鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん   作:かきな

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六話 謝罪の技量

 二組。

 

 大事になっていなければいいんだけど(爆)

 

 なってないわけないじゃん!

 

 見てよこの惨状を。腕だけISの装甲を展開した鈴ちゃんと木刀を持った箒が机を踏みつけ、教室を所狭しと飛び回り喧嘩……というかこれもう戦闘じゃないかな? とにかくやばい。

 

 これは止めなきゃならない。早く止めないと……。

 

 机の主には悪いけど、二人を止めるためだから許してね、と内心で謝りつつも机に飛び乗り、二人の間に割って入る。

 

 鈴ちゃんのIS装甲には同様にIS装甲で、箒の木刀には篠ノ之流古武術で、木刀の側面を叩き、軌道を逸らす。

 

「凰さん、ごめんね。箒、何やってるのさ」

 

「こ、これは氷雨のために……」

 

 僕のため?

 

「どういう意味?」

 

「だ、だから、氷雨はこの女にひどい振られ方をしたから、あそこまで落ち込んでいたのだろう。だから……謝らせようと」

 

 箒は僕が落ち込んでいたから、鈴ちゃんに謝らせようとして、喧嘩をしたって言う事か。

 

「……理由は分かった。箒が僕のために動いたのも、嬉しいと思う」

 

「だ、だったら」

 

「でも、このやり方は許容できないよ。箒は凰さんが僕に謝れば、僕の気が晴れると思ったんだろうけど……」

 

 ビクビクと警戒している箒を落ち着かせるように箒の頭を軽く叩くように手を置く。

 

「振られた相手に謝ってもらって気が晴れるほど僕は小者じゃないんだよね」

 

「うぅ」

 

 自分のしたことを否定され、箒は肩をすくめる……机の上で。ていうか、凄く目立つねこの状況。

 

 さすがにいつまでもここに居るわけにもいかないので早々に事態を収束させようと鈴ちゃんの方に向き直る。

 

「な、なによ」

 

 僕の視線を受けると、鈴ちゃんは少し身構える。

 

「凰さん、今回は箒が迷惑をかけて本当にご――」

 

 チャイムが鳴り響く。僕の言葉はそこで遮られ、何となくいたたまれない感じになる。

 

 咳払いをして、再度鈴ちゃんに向き直る。

 

「迷惑をかけて、本当にごめ――」

 

「始業の鐘が聞こえんのか馬鹿者」

 

 バシンと、今度は出席簿の打撃音が響き渡る。いやいや、ちょっと待って下さい。

 

「あの、今謝罪中……」

 

「お前の私情で二組の授業進行を遅らせていいと思っているのか?」

 

 いや、確かにそうなんですが、なんというか……。

 

「分かったら机から降りて教室に戻れ。いつまでそこに突っ立っているつもりだ」

 

「す、すいません」

 

 うわあ、鈴ちゃんに謝る前に千冬さんに謝っちゃったよ。なんだこれ、締まらないんですけど。

 

「話が……ちがうっすよ……」

 

「久しぶりに聞きましたわね」

 

 あ、セシリアいたんだ。いたなら止めてよって言いたいけど、セシリアは肉体派じゃないしね。仕方がないよ。

 

 机から降りて、箒の手を引く。手を握ると怖がるように身体を震わした。

 

「行くよ、箒」

 

「あ、ああ」

 

 引かれた箒は自分のしたことを反省しているのか、何の抵抗もなく付いてくる。

 

 廊下を出ると、遅れてきた一夏に迎えられた。

 

「何があったんだ?」

 

 一夏はこの騒ぎに不思議そうな顔をしている。

 

「見てなかったの?」

 

「織斑先生に止められてたんだ。僕らは見るなって」

 

 千冬さん……GJ!! シャルはともかく、一夏にだけは知られたくないからね。ていうか、千冬さんは事情を把握していたってこと? あ、あの人には隠し事できなさそうだね。

 

「織斑先生がそう判断したっていうことは、知らなくていいってことなんじゃないかな?」

 

「そうなのか? まあ、氷雨もそう言うならいいけどな」

 

 も? て言うことは他にも言った人がいるのかな?

