鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん   作:かきな

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直球ど真ん中ストレート!


六話 氷雨、ナンパされる

 喫茶店。

 

 ラウラとプラモを買い終え、僕らは鈴ちゃん、シャルと合流する。時間を見ると、昼食にするのにちょうどいい時間だったから、僕がそう提案し、お昼にすることになった。

 

 ここで事前に調べておいたオシャレなフレンチなんかをごちそうできたら、かっこいいんだけど、舞い上がり過ぎてそこまで手が回らなかったんだよね。

 

 だから、僕らはモール内にある喫茶店に入った。フードコートは今の時間、人が凄いからね。男に見えないけど、一応男装のままのシャルもいることだし、こっちの方が安心なんだよね。

 

「サンドイッチおいしいね!」

 

 サンドイッチ……サンドウィッチと書くべきか迷いどころだけど、僕の発音的にはサンドイッチなんだよね。

 

「あんた、本当に女の子みたいね」

 

 鈴ちゃんが僕を見てそう呟く。

 

「今更どうしたの?」

 

「なんでサンドイッチをちょっとずつ頬張ってるのよ」

 

 なんでって言われても、口が小さいからなんだけど。あ、そうか。その食べ方は女子によく見られるよね! 大口で食べられると、なんだか馬鹿な男の理想から外れちゃうもんね。

 

「なんか、氷雨の女装に慣れてきた自分が怖いよ、僕」

 

「諜報に使えるな」

 

 まあ、これ以降女装なんてする気もないから大丈夫だよ、シャル。あと、ラウラ。何気に怖いからやめて。

 

「まあ、でも、この僕の溢れんばかりの漢気があるから、やっぱりばれちゃうよね」

 

「「「……」」」

 

「あれ!?」

 

『漢気……そのような現象は存在しません』

 

 うん、別に物理的性質を持ってるわけじゃないから存在しないけどさ、そういうことじゃないんですよ。

 

『いえ、理解したうえで、氷雨にはそれがないと言っています』

 

「それはひどい!」

 

「「「?」」」

 

 僕の今までの行動を見てみてよ!

 

 不意打ちでベクターキャノンを撃ったり、

 

 セクハラしたり、されたり、

 

 告白して振られて失神するまで凹んだり……

 

「漢……気?」

 

「さっきから貴様は一人で何を言っている」

 

 そんな指摘をラウラにされて、自分が声に出していたことに気づかされる。

 

「そう、それなのよね」

 

「へ?」

 

 鈴ちゃんが僕を見て、何かを思い出したようだ。

 

「この前さ、あんたに二組で良い話と悪い話を聞いたって言ったじゃない?」

 

「うん」

 

 三話くらい前にそんな話をしてたよね。

 

「あの悪い話って言うのが、それ」

 

「どれ?」

 

「独り言よ」

 

 独り言? う~ん。僕はあまり独り言はしないタイプだと思うんだけど。あ、たまに発狂はするけどね。

 

「なんか、訓練の時も誰かと話しているような風の独り言をよくしてて、なんだか気持ち悪かったって言われてたわよ」

 

「ぐはっ!」

 

「ひ、氷雨!?」

 

「安心しろ。それはタバスコだ」

 

「タバスコ??」

 

 じょ、女子に気持ち悪いと言われていたとは……鈴ちゃんに言われたわけじゃないからダメージは少ないけど、それでも辛うじて致命傷だよ。

 

「ま、あたしはあんたがおかしいことはもう知ってたから別にどうってことはないけどさ」

 

「ちょっと待って、聞き流せない言葉がまじってた気がするんだけど」

 

 鈴ちゃんにもおかしいやつって思われてるの、僕? 詰んでるじゃないですか。

 

「いやいや、別に独り言言ってるわけじゃないんだよ? 実はさ……」

 

『氷雨、それは言わないでください』

 

 そこまで言って、ペイルライダーに止められる。そうだよね。これ、ばれたらペイルライダー研究所に持っていかれちゃうかもしれないしね。

 

「実は……なに?」

 

 シャルが続きを促す。でも、ごめんね。そっから先は言えないんだ。鈴ちゃんに可笑しな奴って思われても、流石にペイルライダーと別れるのはごめんだからね。

 

