万歳。

 

 

 ……なんか今日の抱き枕すげー温かいな……

 

 

「もう。しょうがないわね。ほら」

 

 

 ぎゅっ。

 

 っと、抱き枕(?)から抱き返される。

 

 あれ? と思う間もなく、抱き抱えられたまま半身を起こされ──いや待て流石におかしい。

 急激に意識が覚醒する。

 

 

「目は覚めた?」

 

 

 真っ白なふわふわの髪、紫の瞳、柔らかな表情。後頭部に生えた黒い角と、頭上に浮かぶ黒いホイールソーのようなヘイロー。

 スマートフォン向けゲーム、『ブルーアーカイブ』にて俺がもっとも好きなキャラクターこと、空崎ヒナ、その人であった。

 

 そして思い出す。俺が寝ていたここは、日本の某都市のマンションの一室ではなく、連邦捜査部『S.C.H.A.L.E(シャーレ)』オフィスの隅に設置した、居住用スペースであることを。

 

 ……やべ、やべやべやべべべべべ。

 

「アッオハヨウゴザイマスソラサキサン」

「……」

 

 成人式どころではないおっさんが17歳の女子生徒と同衾した事実とか。

 その女子生徒に赤ちゃんプレイじみた言動で抱きついていたこととか。

 二人称を社会人(こっち)モードに切り替えた俺に対して若干不満げなヒナの視線とか。

 目が覚めたことでローディングされて(思い出して)しまった、クソ忙しい今日の予定とか。

 

 色々、色々と思うことはあるが。

 

「おはよう。先生」

 

 俺に朝の挨拶をしながら微笑んでくるヒナがあまりにも綺麗で。

 

 それらの悩みは全て、どうでもよくなってしまった。

 

 

 

 あーちくしょう。バカ可愛いな。

 

 

 

 

 

 

*************

 

 

 

 

 

 

 鯖の味噌焼きと味噌汁と漬け物、あと米。

 

 「クソつまらん和風料理!」と言いたくなるが、生憎と俺が持つレパートリーの中では、人様にお見せできるようなものは和食に偏ってしまっていた。おばあちゃんっ子として育ったし、母も洋食よりは和食主体の人であったため仕方がないのだ。適当にタンパク質と味噌汁と米と小皿を並べておけばとりあえずそれらしき料理になると本能に近いところで刻まれてしまっている。これを封じられると俺はもうゴミみたいな孤独男性手抜き一品料理しか出せなくなる。そんなものをあのヒナに見せるわけにはいかなかった。

 

 完成させた料理を持っていくと、ヒナがお茶を沸かして待ってくれていた。俺が料理をする場合はそれに合わせて緑茶を淹れてくれるのだ。逆に、ヒナが作る場合はパン食が中心なので俺がコーヒーを沸かすのが基本になる。二人だけでローテーションを回すことがもはや新たな日常と化していた。

 

「いただきます」

「いただきます」

 

 お茶うま。おばあちゃん家のやつと同じ味がする。

 

「連邦生徒会の仕事は慣れた?」

「かな。意外とやってみればできるもんだね」

「なによりだわ。私もできる限りサポートするから、何かあったら任せて」

 

 朝食を食べながら、ヒナと他愛の無い会話をする。

 

 何故か空崎ヒナが当然の顔をして同居しているというこの状況に──いやそもそもを言うならば俺が『先生』としてここにいることの方が遥かに謎ではあるが──俺は半ば無理矢理ながらも慣れてしまっていた。

 考えてみれば俺にとって得しかない状況である。役得どころの話ではない。何をどう間違えたらゲームの中にしかいなかった好きな女の子と一緒に暮らせるようになるというのか。しかも、なんというか──妙に俺に対して好意的な気がする。

 

 

 いやハッキリ言おう。好感度高すぎないか? 恋人かワンチャン夫婦の距離感だろこれ。俺たちまだ会って2週間経って無いよね? なんだこれそういうエロゲか?

