真剣で命を賭けなさい!   作:ポロロン

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ep1

 高校生活。青春の一ページを刻むのが高校生。もちろん青年になった自身も、恋人の一人や二人や三人やら・・・できると・・・思っていた。

 

「ショー兄ちゃん!さぁ鍛錬よ!」

「はい・・・」

 

 朝4時。朝?いや、春の季節のためか日が昇っていないので夜とする。マンションの前で兄ちゃんと慕う女の子に急かされる。

 

一子(かずこ)・・・。おはよう」

「おはよう!」

 

 元気一杯の女の子。川神一子が胴着姿でストレッチをしている。親不孝通り近くにあるマンション前で青年と一子は鍛錬を開始する。本当は寝ていたい気分なのだが、一子は青年の住まいであるマンションに向かう時間も含めると、青年よりも早く起きているのだ。その行為を無碍にすることはできない。

 

「じゃぁ走り込みね!」

 

 軽くストレッチをしてから一子と走り込みをする。川神一子が先頭で走り出した。それを追いかけるのがいつもの流れだった。走る時はお互い無言だ。雑念を全て消して鍛錬をする。

 二人の鍛錬の時は、何も話さない。それが二人で決めた取組みである。最初の頃は雑念だらけだったのが、鍛錬の賜物か今では無の境地に至っていた。

 

≪ピピピピピピピピ!!!!≫

 

 青年の携帯からアラーム音が鳴る。アラーム音は鍛錬終了の合図であった。その日の都合にもよるが、だいたい3時間ほどの鍛錬であった。

 実のところ走り込みの鍛錬だけでなく、川神流の型の確認やら精神統一も含めている。毎日毎日しているためか、無の状態でも勝手に身体が鍛錬をし始める。

 

「じゃあ私、一度川神院に帰るね!」

「おう、遅刻するなよ」

 

 一子は大きく頷いて帰宅する。青年も今では全く疲れなくなった身体を自宅で休ませる。

 しっかりとした身体作りには、それなりの食事が必要となるのだが、残念なことに朝の食事は身体が拒否している。まぁ運動後ってそうなるよね。プロテインと用意したササミを数切れ食べ、シャワーを浴びる。

 

「2年生か・・・」

 

 気づけば高校生になっていた。転生前の小中高の頃は驚くほど時間が長く感じたのだが、この年を重ねるごとの季節の移り変わりの速さというのは、どうやら変わっていないようだ。

 ・・・あれから色々あった。

 早々に登校していく。HRギリギリになってしまったが、これはいつもの事である。少し早めに登校をすると風間ファミリーという集団に出会うのだが、見ていると青春の煌めきによって目が失明してしまうので、時間をずらしていた。

 

 2年C組。上でも下でもない、当たり障りのないクラス。それが青年が居座るクラスであった。廊下にはまだ学年順位の張り紙が書かれていた。

 

「29位・・・」

 

 このマンモス校で2桁代にいくのは素晴らしいことかもしれないが、残念。青年は高校生活を一度受けている身である。明らかなハンデが存在するのだが、それでも上位クラスには努力の天才やら才能持ちやらが数多くいた。

 50位以内は優等生としてSクラスに入れる権利を貰えるのだが、青年は学業の限界を感じて入るのを止めた。

 

「Sクラス入らねぇの?」

「先生・・・」

 

 ダンディおじさまが話しかけてきた。ダンディこと巨人先生はSクラスの担任である。見た目に反して結構自堕落な性格をしているのだが、この世界あるあるで能ある鷹は爪を隠すの一例かもしれない。

 

「入りません。競争社会は社会人になってからで十分です」

「今のうちに競争ってものに身を投じないと、社会人になってから大変だぞ?」

 

 まぁ社会人経験はあるので・・・。Sクラスの雰囲気は特殊すぎて苦手だし、本音を言えば青春を味わいたいのもあった。青年は手を横に振って断り、そのままCクラスに入る。

 

「・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 誰も声をかけてこない。それが今の人生である。どこで間違えたのか、残念なことにボッチ生活に身を投じているのだ。まぁ?そのおかげで?勉強できるんですけどね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日も鍛錬したのか?」

 

 場所は変わってFクラス。そこでは一人のマッチョマンが一子に話しかけていた。

 

「そうだけど?」

「またC組のあいつと鍛錬したのか?」

 

 太い腕を組みながら島津岳人は心配そうに言った。ムキムキマッチョの男が少女に話しかける。ずいぶん威圧的な場面であるが、驚くことに一子の方が武力的に上なのが驚きだ。

 

「ワン子、まぁいつものことだが・・・」

「安心して!良い人なのよ?」

 

 これも登校時のいつもの場面だ。風間ファミリーの誰か・・・と言ってもFクラスの数名がいつも声をかけるのだ。直江やら島津やら師岡やら・・・。だいたい誰かが一子に気を遣うのだ。まぁ青年が一子に対して変態橋みたいな危険人物でないことは知っているのだが。

 

「C組の眠そうな人?あんたらそろそろ諦めたら?」

「いや、でもよ」

 

 ギャルっ子の小笠原千花がその輪に入る。小笠原だけでなく、川神学園全体の青年に対する印象が、眠そうな人、だった。

 

「でも、あの目の隈は色々と心配になるよ。いつか倒れるんじゃない?」

「あぁ、ワン子。そろそろあいつの事教えてくれよ」

「いやよ。そんな不義理なことはできないわ!」

 

 学園全体の印象は、たったの一つ。眠そう、だけである。目に隈はあり、常日頃何を考えているのか分からない存在。

 

「あの根暗みたいな人でしょ?別に大丈夫でしょ。何か有っても返り討ちにはできるんじゃない?」

「・・・(ぶるぶるぶるぶる)」

 

 返り討ちあたりで一子が露骨に震えだした。いつもそうやって怯えているのは何故なんだ?

 

「大和、本当に分からないの?」

「う~ん。親不孝通り近くで一人暮らししている男子高校生。いつも目に隈を作って何を考えているのか不明。交友関係も不明。いちおう川神院で修行してたんだったか。名前は・・・」

溝上(みぞがみ)(しょう)。ショー兄ちゃん!」

 

 一子が高らかに宣言する。もちろん川神院で鍛えている一子なら返り討ちできるかもしれないが、この純真無垢な子が危ない道に走らないか不安であった。

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