「実は……もう一人、僕の中には別の人格がいるんだ」

 

 静まり返るテーブル。背中に伝わる嫌な汗。

 

「ワナ……か」

 

「どう見ても自爆だな」

 

 ラウラ、冷静な分析ありがとう。

 

「ふう」

 

 一息吐く。なんだか、身体が軽くなった気がする。

 

「屋上にはどう行くんだろう」

 

「氷雨!?」

 

 しがみついてシャルが僕を止めてくれたおかげで、なんとか無事に昼食を終えたのだった。

 

      ◇   ◇   ◇

 

 昼食後。

 

 昼食を終えると、氷雨は三人に「トイレに行ってくるからちょっと待っていて」と言い残し、パタパタと走り去っていった。

 

 その後ろ姿に、一同は一瞬彼女が彼であることを忘れてしまったという。

 

「ちょっと待って、あいつどっちに入るつもりなのかしら」

 

「どっちって……あっ」

 

 現在、見た目はどう見ても女子である氷雨。これならば自然に女子トイレを使うことはできるが、それは犯罪であろう。なら逆に男子トイレに入るのかと問われると、それはそれで問題があるようにも思える。

 

「ま、あいつのことだから、恥ずかしげもなく男の方を使うと思うけどね」

 

「あはは」

 

 そう笑うシャル。彼女は現在の氷雨とほぼ同じ立場であるが、使用するのはもちろん男用である。

 

 そんなシャルの顔を鈴はじっと見つめる。それに気づいたシャルは鈴に問いかけた。

 

「どうかしたの?」

 

「いや、あんたって見れば見るほど男に見えないわね」

 

 核心をついてくる鈴の言葉にシャルは身体をビクリと震わし、たじろぐ。その反応を見て鈴はなにやら確信したようだ。

 

「やっぱり、あんた女でしょ?」

 

「うっ」

 

 そう声が漏れた後にシャルはすぐに否定しなかったことに、しまったと後悔した。

 

「な、なに言ってるのさ。僕は男だよ」

 

「別に私はどっちでもいいんだけどさ。その事、あの二人は気づいてるでしょ?」

 

 もはや鈴の中で答えは出てしまっているので、シャルは何を言っても覆すことはできないだろうと、諦めることにした。

 

「そうだね。二人にはもう言ったよ」

 

「なら、あいつらが黙ってるんだから、あたしがとやかく言うことはないわね」

 

「え」

 

 何かリアクションがあるものとばかり思っていたシャルはその鈴のあっさりとした返しに、肩すかしを食らったような顔になる。

 

「それでいいの?」

 

「なに? 告げ口してほしいわけ?」

 

「そ、そう言うわけじゃないけど……!」

 

 鈴はシャルの反応に笑う。

 

「あいつらが黙っているってことは、何か理由があるってことでしょ?」

 

 鈴がそう言いきれる根拠は一夏と、ここ最近知り合ったばかりではあるが、氷雨、その二人の性格を知っているからであり、そして信頼しているからである。

 

「だから、あたしも黙ってるわよ」

 

「り、鈴。……ありがとう」

 

「お礼なんていらないわよ。言うなら、あの二人にでしょ」

 

 なんとも穏やかな雰囲気が流れる中、二人の会話をずっと聞いていた人物がもう一人いたことに鈴が気付く。

 

「……あんたはどうなのよ」

 

 その問いは今までこちらを見ているだけであったラウラに向けられたものであった。

 

「ふん、心底どうでもいい」

 

 言い方は悪いが、それは黙っているという意味であると、鈴は理解した。

 

「その程度の事がドイツの諜報部にばれないとでも思っていたのか」

 

「え? し、知ってたの?」

 

「当たり前だ」

 

 ラウラは軍からその情報を事前に得ていた。故に、シャルが男性操縦者の搭乗ISの情報を盗まないように、氷雨や一夏と共に特訓をする場面に現れたのだ。

 

 しかし、ラウラが何かをする前に、シャルのISに組み込まれていたプログラムは氷雨の手によって解除されたいた。

 

「だが、公式で男と発表されてない以上、害はないものと判断し放置していたまでだ」

 