 

 俺からヒナへの感情が好意一色であるのは当然として、何やら向こうからのソレも似たような状態にありそうなのが解せない。

 

 理由は……実は思いつかないこともない。極めて荒唐無稽な話ではあるものの。

 

 俺はかつて、ブルーアーカイブにおいて空崎ヒナ通常衣装の絆レベルを100にしている。

 ゲームの世界にやってきたのだから、当時のゲームのプレイ状況が反映されている……? と、考えるのが妥当なのだろうか。流石にゲーム脳が過ぎると思う反面、そもそもゲームの世界に気が付いたら立っていたという状況の方があり得なさで言えば遥かに超えているので、そっちが成立してるのならこっちも成立しても不思議ではないな……という、変な説得力を感じている。あとは純粋に俺とヒナの接点がなかったはずなので、それ以外に理由が出てこない。

 

「ご馳走様でした」

「ごちそうさまでした」

 

 朝食も摂り終えたので、適当に片付けたのち出発の準備をする。今日はこれから出張というか、アビドスの方まで行く予定があるのでさっさと出なければならない。

 ちなみに遭難対策として水とモバイルバッテリーと方位磁石を用意した。完璧な用意である。俺は先生とは違うのだよガハハ。

 

「あ、先生。ちょっといいかしら」

「ん?」

「ネクタイが曲がってるわ」

 

 言うと、俺のネクタイを締め直してくれる。

 顔が近いっす。

 

「うん。できた。似合ってるわ」

「アリガトウ」

 

 ヒナ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!

 軽率に笑顔を向けるな〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!

 情緒が壊れる〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!

 

「ジャア、イッテキマス」

「はい。いってらっしゃい、先生」

 

 笑顔が眩しい!!!!!!!!!

 

 

 

 

 ……ハッ。

 

 危ねえ危ねえ。つい目の前の美少女が可愛すぎて頭が完全に恋愛脳になっていた。空崎ヒナ愛がなかったら堕ちてたぜ。

 いやこの子空崎ヒナ本人じゃね……? じゃあ俺はどうすれば……?

 

 

 

 

 なんて、バカなことを考えながら。

 アビドスへの道すがら、ヒナといい俺の立場といい、どうしてこうなったのかと、泡沫のような考えに頭を巡らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

*************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 走馬灯を見ていた。

 

 これが走馬灯だというのは、直感だ。深い理由はない。

 いや、強いて言えば、現在目の前で展開されているように、人生で経験した事柄をまるでシアター上映かのように流される経験が初めてであることから、ある程度理論的にそう断定しているのだろう。

 

 じじいと一緒に山へ出かけた記憶。

 おばあちゃんからお菓子をもらっている記憶。

 森でカブトムシを捕って遊んでいる記憶。

 川で魚を集めてミニプールを作っている記憶。

 友達の家でポ○ットモンスター『ダイヤ○ンド・○ール』で遊んでいる記憶。

 コードフ○ークで作成した改造モンスターをすれ○がい通信でデパートでばら撒いた記憶。

 最近ブルーアーカイブを遊んだ記憶。

 アロナに天井を叩かせられた記憶。

 ハスミの徹甲弾が装甲車をブチ抜くのを見てドン引きした記憶。

 名も無き神々の王女が覚醒して暴れ散らかした記憶。

 エデン条約が破断した記憶。

 砂漠で餓死した記憶。

 夜更けのゲーム開発部で、ゲッタンみてえな挙動をするバグを見つけて全員でバカ笑いした記憶。

 仕事のストレスから爆買いをしまくったら翌日にユウカから説教をされた記憶。

 ……

 ……

 ……

 

 

 ろくな思い出がねえなあ!?!?

 

 というかなんで後半全部ブルアカのエピソードになっとんねん。思い出すにしてももっと他にあっただろ。高校の友達とカラオケでオールナイトしたこととか、就活がきつかったこととかさあ。

 

 あれか? 連想ゲームか? 途中ゲームの話が入ったからそっから脳内の話題がブルアカにシフトしたんか?

