鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん 作:かきな
教室に入ってきた二人の転校生は教室の前に立ち、自己紹介を始めた。
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いします」
「お、男……?」
クラスの中の誰かが呟く。
「はい」
ダウト。
「こちらに僕と同じ境遇の人がいると聞いて本国より転入を――」
ふむ。どう見ても男だ。何も不思議なところはないね。……なんていうと思ったの?
いや、まあ原作知識を持っているからって言うのもあるけどさ、男と認識するのは難しくない?
外見はまあ、童顔であると考えれば納得できないこともないけどね。でも声が誤魔化せてないでしょう。ああ、生で聞いたらさらにそう感じるよ。
シャルの声を遮るように教室の中に黄色い声が響く。
「男子! 三人目の男子!」
「しかも全員うちのクラス!」
「美形! 守ってあげたくなる系の!」
「地球に生まれてよかった~」
「歓迎しよう、盛大にな!」
そそくさとばらしてしまってもいいけど、それだとなんだか味気ないね。
ふむ。セクハラをするというのはどうだろう。もちろん、こっちは男だと思い込んでいるのでボディタッチもただのスキンシップにしかならない。
「これははかどるね!」
「騒ぐな。静かにしろ」
そうして静かになったクラスメイト達。注意は次の転入生へと向いている。
「…………」
しかし、口を開く気配のないラウラ。
「挨拶をしろ、ボーデヴィッヒ」
「はい、教官」
「ここではそう呼ぶな。それにもう私はお前の教官ではない。お前もここに通うのであれば、いち生徒にすぎん。私のことは織斑先生と呼べ」
「了解しました」
そうして、正面に向き直る。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
そうぶっきら棒に言い放ち、再び静寂が教室に訪れた。
原作を見たら裏の印象は可愛い、だった。まあ、その辺の評価は改心後に関してではあるんだけどね。二巻でのラウラはぶっちゃけるとシャルの引き立て役にしか見えなかったね。その後の輝きは鈴ちゃんに劣らずだったけどさ。
そんなラウラと目が合った。
「! 貴様が――」
ラウラが近づいてくる。え、なにこれ? まさか、勘違――
バチン
「まじか」
「私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか」
軍人の平手打ち早すぎる。虚を突かれた一発で成す術なしなんですけど。え、剣道で強いんだったら見切れるだろって? それは気を張っているとき限定です。
「ハハハ、これだから面白いんだ、人間ってやつは」
「ふん……」
そのまま僕の横を通り、一番後ろに用意された空席に座った。そのテンポの速さに、僕は訂正することすらできなかった、『僕は一夏じゃないよ」って。
しかも、性質の悪いことに、さっきのセリフ『あの人の弟』のくだりが、『束さんの弟』という形で成り立っちゃうもんだから、誰も訂正しようとしない。
……あ、千冬さんだけ気づいて口元が笑ってる!!
「認めましょう、貴方の力を。今この瞬間から、貴方は我々の敵」
「我々ってなんだよ、氷雨……」
「大丈夫か、氷雨」
隣の席から箒が声をかけてくれる。
「うん、大丈夫だよ。ありがとう、箒」
なんだか久しぶりに優しくされた気がする。
「では、ホームルームを終わる。各人はISスーツに着替えて、第二グラウンドに移動しろ。今日は二組と合同でIS模擬戦闘を行う」
千冬さんが手を鳴らし、みな動き始める。
「織斑に、篠ノ之。デュノアの面倒を見てやれ」
「じゃ、俺は帰らせてもらう」
「おい」
がしりと頭を掴まれる。だって先生、もうおなか一杯なんですよ。鈴ちゃんは出てこないし、ラウラにはビンタされるしで……。
それにもう一つ、都合の悪いことが……。
これだと、ラウラに鈴ちゃんがぼこられないよね? いや、傷つく鈴ちゃんは見たくないけどさ、そこに颯爽と登場、銀河美少年! みたいなことして、好感度を上げるということができなくなってない? どんどんイベント潰されてるんだけど……。
「分かりました。じゃあ、行こうか。一夏にシャル」
「おう」
「え、どこに行くの?」
「更衣室だよ。教室は女子が着替えに使うからね」
「実習のたびにこの移動だから、早めに慣れてくれよ」
「うん、分かったよ」
そう言うと、一夏はシャルの手を取り教室を出ようとする。
僕はあの二人に群がる女子を遠目に見て、ひとり優雅に移動することにしよう。そう思って二人を見送ろうとしていると、シャルが僕のほうを見て、手を取ってきた。
「し、篠ノ之くんも早くいこうよ」
「え、あ、うん」
僕の手を引くシャルは少し頬を赤らめ、恥ずかしそうな顔をする。恥ずかしいならやらなきゃいいのに。
◇ ◇ ◇
道中。
他クラスからシャルを見に来た女子たちが後ろに迫る。しかし、三人がそれそれ手をつないでいる現状では、速度も出ないし見かけも間抜けだ。
だけど、その間抜けな状態はそれだけではなく、もれなく見た女子の好奇心をさらに刺激するというデメリットをはらんでもいる。ただ手をつないでいるだけだが、ある一定層にはそこからさらに濃密な関係を想像する者もおり、いろいろとはかどるのだ。
捕まれば、質問攻めで遅刻は免れない。プラスであらぬ噂までたってしまいそうなので奥の手を使おう。
「くらえ! 必殺一夏の寝顔写真!」
「「「キャ―――――!!」」」
説明しよう! 必殺一夏の寝顔写真とは、早朝の鍛錬のために早起きする僕が、一夏の安心しきった無防備な寝顔をカメラに収めて、裏で高額取引がされているとかいないとかいう、超レアな逸品なのだ!