「え、公式で発表されてないの?」

 

 それはシャルも初耳だったようで、確かに公式の場に男装で出た覚えはなかったが、まさかIS学園の中だけであったことにシャルは驚きを隠せなかった。

 

 だが、それもそうである。いきなり男性操縦者を代表候補生にしたのでは、ただいたずらに国内を混乱させるだけなのである。

 

 目的がイレギュラーである一夏と氷雨との接触であれば、国内に発表する必要はない。

 

 その情報を聞き、少し救われたような気がしたシャルであった。

 

 と、そんな三人に近付いてくる影がった。

 

 氷雨かと思い、シャルや鈴がそちらを向くと、そこに居たのは女装姿の変態ではなく、少しチャラそうな青年たちであった。

 

「ちょっと良いかな?」

 

 青年たちの一人が、鈴たちに声をかけた。

 

      ◇   ◇   ◇

 

 用事は終わったしさて戻ろうと思ったら、なんだか鈴ちゃんたちに男の人たちが接触してるよ。

 

 あ、ナンパかな?

 

 そりゃあ、鈴ちゃんだもんね! あの可愛い鈴ちゃんがそこに居るなら思わず理性を飛ばして声をかけてしまうのが、悲しきかな、男って言うものだよね。

 

 いや~、流石鈴ちゃんだね。

それに、鈴ちゃんだけじゃなくて、シャルやラウラもいるしね。ラウラに声をかけるのはちょっと警察との戦いだと思うけど、銀髪、眼帯なんてマニア受けする容姿を持っていたら仕方がないね。

 

「ねえ、君」

 

 それにしても、あの男たち、僕の鈴ちゃんに何気安く声かけてるわけ? ハイスラでぼこるよ?

 

「あれ、聞こえてない? ねえ、今ちょっと時間ある?」

 

 あ、僕に話しかけてるの?

 

「なんですか?」

 

 声の主の方に振り向き、返事を返す。声をかけてきたのは僕よりちょっと年上の男の人かな?

 

「君、一人? 暇なら一緒に遊ばない?」

 

「え? え?」

 

 なんだこれ。あ、囲まれちゃった。僕より背が高いのも相まって威圧感が半端ないね。

 

「お茶でもしようよ。あっちに喫茶店もあるしさ」

 

 あ、これナンパだ。女尊男卑のこの世界でよくやるね。若者の間じゃあ、あまりそういう風潮はないんだろうか? セシリアは……まあ、特殊な部類ではあるよね。IS学園の女の子たちは教育の中で偏っちゃうだろうし、全体で見たらそういう風潮はまだ少数なのかな?

 

「えと、ごめんなさい。友人と来てるので……」

 

「そう? じゃあ、その子たちも呼んでみんなで遊ぼうよ」

 

「カラオケ行かない? 俺、結構うまいんだぜ?」

 

 押しの強い人たちだね。そうまでして僕をどうしたいんだろう……。

 

「はっ!」

 

「? どうかしたの?」

 

 大体、普通は女装の男にわざわざナンパなんてするわけがない。となると、考えられる理由は、男性操縦者を欲しがる企業からの刺客なんじゃないか?

 

「そ、その手には乗らないよ!」

 

「ど、どの手?」

 

「やべ、俺が実は歌下手なのばれたのか」

 

「お前、話し方からして音痴だからな」

 

「まじか。だからこの誘い文句勝率0なのかよ」

 

『いえ、それはあなたの顔のせいでは?』

 

「うわっ! グサッときた。薄々気づいてただけにグサッときた」

 

「てか、誰が言ったんだよ、今の。少しは遠慮してやれよ」

 

 ペイルライダーの毒舌は僕限定じゃなかったんだね。ちょっと安心したよ。

 

「くそっ、こんなところにいられるか。私は自分の部屋に戻るぞ!」

 

 そう言って包囲を突破して走り出す。

 

「ああ、死亡フラグ立てて行っちゃった」

 

 後方から聞こえる声は遠ざかる一方で、追いかけてくる気配はなかった。よ、よかった~。

 

 




あれ? 買い物編がなぜか三話にまたがってまだ続く?

予想外です


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