鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん 作:かきな
最初のは……忘れてください
廊下。
部屋から出てアリーナの方にある自販機へ向かって歩いていると、角からセシリアが顔を出した。
「あら、氷雨さん。どこかに行きますの?」
「うん、ちょっとね」
セシリアはたぶん一夏の部屋に行くのかな。
「箒さんとはどうでした?」
「あ~、うん。いろいろあったけど、何とか機嫌は直ったかな?」
それを聞いてセシリアはなんだかほっとしたような顔になる。
「なんだかんだで、セシリアって優しいね」
「な、ななな、何をおっしゃいますの!?」
照れなくてもいいのに。
「箒のこと気遣ってくれたんでしょ? ありがとう」
「ま、まあ。友人として当然のことですわ!」
そう言って胸を張るセシリア。大きな胸が揺れるんですが……。
「わたしはなにか……されたようだ」
「なんですの?」
この子はこれで、胸が小さいと感じているらしいから困ったものだよ。
「そういや、箒はちゃんと部屋の子とうまくやれてるのかな?」
「ああ、それなら問題ないみたいですわよ」
「あ、やっぱり、セシリアも気にしてくれてたんだね」
誘導尋問です。僕はもう箒の部屋に直接行って、確認してきたけどね。鷹月静寐ちゃん。真面目で良い子そうだったよ。ルームメイトに恵まれてよかったね箒。ただ、本棚の本のタイトルがすごく引っかかるものが多かったんですけど……。
「は、謀りましたわね!」
「あはは」
セシリアはからかい甲斐があるね。
「それで、あの……一夏さんは」
「ん、シャルと一緒に部屋にいたよ。多分まだいるんじゃないかな?」
「そうですか」
「うん、晩御飯もまだ食べてないと思うし、大丈夫だよ」
「ええ。……ええ!」
なんで分かったのかって顔してるけど、まあ、この時間帯だしね。
「で、では失礼しますわ」
「うん。ばいばい」
そうしてセシリアと別れると、僕は自販機に向かった。
◇ ◇ ◇
自販機前。
絶望した! なんでこの自販機には国民的炭酸飲料であるオランジーナが売ってないんだ! でも、なんでドクペはあるんだよ!
う~ん。こうなるとコンビニまで行くしかないのかなあ。いや、しかし、このなっちゃんで手をうつというのも……。
「う~ん」
『何を迷っているのですか?』
「いや、オランジーナとなっちゃんの違いを考えて……」
『炭酸が入っているかどうかでは?』
分かってない。分かってないよ、ペイルライダー!
『それはそうと、どうするつもりですか?』
「ん? シャルのこと?」
う~ん。
「ほんとどうしようかなぁ……」
『考えがあって出てきたのでは?』
え? いや、そんなことないよ? のどが渇いただけです、はい。
「どうにかしたいって言うのはあるんだけど、僕にできることなんてあるのかな?」
『何もしなくてよろしいのでは? IS学園の校則によれば、校外からの不干渉が確約されていますし』
「そうなんだよね。一夏もそこに気づいて、シャルを説得するだろうね」
でもそれだけだと僕の存在価値なくないですかね? いや、鈴ちゃんといちゃいちゃできればそれでいいんだけど。なんかこう……ねえ。
「僕の取り柄ってさ、今のところ武力しかないんだよね」
『増える予定でもあるんですか?』
「辛辣過ぎない!?」
でもまあ、僕はありきたりな性格だし、頭もよくないからね。名案が思いつきもしないんだよね。
「思いつくことと言ったら、武力で鎮圧することくらいかなぁ」
『馬鹿ですね』
「脳筋なんだよね。思考が単純だからね」
『それが取り柄です』
いや、それ取り柄って言わない。
「分かりやすい悪ならいいんだけどさ。デュノア社を潰したら潰したで困る人はいるんだよね。まあ、父親は絶対に悪いと思うけどね」
二回しか顔を合わせず、その上自分の娘に犯罪行為を強要する親が善であるはずはないからね。
「……というか、僕がシステム解除したからシャル何もしてなくない?」
『氷雨ではなく、私がです』
「あ、はい」
まあ、未遂なら見逃していいのかってことにもなるけど。あれだよね、執行猶予?
