鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん   作:かきな

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週末(週末とは言ってない


二話 黒き雨の降る

 瞳には画面が反射しており、それを注視していることが窺える。

検索ワード[ふぁんふぁん ]

 

 画面の検索エンジンに打ちこまれる文字は、今日の昼にのほほんさんと呼ばれる女子から付けられたあだ名だ。初めはりんりんと呼ばれたが、それで昔は「笹食えよ」と、男子からからかわれた過去があり、拒否した。その代わりとして付けられたのが、この『ふぁんふぁん』というあだ名。

 

 鈴はそれだけ打ちこんで検索するのかと思いきやそうでなかった。

検索ワード[ふぁんふぁん p     ]

 

 そこまで打つと、無粋な予測をggl先生はしてくれた。

     [ふぁんふぁん パンダ   ]

 

「……」

 

 それが見えると、鈴は今まで打っていた検索ワードを消し、ブラウザを閉じた。

 

◇   ◇   ◇

 

 グラウンド。

 

 今日の授業は二組との合同演習! え、なんで気合が入ってるかって? もう、分かりきったことじゃないか。もちろん、鈴ちゃんにいいところを見せられるからだよ!

 

『見せられる“かも”ですよ、氷雨』

 

「そんな気遣いいらないよ、ペイルライダー」

 

 確かに、昨日も致命的な失態をしてしまった。そのおかげで部屋に戻ってもシャルに冷ややかな目で見られて凄く居心地が悪かった。しかし、昨日は昨日、今日は今日。試行が変われば結果も変わるはずだよ。

 

「今日は何をするんだろうな」

 

 一夏が聞いてくるも、実は僕も知らない。

 

「さあ? でも、訓練機を使った実践的な訓練をするってことは織斑先生が言ってたよ」

 

「そうなのか? 実戦的って、また歩行訓練とかじゃないだろうな」

 

 その訓練も大事な訓練なんだけどね。一夏は一発で上手くいってたけどさ。

 

 ともあれ、動くだけなら一夏みたいにすぐに感覚を掴む人もいる。じゃないと、入学前の試験で教官と戦えるわけがないからね。

 

「それに関しては我が妹は天才だと思うんだよね」

 

「な、なんだ、いきなり」

 

 いきなり話題が自分に飛び火したことに驚きを示す箒。

 

「だって、稼働時間もそこそこなのにISに乗って自分の剣術を発揮できてるんだもん。足捌きなんて、ISでやろうとしたらなかなかの難易度だからね」

 

 そもそもが無重力軌道のISに剣道の体捌きを適応させるのはなかなか苦労するものだ。僕なんて二カ月かかったからね。

 

「い、いきなり褒めるな!」

 

「あはは、いたいいたい。あ、ちょっと待って、ほんとに痛い」

 

 照れ隠しで背中をばしばし叩く箒。いや~、普通の女の子なら可愛らしい仕草だけど、剣道大会優勝者のそれはちょっと洒落にならない。

 

「確かに箒さんの動きには驚かされるものがあるね」

 

 そう話しに入ってきたのはシャルだった。

 

 最近になって放課後の訓練で箒とシャルが戦ったのだが、結果はまあ箒の惨敗。理由は単純、中距離戦闘を主とする相手に対する立ち回りができていなかったこと。

 

 それでもシャルが褒める理由はその戦いが長期戦になったからだ。

 

「剣道独特の動きなのかな? 重心にブレがないからどっちに回避するのか読みづらかったよ」

 

「そ、そうか?」

 

 あらぬ方向からも褒められ、なんだか本当に照れてしまっているようで、僕の背中もそろそろ真っ赤になっている頃だろう。

 

「やはり僕の妹だね。誇らしいよ」

 

「う、うるさいぞ、氷雨!」

 

 あ、そっぽ向いちゃった。

 

「ま、僕には程遠いけどね!」

 

「「「…………」」」

 

 あ、あれ?

 

 僕の声高々の宣言に帰ってきたのは沈黙と冷めた目。うそぉ、ここは僕を褒め称える流れだったでしょ!?

 

『哀れですね』

 

「うるさいよ!」

 

「うるさいのは貴様だ、馬鹿者」

 

 出席簿が僕の脳天を叩く。もうこれ何回目だろうね。身長が数センチ縮んでてもおかしくないよ。

 

 前を向くと、すでに千冬さんが立っており、他のみんなは綺麗に整列していた。

 

「これから、一組と二組の合同訓練を行う」

 

 よく通る凛とした声を響かせ、授業の説明が始まる。皆一様にそれに耳を傾けているのは真面目だからであって、決して千冬さんの暴力が怖いからという恐怖政治ではない。

 

「今日の訓練は専用機持ちとの模擬戦闘だ」

 

 その一言に一同騒然とする。え、だってまだ一カ月ですよ? しかも訓練機で模擬戦?

 

 皆が同じ疑問を持っているかは分からないけど、多分それに近いことを考えてるんじゃないだろうか。

 

「静かにしろ。もちろん専用機持ちは手加減してやれ。あくまで訓練だ。学年別トーナメントに向けて、今までの訓練で習得した技術を確認するために模擬選という形式を取ったにすぎん」

 

 なるほど。そりゃ、いきなり学年別トーナメントで戦えって言われてもまともに動けるか分かんないしね。戦闘という形式に慣れるという意味もあるのか。

 

「分かったら以前と同様に専用機持ちをグループリーダーとした班に分かれろ」

 

 千冬さんが言い終わると同時に、依然と全く同様にクラスの女子は動き出した。そう、同様に……。

 

「織斑くんよろしくね!」

 

「きょ、今日こそは織斑くんにお姫様だっこ……」

 

「シャルルくん優しく教えて~」

 

「ボディタッチまではセーフだよね? セーフだよね!」

 

 アウトでしょ。

 

「やっぱり篠ノ之くんが安牌ね」

 

「取りあえず篠ノ之くん、みたいな感じだよね」

 

 僕は生ビールか何かなんですかね?

