真剣で命を賭けなさい!   作:ポロロン

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ep7

 謝罪行脚の始まりである。誰の?俺に対しての謝罪である。マルギッテに始まり、なぜかフリードリヒの父親と謝罪を聞くはめになった。

 しかし、ボロボロにされたのに謝られるとは、武人の片隅として生きている者としては悲しい話であったが、娘の不始末は父親の仕事ということで甘んじて受けることにした。

 授業中、全く身が入らなかった。あの二人の怪我は間違いなく刺突を受けた後によるものだろう。ならばそれは誰がそのような事をしたのだろう。もしかして俺か?いや、そもそも一子とフリードリヒを怪我させること自体、俺には実力が無い。

 

「よ、よぉ・・・」

「こんにちは、川神先輩」

 

 新入生として川神学園に来た時以来か。世界の暴君、川神百代が話しかけてきた。だいぶ昔の頃の付き合いであるが、よく思えば川神院にいたころは付き合いというものは無かったように思う。あの頃は川神院の修行が楽しくて楽しくて・・・。

 

「すみません、先輩。一子の怪我のことは・・・」

「いや、いいんだ。それは妹が決めたことだ」

 

 それはもう認めたようなものかもしれない。何が起きたか分からないが、つまり俺が原因の怪我かもしれない。確定したくないところが惨めだった。

 

「お前の気は時折釈迦堂さんを思い出す」

 

 なんでそんな不穏な事を言うの?俺の気なんて技2,3個分しか無いというのに。気を抑えて必要な時に放出する練習はしているけれども、そんなどす黒い気を出した覚えは無いぞ。

 

「今回の一子の件については、岳人とモロが一番怒っていたがな。あいつらは事情を知らないんだ。許してくれ」

 

 待って。俺も事情知らない。ファミリーにも怒られてるの?風間君は皆に説明してないのだろうか。まさか鍛錬してるぜ~くらいしか言ってないとか。彼の性格上ありえそうだ。

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

 なぜお互い無言になってしまうのだろうか。まるでこれから付き合いますよ感を出しているカップル一歩手前の様な雰囲気である。まだ高校生になって2回ほどしか話していないというのに。

 

「その、な。元気にしてるか?」

「え、ええ。一人暮らしは大変ですが。それなりに」

 

 おいおい、天気良いですねくらいの声かけである。ちょっと大人しめなのは意外だった。川神先輩がファミリーと楽しくやっているのは噂でも聞こえてくるほどだ。まぁ、噂聞くような相手はいないので、掲示板やら川神百代ファンクラブくらいの情報であるが。

 

「少し前に九鬼揚羽さんを倒したと聞いてます。試合する相手を持て余してるのでは?」

「そうなんだよ!もっと暴れたいんだが、爺が許してくれないんだ」

 

 彼女は小さな頃から精神修行が苦手な節が有った。それをしなくても十分強いし、本能のままに戦うのが彼女の性質に合っているのだろう。ただ、それでは力を持て余していることだろう。

 孤高故のボッチ。それが川神百代の本質である。その孤高を埋めるために違うことで発散しているというのが可哀想だった。世界は広いが、今の川神先輩は高校生。卒業後には旅に出て武者修行をすると一子が言っていたな。

 

「四天王という名前も結局はご老人が決めた肩書です。卒業したら旅をするんですから、それまでは精神修行とかしたらどうです?」

「うら若き乙女を山籠もりさせるとか止めてくれ。必要性は分かるが私には合わない修行だからな」

 

 凶暴性を抑えるために精神修行をするのだが・・・。こんなのが暴れられたら、もう学園長でも止められないはず。元四天王のヒューム・ヘルシングや鍋島正とかは止められるだろうか。一般人としては災害レベルの話なので、災害には災害ぶつけて相殺し合ってて欲しい。

 川神先輩は一言二言川神院の愚痴を言ってその場を去った。学園長もっと精神修行に連れ回して欲しいものである。

 

 

 

 

 

 

 

 金曜集会。風間ファミリーにとって何よりも優先すべき集会である。元の発端は椎名京が川神から離れた際、毎週金曜日に会いに来てくれた事から始まる。7人メンバーだったのが、つい最近2名追加となり、大所帯になっていた。

 

「・・・」

「岳人、だから話せないんだってば」

 

 現在一子が風間ファミリーに詰問されていた。一子の夢のため鍛錬をしているというが、今回の件は高校入学の時以来の事である。溝上の危険性というのは薄っすらと分かっていたが、一子とクリスの二人が負傷したというのは正直驚きを隠せない。

 しかもマルギッテの件もある。あの時は誰もがマルギッテが勝利すると思っていたのに、最後の最後で逆転勝ちをしたのである。

 流石に話してくれても良いだろう、というファミリーと一子の間で話し合いが起きていた。

 

「モモ先輩もあの時の事覚えてるだろ?俺様も一子の気持ちを優先したいが、事が大きくなってほしくない」

「京はどう思う?」

「私も一子には怪我してほしくないけど・・・。気持ちは分かるから。それに、例え大和がDVする人でも添い遂げたいの」

 

 DVもしないし、お友達で・・・。直江は半ば反射的に応える。今回の件で京は問題視していないようだ。風間ファミリー内での一子の鍛錬は、姉さんやキャップが了承しているらしい。

 

「小学6年生まで川神院で修行して、その後中学生期間は離れていたらしいな」

「や、大和・・・。何で知ってるの?」

「情報網を学校の外まで広げたんだ。よく通っている商店街で付き合いのある人たちに聞いた」

 

 学園内ではボッチのためか情報が入らなかったが、いつも通っているようなお店の店員やら噂好きのマダムからの情報が入ってきた。

 

「そもそも気を察知できる姉さんなら溝上の行動を抑えられるんじゃ・・・」

「あいつの精神統一は通常時でも完成されている。気を抑えて気配すら遮断しているから誰も分からないんだ。まぁ間近なら分かるがな」

 

 なら離れた場所で問題事が起きれば対処できないというわけか。

 

「川神院で修行はできないの?」

「省兄ちゃんは川神院に行きたくないんだって」

 

 やはり現状維持しかないのか。毎回ボロボロになって登校する一子を見ると心苦しいものがあるが・・・。一子は強くなるために鍛錬を続けてる。どうやらそれ以外の理由もあるらしいが。

 




 親不孝通りはいつも以上に住民が緊張状態になっていた。数日前から警察の巡回が増えたのだ。ここ最近で起きている薬物中毒者の逮捕。普通に生活しているものには特に関わりの無い問題であった。
 しかし、それだけではない。どうやら最近ニュースで取り上げられている中毒者たちの逮捕なのだが、中毒で倒れていたわけではなく襲撃を受けて全員両手両足の骨を砕かれているという話らしい。
 今までの被害者は薬物関係だったのが、最近は被害が拡大しているようだ。元締めを探しているのではないかという噂も流れている。毎日毎日誰かが被害に遭っている。それを自業自得だと思う者もいれば、関係者たちは別の地域に逃げる者もいる。

「そろそろ動かねぇとな」

 元締めまで狙われている。板垣竜兵が噂の真相を調べるために動き始めた。

「良いケツの持ち主だったら良いんだが」
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