「ちょ、氷雨!」
「いいから逃げるよ」
「あはは」
こうして僕らは更衣室にたどり着いた。
「げ、もうこんな時間か。急いで着替えないとな」
「オッケー!」
そう言って僕はおもむろにズボンに手をかける。一夏はシャツを脱ぎ捨てた。
「わあっ!?」
「?」
「(ニヤニヤ)」
いや、別に深い意味はないよ。僕は下から先に脱ぐタイプなだけで、決して男物の下着を見て顔を赤くするシャルの顔が見たかったわけじゃないよ。手で顔を覆うものの、指の隙間から凝視して、また恥ずかしくなって顔をそむけたりするのを見て楽しんでいるわけじゃないよ。
「し、しし篠ノ之くん!」
「あ、僕のことは氷雨でいいよ?」
「う、うん。じゃあ、僕のこともシャルルでいいよ。……じゃなくって!」
訂正しようにもどう伝えたらいいのか、というよりそれを伝えるのは男としては可笑しいのではないか、と考えて、どうしたらいいかわからずうろたえるシャル。面白い。
「ん、どうしたんだ。忘れ物か?」
「え、いやそうじゃないけど……」
「なら早く着替えたほうがいいぜ。遅れたら千冬姉に怒られるからな」
遅れたら容赦なく出席簿が飛んでくるからね。
「分かったよ。き、着替えるよ? でも……あっち向いててね?」
「まあ、男の着替えをまじまじ見る趣味はないけどね」
え、じゃあ、女の子のほうはどうかって? それは犯罪なのでNGです。
「まあな。……って、シャルルはジロジロ見てるな」
一夏の体は中学の三年間帰宅部だった割にはほどほどに筋肉がついていて引き締まった体をしている。そりゃ、シャルも見ちゃうよね。むっつりだね。
そんなシャルの肩を回して密着する。もちろん男同士のスキンシップであって、他意はない。ふわりと鼻をかすめるシャンプーの甘い香りなんて別に気にならない。
さらにだ。コルセットを巻いている胸辺りはさすがにあまりいい感触はないけれど、肩とか二の腕辺りは女性特有の柔らかさを有している。
鈴ちゃんが来ないからってふっきれてる節があるね、僕。
「確かにいい体だけど、ジロジロ見るなんて、シャルルはそっちの気があるのかな~?」
「ち、違うよ!!」
そう言って顔を真っ赤にするシャル。この子面白い。
「おいおい、氷雨。そのくらいにしないと、本当に遅れるぞ」
そう言って一夏に引き離される。……残念。
「ごめんな、シャルル。こういうやつなんだよ」
「う、うん。ビックリしたけど、大丈夫だよ。お、男同士だもんね!」
都合のいいように解釈してくれた。うん、ネタを知ってると面白いな。
とと、そんな感じで遊んでいるのもいいけど、本当にそろそろ行かないと千冬さんに叩かれそうだ。千冬さんの出席簿は竹刀で叩かれた時くらい痛いからね。
「……あれ?」
「ん? どうしたんだ、氷雨」
「どうしたの?」
見るともう着替え終えた二人がこちらをうかがっている。あ、シャルはもう半裸の僕になれたのかな? とか思ってたら頬は赤いから無理してるみたいだね。
「あのさ、水着って……持ってる?」
「「!?」」
シャルが女だと分かっている転生者の特権……それは合法セクハラだ!
すいませんすいません。どうかその電話を置いてください。国家権力だけは勘弁してください。
次回投稿は五時を予定。
書き溜めの霊圧が……きえた……!