 つーか微妙に捏造入ってるしよ。先生は砂漠で死ぬ前にシロコに助けられてるし。仕事のストレスで爆買いしちゃうのは俺の悪い癖だけど、それを叱ってくれる可愛い先生の嫁(ユウカ)は現実にはいねーんだわ。そもそも俺は先生じゃねえ! あのキャラ自我が強すぎて一人称の癖に感情移入させてくれないし。

 

『──の──でした』

 

 あ?

 

『──の──選択』

 

 誰やお前。

 

 気付けば、映画館は電車へと様相を変えていた。窓は懐かしき田園の風景ではなく、都会らしいコンクリ造りの街並みを映している。

 昔は田舎のクソほど本数の少ない電車に乗ったもんだけどな。俺も今じゃ東京のクソサラリーマンに染まっちゃったってことかあ。なんか悲しいね。

 

『ですから、──』

 

 ていうか、誰だって思ったけど、普通に見覚えあるな。

 

 連邦生徒会長じゃん、コイツ。

 

 結局最終編でも名前判明しないままなんだよな……

 キヴォトスにおけるかなりの重要人物であるらしいことと、アロナの中身であること、ループを繰り返した結果先生に選択の全てを委ねる結論に至った? らしきことは知っている。

 

『──生』

 

 全然聞こえねえんだけど。

 

 なんで俺に向かって喋ってんのかもよく分かんないけど。

 

 ……まあ。

 

 セリフはだいたい、覚えてるんで。

 

 多少カッコつけても、バチは当たらないだろう。

 

「ああ、任せとけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──先生」

「んぁ?」

「……お疲れのようですね」

 

 目が覚めた。覚醒した。脳が起動した。起きた。

 

 あいわずすりーびんぐ。あおーくあっぷ。

 

 走馬灯とはただの勘違い。つまるところ、ただ寝てただけ。夢を見ていただけというわけだ。夢ならあの支離滅裂さも頷ける。

 

 とりあえず目を開けて見れば知らない天井──いやすっっげえ美人。やば。

 

 呆れるほどの美人が俺を覗き込んでいた。

 

 長く艶やかな黒髪。スッとした切れ長の目に、フレームレスの眼鏡。十字のイヤリング。王冠のようなヘイロー。バカみてえな乳袋。

 

 七神リンじゃねえか!? あ!? 本物!?

 

 ひょっとしてまだブルアカの夢見てる? 頬をつねる。痛い。

 

 

 ???????

 

 

「ごめん俺ちょっと寝ぼけてるかも。今日って休日だっけ?」

「…………しっかりしてください」

 

 目の前の七神リン(?)からちゃんとした反応が返ってくる。すげえ。呆れてるだけなんだろうけど、眼鏡かけ直す仕草すらめちゃくちゃ様になってる。美人って得だね。

 

「……あー、ごめん。ちょっと事情が全然把握できない」

「……もう一度、改めて今の状況を説明します」

 

 そこから先は、そうであって欲しくなかったが、ほとんど俺の予想通りの展開となった。

 

 目の前の少女が「七神リン」を名乗ったり。

 ここが「キヴォトス」なる都市で、「連邦生徒会」という組織があると言ったり。

 俺が……連邦生徒会長に招かれた、連邦捜査部「シャーレ」の特別顧問であると言われたり。

 

「……なるほど。なるほどなるほどなるほど。なるほどね」

「ご理解いただけたようでなによりです」

「納得はしてないけどね」

 

 受け入れ難い現実だが、どうやら俺は現在、ブルーアーカイブの舞台ことキヴォトスにやってきてしまったようだ。

 そして恐らく…ここ、というか時間軸上における現在地点は、ゲームにおけるプロローグに相当しているのだろう。

 

 俺が現在成り代わっていると思われる、『先生』という人物はブルーアーカイブにおける主人公だ。

 学園都市キヴォトスの外からやってきた存在であり、何をやっても許されるハチャメチャに強い権力とあらゆる状況を一手で覆すワイルドカード『大人のカード』を持った推定男性(少なくともアニメ版においては男)の大人だ。あと変態。

