鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん 作:かきな
放課後。
約束通り、アリーナでシャルに操縦を教える。が、やっぱりシャルの技術は高く、一夏やセシリアよりもうまかった。
「いやあ、さすが代表候補生って感じだね」
「そうかな? ありがとう。でも、氷雨のほうがすごいよ。それで代表候補生じゃないなんて」
「模擬戦やっても氷雨に勝てた試しがないしな」
一夏の言葉にセシリアが少し顔をしかめる。
「ま、まあ、わたくしが本気を出せば、氷雨さんにだって負けませんけど、代表候補生としてそれは大人げな――」
「随分と調子よさそうだねぇ」
両手にビームブレードを展開する。
「や、やってやりますわ!」
「おいおい。今日はシャルルもいるんだ。ほどほどにしておけ」
「あはは」
楽しそうに笑うシャル。早々に馴染んできたのかな?
「シャルル、一夏の特訓に付き合ってあげて」
「うん。ええと、何を教えればいいのかな?」
シャルと一夏は僕に指示を仰ぐような眼を向ける。いやあの、僕は監督じゃないので自由にやってもらっていいんだけど。
「ひとまず、一夏と模擬戦をして、それで弱点を教えてあげるのがいいかな。代表決定戦でセシリアに迫ったって言っても、模擬戦での戦績はからっきしだからね」
「う。それを言われると辛いところがあるな」
「え、一夏、セシリアに迫ったの!?」
「「!?」」
セシリアと箒が妙な反応をしてる。でも、違うから。シャルは純粋に驚いてるだけだから。
「いや、その一回きりだったけどな」
「それでもすごいよ! 代表候補生レベルの射撃機に近づくって言うのは相当難しいことだよ」
「そ、そうか?」
シャルの何気ない笑顔に照れる一夏。……一夏にとっては男の子ですよ?
「はいはい、調子に乗らないようにね。その時のセシリアは僕の方にも少し、ほんの少し気を配ってたからつけ入れただけなんだから」
「ちょっと氷雨さん、ケンカ売ってますの?」
そんなことないよ。事実を言っただけだよ~。
そうして、セシリアをなだめようとしたら、視界の端に黒いISが映る。
「ねえ、ちょっとアレ……」
「ウソッ、ドイツの第三世代型だ」
「まだ本国でのトライアル段階だって聞いてたけど……」
その存在に、アリーナはざわつく。黒いってだけでなんか威圧感があるよね。
「おい」
オープンチャンネルで呼びかけられる。それが誰に向けてなのか。まあ、もちろん僕だろうね。勘違いしたままだったし。
「貴様も専用機を持っているらしいな」
見れば分かるよね。でも、ラウラのそれは確認というよりは分不相応な所有を非難しているようにも聞こえる。
「織斑一夏、私と戦え」
ラウラの声に戸惑う一同。一夏も「えっ、俺?」みたいな顔してるよ。
「いやだね、戦う理由がない」
「貴様には言っていない。私はそいつに言っている」
そう言って指差されるは、何を隠そうこの僕だ。うん、知ってた。
「いや、そいつは、し――」
「いいよ、戦おうか」
一夏の声を遮り答える僕にみんなが驚き、こちらに視線を集めてくる。やだ、そんなに見ないでよ。
「見ないで、見ないでぇー!」
「うるさいぞ、氷雨!」
箒……、お兄ちゃんの大破をうるさいで片づけるなんて。
「だって模擬戦するだけだよ? 受ける理由がなくても、断る理由もないでしょ?」
実は受ける理由も一つあるんだけどね。ラウラの力を先に見定めておきたいっていうね。
なんで見定めておきたいのかというと、原作の通りに進むなら、黒タイツと化したラウラに一夏が絶対防御なしで挑むからだ。一夏の無謀を止めてあげてもいいんだけど、千冬さんのこととなると止まらないのが一夏だから無理だろう。
で、挑ませるとして、原作のままなら一夏が勝って大団円なんだけど、少しずつ……いや、めちゃくちゃ変わってきているこの世界では、下手をすれば一夏が死んでしまうかもしれない。原作ですらなんで勝てたの? って思っちゃったからね。だって、千冬さんのトレースだよ? 実際に戦った感想からして、多少の劣化があったとしても、三年間帰宅部だった一夏が勝てるとは到底思えないしね。
おっと、脱線したかな。だから、一夏にシールドエネルギーに余裕を持って勝ってもらうために、ラウラの力を試す必要があるってわけだ。
「話は済んだか?」
「うん、待ってくれてありがと」
他のみんなに目で距離を取るように促す。
「ふん、逃げなかったことは褒めてやる」
「どうもー」
「だが、私はお前を認めない。あの人の弟が、お前であるなど!」
「まあ、戦えばわかることでしょ」
「はっ! 口だけは達者だな!」
レールカノンが降り、銃口がこちらを向く。轟音を響かせ、銃口から実体弾が高速で飛来する。
回転し、射線上からずれる。弾は僕の真横を通り過ぎ、アリーナのシールドに受け止められた。
「消えろ、イレギュラー!!」
「それは貴様だろう!!」
両手のビームブレードを構え、突っ込む。その直線的な動きに、ラウラは再度大型レールカノンを放とうとはしない。
確実にAICを狙ってるね。
僕は近づき出すとちょこちょこと左右の動きを加える。そして、ある一定距離になると、その横への移動がきかなくなった。
なるほど、この位置がAICの効果範囲かあ。
