鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん   作:かきな

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七話 涙は髪飾りと共に

 鈴ちゃんたちの元へたどり着くと先ほどまで鈴ちゃんの周りに居た軟派野郎たちはいなくなっていた。きっと自身の身の程を弁えて、去っていったことだろう。鈴ちゃんをナンパしようなんて、百億兆万年早いよ。

 

 僕なんて一万年と二千年前から愛してるのにね。まさに、前世からの愛ですよ。

 

「遅くなってごめんね」

 

「ほんと、何してたらこんなに遅くなるのよ」

 

「な、ナニ!?」

 

 シャル?

 

「ちょ、ちょっと、シャルル! あたしはそう言う意味で言ったわけじゃないわよ!」

 

「そ、そうだよね!」

 

「? 何をしてたってわけじゃないけど、ちょっとナンパに捕まっちゃって、それで遅くなっちゃった」

 

「はぁ!?」

 

「えぇ!?」

 

 鈴ちゃんとシャルが同時に驚く。まあ、確かにビックリするよね。このご時世にナンパなんてさ。

 

「女尊男卑の今じゃ珍しいよね」

 

「いや、あんた。珍しいも何も、絶滅危惧でしょ、それ」

 

「もう氷雨は女の子なんだね」

 

「いやいや、シャルル。それはいったいどういうことですか……」

 

 僕は男ですから。

 

「というか、鈴ちゃんたちもさっきナンパされてたよね?」

 

「されてないけど?」

 

 あれ? じゃあ、さっき僕が見た男たちはなんだったの?

 

「あ、もしかしてさっきの人たちのこと? あの人たちはお店の場所を聞いてきただけだよ」

 

「え、なんで鈴ちゃんたちに?」

 

「さあ? IS学園の学生ならこの辺のこと詳しいと思ったのかもね」

 

 詳しいのかな? あ、でも確かに学園から買い物となるとこの辺が一番便利だし、みんなこの辺りに来るかもね。

 

「で、なんであたしたちはナンパされなくて、あんたはナンパされてるのよ」

 

 鈴ちゃんがジト目で睨んでくる。ああ、睨まれてるのに何故か胸がキュンと来るのはどうしてだろう。

 

『頭がおかしいからでは?』

 

 的確な解答ありがとう! その通りだから何とも言い返せないね!

 

「ぼ、僕の方が可愛いからかな~、なんちゃ……て」

 

 ああ、凄く睨まれてる。いやいや、そんなこと微塵も思ってないからね!

 

「冗談に決まってるじゃないですか、鈴ちゃん。僕は鈴ちゃんが、世界で! 一番! 誰よりも! なによりも! 可愛いと思ってるよ!」

 

「うるさいわよ!」

 

 痛い! す、脛を蹴られた。かの有名な武蔵坊弁慶ですらその部位は痛がってたのに……。

 

「ご、ごめんなさい」

 

「あんたはいつもいつも大声で恥ずかしい事言いすぎなのよ!」

 

 顔を真っ赤にして僕を責める鈴ちゃん。鈴ちゃんの事となると歯止めが効かなくて。

 

 でもこれが嘘偽りのない僕の気持なので、遮って気持ちを隠すのもなんだか嫌だからまた迷惑かけちゃうかもね。

 

「お詫びってわけじゃないけど、これ」

 

 そう言って手渡すのはちょっとした包装紙に包まれた長方形の箱。

 

「……なにこれ?」

 

「えと、ぷ、プレゼントです」

 

 さっきはトイレに行くって言ったけど、実は嘘で、本当はちょっと買い物に行ってたんだよね。そのうちの一つがこれ。

 

 鈴ちゃんはなんのプレゼントなんだろうと少し首をかしげつつも受け取ってくれた。

 

「開けていいの?」

 

「うん、ちゃんとレシートももらってるから大丈夫だよ」

 

 万引きと間違えられることはないよ!

 

「その心配をしてるわけじゃないけどね。まあ、あんたらしいか」

 

 ? 何が僕らしいんだろうか。

 

「これ、ネックレス……?」

 

「うん、似合うかなって思って」

 

 光を反射しキラキラと光るそれはより一層に鈴ちゃんの魅力を増させることだろうね。僕のセンスを総動員して選んだものだから、多少なりともよいものだと思う。ただ、値段を見て思わず声が漏れちゃったけどね。

 

「あ、これ、ロケットじゃない」

 

「え、ロケット?」

 

 いきなり大気圏を飛び出しちゃうのか。確かにISはそういう用途で出来てるけど、なんで今?

