鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん   作:かきな

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十一話 口は災いの元

 時間はちょっと遡って夜。

 

 

「というわけで、どうにかしてよ、タバエモーン」

 

『何がどういうわけかは大体把握してるけど、なんで束さんがその女のために動かなきゃなんないのさ』

 

 この反応は大体想定してた。だって束さんは興味ない人にはとことん冷たいからね。

 

『そもそも犯罪者に手を貸したらひーくんまで共犯になっちゃうよ?』

 

「別に犯罪の隠ぺいとか手伝うわけじゃないし、大丈夫じゃないの?」

 

 僕がしたいのはただ国からの援助を続けさせることだけだ。それさえ叶えば、デュノア社が何をしようが、在学中は守られる。卒業したら、フランスで罪を償ってから再スタートすればいいだけだし、なんとかなるんじゃないかな? まあ、それはフランスの世論次第だろうけど。

 

「お願いだよ、束姉。シャルは僕と一夏の友達なんだ。助けてあげてよ」

 

『…………も~、しょうがないなぁ。今回だけだよ、いっくんとひーくんの友達ってことで助けてあげる』

 

「あ、ありがとう、束姉」

 

『ただし!』

 

 言葉を遮るように大きな声が聞こえる。

 

『条件があるよ』

 

「条件?」

 

『そう。といってもちょっとした頼み事するだけだよ』

 

「うん。それくらいならなんでもするよ!」

 

『ん? 今、何でもするって言った?』

 

『言いましたね』

 

「いっちゃったね」

 

『……』

 

『……』

 

「……」

 

 そこで通信は切れた。

 

 な、なんか恐ろしいことになっちゃったぞ。

 

◇   ◇   ◇

 

 ピット。

 

 僕は着替えを済ませ、控室まで戻る。アリーナへと続く扉の前に立つ。

 

「ペイルライダー。行くよ」

 

『戦闘システム、レディ。いつでもいけます』

 

 頭にハイパーセンサーを通した情報が流れ込む。

 

「今日はちょっとハードになるかもしれないけど、頼んだよ?」

 

『ご期待に答えましょう』

 

 ペイルライダーを展開する。

 

 ピットからアリーナへつながる扉が開く、眩い光が溢れだす。

 

◇   ◇   ◇

 

 アリーナ。

 

 周りを見渡すと、全ての席が人で埋まっている。男性操縦者という話題性がここまで人を呼ぶとは思わなかった。

 

 そう言えば、原作のクラス対抗戦も一夏を見たさにチケットまで売りさばく人気だったよね。

 

「おい」

 

 しかし、この人の数に見られて戦うとなると、なかなか緊張しそうだね。

 

「おい!」

 

 だけど、負けられない。緊張しているからって言い訳して、千冬さんを裏切るわけにはいかない。

 

「おい、貴様!」

 

「なんだよ、ラウラ。今、決心を固めてる最中なんだよ?」

 

「そんなことはどうでもいい! なんだその格好は!」

 

 え……なにって、ISスーツにペイルライダーを展開しているだけだよ?

 

「何か問題あるのかな?」

 

「大ありだ! 貴様……なぜ女装をしている!!」

 

 会場は物凄くざわついている。噂の男性操縦者を期待していたら、何故か女が出てきたのだから当然だろう。

 

 アリーナ内にある大型ディスプレイに僕の姿が映される。あ、凄く恥ずかしい。

 

「答えろ!」

 

「いや、まあ、これにはバイカル湖よりも深い理由があってね」

 

『バイカル湖とはロシアのシベリア南東部にある、最大深度1741mの世界一深い湖のことです』

 

 補足ありがとうペイルライダー。受験生の人は覚えておこうね!

 

「理由なんてどうでもいい。貴様、私を馬鹿にしているな?」

 

 り、理由聞いてきたのはそっちじゃないか……。

 

 ていうか、僕だってやりたくてやってるわけじゃないんですよ! 本当はこんなことしないで戦闘で鈴ちゃんにいいとこ見せようと思って……かっこいい姿で鈴ちゃんを魅了しようと思ってたのに!

 

『何故、言いなおしたのですか?』

 

 なのに……なのに!