『そんな言い訳が通るほど世間は甘くないでしょう』
「確かにねえ」
仕方ないので僕はドクペを買った。一口飲むと、何となくシップのような味がした。でも、この味が癖になる。
『氷雨はどうしたいんですか?』
「ん? 別にどうもしないよ。ただ単に面白かったらちょっかいをかける。面倒だったら手を引く。それだけ」
転生者だもの。そうやって楽しく遊ばなきゃね。
「経過を見るしかないのが実情かな。力押しで解決するなら僕の出番だけど、こういうのは専門外です」
そう言ってはみるものの、どうにも僕は世話を押し付けたいらしく、何かしてあげたいという気持ちは消えない。
「思えば、最近の僕は他人の世話ばかりのような気もするね」
『お節介焼きなのですね』
「そうだね。相手からしたらお節介かも」
そうだ。どうしたいかなんてところを議論しても仕方がない。
「シャルはどうして欲しいんだろうね」
シャルは僕や一夏にどうして欲しいとは語らなかった。最後まで自分の置かれた境遇だけを話していた。
「デュノア社の存続?」
『それはないでしょう。利用されているのも、自身の立場が弱いというのが理由でしたし』
「だよね。まあ、だから男装を解いたんだもんね。フランスのためというのも同じ理由でないだろうし」
そうだ。
どうして欲しいかを、僕が考えるというのはナンセンスなんだ。
それは、本人に聞かなければわからないもの。本当に、余計なお世話かもしれないけど……。
「友達だもん。助けたくなるのが道理だよね」
『氷雨らしい答えです』
僕なりの答えが出、僕は自室へと向かった。
◇ ◇ ◇
部屋。
戻ってくると、シャルはベッドの上で布団をかぶり寝ていた。
「ただいま」
「あ、氷雨。お帰り」
これはセシリアが去った後……つまり、風邪の振りの時かな。
「あの後どうなった?」
「うん。一夏がここにいろって、この学園は外部からのあらゆる介入を拒否できるからって」
「一夏らしいね。でも、今はそれが一番いい案だと思うよ」
少なくとも、今のシャルには時間が必要なんだと思う。
「ちなみにさ、シャルルはどうしたい?」
「え?」
上半身を起こしたシャルを見つめ、僕は隣の一夏のベッドに腰掛ける。
「僕はさ。シャルルの力になりたいとは思うんだ。でも、僕は馬鹿なのが取り柄みたいでね、何をしてあげればいいか、全然思いつかないんだ」
自嘲気味な笑顔を浮かべる。
「何とも不甲斐ないんだけどね」
「そんなことないよ! 氷雨は……正直馬鹿だとは思うけど、でもいつもみんなのことを気にかけててすごいと思うよ」
そうなのかな。僕はただちょっかいをかけて楽しんでるだけのような気もするけど。
「でも……」
そんな風に僕を褒めてくれたシャルだけど、俯き加減になり、どこか悲しそうな顔をする。
「僕は、何かを望んでいいような人間じゃないんだよ。一夏にはああ言われたけど、明日には学園を出ようと思うんだ」
「はあ!?」
え、なになに? どういうことですか!? なんで、一夏説得に失敗してるんですか!!
「いやいやいや。なに、なんでそういう結論に至ったんですか?」
焦る僕と俯くシャル。なんなんだろうこの構図は。
「僕が氷雨と一夏のISのデータを取って来いって言われてたのは覚えてるよね。それはね、僕のISのハイパーセンサーを通して、本社に送られてたんだ」
ん?
「今日の訓練で、僕は二人のデータを盗んでるんだよ。そんな、二人を裏切るようなことをした僕が、ここに残る資格なんて……」
「あ~、それなんだけどね」
何を言うんだろうと不思議そうな顔をするシャルが僕の方を伺うように見る
「え~と、その、データを送るシステムね、壊したんだよね」
「…………え?」
僕の言葉にシャルが間の抜けた声を上げる。そして僕に詰め寄ってくる。
「こ、壊したってどういうこと!?」
「ど、どうもこうもないよ。シャルのISに積まれていたデータを転送するプログラムを削除しただけだよ」
「ど、どうやって!?」
さらにグイッと詰め寄るシャル。ち、近いんですが……。
「え~と、僕のISとシャルのISを繋いで、コアネットワークに侵入して……」
「そんなことできるの?」
「あ、うん。でも、数時間密着しなきゃいけないから大変なんだよね」
それを聞いたシャルの動きが止まる。
それを見て、僕も失言だと気づき動きが固まる。
「そ、それって……」
思い出したのか、シャルは頬を赤らめる。今のこの距離も恥ずかしがって欲しいんだけど。
「もしかして、昨日の夜……?」
「…………」
無言で顔を逸らす。
「氷雨?」
逸らした方に回りこまれる。
「……そうです」
「じゃ、じゃあ、もしかして、あの時起きてたの?」
うわぁあ、芋蔓式にバレてくんですけどぉ!
「……はい」
「っ! ということは、僕が女かもしれないって気づいたのは、その時?」
「あ、いや、それはずっと前で…………あ、やべ」
史上最大の墓穴を掘ったあぁぁあ!!
一瞬思考が追い付かなかったのか、シャルは固まり、その後、爆発音を立てるかのように、一気にシャルの顔は赤く染まり、頭から蒸気でも出るんじゃないかというくらい熱を放った。
「わ、分かっててやったの!?」
「いや、ほんとすいませんでした!」
即座に土下座したいけど、シャルが覆いかぶさるように迫ってきていて下手に身動きできない。
「あの、よろしければそろそろ引いていただけないでしょうか?」
「話を逸らそうとしないでよ!」
「いや、そうじゃなくて……」
今のシャルはもうコルセットを付けていないから、押さえつけるものがなくて、その自己主張の激しい柔らかいものが……。
「当たっているんですが」
一夏みたいな思春期だね! でもしょうがないよ、男の子だもん!
「えっ! わわっ!」
言われて気づくと、シャルはベッドに戻って布団にくるまる。
「氷雨のエッチ」
「申し開きもありません」
やっと自由になった体は即座に土下座を作る。
「……あはは。氷雨、それ好きだね」
「日本人の古来より伝わる謝罪の意思表示だからね」
別に好きとかそういうのではないよ。
「それにこれはただの謝罪ではなく、ここから護身術にもつながるんだよ?」
絶望先生の中に書いてあったよ。あ、そういえば絶望先生の最終回のオチを友達にばらされた時は殺してやろうかと思ったよ。まさに、絶望したぁ! だね。
「まあ、だから、言いたいことは負い目を感じる必要は……ないとは言わないけどさ、自分が被害者であることも覚えてていいし、シャルはここいていいんだよ」
それはやっぱり、ただ問題を保留にしてるだけだろうけど。
「シャルがどうしたいか、それが決まったらその時は」
今のシャルには時間が必要なわけで、
「教えてほしいな。絶対に力になるから」
僕が何かをするべきなのは今じゃないんだって思ったよ。
「……うん。ありがとう、氷雨!」
何とかセクハラはうやむやにできたみたいです。
書き直しました
遅れて申し訳ないです
なんというか、氷雨くんに真面目は似合わないから、
これくらいが落としどころなんじゃないかな~って思います