真剣で命を賭けなさい!   作:ポロロン

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ep3

 HRも終わり、転校生の話も終了かと思いきや。その勢いは増すばかりだった。なんと、フリードリヒと一子が決闘を行うらしい。

 もちろん、決闘罪に関わるものではなく、試合のようなものである。いや、傍から見ると決闘そのものなのだが。この川神学園では、学生バッチを決闘したい相手に向けて床に叩き、相手が応じれば決闘になるのだ。なんか貴族が決闘するときに手袋を床に叩きつけるのと同じ感じっぽい。

 一子ちゃんにはいつも鍛錬でお世話になっているので、流石に観戦すべきだろう。こういう決闘時にはクラスだけでなくSクラスの勉強組以外なら観戦するほどのイベントである。

 観戦者たちの後ろから、もうもはや試合見れないだろという位置で観戦する。もっと近づきたいけど、何か皆避けるし・・・。邪魔しちゃうよな。

 

「あ!兄ちゃん!」

「試合するの?」

 

 そんな観客を搔き分けて一子が話しかけてきた。ええ子や。

 

「どう思う?」

 

 どう思う?とは、おそらく試合の流れについて指しているのだろう。観客の分け目から見える金髪美少女がこちら、というよりも一子を見ていた。

 

「どっこいどっこい。だけど冷静に対応するようにね」

「うん!」

 

 なんとも元気な声。一子とフリードリヒの二人の力量は間違いなく拮抗しているように思える。川神百代や九鬼揚羽、鉄乙女のような壁超えの存在では無いものの、二人とも壁まで近づいている存在と言えた。

 気とかいう意味不明な代物を使える一子。一瞬では有ったがフリードリヒを見た時に感知したが、彼女も気を扱えるタイプだ。勝っても負けても、一子には良い経験になるだろう。生半可な相手だと成長できない。成長スピードが遅い一子の経験値になってくれ。

 

 決闘には互いの扱う武器のレプリカが配られる。一子は薙刀、フリードリヒはレイピアだ。本気の死合でない限り、時間をかけて戦ってはならない。悠長にしていると授業始まるからな。

 両者が間合いを図り、初めの一手を出そうとしている。

 

「・・・っふ!」

 

 最初に攻撃を仕掛けたのはフリードリヒ。薙刀の特徴であるリーチは中距離であれば最強ともいえるが、詰められてしまえば弱点丸出しだ。フリードリヒも分かっているのだろう、恐ろしいほどのスピードで間合いを詰め、刺突を繰り出す。

 それに対して一子は下がり、距離を取るかと思われた。しかし、一子は逆にフリードリヒに合わせて同じように距離を詰める。いつの間にか両手で持っていた薙刀を右手だけで持っていた。

 

 一瞬の出来事だった。一子は残された左手でレイピアを持つ手を気を込めて握る。薙刀でレイピアを弾くだろうと思っていたフリードリヒにとっては衝撃的であった。それに対して一子の目も鍛錬の成果か、フリードリヒの速度に合わせて必要最低限の動作で避けたのである。一子は相手の動揺を見逃さない。

 一瞬にして右手を柄から穂近くまで移動させ短刀のように持った。

 

「私の勝ちね」

「試合終了!勝者川神一子!」

 

 そのまま穂をフリードリヒの首元へ沿えて勝利宣言。何手もかけず、一子は勝利したのだ。沸き立つFクラス達、特に風間ファミリーは大喜びだ。決闘を見届けた審判の川神鉄心は見た目は平常心そのものだったが、心の中では歓喜していた。

 しかし、次はあの技は通用しないだろう。あれは初見専用でもあるし、次の闘いではどうなるか分からない。溝上は後方友達面をして、うんうんと頷く。この後は彼女たちで感想戦でもするのだろう。さて、野次馬はさっさと教室に戻るとしよう。フェンシングも剣道みたいに型があるのだろうか。今度調べてみよう。

 

「さすが私の妹だ!・・・もっと本能的に闘って欲しいが」

 

 川神百代。暴君が一子に肩を組む。今回の勝利は喜ばしい事であるが、先ほどのように頭を使った戦闘では壁超えは難しいと考えていた。

 一子の夢は姉である川神百代の傍で世界を旅することである。そのためには少しでも早く川神百代に追いつく必要があった。

 

 

「それでも姉さま。私頭使って戦わないと。守れるものも守れないわ」

「・・・そうだな」

 

 川神百代はその言葉の真意を汲み取る。夢とは別の想い。それを無碍にすることはできない。川神百代は先ほどまでの雰囲気を紛らわすため、フリードリヒに絡みに行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 授業も終わり、学校の図書館でレイピアに関する情報を調べる。普通の図書館では武器の型に関する本なんて置いていないものだが、そこは川神学園。ありとあらゆる武道関係の本が置かれていた。悲しいことに門外不出の川神院の情報は全く無いのだが。そりゃぁ門外不出だもんね。

 

「おい、そこの山猿」

「・・・」

「山猿!」

「この学園に山猿さんはいないよ」

 

 ムキィィイイイ!と地団太を踏みかける少女。しかし、3年生の図書委員である京極先輩に目線で訴えられ地団太を止めた。流石に図書館で騒ぐのはいけないだろう。地団太少女を連れて廊下に出た。

 

「どうしたの?不死川さん」

「にょほほ。見かけたから声をかけたまでじゃ」

 

 不死川心。日本三大名家の一つである不死川家の御息女。その雅さに目を奪われる者も少なからずいるが、それよりも目に入るのは、その衣装であろう。

 川神学園には制服があるのだが、この不死川心は着物で登校していた。それが認められているのも、川神学園に莫大な寄付をしているからこそであるが。

 

「まぁお互いボッチだもんね」

「ボッチじゃないわ!」

 

 悲しい事に、そんな名家の御息女はボッチだった。と言うにも理由はハッキリとしている。彼女は名家を鼻にかけ、庶民をとことん蔑むのだ。綾小路先生と同じく、初めの頃は話しかけることも無かったのだが。食堂で一人寂しく饂飩を食べる彼女を見て話しかけてしまったのが、キッカケだった。

 

「あ、そうだ。心ちゃん。影絵の本有ったよ」

「ほぼ独学でやってきたが、意外に本もあるのじゃな」

 

 彼女の趣味は一人遊びである。もうね、ボッチの身としては悲しいもんである。時折影絵やら散歩やらで一緒に遊んでいるのだが、このまま彼女は大人になって友達ができるのやら不安になってくる。

 こういう名家というのは、名家同士で交流をするものなのだが、不死川心はそれすらしていない。真正のボッチなのだ。

 

 今日捕まってしまったのも縁なわけで、このまま不死川家で遊ぶとしよう。




 ある一室にて、ユートピアと呼ばれる抗鬱剤が配られる。配っている売人は、至ってそこらにいるような平凡な男性だった。
 最近売人含めた取引相手が、親不孝通りで無様にも中毒で倒れているという。そんな話が噂で広まり、今では売人達も取引は自重していた。
 だからこそ、今自重されているからこそ、物の値段は跳ね上がる。そう狙った売人達が高レートで薬を捌く者もいた。数人で売買を行う。そんな時だった。
 突然一人の男が倒れる。その後ろには見慣れぬ男が一人。素性がバレないようにか、ひょっとこの仮面を着けている。馬鹿にしやがって・・・!そう思ったのも束の間。売人は完全に意識を刈られるのだった。
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