 そんな彼だが、キヴォトスに招かれてからはアクシデントの連続。廃部や退学の問題に対処するのはまだ優しい方で、洗脳人殺し集団を止めなくてはいけなくなったり、何度もやって来る世界終焉に立ち向かわなくてはならなくなるなど、まあ散々な目に遭う。プロローグもそうしたアクシデントの一つで、これから就任予定のシャーレオフィスがテロリストに占拠されているから奪還しに行こう……という内容だったはずだ。

 

「見つけたわ、代行!」

 

 思考を巡らせていれば、ちょうど件のプロローグの登場人物の一人、ミレニアムサイエンススクールの早瀬ユウカの声が。

 

 そうそう。ここからトリニティ総合学園の羽川ハスミ、ゲヘナ学園の火宮チナツと、キヴォトス三大マンモス校から代表者が押し寄せてきて、なんやかんやあって3人を率いてテロリストを制圧しに──

 

「忙しいところ失礼するわ」

 

 あれ。

 横から聞き覚えのある声。

 

「はじめまして。私はゲヘナ学園風紀委員長の空崎ヒナ。挨拶に来たわ。よろしく」

 

 空崎ヒナ!? 空崎ヒナナンデ!?!?!?

 

 

 

 

 

 

***********

 

 

 

 

 

 

 あれから、俺が知るプロローグとは若干……いや割と大きく違う進行となった。

 

 連邦生徒会長の不在によりサンクトゥムタワーが機能停止していてキヴォトスの治安が終わりに終わっているため、復活のために先生(俺)が行かなくてはならないこと、そのためにシャーレオフィスを占拠しているテロリスト及び狐坂ワカモを撃退しに行く、という流れは同じだった。

 

 違うのは、主にゲヘナ学園側の人員だ。

 

 まず、火宮チナツがいない。原作ではミレニアム・トリニティの代表二人と同じく、連邦生徒会の意見を求めるためプロローグに出現する……という流れだった。が、彼女は風紀委員会所属。あろうことか現在はその組織の長こと風紀委員長が直接訪れているため、別に彼女は来なくてもよいということなのだろう。いや本当に何故ヒナが来ているのか分からないが。空崎ヒナといえばキヴォトスでも屈指の過労死枠だったはずだ。デスクワークに忙殺されているだけでなく、彼女がいなくなるだけでゲヘナの治安が劇的に悪化するくらいには治安維持活動に貢献しているため、本来はちょっとやそっとのことではゲヘナから動けない人物のはずである。

 

 その後はユウカ、ハスミ、ヒナの3人を引き連れてテロリスト制圧作戦と相成ったが……ぶっちゃけ余裕のよっちゃんだった。一応俺も指揮したし、ユウカやハスミも活躍していたが、ゲヘナ最高戦力(ヒナ)があまりにもデカすぎる。巡航ミサイル被弾からさらに1部隊制圧を単身で行う戦闘力ヤバすぎ女だぞ。普通にテロリストごときで敵うはずもない。なんかユウカもハスミも「全部あの人一人でよくないですか?」みたいな顔をしていた。俺も思った。ちょっとだけ親密度が上がった気がした。

 

 そんなこんなで作戦としてはユウカとハスミで適当にサポートしつつ、ヒナを相手の主力にぶつけてどーん。超適当だったがこれで万事解決した。なんならワカモも俺が知らんところで追いやったらしく、原作と違って遭遇する機会すらなかった。圧倒的である。

 

 そうしてシャーレオフィスを奪還し、何故か普通に起動できてしまったシッテムの箱を使ってサンクトゥムタワーの権限を獲得。そのまま連邦生徒会へ権限を譲渡して俺の仕事は終わったわけだ。力を獲得した瞬間裏切る仲間のムーブをかましてから嘘だぴょ〜ん! する案が一瞬だけ脳裏にチラついたが、俺とリンにはジョセフと承太郎ほどの信頼がなかったため断念した。普通に殺されかねない。

 

 

 というわけで、俺は無事名実共に「シャーレの先生」になってしまったわけだ。いや本当に何故なのか。繰り返すようだが、俺はただの日本のサラリーマンのはずである。連邦生徒会長からの招待をもらった記憶もなければ、そもそもキヴォトスなるクソデカ都市が存在する惑星に住んでいた覚えもない。まあ、目の前にあることが現実である以上、泣き言を言っても仕方がないのだが。

