鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん 作:かきな
二組。
昼休み。
凰鈴音は転校生であり、専用機持ちの代表候補生であるが故にクラスメイトに質問攻めにあっていた。
早く一夏に会いに行きたいのだが、自分に関心を持っているクラスメイトを無下にするのもどうかと思い、いろいろな質問に答えている。
はっきりとした性格ゆえに質問も時間をかけずに答えていくので次第に質問攻めの勢いも弱くなっていく。その頃合いを計り、鈴は切り出す。
「そろそろ食堂に行きたいんだけど、良いかな?」
そう言うと、クラスメイトは頷き、一緒に行こうと誘ってくるが、それを軽くかわす。
「知り合いと約束してるから、また今度ね」
その言葉に納得し、クラスメイト達は散り散りになっていく。
そうして一人になると、一息吐く。質問に答えるのは苦ではない。鈴は自身を偽るような回答をしないので、悩む必要がないからだ。
だが、人に囲まれるというのは苦手だ。それも、自分に覆いかぶさるようにして視界を遮られるようなものに精神的疲労を感じる。
過去、一夏に助けられたいじめの時もそうだった。自分よりも身体の大きい男子に囲まれる。糾弾され、まるで自分が悪いかのような錯覚まで起きる。それが嫌だった。しかし、それもISを使えるようになり、代表候補生まで上り詰めると、自分より大きいものが居なくなった。大人でさえも、鈴がISを起動させれば小さな存在となる。それが気持ちよくもあった。
「(あいつ……一夏も使えるんだよね)」
鈴は男の中でも一夏だけは認めていた。そして、自分も彼の様に強い存在になろうと思っていた。彼と対等になるために手にした代表候補生の座、成長した自分は彼に相応しくなっただろう。
そう思い、今、彼との約束を確認しに行くのだ。
「よし」
自分の意思を確かめ終え、鈴は立ち上がる。行く先は食堂に居るであろう一夏。
そうして、廊下に出ようとした鈴の視界に、一つの影が立ち塞がった。
「少しいいか?」
その声に顔を見れば、先ほど一夏の周りに居た女子の一人だった。
「あんた、さっき一夏の横に居た……」
「篠ノ之箒だ。一夏とは幼馴染だ」
その自己紹介を聞いただけで、鈴は箒が一夏にどういう感情を抱いているかを察した。そして、こうして会いに来たのは多分それについての宣戦布告であろうと思った。
「あたしもだけどね」
だからそう応じた。しかし、鈴の予想と違い、相手はそれにさして反応せず、話しを続けた。
「昨日、氷雨に会っただろう」
「氷雨って誰よ」
「一夏ではない、もう一人の男性操縦者のことだ」
そこで初めて鈴は彼の男の名前を知った。つまり、さっきのあいつの話をしているのだと鈴は理解する。
「会ったけど、それがどうしたのよ」
あからさまに不機嫌な声になってしまったと鈴自身も気づいたが、いまさらどうしようもないことであった。その声色を耳にした箒は確信したように頷く。
「生憎、私は話術がうまくない。回りくどい聞き方はできないから単刀直入に聞く」
そんな口上から始まるので、鈴は身構える。
「氷雨に告白されたか?」
その質問は鈴の想定の範囲内のものであった。
「まあ、されたけど?」
そこまでは箒も予想していたことだ。だから取り乱すこともなく、そうだろうと頷く。
「それで断った」
「だって、初対面だしいきなりだもん」
「別にそこはいい。氷雨に告白されて承諾する奴などいないだろうからな」
さらりと兄を貶す箒。実際のところ、氷雨さんはネームバリュー的に大人気なのですが、そんなことはお構いなしである。
「聞きたいのは、どうやって断ったかだ」
突然鋭い眼光になる箒に、鈴は少し後ずさる。
「なんでそんなことあんたに言わなきゃなんないのよ」
一瞬気圧されしたが、昨日のことを思い出し不機嫌になり、強めの返しをする。
「私が氷雨の妹だから、だ」
その回答に鈴はゾクリと背筋に悪寒が走るのを感じた。それは目の前の箒が発する威圧感からくるものでもあり、ただブラコンという人種に初めてであったからだというものもあって、要するに「気持ち悪い」と感じちゃったわけなんです。
「氷雨の落ち込みようは尋常ではなかった。ただ落ち込んでいるだけならまだいい。だが精神に疾患ができるほどの状態までに陥っている現状を見ると、ただ初対面の相手に振られた程度でここまでの状態になるか、と疑わざるを得ない」
一目惚れで告白して振られる。この世界の人からすれば、氷雨の行為はそれであるのだが、実際のところの鈴への入れ込み具合は半端なものではない。なにせ今までの人生を捨てて、ISの世界に転生するほどなのだから。