「ふ、やはり口だけのようだな」
勝ち誇った顔をするラウラ。後ろからは僕の動きが止まったことに対する戸惑いの声が聞こえる。
「うわあ~動かない~」
「シュヴァルツェア・レーゲンの停止結界の前では貴様など、敵ではない」
いや~、実際に喰らってみるとピクリとも動かないね。まあ、それはこのシステムがすごいわけではなく、ラウラの精神力が強いからなんだけどね。
でもさ、これ、一夏とかシャルならきついかもしれないけど……。
「チャラララッタラ~」
「ん?」
「三点ミサイル~」
ダミ声です。ここ重要。
脚部アーマーに付属するミサイルポッドから三発、両足で計六発のミサイルが展開され、ラウラに向けて発射される。
「ちっ!」
それをワイヤーブレードで対処するラウラだが、その時点でAICは解除された。
う~ん。今のは不意を付かれたから解除されたのかな? 莫大な集中力を要するAICだけど、ラウラは原作中でAICとレールカノン、またはワイヤーブレードを同時に使用することができた。つまり、完璧に対処されればあのAICから逃げる方法はないわけだ。
「厄介な、装備だね」
「余裕そうだな」
「そうでもないよ。ただちょっと勝てるビジョンが浮かんでこないだけ」
一夏のね。
「ペイルライダー」
『ジャイアントガトリング、レディ』
脇の間から抱えるように構える。
「その結界、どこまで止められるのかな?」
「どこまでもだ!」
ロックを解除し、銃身が回転しつつ、弾丸をまき散らす。うわ、集弾性能悪いね。
そんな弾の数々をラウラは律儀に止めてかかる。ばらけるこの数の弾丸を止められるのか……半端ないですね。
「さすがね……」
「ずいぶんと死にそうな声だな」
「いやー純粋に感心するよ」
でも埒が明かないね。
ジャイアントガトリングを収納する。
「どこまでやれるか、試させてもらうよ!」
「試すのは私の方だ!」
加速し、三点ミサイルを放ちつつ近づく。
ミサイルは先ほどと同様、ワイヤーブレードで破壊されるも、伸びたワイヤーを二本、切り裂く。
「ちっ」
「不用意に伸ばしすぎだよ」
『AIC効果範囲までコンマ二秒です』
声よりも早く、三次元躍動旋回でラウラの意識外の起動に変更し、再度接近する。
『ここからは相手の匙加減ですね』
「いやいや、消費するぶどう糖の量から数秒の休憩が必要だよ」
案の定、一度避けたらすぐには次が来ない。その数秒で僕はラウラと肉薄する。
「篠ノ之流の剣技、とくと味わってね」
接近してきた僕に対して、ラウラはワイヤーブレードを戻しつつ、両腕からプラズマ刀を出し、応じてくる。
そういえばAICは手をかざさないと対象に作用しないみたいだから、とことん接近に持ち込めば、一夏にも勝機があるんじゃ?
そんなことを考えていると、両肩からワイヤーブレードが飛んでくる。
ああ、これに苦戦したんだね。確かに理論上は八刀流を相手にすることになる。
一瞬、両手をだらりとたらし、左右のワイヤーブレードの射線の間に回避する。そして、両手を振り上げて、ワイヤーを切断すると、ラウラに向き直り体を回し、舞のような剣戟を繰り出す。
剣戟をラウラは何とか捌く。しかし、もうAICを使う余裕は与えさせない。ここまで迫ることができれば、僕の優位性が確実なものになる。
「……なかなかやるな」
「ボーデヴィッヒさんもね。剣道でもやってたの?」
「教官から少しな。だが……」
スッ、と構えを解き、プラズマ刀を収納する。
「その剣を超えられる気はしないな」
「ありがと。模擬戦はもういいの?」
ラウラにとっては模擬戦のつもりはなかったと思うけどね。
「十分、お前の実力は理解した。これなら、認めてやらんこともない」
「何に?」
分かっていて質問をする。そろそろ騙すのも可愛そうになってきたしね。
「あの人……教官の弟に、だ」
「え、僕、篠ノ之だけど?」
わざと驚いた声で言う。いや~、びっくりした~。僕のことを一夏と勘違いしてたなんて、知らなかったな~。
「……なに?」
「だから、僕の名前は篠ノ之氷雨。あの人って、僕はてっきり束姉のことかと思ったよ」
微塵も思ってないよ。
「……つまり、お前は織斑一夏ではない?」
「うん。違うよ、まったくの別人だよ」
少しの静寂が二人の間に訪れる。ラウラはどういうことかを理解したようで、本物の一夏がいる方に視線をやる。
「あっちか」
「そういうことになるね」
「そうか、私の早とちりか」
「うん」
ラウラがこっちに向き直る。その目には先ほどまでのむき出しの闘争心はなくなっていた。
「ふん。だが、お前のことを認めたのは事実だ」
「それは光栄だね。よかったら、ラウラって呼んでいい?」
「好きにしろ」
そう言ってラウラは踵を返す。
「あれ? 一夏に挑まなくていいの?」
「興が削がれた。……いや、今日はもう満足したと言ったところか」
あ~、さっきの戦闘が楽しかったってことかな? ラウラは蹂躙するのを楽しむタイプかと思ったけど、結構競技向けの性格なのかも。
ラウラはそのままピットに帰る。僕はそれを見送り、先ほどの戦闘を思い出しほくそ笑むのだった。
ラウラが押されているのに認めてやろうとか上から目線なんですが……
私は井上麻里奈さんのファンなので、ラウラも好きなキャラなんですよね
故にどんな立ち位置にするか思案中