 

「たぶん氷雨の考えているのはRocketだと思うけど、鈴が言っているのはlocketだからね」

 

「ん?」

 

 ちょっと待って、日本人にその発音の違いは理解できないんですよ。ええと、上顎に舌を付けるのはどっちだっけ……。

 

「ロケットペンダント、この先についてるこれに写真を入れられる奴よ」

 

「ああ、よく戦いの前に写真を見て、『俺、この戦いが終わったら結婚するんだ』って言うやつでしょ?」

 

「それはよく言うの?」

 

 鈴ちゃんが僕の冗談に一つ息をついて、僕の方に視線を向けた。

 

「な、なに?」

 

「ありがとう」

 

 ……え?

 

「結構高いでしょ、これ。本当なら遠慮するところだけど、もう買っちゃってるし。だから、ありがとね」

 

 そう言って微笑む鈴ちゃん。その笑顔は紛れもなく僕自身に向けられたものだ。

 

 そんな不意打ちの笑顔に僕は……。

 

「…………」

 

 普通に照れちゃいましたとさ。

 

「なに顔真っ赤にしてんのよ」

 

 そう言って、正面の鈴ちゃんは笑う。そんな笑顔も直視できないくらい、僕は柄にもなく照れちゃいました。えへへ。

 

      ◇   ◇   ◇

 

 顔を赤く染め、えへへと照れながら笑う氷雨を横から見ているシャルは……

 

「(ああ、もう可愛いなあ、氷雨は)」

 

 内心にやけそうなのを頑張って自重していた。

 

 女装も相まって、その乙女の様な行動に更なる補正がかかっているのだが、それに加えシャルの中でもう一つのフィルターがその画像を彩っているが故にこんな状況に陥っているのである。

 

「(はあ、あれを僕に向けてくれたらいいのになあ……)」

 

 最近の氷雨は鈴と仲良くなったのもあって、シャルは一緒に居る時間が少なくなった気がしている。

 

 実際、少なくはなっているのだが、元々一日中一緒だったのが数時間ほど減っただけであり、晩御飯の後、部屋は一緒であるし、授業も同じ男性操縦者という肩書のおかげでほとんど同じグループになったりもしている。

 

 まあ、そんな理屈が恋する乙女に通用するのかと言われると、よくある恋愛ソングのようにずっと会いたいとか、満たされないとかで、満足することはないのだろう。

 

「あ、ラウラにも。はい、これ」

 

 そう言って氷雨が手渡したものは包装紙に包まれたものであった。

 

「何だこれは」

 

「櫛だよ。ラウラって茶道部でしょ? だから、こういうものが欲しいんじゃないかと思って」

 

 ラウラの部活を知っていることにも驚きではあるが、渡す物が櫛であることにもシャルは驚く。軍人を絵にかいたような彼女だ。どうにも櫛を使うという姿が想像できない。

 

「別段必要とはしていない」

 

 その正直な物言いをするラウラにシャルは少し、ムッとしたが、ここで自分が怒っても仕方がないと黙っていた。

 

 言われた本人である氷雨はいつもの様なオーバーリアクションをしていた。一件冗談のような氷雨の反応だが、内心では大なり小なり、本当にそう感じていることをシャルは何となく理解している。

故に、口を挟みたくなったのだが、ラウラはその言葉に続けるように口を開いた。

 

「だが、これからは必要とするだろうな。折角くれたのだ。ありがたく使ってやろう」

 

 素直に感謝の意を氷雨に伝えるラウラに鈴もシャルも驚きの表情を隠せなかった。

 

 氷雨だけは驚くこともなく、満面の笑みを浮かべた。

 

 この流れだと自分にもあるのだろうと、シャルは否応にも期待してしまう。卑しい思考ではあると自覚はするも、湧いてしまうものはしょうがないと自己を正当化させる。

 

「じゃあ、帰ろうか」

 

 しかし、そんな期待を裏切るかのように、氷雨の声が自分の耳に届いた。

 

「(どうして、僕だけ?)」

 

 そんなことを訴えたくもあったが、しかし、この抗議を伝えたところで何になるというのだろうか。自分の評価を下げるだけであるし、自分の醜さを露呈させてしまう形になるだけだ。

 

 なんだか泣きそうな、そんな寂しさに胸を締め付けられるが、氷雨の前ではそれを顔に出したくないな、と思い、シャルは必死にこらえ、帰路に就くのだった。

 

      ◇   ◇   ◇

 

 廊下。

 

 鈴ちゃんとラウラと別れて、僕とシャルは二人で自室の方に向かう。ちなみに僕は未だに女装だ。すれ違う女子たちにばれないか内心ビクビクしてたけど、全くばれなくて、安心したような、なんだか腑に落ちないような……。

 

 なんで気付かないんだろう。声で分かるよね? 別に僕は女声を作ってるわけじゃないのにね。

 

 で、先ほどからなんだかシャルが落ち込んでいるように、肩を落として歩いている。女装の僕が隣だからってわけじゃなさそうだけど、どうかしたんだろうか?