 

 

 

 

『じゃあ、一つ目の頼み。前のあの女装で次のトーナメント出て』

 

「ふぁっ! なんでそうなるの!?」

 

『だって、その日はひーくん目当てに群がる奴らがいっぱい来るわけだよね? そのひーくんが女の格好をしてたら、滑稽だと束さんは思うわけですよ』

 

「それに何の意味があるのさ!」

 

『束さんが面白い』

 

 この瞬間思った。あ、何を言っても覆らないっぽいってね。

 

『あ、束さん特製のパットも送る?』

 

「いらないです」

 

 

 

「なんで! こんな! ことに!」

 

『落ち着きましょう』

 

 ……そうだね。ここまで来てこの女装に関して嘆いていても仕方がない。周りのざわめきも、気にすることはないよね。

 

「うん。ペイルライダー、ノイズキャンセルして」

 

『了解。観覧席からの囀りを除去』

 

 よし、静かになった。これで集中ができると言うものだ。

 

「ラウラ、別に僕は君を馬鹿にしているわけじゃない」

 

「なに?」

 

 冷静さを取り戻し、僕は正面のラウラを見据える。

 

 

「僕がこんな恰好をしているのはただの高度な政治的判断にすぎない。それが、僕自身の戦闘技能に影響を与えるわけじゃない」

 

『高度な政治的判断(嘲笑)』

 

 やめて、結構真面目な顔で話してるんだからさ。まあ、真面目な顔しても所詮女装なんですけどねぇ!

 

「それとも何? ラウラは僕が女装してたら、心乱されて弱くなっちゃうわけ?」

 

「っ! 貴様!」

 

「そんなことないよね? じゃあ、何も問題ないよ」

 

『ビームブレード、レディ』

 

 両手に構えるはいつも通りのビームブレード。展開した後、右手を突き出し、その切っ先をラウラに向ける。

 

「負けた時の言い訳を、今しないでもらえるかな?」

 

「……なるほど」

 

 ラウラは何かを理解したように落ち着いた顔つきに戻る。前のめりだった姿勢もただし、こちらをしかと見据えている。

 

「私を煽って冷静さをなくさせ、AICの発動を防ごうと言う作戦か」

 

「……」

 

 ラウラは胸の前で腕を組み、なにやら勝ち誇った顔をする。

 

「生憎、私はその辺の雑魚とは違う。軍人たる私が、そのような挑発に乗るとでも思ったか」

 

「……」

 

 掌でこちらに招くような挑発をラウラが取る。

 

「こい。格の違いを見せてやる」

 

 ……やばい、ばれてた。

 

「どうしよう、ペイルライダー」

 

『どうしようも何も、一度AICは避けているじゃありませんか』

 

「あんなのまぐれだよ。一対一であれに捕まったら、今度はミサイルなんかじゃ抜けられないよ?」

 

 今のラウラは僕が煽ったせいもあって、逆にすごく落ち着いている。前回の不意打ちミサイルはラウラが動揺してくれたからAICが解けたけど、冷静にワイヤーブレードで対処されたらなす術なんてありませんとも。

 

「あ~、どうしよう」

 

『……氷雨、心拍数、発汗、ともに通常時より変化なし。焦ってませんね?』

 

「あ、ばれた?」

 

 実は簡単な攻略法がある。タイミングは避けるよりも難しいけど、隙をつくことができれば、僕の勝ちなんじゃないかな?

 

「来ないなら、こちらから行くぞ」

 

 動かぬ僕らにしびれを切らしてラウラがこちらに飛び込んでくる。

 

『きます』

 

「勝つためには誰かが負ければいい。俺以外の誰かが!」

 

 迫るワイヤーブレードをビームブレードで弾く。

 

 そうして、戦いの火ぶたは切られた。

 

◇   ◇   ◇

 

「くっ! ちょこまかと!」

 

「あ~、だめだめ。やっぱり近接戦闘はリスクが高すぎるよね」

 

『チキン野郎』

 

 そんな罵倒を聞きながら、僕はジャイアントガトリングをラウラに撃ちつつ一定の距離を取っている。

 

 このジャイアントガトリング、集弾性はあまりいいとはいえないけれど、装弾数が半端ではない。なんと、リロードなしに拡張領域に入れた分だけの弾が撃てるのだ!

 

 え? どうやったらそんなチートができるかって? ガトリングの弾ってこう、横に繋がってるじゃない? あれの端っこに次の弾を展開。また端っこに次の弾を展開。また展開。その繰り返しで撃ち尽くすことができるんだよ。

 

 ただし、それができるのは僕か、ラピッドスイッチが使えるシャルだけかな。僕の場合、その展開をペイルライダーに一任することで解決してる。

 

『盛大にかっこ悪いですね』

 

「いやいや戦いって言うのは格好じゃないんだよ。要は勝てばいいんですよ」

 

『最低ですね』

 

 ……しかしラウラも適度にAICを使って、避けてるね。僕、AIMには自信があるんだけど、距離を取った上にこの集弾性じゃ当たらないのも仕方がないか。

 

『残弾数、100を切りました』

 

「ん。じゃあ、そろそろ近接に向かうか~」

 

 展開されなくなった弾を見て、ジャイアントガトリングを収納し、瞬時にビームブレードに持ちかえる。

 