だから、箒の考えは間違ってはいないのだが、正解でもない。
「だから……お前が、氷雨を傷つけたに決まっている!! 氷雨に謝ってもらう!」
感情を露わにした箒に対して鈴はその自分に向けられる怒りに困惑する。
しかし、どう考えても理不尽であるそれに、次第に困惑は怒りに変わる。
「そんなこと知らないわよ! 勝手に振られて、勝手に傷ついただけでしょ! あたしの知ったことじゃないわよ!」
「貴様っ!」
「それに……」
鈴は昨日のことを思い出す。あの男の言葉。自分の心を見透かしたような物言い。こっちの気持ちを考えないで土足で立ち入られた。
「あいつは、最低の人間よ。それくらい、当然じゃない!!」
その言葉に箒はぴたりと動きを止める。そして、感情を抑えるように肩を震わせる。後ろから見守っていたセシリアも流石にこれはまずいのではないかと、割って入るために近付くが、時すでに遅し。
お前それどこから取り出したの? と言わんばかりに木刀を取り出し鈴に切りかかろうとする。
それを鈴がISの腕部を部分展開し防ぐ。
「やめときなよ。私は専用機持ってるのよ? あんた、怪我するわよ」
そうして威嚇すれば、止まるだろうと鈴は考えたのだが……。
「それがどうしたっ!」
「なっ!?」
「箒さん!?」
ブラコンは止まらないのだった。
◇ ◇ ◇
昼休み。
保健室。
「いや~、心配掛けたみたいでごめんね」
もりもりとご飯を食べる僕を見て、一夏とシャルは脱力している。
「まさか、お腹の減り過ぎで体調が悪くなってたとはな」
「あはは。氷雨らしいね」
「申し訳ないよ。もぐもぐ」
よく考えたら昨日から食べてないんだよね。ショックで喉を通らないってやつ? あの状態に陥ってまして。そんなことあるわけないじゃんって思ってたけど、いざ自分がそうなると納得だわ。胃がむかむかして食べたいって思えなくなるもん。
「それ食ったら戻るか?」
「うん。……あ、鞄持ってきてくれたんだ。ごめんね」
「いや、鞄運ぶくらいなんてことはないから気にしなくていいぞ」
「やだ、イケメン。惚れちゃうよ、一夏」
「「えっ」」
何を本気にしているんですか二人とも。
「ま、まあ。元気になってよかったね」
「そ、そうだな。じゃあ、俺はこれで」
「ちょっと待って、身体を抱きながら後ずさるのやめて下さい」
冗談だよと言って、一夏は手を下ろす。
「そうなると氷雨は攻めなのかな。いやでも、背丈から見たら一夏が攻めの方が栄えるし、ああでも……」
シャルが小声で何かをぶつぶつと呟く。うん。聞こえてないよ。聞こえない聞こえない。だからペイルライダーさん、ハイパーセンサーを止めて下さい。お願いします、何でもしますから。
『今、なんでもと言いました?』
「言ってない」
最近は心を読むのが流行っているんですかね? 読心術怖いです。え、少し違う?
「じゃ、俺たちは食堂行くけど、氷雨はどうすんだ?」
あ、付いて行ったら鈴ちゃんもいるかな? 今度こそ謝りたいから、僕も行こう。あぁ、今から緊張してきた。
「僕も付いて行くよ。どうせ箒とセシリアもいるでしょ? 心配かけたから謝りたいし」
「別に謝る必要はないと思うけどな」
「そうだよ。友達なら心配するのは当然だもん」
おお、なんと嬉しい言葉。さらりと言えるところが凄いね。
ベッドから降りて立ち上がる。貧血の後なので、少しふらついたのを一夏が支えてくれる。それを見たシャルが鼻を抑えている。あれ? シャルってそういうキャラだっけ?
そんな中、バタバタと慌ただしい足音が外から聞こえ、保健室の前に来たかと思うと、勢いよく扉が開けられた。
そこに居たのは肩で息をして、いろいろ揺らしている真耶ちゃんであった。
「どうしたんですか、そんなに急いで」
「何かあったんですか?」
一夏の問いに、真耶ちゃんは息を整え、こちらに顔を向ける。
「そ、それが大変なんです。二組の方で、し、篠ノ之さんと転入生の方が……」
「え、箒と……」
「……鈴ちゃんが」
「鈴ちゃん?」
つい口を滑った言葉にシャルが疑問を呈してるけど、それは今置いておこう。
「お、大喧嘩してるんです!」
それを聞いて、僕は走り出す。
「ちょ、氷雨!」
一夏の声を置いて、僕は廊下に飛び出し、二組を目指し全速力で走りだす。
大事になっていなければいいんだけど……。
大事になっていなければいいんだけど(フラグ
関係ないけど、今さらオーバーラップ版のISにてを出してみました
8巻買いましたけど、白騎士のデザイン公開とか載っててうおおおってなりました
プラズマブレードかっこよすぎる