 

 周りを見ると、セシリアと目が合う。するとセシリアが頷いたので、なるほどセシリアだったのかと納得した。

 

 一応、事態は収拾したけど、この後だよね、大事なのは。

 

「……胃が痛いよ」

 

 一夏が不思議そうな顔をしている。

 

「俺は腹が減って胃が痛いぜ?」

 

 そういう事言ってんじゃないんだよ。

 

◇   ◇   ◇

 

 保健室。

 

 早く止めた理由はこれだ。

 

 箒の手を取ると、真っ赤に染まっている。木刀でISの装甲を叩きつければどうなるか。それは、自身が加えた力と同等の反作用が手に働くのだ。IS装甲でなければ、物体の弾性からそれは少し軽減されるのだが、ISのシールドはそれを全て受けとめる。そうなれば反作用の大きさは最大になり、木刀を握る箒の手には大きな摩擦が生じる。

 

 だから、こうして皮がボロボロになり、血が滲んでしまうのだ。

 

「…………」

 

 手当をしている間、箒は一言もしゃべらず、僕と目を合わせようともしない。たまに僕の顔を窺うようにちらりと目を遣るが、すぐに下を向く。

 

「箒」

 

「な、なんだ!?」

 

 びくりと身体を跳びあがらせる。

 

「終わったよ」

 

「な、何が!?」

 

「治療が」

 

 それを聞いて、箒は自身の手を見る。包帯が綺麗に巻き終えられており、もうあの傷だらけの手を見ることはなくなった。

 

「す、すまない」

 

「いやいや、これくらいはね」

 

 僕は立ち上がる。しかし、治療を終えた箒は依然として落ち込んだように暗い顔をしていた。自分のしたことを悔いているんだろうね。

 

「さっきも言ったけど、僕のために箒が本気で怒ってくれたのは嬉しかったからね」

 

「氷雨……」

 

 箒が顔を上げる。

 

「でも、あれだよ? 今回のは箒の勘違いだからね。別に凰さんが悪い訳じゃないんだから」

 

「……すまない」

 

「まあ、僕も悪かったね。箒にこんな勘違いさせるほど心配かけちゃって」

 

 振られただけであんなことになるなんて、普通の人は思わないもんね。

 

「箒も悪いけど、僕も悪い。だから、一緒に謝りに行こうよ」

 

 そう言うと、箒は先ほどまでの落ち込んでいた表情を止め、いつもの箒に戻ったのだった。

 

「ああ。そうしよう」

 

 元気になった箒の手を引いて教室に戻ろうする。流石に恥ずかしいのか箒は僕の手を払う。ああ、いつもの箒だね。

 

 こうして、僕らは教室に戻ろうとしたのだった。

 

◇   ◇   ◇

 

 戻ろうとしたけど、生徒指導室に連行されました。

 

「あの、織斑先生?」

 

「当たり前だが、あれだけ暴れて何もなしだと思っていないだろうな?」

 

 目の前にあるのは二十枚の原稿用紙。

 

「せ、せめて五枚くらいには減りませんか?」

 

 この小説ですら一話約3000の原稿用紙八枚分だというのに、20枚……三話も書くの!?

 

「それくらいかけるだろ。最初期の投稿ペースを思い出せ」

 

 メメタァ。いや、だからあれは書き溜めだって何度も言ってるじゃないですか!