 

 というかこの展開は前回もあったでしょうに……学習しないんだね。え、ブーメランだって? ハハ、ナンノコトヤラ。

 

 またたく間に正面に居た女子たちの頭が出席簿に叩かれる。その速さにただただ驚くばかりだ。千冬さん、ぱない。

 

「……貴様らは学習という言葉を知らんのか。名前順に分かれろ。次はないぞ」

 

 ドスの利いた声により、瞬時に六列が出来上がる。

 

 こうして、授業がやっと始まるのだった。

 

◇   ◇   ◇

 

 訓練機は近接ブレードとアサルトライフルが搭載されている。

 

「おりゃー」

 

 正面に居る打鉄がアサルトライフルの弾をバラ撒く。それをビームブレードで弾きながら追いかける。

 

「うん。狙いはちゃんとつけられてるね」

 

「ええー! 弾を弾くなんて反則だよぉー」

 

 弾を弾かれたショックからか、その後の回避が疎かになり、僕は簡単に肉薄する事ができた。

 

「はい、おしまい」

 

 ビームブレードを喉元に突き立て、試合終了を示す。

 

「し、篠ノ之くん強すぎない?」

 

「前のあれじゃ、全然分からなかったけど……」

 

「あ、そういえば、セシリアのビーム最初に弾いてたような」

 

 あ、やっぱりクラスのみんなはそんな感じの認識だったんだね。別にそう思ってもらったままでもよかったけど、篠ノ之の名前背負ってるしね。多少は強いってところ見せていかないと格好がつかないよね。ペイルライダーにもなんだか悪いし。

 

「はいはい。じゃあ、次の人は~?」

 

 と、そう呼びかけると、それに答えるかのようにISの転倒音が響き渡った。

 

 みんなして音の方に目をやると、そこには訓練機に乗る女の子が倒れており、さらにその横にはワイヤーブレードを戻すラウラの駆るシュバルツェア・レーゲンが見下すかのように立っていた。

 

「それで終わりか?」

 

 冷たい声が女子に投げられる。その目は鋭く、まるで敵でも見ているかのようだった。

 

 うん。それでもそこに追撃しない辺りはまだまともに模擬戦していると言ってもいいのかな?

 

 転倒した女子は自力で起き上がり、次の子に交代したみたいだ。

 

「ほら、こっちも始めるよ」

 

 ラウラのグループの方を見つめる僕のグループの女子たちに声をかける。もたもたしてたら千冬さんにどんな罰を貰うか分かったもんじゃないからね。

 

「よし、準備できた? さあ、始めるよ!」

 

 授業はまだ続く。

 

◇   ◇   ◇

 

 黒き雨の意を持つIS『シュバルツェア・レーゲン』を駆るドイツの代表候補生、ラウラ・ボーデヴィッヒは冷めた目で正面のクラスメイトを見据える。

 

「(これが今、教官のもとで訓練を受ける者のレベル……)」

 

 どこからでも攻撃してくださいと言わんばかりに無防備に迫る打鉄にラウラは思う。

 

「(低すぎる! こんな奴ら、教官が指導するに値しない!)」

 

 その弱さにラウラのフラストレーションは溜まる。

 

 直線的にワイヤーブレードを射出するも、その単純な軌道にすらかすってしまう体たらく。

 

 こんなものも避けられないのかと、遊ぶようにワイヤーブレードが次々に少女を襲う。横薙ぎに来たかと思えば、次には正面から射るように迫り、それが到達する前に再度横薙ぎのワイヤーが来る。

 

 まともに戦闘をしたことのない、ましてや訓練機に乗る少女には避けるすべなどなく、ただその刃を受け続けるだけであった。

 

「やめろ!」

 

 そんな状態に割って入ったのは織斑一夏であった。

 

「(織斑一夏……教官の汚点)」

 

 攻撃を邪魔されたことには何も感じない。ただ抱くのは教官、千冬のIS世界大会の二連続優勝という偉業の達成を妨げたことに対する憎悪のみであった。

 

 しかし、一夏が拐われなければドイツに千冬が教官としてくることもなかっただろうという指摘は、ここでは無粋であろう。

 

「やり過ぎだぞ!」

 

 正義感を振りかざす正面の男にラウラは冷ややかな笑みを浮かべた。

 

「これくらい避けれて当然だ。私はそいつのためを思ってやったまでだ」

 

「だからって、こんなになるまで切りつける必要はないはずだ!」

 

 こんなにとは、シールドエネルギーのことであろう。ISが提示するその数値は数パーセントを示している。

 

「命に支障がないのに、やり過ぎもないだろう」

 

「なんだと?」

 

 二人の間に険悪なムードが漂う。それはラウラが狙ったものであった。一夏には放課後対戦を申し込んだにもかかわらず、理由がないからと逃げた。故に挑発を以って理由を作らせる。それが目的であった。

 

 しかし、その目論見は邪魔者によって無に還される。

 

「見て見て、一夏! 二刀のビームブレード、なんと柄の方で繋げられたんだよ! さっき初めて気づいた……って、あれ? お邪魔だった?」

 

 ラウラの怒りの矛先は今にも変わりそうである。

 




ふぁんふぁんってパンダ過去にいたみたいです;;


ビームサーベルを繋げる意味が分からない
取り回しが悪くなるだけじゃないですか

……でも好き
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