 

「ねえ、シャルル? どうかしたの?」

 

「……どうもしてないよ、氷雨。大丈夫。大丈夫……」

 

 どう見ても大丈夫そうには見えないんだけど。

 

「あ、そう言えばね、鈴とボーデヴィッヒさんにばれたよ」

 

「え、なにが?」

 

「僕が女だって言う事が」

 

 え、ええ! な、何それ! 一大事じゃない! そ、それで様子がおかしかったんだね。

 

「だ、大丈夫なの!?」

 

「うん。二人とも黙ってるって」

 

 え、二人とも? ラウラも? なに、原作のこのころじゃ考えられないくらい丸くなってるのね、ラウラ。

 

「ふう、よかった~」

 

 安心して息を吐く僕の顔をシャルが覗く。

 

「……氷雨はどうして自分のことのように心配してくれるの?」

 

 なんだか今更な質問だね。そんな当然のことを聞かれるとは思ってなかったよ。

 

「好きだから」

 

「っ!?」

 

 驚いたようにシャルが顔を上げる。あ、誤解させちゃったかな?

 

「友達だもん。助けてあげたいと思うのは当然でしょ?」

 

「え、あ、あ~like……」

 

 小声で何かを呟くシャルであったけど、納得してくれただろうか、その後の追及はなかった。

 

 ああ、そうだ。

 

「ばれてるんだったら、あの時渡せばよかったね」

 

「え?」

 

 手に持つ袋の中から一つ、包みを取り出す。

 

「はい、これシャルにあげるね」

 

「ぼ、僕に?」

 

「うん」

 

 さっきまで落ち込んでいたみたいだけど、少し元気になったようで表情も明るくなる。よかった。

 

「あ、開けてもいい?」

 

「勿論」

 

 ここまで来たらもう店員さんも文句は言ってこないだろうからね。

 

 袋を止めるテープを丁寧にとるシャル。几帳面なんだね。僕だったら途中でびりって破れちゃうよ。

 

 そうして中から現れた物をシャルは手に取った。

 

「髪飾り?」

 

「うん。いや~、シャルの髪に似合うな~って思って買ったんだけど、それどう見ても女物だったんだよね。だから、あの場で渡すのはどうかと思ったんだけど、ばれてたならもったいぶらなくてもよかったね」

 

 女装した男が男装した女子に女物の髪飾りを送る。……なんだろう、この謎の文章は。なんだか、性別がごちゃごちゃになりそうだね。

 

「うっ……」

 

「?」

 

 シャルの様子が……。

 

「うえええええん」

 

「え、ええええええ!」

 

 な、泣きだしちゃいました!

 

「え、え? え、ど、どどどどうしたの、シャル!」

 

「うっ、ぐすっ、あ、ありが……とう。ひ……氷雨……」

 

「え、ど、どういたしまして。……ってほんとにどうしたの!? だ、大丈夫!?」

 

 泣きやまないシャルの周りをぐるぐるしながら声をかける。そんなことをしていたら見知らぬ女子に発見されて……。

 

「ああ!! 誰かが、デュノアくんを泣かしてる!!」

 

「え?」

 

「「「なんですってええええ!!」」」

 

「ええっ!」

 

 なんだか物凄い人数の女子がいきなり現れたんですが!

 

「捕まえるわよ! そして、デュノアくんを助けるわ!」

 

「「「おおー!!」」」

 

 て、まずいよ。この格好で捕まったら、僕が僕であることがばれてしまう!!

 

「シャル……」

 

「ひっく、ひっく」

 

「またあとで謝るからねええええええ!」

 

 そう言って、僕ははためくスカートも気にせず、廊下を駆けだした。

 

「「「待てええええええ!!」」」

 

 追いかけられる最中、飛びこむようにして千冬さんの部屋に入ることで何とか一命を取り留めた僕であった。

 

 

 

 

 

 

 その後、部屋に帰って土下座すると、シャルは焦りながら、僕は悪くないと許してくれた。

 

 けど、結局涙の理由は教えてくれなかった。聞いてもちょっと紅くなってそれは言えないと言うのだ。気になるけど、言いたくないことを無理に聞くのはどうかと思ったので追及はしなかった。

 

 

 

 

 

 そう言えば、余談だけど、シャルの守ってあげたい男子度が上がったとかいう話をクラスで聞いたよ。本当に余談だね。

 

 あ、僕の評価は絶叫系不思議愉快さんだってさ。うん、何これ?

 




ただ買い物するだけで一万字弱とか、いつもの私なら考えられない字数ですね

本来こういう日常を書くことを苦手としているので、いい練習になりました

こんな日常かいてほしいっていうのがあれば、メッセでも送ってください
ていうかネタください
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