 

「あの、私は凰さんに謝罪をしに行きたいのですが……」

 

「ああ、行くべきだな」

 

「それではっ」

 

「それを書き終えてからな」

 

「……はい」

 

 駄目だ。これは缶詰決定だよ。

 

「……頑張ろうか、箒」

 

「ああ」

 

 鈴ちゃんへの謝罪は明日になりそうな予感がしてきたよ……。

 

◇   ◇   ◇

 

 放課後。

 

 アリーナ。

 

 そこではいつものように放課後の特訓が繰り広げられていた。射撃機体との戦闘。それに重点を置いており、遠距離戦闘のブルーティア―ズに中距離戦闘のラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡはうってつけの練習相手であった。

 

 一夏もそれを理解しているので、意識して模擬戦をするが、やはり容易に近付けるものではなかった。

 

「難しいもんだな」

 

 一通りの訓練を終えて、一夏が呟く。

 

「接近しかないというのはなかなか難しいものですわ。それしかないと分かっていれば、他に気を配る必要がないですから、距離を取ることに専念できますわ」

 

 それをできなくて負けそうになったのがクラス代表決定戦なのであるが。

 

「だから、必要になってくるのがこれか……」

 

「そう、イグニッション・ブースト。織斑先生に教えてもらったみたいだけど……」

 

「未だに完璧にできないんだよな」

 

 この先の課題を確認し、一夏はピットに戻った。

 

 そこには一夏を待っていたのであろう鈴の姿があった。

 

「あ、鈴か」

 

「お疲れ様、一夏。はい、これ」

 

 鈴が差し出したのはタオルとスポーツドリンク。一夏はそれを受け取る。

 

「サンキュ。お、ぬるめのスポーツドリンク。鈴、分かってるな」

 

「でしょ。一夏は年に似合わず健康に気を使ってるからね」

 

 一夏に褒められ、鈴は笑顔になる。そして、いよいよ鈴は確認したかったものを一夏に尋ねる。

 

「あのさ、一夏……約束、覚えてる?」

 

 その言葉に一夏は一瞬首をかしげる。

 

「ん? 約束?」

 

 一夏の反応に鈴は絶望するも、その後一夏は何かを思いだしたように声を上げる。

 

「あっ! あれか、酢豚を毎日……」

 

「そうそう」

 

 鈴は一夏が覚えていたことに、先ほどと一転して満面の笑みを浮かべる。しかし、期待を裏切らないのが我らが一夏なのである。

 

「おごってくれるんだっけ?」

 

「……は?」

 

 鈴はすぐに一夏が何を言っているのかを理解できなかった。故に鈴は固まったまま、一夏を見つめることしかできなかった。

 

 一方一夏は自分が約束を覚えていたことに我ながら感心しているようで、うんうんと頷き、鈴の目での訴えに気づくことはなかった。

 

 それどころか、何かを思い出したように一夏は話しだす。

 

「そういえば、氷雨に告白されたんだって?」

 

 その言葉に鈴は驚愕する。なぜ一夏がそれを口にするのかと。

 

「断ったらしいけどさ。あいついい奴だからさ。考えてやってくれよ」

 

 鈴は泣きそうになる。それは一夏の口から絶対に聞きたくない言葉だった。

 

 それは実質的に一夏に振られたのと同義……とまではいかないであろうが鈴にとってはそういわれたに等しいのである。

 

「……最低」

 

 ぼそりと呟くその嘆きは一夏に届かない。

 

「まあ、あいつのこと知らないと判断できないだろうからさ、まずは友達からでも……ってどうした?」

 

 ようやく気付いた時にはもう鈴は涙を抑えきれそうになかった。

 

「最低っ!」

 

「はぁっ!? なんでだよ。ちゃんと約束覚えてただろ」

 

「覚えてないわよ! それに……あんたにだけはそういう事言われたくなかったのに……」

 

 言葉の後半は語気が弱くなり、一夏は聞き取れなかった。だが、覚えていないというところだけは聞こえ、考えてみる。つまり、自分がそうだと思っている約束は間違っているということだ。だが、それ以外の約束が分からない。

 

「もういいわよ!!」

 

「あ、おい!」

 

 鈴はピットから飛び出す。流れるものを一夏には見せたくなかったからだ。見せたくはなかったが、一夏が追いかけて来てくれるのではないかという期待を持っていなかったわけではなかった。

 

 しかし、一夏はどうしていいかわからず、ただ姿が見えなくなる鈴を見送るだけだった。

 




早く来てー早く来てー

来た!メインひさめん来た!これで勝つ……る?

次回、氷雨くんが謝罪に向かいますが……どうなるやら
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