 

 

「書類書類書類書類……いっそのことヤギにでも食べさせたくなるなあ」

「ヤギが紙を食べられるっていうのは間違った知識らしいわ。少なくともインクは有害で、あげるべきではないそうよ」

「いやまあ実際にあげるわけじゃないけどさ……」

 

 

 そして、俺は「暇でしたらこちらをどうぞ」といけしゃあしゃあと言ってきたリンにアホほどの書類仕事を投げられ、シャーレオフィスに缶詰め状態になっているのだった。

 ……何故かヒナと一緒に。

 

 オフィスを奪還した翌日、当然の顔をしてヒナはシャーレオフィスへとやってきた。曰く、当番制度があるのは知っていた、キヴォトスに来たばかりで分からないこともあるだろうから手伝いに来た、とのことらしい。お前自分の立場分かってんのか。風紀委員会はどうした。

 

 というか、もはやシャーレを家だと勘違いしているまである。何せほぼ毎晩こっちで過ごしているのだ。俺はまあ居場所がシャーレくらいしかないこともあり、シャーレに住む妖精さんと化しているが、ヒナも以前からそうしていたかのような自然さでシャーレに「帰って」くる。お陰様で、当初俺のプライベートエリアとなる予定だった居住スペースは俺とヒナの共用スペースと化していた。

 

 とはいえ流石に本分まで投げ出すつもりはないのか、1日中シャーレの書類仕事を手伝ってくれてる時は滅多にないし、普通にゲヘナで過ごしていたり、帰りが遅かったり、そもそも帰ってこなかったりする日もある。その時はモモトークでその旨の連絡が来るため、やはりヒナの中ではこっちに帰ってくることが当たり前になっている可能性が濃厚である。

 

 というかいくらなんでもガードが緩すぎるのではないだろうか。キヴォトスではホモ・サピエンスのオスが滅多にいないため警戒心が薄いのだろうか? 男はみな獣であるということをもっと知って欲しい。最近本格的に理性がヤバい。一応、『先生』という立場と、個人的感情のために耐えることに現状は成功しているが……。物理的に距離が近いためドギマギさせられるのだ。

 

「先生? 手が止まってるわ。休憩でもする?」

「んあ、ごめん。考え事してた。とりあえず今日やっておきたい書類ももう少しだし、休憩は後でいい──いや。やっぱちょっと休もうかな。お菓子でも食べよう」

「それがいいわ。コーヒー淹れてくる」

「ありがとう」

 

 笑顔もいいけど、日常の中で見せるふとした表情も最高に可愛いなあ。

 

 そういえば、いい加減デカいベッド買わないといけねえな。ヒナが小さいとはいえ、流石にシングルだと狭いんだよな……最低でもセミダブル、欲を言えばダブルが欲しい。

 キヴォトスってニ○リあるのかな。まあ時間作れるかも怪しいし最悪通販でもいいか……

 

 そんなことを考えながら、棚からお茶請けを持って行った。




・オリ先
空崎ヒナが最推し。ループしているが記憶がほとんどない。指揮技術や書類作成能力だけは引き継いでいるが、本人にあまり自覚がない。割と何回も死んでる。
年齢は新卒じゃなくなった社会人くらい。多分アニ先とおんなじくらい。最近肩こりが軽くなった。

・空崎ヒナ
なんか書いてるうちに恋愛強者になった人。ループの記憶を引き継いでいる。昔のループでは普通に奥手だった。

・狐坂ワカモ
一目惚れしないので普通に危険人物。
ちゃんとコミュニケーションすれば仲良くなれる。
そもそもコイツがシャーレにいたのって一目惚れ込みで連邦生徒会長の仕込みっぽそうだけどこの世界線では本当にいていいのか…?

・守月スズミ
作者(ばかあほまぬけ)のミスによりいない人と化した。トリニティにはいる。

続かない
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