「今日の僕は、阿修羅すら凌駕する存在だ!」

 

 ビームブレードを構えラウラに突っ込む。弾が止んだことを確認したラウラは僕に注意を向ける。

 

「そんな直線的な攻撃!」

 

 僕の方に右の掌がかざされる。そして、僕の体は制止した。

 

『……どういうつもりですか?』

 

 ペイルライダーは僕がAICに捕まったことに疑問を呈す。本当の理由はVTシステムを発動させないために、一度はかかっておいた方がいいんじゃないかと思ったからだけど、この理由は誰にも言えないんだよね。

 

「まあ、任せておいてよ」

 

 そんな風にペイルライダーに返事をする。しかし、身動きを止めたまま、ラウラは追撃してこなかった。

 

「ふん。これほどあっさり捕まるとはな」

 

「ラウラの集中力がすごいからね」

 

 確かに直線軌道ではあったけど、ガトリングでAICを多用した後でなおAICを正確に発動させるだけの集中力。ラウラだからこそシュヴァルツェア・レーゲンの力は発揮されるのだ。

 

「前に戦った時よりも動きが荒いな」

 

 余裕を見せ、僕を見下すラウラ。

 

「そうかな? 僕自身はあんまり違いが分からないんだけど」

 

「女にうつつを抜かしているからそうなる」

 

 女にうつつ? 鈴ちゃんに? ……確かにそうかもしれないけど、別にそれを言い訳にして鍛錬を怠ったことはないよ。描写しないだけで、僕は毎朝走って、竹刀ふって、舞の型を確かめて、とか、い、色々やってるんだから!

 

「別に鈴ちゃんは関係ないよ。もし実力が落ちたと言うなら、それは僕の怠慢が原因だよ」

 

「どうだかな」

 

 しかし、僕が反論しても、ラウラの中ではもうすでに結論が出ているようで、意にも介さない。

 

「教官に認められながら、その何も考えていない振る舞い。見ていて不愉快だ」

 

「そんなこと言われてもね~」

 

 AICを発動したまま、大型のレールカノンの銃口がこちらを捉える。

 

「あんな女にうつつを抜かした結果だ」

 

「……あんな?」

 

 え、ちょっと聞き捨てなりませんけど?

 

「代表としての自覚もなく、直情的で思慮の足りない女という意味だ」

 

 ……。

 

『レールカノン被弾。ダメージ10%』

 

 …………。

 

『次弾装填。被弾。ダメージ20%』

 

 ………………。

 

『被弾。ダメージ30%。このままでは危険です』

 

「ベクターキャノン、レディ」

 

『正気ですか』

 

 ペイルライダーの言葉を無視し、ベクターキャノンを展開する。

 

「なっ!」

 

 現れる空間圧縮破砕砲の威圧感に、ラウラは一瞬レールカノンを撃つのをためらう。

 

『ベクターキャノンモードに移行』

 

「くっ!」

 

 ラウラは再び、レールカノンを撃ちだす。

 

 AICが止めているのは僕の身体だ。新たに展開されたベクターキャノンはその効果を受けていないし、すでに銃口は向けられているので止めたところで放てば直撃は免れない。

 

『エネルギーライン、全弾直結』

 

「僕のエネルギーが尽きるか、ベクターキャノンの準備が終わるか……」

 

 再装填されたレールカノンが被弾する。残りエネルギーは半分。

 

『ライディングギア、アイゼン、ロック』

 

「チキンレースと行こうじゃないか、ラウラ!」

 

「き、貴様っ!」

 

 レールカノンが着弾し、さらにエネルギーが削られる。シールドで止めきれない衝撃が身体を叩きつけるも、AICの効果もあり、僕はびくともしない。

 

『チェンバー内、正常加圧中』

 

「無駄な、あがきをっ!!」

 

 加圧中にラウラはレールカノンを二発放つ。そのうちの一つが頭に当たり、一瞬意識を失いそうになるが、唇をかみしめ、なんとか耐える。もうすぐだ。

 

『ライフリング回転開始』

 

「っ!」

 

 このリングの回転が何を意味するのかを悟ったのか、ラウラは最後にレールカノンを放つも次弾は装填しなかった。

 

 そして……

 

『撃てます』

 

「上手く避けてね?」

 

 そう言うと、ラウラはベクターキャノンの射線上から離れる。それは同時にAICを解くと言うことでもある。

 

「ペイルライダー、ベクターキャノン収納」

 

『了解』

 

 放つ前に、ベクターキャノンを収納する。さて、ここから仕切り直しだ。

 

「覚悟してね、ラウラ・ボーデヴィッヒさん?」

 




区切りのいいとこまで書いたら5000文字弱になりました

長いけど、ご容赦くださいm(__)m
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